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第26回 白酒ひとり 国立演芸場 3月21日

 昨年12月の第24回では、『景清』に驚かされた。
2011年12月12日のブログ
 安定的な人気が出てきており、300席の会場での独演会は、なかなかチケットが取れないが、今回は幸運にも後ろの方とはいえ入手できた。ちなみに次回(5月)は18日の日曜日の発売だったが、午前中恒例のテニスとその後の飲み会の後の帰宅後にパソコンを見ていたのでは、“ぴあ”で「予定枚数終了」になるのも、やむなしか。

今回も写真のように、「満員御礼」の看板が出ていた。
第26回 白酒ひとり 国立演芸場 3月21日_e0337777_11082780.jpg


 左側に少し見えているのは、一之輔の真打昇進披露興行のポスター。今夜の鈴本から五十日間の興行が始まる。

 会場に入ると、ボリュームを小さくして、あるジャズの名曲がBGMで流れていた。あえて、曲名と演者は伏せよう。白酒が以前に、「ブログでBGMのことが書かれていたのを見て、JASRACから問い合わせがあった」と言っていたからなぁ。(こんなボケた内容でも追及されるとは思わないが、何かあったら、ゴメン)

 開演後にところどころ空席があったのは、一部は一之輔の鈴本に流れた、のかどうかは分からない。

次のような構成だった。
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(開口一番 柳家さん坊 『子ほめ』)
桃月庵白酒 『平林』
桃月庵白酒 アンケートへの回答&『禁酒番屋』
(仲入り)
桃月庵白酒 『明烏』
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柳家さん坊『子ほめ』 (18:50-19:00)
 初めてかと思う。2010年9月にさん喬に入門して昨年から前座らしいから、一門でもっとも新しい弟子かと察する。見た目の雰囲気はあるが、もう少し聞いてみないと評価は難しい。また聞く機会はあるだろう。成長度合を確認したい。

桃月庵白酒『平林』 (19:01-19:29)
 やはり、一之輔が披露興行の初日であることにふれ、「会場にも、このチケットさえ買っていなければ、と思っている方が多いでしょう」と、つかみの一発。昨日は風邪で38度の熱があり、休日診療の町医者に行ったらしい。その病院の高齢の医者とのやりとりで笑いをとる。何とか熱は治まったらしいが、完調とは言えないようで、聞く側にはそれほど気にならなかったが、咽喉の調子が悪いとのこと。
 素人芸能人に落語を教える企画があり、真野恵里菜という女性アイドルに教えていて、4月に口演があるらしい。
*ご興味のある方は、このニュースをご覧のほどを。スポニチの該当記事
 いろいろマクラが膨らみ20分を超えた。さて、本編はさぞ短いネタかと思っていたが、先日平治で聞いたばかりの、この噺。正味8分だったが、平治のムリのあるクスグリなどに比べると、ずっと良かった。交番のおまわりさんに対して「国家権力の犬」と定吉に言わせるのが、この人ならでは。咽喉の具合も、本人が言うほど悪くは感じない。軽い“アイドリング”の一席目、という印象。

