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噺小屋スペシャル 小満ん・喬太郎の会 銀座ブロッサム 2月20日

昨年は、小満ん『雪とん』、喬太郎『竹の水仙』を楽しんだ会に今年も参上。
2012年3月1日のブログ

 本来は好まない大ホールでの落語会、しかしこの二人である。そういう期待が大きかっただけに・・・・・・。

次のような構成だった。
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(開口一番 柳家さん坊『つる』)
柳家小満ん 『夢金』
柳家喬太郎 『錦の袈裟』
(仲入り)
柳家喬太郎 『白日の約束』
柳家小満ん 『寝床』
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柳家さん坊『つる』 (18:31-18:46)
 昨年11月の国立演芸場での白酒の会以来。その時も、兄の結婚式に出た際のエピソードなどをマクラにしていたことについて、良く言えば落ち着いていると言えるが、悪く言えば“遊び過ぎ”と書いた。入門三年目の前座さんにしては、ゆったりとした語り口は、なかなかと思わないでもないのだが、裏返しで、スピード感に欠ける、というか若さを感じない、という指摘にもなる。この高座も前半は結構良かったのだが、最後の方は、やや急ぎ足になった感は否めない。噺の筋本来の可笑しさで笑ってくれるお客様も多く救われていたが、まだ若いんだから、もっと精進していただきましょう。言い間違ってもいいから、もっとスピードとリズムが欲しい。

柳家小満ん『夢金』 (18:47-19:16)
 この人のこの噺は、大震災の直前2011年3月1日に、改装前の東京芸術劇場の独演会で聴いて以来。冒頭、楽屋で喬太郎との会話が盛り上がっていることを匂わす。「まるで、お軽勘兵衛の道行きのよう」「私が、お軽です」で会場から笑いを誘う。
「知足安分」、分を知ることの大事さを物語る熟語に続き、「欲深き人の心と降る雪は 積もるにつれて道を忘るる」の言葉で噺に導入。まったくの本寸法である。
 この「知足安分」の精神、震災後には、日本人の多くが取り戻しかけていたのに、今や、震災もフクシマもなかったかのような日常に戻った。デフレからの脱却は必要だが、バブルへの回帰はご免こうむりたい。
 噺に戻るが、震災前の、たった二年前の高座でも感心したが、船頭熊の科白が結構。たとえば、雪の中、屋根船を漕ぎながら、「なかなか酒手が出ないねェ」と船を揺らしてようやく侍が声をかけた後、蓑に降り積もった雪を払う場面などの「蓑なんざぁ、一本一本 針刺したようだ」などの表現が憎い。侍に「けしからん」と言われて返す言葉、「芥子が辛かろうが 唐辛子が甘かろうが、知るけい」の啖呵も好きだなぁ。この科白、五代目柳朝もよく使った。流石の小満ん節だった。

柳家喬太郎『錦の袈裟』 (19:17-19:50)
 この人のこのネタも、一昨年以来。平治(当時)の会への客演での一席だった。あの時の方が体調が良かったように思うし、内容も上だったなぁ。 2011年のマイベスト十席に選んだ位だからね。
 マクラでは、地元池袋のことから吉原の有名なお茶屋さん「松葉屋」さんでの落語会のことになり、本編へ。前座仲間の扇辰と一緒に、その独演会のお手伝いをすることが楽しみでならなかった憧れの人との会、古典二席なら、一席目にこのネタは分からないでもない。しかし、結果としてもう一席が新作だったので、ネタ選びとして、いかがなものか、という思いは、終演後の居残り会メンバーに共通した疑問だった。
 しかし、会場は、喬太郎ファンも多かったようで沸いていた。その笑い声が大きければ大きいほど、「昨年とは、違う・・・・・・」という暗い思いが募ってきた。時おり痰を切るための咳をする喬太郎の体調は万全ではなかったようだし、こちらも不完全燃焼。

