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噺の話

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京の噺家 桂米二でございます 深川江戸資料館 5月26日

桂米二の東京の落語会、今回は二人の弟子を引き連れた「一門会」である。場所は初めて行く深川。駅で一つ手前の水天宮前には頻繁に落語会で行くのだが、駅一つ先の清澄白河で下車。少しブラブラして、蕎麦屋でビールと天麩羅で腹ごしらえをしてから会場の深川江戸資料館へ。
 せっかくなので、三百円の木戸銭を払って見学。江戸の長屋の様子を楽しんで見ながら、二階の会場へ。

 入りは八割ほどだろうか。ところどころで関西弁も聞こえ、この会ならではの雰囲気。

構成は次の通りだった。
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(開口一番 桂二葉 『道具屋』)
桂二乗 『茶の湯』
桂米二 『百年目』
(仲入り)
桂米二 『住吉駕籠』
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桂二葉『道具屋』 (14:02-14:22)
 米二の二人目の弟子。ニヨウと読む。女流噺家さんだ。 登場して驚かせるのは、アフロヘアー。上方落語協会のサイトでプロフィールを確認したら、二十代で昨年3月の入門ということに加えこんなことが書いてあった。
  ・趣味/絵をかくこと、飲酒、鴨川遊び
  ・特技/散髪、けん玉
 趣味の散髪→アフロ、ということでもなかろうが、昔の鶴瓶を思い出した。ややたどたどしいマクラで心配させたが、本編はなかなか楽しかった。とぼけた味を残しながら、この先どんな上方の高座と髪型を見せてくれるか楽しみ。

桂二乗『茶の湯』 (14:23-14:53)
 米二の一番弟子。マクラでちょうど十年前の同じ5月26日に、師匠と初めて会って弟子入りをお願いしたとのこと。それから一年後にようやく入門を許されたらしい。
 受付でもらったパンフレットの裏側には、いつものように用語解説などがびっしり書いてあり、その中でこの人のことを「何年やっても間が悪い二乗(声はエエのに)」と記されている通り、声は良い。耳に心地よく、昼のビールのせいもあって途中で少しウトウトしたが、熟睡はしていない^^
 なかなかの高座だったと思う。米二門下として聞いているので不思議はないが、上方の若手としてはおとなしい高座だが、爆笑派の多い中では、かえって存在感を発揮できるのではなかろうか。今後に期待しよう。

桂米二『百年目』 (14:54-15:50)
 マクラは師匠米朝が人間国宝になった際のエピソード。マスコミ報道が解禁になり夕方のニュースで報道された日は、枝雀、南光、そして米二たちと一緒に米朝は島根県松江で一門会の日だったらしい。主催者もお祝いでいつもよりは格の高い料亭でお祝いをしてくれたらしい。その料亭の若女将が・・・これ以上は内緒ということで。
 この噺は、上方の方が楽しい。花見の場面の音曲ももちろんだが、大店の番頭や手代、丁稚とのやりとりも、上方のほうが、しっくりくる。ほぼ師匠と同じ型。それは決して悪いことではない。このネタそのものをこなすこと自体が並の噺家では出来ない内容なのだ。
 上方落語の舞台を解説しながら噺そのものを分かりやすく説明してくれる師匠の本『米朝ばなし』の「桜宮」の章で『百年目』について師匠はこう書いている。『米朝ばなし-上方落語地図』(講談社文庫)

 前半、たいこもちが番頭を呼び出しに来るところ、船の中で酔うて陸へ引っぱり上げられるくだり、それから一晩中「クビになるんやろか、怒られるだけですむやろか、どない言われるやろ」と、もんもんとして眠れない心理描写、旦那の番頭に対する意見、どれも大変難しい話で、四十五分ほどかかります。
 サゲがちょっと上々とは言えませんが、私は上方落語屈指の大ネタ、大阪落語の名作十題を選ぶとしたら当然入るネタだと思います。


 その大作をしっかり楽しませてもらった。語り口の柔らかさのおかげで、長講でもこの人の高座は疲れることがない。

桂米二『住吉駕籠』 (16:00-16:37)
 仲入りをはさんで、こちらも上方の代表的なネタ。東京では『蜘蛛駕籠』となっているが、上方からは三代目小さんが移したと言われている。この名人がいなければ、東京の落語ネタがどれほど淋しいものになっていただろうかと思う。上方落語の東京移出に関して 三代目小さん、そして三代目三遊亭円馬の功績は大きい。
 マクラは熱演と汗との関係で短めに。本編、これまた師匠の型をしっかり踏まえているが、少しだけ変わった部分もあった。酔っ払いが空けた銚子の数が師匠は17本、米二が18本など細かい点もあるが、酔っ払いが住吉で偶然出会った女性おそでさんの顔に「うすびっちゃ」がある、という部分を「そばかす」に替えていた。たしかに関西でさえ分からない表現になってきたのだろうが、せっかくパンフレットに用語解説を書かれているのだから、私は「うすびっちゃ」のままであって欲しい。
 最後に二人で駕籠に乗り込む堂島の米相場師の呼称「ジキ」については用語解説で書かれているが、『米朝ばなし』「堂島」の章には次のように書かれている。

