道楽亭出張寄席 笑っていただきます!! 牛込箪笥区民ホール 7月20日
2012年 07月 21日
今後、落語会の記録を書く際に、見出し的なものを書くことにしようかと、今のところ思っている。
新宿のRyu's Barというところで「道楽亭」と名付けられた落語会があるのは知っていたが、これまで行ったことはなかった。なかなかの顔ぶれなので、気にはなっていた。
その落語会の常連の出演者による広い会場での“出張”寄席とのことで、神楽坂に参上。約四百席の会場の入りは、半分ほどの入りか。この顔ぶれではもったいない。
受付でも配布されていたが、その顔ぶれの写真を含むチラシがなかなか賑やかで楽しい。

チラシにある、四人の出演者の紹介文が、なかなか楽しい。
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笑福亭たま
「上方からお出ましは笑福亭タイフーン。ドッカンドッカン笑かします」
隅田川馬石
「絶好調!ほくろが素敵な向島の若旦那が聴かせます」
三遊亭遊雀
「ハイパー落語の旗頭、赤羽台の師匠はさらなるくすぐり思案中!」
柳家喜多八
「高田馬場から自転車に乗ってママチャリ殿下がやって来る!」
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喜多八で、「自転車」と「ママチャリ」がかぶっている以外は、なかなかの秀作(?)だと思う。
では、出演順にネタと感想。
開口一番 林家けい木『鮑のし』 (18:46-19:02)
木久扇の九番目の弟子とのこと。落語協会サイトのプロフィール欄には生年月日(1991年4月)しか載っていないので、入門時期は不明。このへんが、若いワリにネット時代への意識が低い。高座も、あまり褒めるところがない。噛みまくりながらで何を言っているか分からないのに、無駄なクスグリを入れる。精進してもらおう。
笑福亭たま ショート落語&『憧れの人間国宝』 (19:03-19:28)
最初に聴いたのはブログを書く前でずいぶん経つのだが、久し振りという気がしない。それは、昨年のテレビ朝日「落語者」や、スカイ・Aの「らくごくら」などのテレビで時折見ているからだろう。六代目松鶴の三番弟子である福笑に入門して十五年目に入る。以前から評価の高い人だが、今回は新作でチラシの謳い文句通りにドッカンドカンさせた。
まず、「ショート落語」と称する自作の小噺を九分間連発。枝雀のSRとは、相当趣は違う^^
続けた新作は、浄瑠璃の人形遣いが人間国宝になった直後に亡くなる、さて授賞式でどんなことが起こるかという内容。ヒントは『らくだ』とだけ書いておこう。亡くなる直前の師匠と弟子との師匠のお内儀さんを通訳(?)とした体を目一杯使っての会話場面で会場は沸いた。ショート落語は、ややもすると下ネタに過ぎる傾向はあるが、本編のオリジナリティとセンスの良さは評価したい。途中に会場で子供が泣き出すハプニングにも負けず、上方落語界期待の若手の実力を見せてくれた高座だった。
三遊亭遊雀『寝床』 (19:29-19:57)
たまのネタを知っていてこの噺にしたのか、偶然かは別にして、同じ浄瑠璃もの。しかし、新作で人形遣いが主役のたまの高座の後では、“ツク”感じはまったくない。たまの派手なアクションに対抗して、茂蔵が豆腐屋がガンモドキの製造工程を旦那に語る際の牛蒡のささがきの仕方で「仕草ってのはこうやるんだ」と、たまがいるであろう楽屋の方を向いて目をむく。会場からは拍手と笑い。この顔ぶれ、楽屋も楽しそうな様子がうかがえる。
主催者がチラシで「ハイパー」(超越)落語と称しているのが何を意味するかは不明だが、何となく分かる気はする。たとえば、この人の十八番『初天神』で金坊が“切れる”あたりに、ハイパー的なものはあるだろう。さて、このネタでは、茂蔵が“切れる”のが、何ともこの人らしい。本寸法を土台にして、そこに遊雀的なハイパー選出、やはりこの人はあなどれない。
隅田川馬石『締め込み』 (20:10-20:39)
仲入り後には前半と違って落ち着きのある(?)人が登場。ジョギングをやっていてのエピソードのマクラ八分の後に本編へ。
終演後の「居残り会」で話題になったが、師匠雲助に入門する前には役者を志していたこともあり、語り口がドラマ的で、あえて言えば古典でも現代風。しかし、違和感はない。夫婦喧嘩の仲裁の場面での泥棒の大げさな仕草は、たまや遊雀の影響ということではなく、やはり役者的なこの人ならではなおアクションなのだろう。人情噺の印象が強いが、こうい滑稽噺も、なかなか結構だった。