柳家喬太郎『白日の約束』 (20:05-20:22)
 仲入り後は、小満んのために時間をつくるためだったのかどうか、この短い新作。マクラが8分ほどあったので本編は10分位である。そのマクラで、「誰も私が本屋に勤めていたって信じないでしょ」と、福家時代の電話での本の注文の仕方を演じたが、会場はこれでも受ける。定番のさくら水産ネタにも反応するお客さんが多い。だから、喬太郎も媚びる、と私には思えて仕方がない、嫌~な感じの空気。
 昨年は“古典回帰”を印象づけた無理に笑いをとろうとしない本寸法『竹の水仙』の熱演の後で、『稲葉さんの大冒険』で心地よく弾けたが、今回は、笑いを取りたい思いが影に見えた古典と、“旬”とは言え、時間しのぎとも思える新作小品、という印象で、この二人会で選ぶネタだったのか、という疑問がさらに募った。

柳家小満ん『寝床』 (20:23-20:56)
 マクラは、かつて彦六の家にお邪魔して書いてもらった「藝」という字の色紙の思い出から、最初の師匠文楽十八番のネタへ。茂造が回った長屋は、登場順に次の通り。順番も含めて師匠と同じである。
 ①提灯屋 ②金物屋 ③吉田の家 ④小間物屋 ⑤豆腐屋 ⑥棟梁
 使用人の仮病の中で、亀どんの鬱病、というのは師匠版にはない。また、旦那がへそを曲げたと聞いて参上した長屋の面々が語る場面は、結構師匠版にはない内容を盛り込んでいた。小満ん寝床が出来上がりつつあるのだろう。古典しっかり二席。


 終演後はレギュラー四名での「月例居残り会」。昨年のこの会の後に初めて行った、志ん朝も愛したお店へ。昨年、この店で味わった感動をブログから引用。
Sさんが、前日に飛び込みで入ったお店が良かった、とブログに書かれていたので、「ぜひ裏を返しましょう!」、ということで東銀座のKというお店にYさんも含め、いつもの三人組は向かったのだった。
 そのお店が、何と何と、かつて志ん朝も大勢を引きつれて度々訪れたお店で、私がたまたま座った席には志ん朝も座ったことがある、と店のご主人にお聞きするとは、まったく予想外のうれしい誤算、いや僥倖。落語のとりもつ不思議な縁を感じながら、お世辞抜きに美味しい刺身、馬刺し、牡蠣酢などと落語の話を肴に、熊本の「美少年」の二合徳利が次々と空いていった。

 あの日は、落語会そのものも結構だったからなぁ。

 今回は、落語会に関しては、全員異口同音に、「喬太郎、あれはない!」といった小言になったが、出された料理は、「今夜も最高!」という調子で、美少年の徳利はどんどん空く。
 私は連ちゃんは無理だったので、この日の会を選んだため前日19日に日本橋で行われた「五代目柳朝23回忌追善落語会」を、やむなくキャンセルしたのだった。しかし、昨夜行かれたYさんIさんから、「良かったよぉ。六分位の入りだったけど」と聴いて、複雑な心境で飲んでいた。

 お二人からも演者とネタを聴いたが、一之輔のブログから引用したい。
「いちのすけえん」2月19日のブログ
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一、狸札 おじさん
一、唖の釣り 一之輔
一、祇園祭 正朝
一、火焔太鼓 権太楼
中入り
一、天災 一朝
一、蒟蒻問答 柳朝
一、座談会
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 それぞれ20分程度ながら、皆しっかしりと柳朝十八番を披露し、座談会も楽しかったらしい。
 
 Yさんは、特に一朝の『天災』が印象に残ったようだ。昨年、一之輔の五十日間に渡る一人真打昇進披露興行のすぐ後、北沢タウンホールでの親子会で聴いたが、大師匠・師匠と伝わる大事な噺、一朝はしっかり継いでいるんだよねぇ。
2012年6月1日のブログ