 堂島の相場師のことを、通称“ジキ”と言う。前田勇さんの大阪方言辞典では「親父貴」すなわち兄貴、姉貴に対する、親父に“貴”をつけたもの、と例をあげて説明してある。私は、親父よりも“ジジイ”に貴をつけたもの“ジジキ”やなかったかと思う。他の説では、ジカ取引が出来るという意味だともいい、どれが決定的だとは私も言えませんが。
 そのジキが『住吉駕籠』という落語にも登場する。さんざんな目にあって、あぶれ続けている駕籠屋が、住吉街道で「堂島へやってくれ」という二人連れの客を乗せる。着ているものや相手の様子から堂島のだんなさんやなと思い、「あ、ジキでやすな」と喜ぶところがあります。


 このジキの二人が悪ふざけで駕籠の中で相撲をとって底が抜けるわけだが、駕籠かきが二人に降りるように言っても、この相場師二人は降りようとしない。この点についての『米朝ばなし』の説明。ちなみに、パンフレットには「強気、弱気」の解説がなかった。まぁ、感覚で分かることではある。

 駕籠屋が「降りてくれ」と言うと「わしらは強気の代表者や。いったん乗った相場を途中で降りたことがないのがわしらの誇りや。このまま行け」-------。
(中略)
 米相場には強気、弱気とがあって、強気は上がると言うことを喜び、弱気は下がると言うことを喜ぶ。わりに単純なところがあるんですな。


 こういう筋書きを含めて、この噺も上方のオリジナルのほうが優れていると思う。夫婦で駕籠かきを“なぶる”(おちょくる、からかう、とパンフレットの解説にあります!) 場面なども上方オリジナルのみの筋書きで楽しい。


 仲入りをはさんで、たっぷりと上方落語の上質な笑いを楽しむことができた。弟子のお二人も、今後が楽しみである。この一門会、東京でも定期的に開催をお願いしたいものだ。
 さて、終演後、当初の予定では「居残り会月例会」のはずだったのだが、米二の会を教えてくれたレギュラーメンバーのYさんが、急な仕事で来れなくなったため、リーダーSさんと二人で分科会。Sさんお奨めの深川森下にある、知る人ぞ知る居酒屋で、落語の話や本のこと、そして日本の将来(?)などについて話が弾んだ。煮込み、刺身、地酒、濃厚な樽生ビール、すべて結構。土曜日なのに、席が空くのを待っている人が相当いた。空席のあるうちに入店できたのは僥倖。
 酔った勢いで駕籠かきをなぶりに行こうと思ったが、どこにも駕籠屋がなかったのが残念。
Commented by ほめ・く at 2012-05-27 11:33 x
やっぱり来ておられたんですね。
私は米二と二乗のネタで、言い間違いが気になって集中力を削がれました。
「百年目」は良かったんですが、画竜点睛を欠くようで残念でした。

Commented by 小言幸兵衛 at 2012-05-27 15:26 x
いらっしゃったんですね!
森下の居酒屋をご一緒したかった^^
二乗の「五軒長屋」(本当は三軒)、米二の『百年目』で、丁稚が「番頭はん」とすべきとことでの「旦那はん」は、私も気づきましたが、昼のビールのせい(おかげ?)か、それほど拘らずに聞き進むことができました。
私は、米二が、上方の今松のようなイメージで、どこか心地よく感じます。
もちろん、好みの問題ですが。

Commented by 佐平次 at 2012-05-27 16:18 x
うつらうつらしていたようで、耳には入っていたんだと思い出しました。

Commented by 小言幸兵衛 at 2012-05-27 20:23 x
二乗も米二も、語り口が尖っていないので、眠くなるのかもしれません。
夢の中でも楽しめる落語会^^
あの煮込みは、ぜひまた味わいたいものです。絶品でしたね。

Commented by 創塁パパ at 2012-05-28 21:11 x
残念でした(泣)住吉駕籠は聴いたことありません(涙)

Commented by 小言幸兵衛 at 2012-05-28 22:46 x
仕事が忙しいのは、何よりです!
一門会、これからも開催を期待しています。
上方落語は、やっぱりいいですね^^

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by kogotokoubei | 2012-05-26 21:07 | 寄席・落語会 | Comments(6)

落語のことを中心に、ときたま小言や独り言。


by 小言幸兵衛