柳家喜多八『明烏』 (20:40-21:11)
期待していた「落語をやらせていただきます」、では残念ながら始まらなかった^^
昔の寄席風景のマクラは、いつ聞いても結構。ネタバレに近いが、「はばかりだって、やはり洋式の方が奇麗事でいいですよ・・・膝にだっていいし・・・もし、花魁なら、言いますよ・・・『xxxは、嫌でありんす』」で、会場の反応に、殿下にが笑い。「xxx」に入る単語は・・・ご想像の通りです。
本編はやや短縮版で、源兵衛と太助が時次郎を待つ場面から。場面変わって日向屋。床屋に行ってきた時次郎が戻ったところで、父半兵衛が「浅草の観音様にお籠り」に行く倅にそれ相応に身なりをさせようとする。金を持たせ、吉原の(遊びの)しきたりと注意を言って聞かせ、時次郎は源兵衛と太助と一緒に、いざ「お籠り」へ出発。
喜多八の高座は、油断できない。今回もいくつか「おっ!」と思わせる部分があった。見返り柳を「ご神木」と聞いた時次郎が柳に手を合わせて拝む、などのクスグリもあったが、何と言っても、以前に増して、時次郎、源兵衛、太助のキャラクターをしっかり際立たせようとする演出があった。そして、それが見事だった。サゲ直前に、時次郎が花魁といちゃついている様子をみた太助が“切れる”など、太助を「起こると怖い」男に仕立てて、源兵衛との違いを明確にしていた。その結果、この噺を聴く時に感じる、「えっ、どっちが源兵衛で、どっちが太助?」という不安は一切なかった。そして、時次郎のひ弱さの表現も際立っており、三人の吉原におけるからみに今までにも増して奥行きが出来てきたように思う。ややショートバージョンとは言え、これは今年のマイベスト十席候補にしないわけにはいかない。
さて終演後は、今月二度目の「居残り会」。飛び込みで本多通りにある店へ。リーダーSさんの最近の“ぶらり旅”でのこと、相変わらず出張の多いYさんの出張先での話、そして落語のことなどを肴に話は弾み、帰宅は予定通り(?)日付変更線を越えていた。
少し体調を崩していたもので、コメントを書く気力がありませんでした(^^)
中々楽しそうな会でしたね。顔ぶれも良いですね。
喜多八師の「明烏」は私寄席で何回か聴いていますが、いつもこのシーンからですね。
立川流の噺家さんは結構このシーンから始められますね。
時間の都合上、良いのかも知れませんね。(^^)
お体の具合は良くなられたのですよね。
暑かったり、急に気温が下がったり、ムシムシしたりで体調も悪くなる天候ですよね。
喜多八のこのネタの出だし、いつもこうでしたっけ?
ブログを書く前に聞いたように思いますので、記憶が少し曖昧かもしれません。
いずれにしても、なかなか結構な高座でした。
顔ぶれも良く、どうして客の入りが少なかったのかが不思議でしたが、客としては、ゆったり聴くことができました。
お体、ご自愛ください。
喜多八さんも言ってましたが、池袋の良いときみたいなこういう雰囲気はたまりませんね。たまさんも含めて、文楽ネタという縛りでもあったんでしょうかね?とても満足出来た晩でした。
“殿下”は、ここ最近ノッテますね。
あの店、味は結構でしたが、会話の素っ気なさがね・・・・・・。
有名なら、なおさら「鼻高々」になっているということでしょう。
常連も、最初は初なのですから。
店の人との楽しい会話も酒の肴の一つです。
裏を返すと変わるのかなぁ。
まぁ、いずれにしても「居残り会」は楽しい!
初めまして。
いつもブログを楽しく拝見しています。道楽亭出張寄席、私も拝見しました。
すごく良い顔ぶれなのに、行ってみたら入り具合があの感じで驚きました。
ですけど本当に良い雰囲気で楽しかったですね。
皆さんが気持ちよさそうにやっているように見えたのも良い心持になりました。
また、この度はコメントを頂戴し御礼申し上げます。
おっしゃる通りです。あの顔ぶれで、あの入りには驚きましたが、最近は落語会も多く、結構同じ日に人気者の会や定席が重なるようです。
しかし、この企画が続くなら、数年後には、「以前はもっとチケットも取りやすかったのに」「昔は半分も埋まらなかったのよ」などと懐かしむような会になるかもしれません。
それはそれで困るんですけどね^^