 話題は、どうしてもこの日の喬太郎から離れにくく、我らがリーダーSさんは、「しばらく喬太郎は聴かなくてもいい」「ああいう新作のどこがおもしろいのか、分からん!」と激怒(?)されていた。SさんとYさんは、先日の落語研究会で、『綿医者』でがっくりきていたので、それも含めての小言になっていた。
 前向きな話題(?)つぃては、SさんIさんが行かれた16日の露の新治の会のこと。私は土曜の夜のルールを破ってまでも行こうと思った時には、すでにチケット完売で参加できなかったが、『つる』も『井戸の茶碗』も、大変良かったらしい。歯ぎしり・・・・・・。

 あらためて、喬太郎のこと。昨年のこの会を含む高座に、“古典回帰”の兆候が少し見えていたので、今日の高座に期待していた。しかし、この日の喬太郎には、正直落胆しきり。会場は喬太郎ファンも多かったようで沸いたが、私が望む“喬太郎の古典”とは、違う。
 さん喬が昨年1月のWOWOWの特集で、
「二ツ目の頃からちやほやされて・・・苦労をしていない」
「古典落語に関しては・・・他の人に七~八年遅れている」
と鋭く指摘した2012年1月6日のブログ「他の人」という表現から、扇辰、三三、そして白酒あたりまでを、私はイメージしていた。しかし、この日の喬太郎を考えると、ライバルは一之輔まで含まれるような、そんな気までしてくる。
 それが喬太郎、というご指摘もあろうが、いつまでも“さくら水産”の魚肉ソーセージやピリカラ蒟蒻などのマクラから、固定ファンが予定調和的に爆笑する古典ネタや新作にこだわるのなら、彼の実力を知り、より高いレベルでの新たな喬太郎像を望む落語愛好家とは、まったく調和できないままではなかろうか。ほんとに、喬太郎は、どこへ向かおうとしているのだろう。あるいは、単に、体調の悪さによる不出来だったのだろうか。

 さて、居残り会では、次の会の確認(来月は複数回ありそう!)などを話し合いながら、気が付いた時には飲み始めてから二時間があっと言う間に過ぎようとしていた。もちろん帰宅は日付変更線を越えた。何とかパソコンを開けて、粗っぽく構成などを書いていたら、見事に上の瞼と下の瞼がドッキング。風呂に入ったら爆睡であった。
Commented by Tam at 2013-02-21 16:29
いつも楽しくブログを拝見しております。

今回の喬太郎に関するご指摘、私も昨年夏、ひと月の間に2回聴いて同様の印象を持っています。体調が悪いのか、疲れているのか、過去の遺産を食いつぶしている様な高座で、それなりに受けはするものの、嘗て受けた強い衝撃が全く感じられないことが残念です。

それ以来、私の中で喬太郎の優先順位は著しく下がったのですが(他に聴いておきたい噺家は沢山います)、あまり変わっていない様ですね。

Commented by 小言幸兵衛 at 2013-02-21 17:50
お立寄りいただき、コメントまで頂戴し、誠にありがとうございます。
喬太郎には、つい期待してしまう分、「えっ!?」という時の小言がきつくなってしまいます。
「聞かせる」落語も、「笑わせる」落語も、相当高いレベルでこなせる人なので、つい「笑わせるのは、そろそろ休んで、聞かせてよ!」と思うのかもしれません。
しばらく時間を置いてから、また聴きたいと思っています。
ぜひ、体調にも気を付けて欲しいものです。

Commented by ほめ・く at 2013-02-21 21:45
極論のようですが、00年代は喬太郎の時代だった。と、このままでは過去形で語られそうです。
今のように人寄せパンダ宜しくあちこちの会へ顔を出すようなスケジュールでは、これからも進歩は期待出来ないでしょう。
仕事を絞り体調管理も万全にして出直す位の覚悟が求められているように思います。

Commented by 佐平次 at 2013-02-21 21:49
おつかれさまでした^^。
まあ、熱く語る対象でいるということは救いなのでしょうね。

Commented by 小言幸兵衛 at 2013-02-21 22:28
まったくご指摘の通りかと思います。
学校寄席まで含め、仕事取りすぎでしょう。
もちろん人気商売、声がかかるうちが花かもしれませんが、喬太郎のそんなやさしさに便乗している興行主も、もっと長い目で落語界のことを考えて欲しいものです。
もちろん、仕事を選ぶのは、あくまで本人です。

三三の全国ツアーは、了見が別です。
このままなら、喬太郎は“ミニ小朝”の道を歩むことになる、そんな気がします。

Commented by 小言幸兵衛 at 2013-02-21 22:31
たしかに、昨夜は「熱く」語りましたね^^
私の関心は、すでに喬太郎より新治です!

Commented by 時間 at 2013-02-22 00:03
小言幸兵衛さんこんばんは。

小満んも喬太郎も好きですが、
前回あまり良い印象を
持てなかったので、
この会はパスしました。

喬太郎は、同期クラスとだと
まだアラが見えにくいですが、
ベテランとの二人会では
古典を演じる力の差が歴然で……。
ファンとしては見てられません。
今は継続して引き受ける仕事なのか
どうか。非常に疑問です。

以前ありましたよね、喬太郎が
好きな師匠を毎回一名ゲストに
迎える会。ああいうほうが
双方を引き立たせると思います。

Commented by 小言幸兵衛 at 2013-02-22 08:59
ご指摘の会は、高円寺で開催されていた「喬太郎の古典の風にふかれて」かと察します。
小満んがゲストの時に、私も行きました。高座も結構だったし、対談も良かった。
喬太郎が学生時代に当時の本牧亭で行われていた小満んの会の受付をしており、入門後は、同期の扇辰と交互に小満んの会の前座をつとめ、袖からその芸に接するのが楽しみだった、と述懐されていましたね。二ツ目になって、あの会の前座ができなくなるのが残念だった、と言ってました。
二人会よりも、ああいう企画の方が、一人の落語ファンとしての喬太郎の素顔も覗くことができて楽しいかもしれませんね。
高田文夫事務所主催だったかと思いますが、まだやっているのかは、不勉強で知りません。

いずれにしても喬太郎は、ちょっと疲労気味に見えました。少し静養して欲しいと思うのですが、来る仕事断らないんだろうね、あの人は。

Commented by 彗風月 at 2013-02-22 11:17
私も感じたのが、喬太郎ちょっと出すぎだろう、ということでした。当日入り口で渡された他の公演チラシの中にも、彼に関係するものが幾つかありましたしね。私は、前週の金曜日(15日)に湯島で行われた市馬との二人会にも出かけたのですが、このときの一席目(文七元結)はまだ聴かせる長講と思えたのですが、二席目で選んだものがなんともはやで(肥辰一代記)、がくっと崩れ落ちてしまいました。何というのでしょうか、演出の仕方がここ暫く、どんな噺でも同じように感じられ、それが妙に気になるのです。

Commented by 小言幸兵衛 at 2013-02-22 11:33
お久しぶりです。
湯島で経験された二席目のネタ、先日さがみはら若手落語家選手権で立川流の某がかけて、興醒めでした。
後で調べると円丈作のようですが、別に喬太郎がかけるべきネタではないでしょう。
三三が全国に出向こうとしているのは、きっと今年限りのイベントかと思います。
喬太郎はここ数年、声がかかれば人気者として全国各地に出没しているようですが、もう少し「量から質」への転換を考えて欲しい気がします。少し、芸が荒れてきました。
「勤続疲労」でくたくたになる前に、少しリフレッシュして欲しいものです。

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by kogotokoubei | 2013-02-21 07:35 | 寄席・落語会 | Trackback | Comments(10)

あっちに行ったりこっちに来たり、いろんなことを書きなぐっております。


by 小言幸兵衛
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