桃月庵白酒 アンケートへの回答&『禁酒番屋』 (19:30-20:09)
 恒例の前回のアンケートへの回答が16分。傍らにある湯呑から、時折お茶(?)を飲みながら、10件ほどの質問に答えていた。このアンケートコーナー、私はあまり感心しない。取り上げる質問のセンスの問題もあるが、私はネタに時間を回して欲しい。しかし、病み上がりの今回は、白酒にとっては、うれしい救いの時間だったかもしれない。その後、先日帝国ホテルで行われた一之輔の真打昇進披露パーティーにおいて、芸術協会の副会長小遊三の祝辞の内容、というネタ。これは、先週の新宿亭砥寄席でも話題になっていたが、「人気者の一之輔さんに、無償で芸術協会主催の寄席に出演して欲しい」と小遊三は言ったらしい。もちろん、芸人のスピーチなので“洒落”なのだろうが、末広亭席亭なども臨席する中、会場は“洒落”とは思ってくれなかったようだ。会場には、「余計なことを言って・・・・・・」という気まずい雰囲気に包まれたらしい。しかし、意外に小遊三も本気だったりして^^
 正味17分の本編は、菓子屋に紛した酒屋の手代が番屋で「水カステラ」を持ち上げる時に思わず発した言葉「ドッコイショ」を、「ドイツの将校」とごまかそうとする、などこの人らしいユニークなクスグリもあり、悪くはなかったし、会場も結構沸いていた。しかし、体調が十分でないせいか、私には、彼が本来持っているパワーの七分程度の迫力、そんな印象。やはり、無理はできないのだろうが、湯呑は似合わないわなぁ。

桃月庵白酒『明烏』 (20:25-21:09)
 ガーコンの川柳とは結構仲がいいらしく、「円生のような口調なら、高座で湯呑に口をつけやすいけどねぇ」という話題になったことがあるらしい。少しだけ円生を真似したが、今一つだったかなぁ。
 次に、先日日本橋劇場で開催された雲助一門四人による『双蝶々』のことに話が及ぶ。「師匠は、とにかく『権九郎殺し』をやりたくてしょうがない。花道に上がって颯爽と下がっていきたい」ということで、弟子三人が、前段と締めを分担することになったようだ。白酒いわく、「馬石や龍玉は、芝居噺などの雲助が好きで入門してきたが、私は寄席の雲助が好きで入門したので、どうも合わせるのが難しかった」とのこと。「『雪の子別れ』なんて、ただの病気の老人の噺でつまんねぇ」と師匠と白酒が合意していた(?)締めのネタを馬石が受け持ち、「定吉、しっかり殺します!」と訳の分からないノリで張り切っていた龍玉が『定吉殺し』。白酒は『長屋』を受け持つことになったが、発端なのでそれなりに大事だし、その後のネタとトーンを合わせなければならないので、少し苦労はあったようだ。概ね上手くいったようだが、「二つだけしくじりがあった」というその一つは、「肝腎の師匠の花道シーン。場内は真っ暗で花道にピンスポットも当たっていないので、いくら師匠が演技していても、お客さんはよく分からなかった」とのこと。この会は、私がよくお邪魔する先輩落語愛好家の複数の方のブログで高い評価をされていたが、都合が悪く行けずに若干悔しい思いをしていた。しかし、その背景や後日談を聞くことができたので、よしとしよう。
 14分のマクラの後で本編は30分。2009年に浜松町かもめ亭での喜多八との二人会以来のネタ。
2009年2月18日のブログ
 内容は、時次郎が子供達と太鼓を打っていたら蝶々が飛んできて追いかけているうちに迷子になる、という独自のクスグリや、太助には文楽に臆せず甘納豆を食べさせているのも、ほぼ同じ。この場面、たい平なら、「名人文楽で有名な甘納豆」とか何とか、照れ隠しで余計な入れごとをしてしまうが、この人はそんなことは言わない。なかなか結構ではあったが、最初に聞いたかもめ亭の印象が強く、やはり病み上がりでのパワー不足を感じつた。
 途中でたびたび湯呑を口にしていたので、咽喉の調子をだましながらの熱演には拍手したいのだが、やはりリズムが崩れる。この人の持ち味は、本寸法な古典を土台にしながらもセンス良くオリジナル化する構成力と、高座全体のスピード感、そしてリズムの良さ、そして何より声が良いこと。体調万全の白酒落語は、こんなものでないのだ。


 本人が言うほど、咽喉の影響は聞いていては感じなかったのだが、やはり高座全体のパワーやスピードには影響があったように思った。風邪で病み上がりという高座には、以前に三三の独演会でも遭遇しているが、やはり出来栄えへの影響は隠しようがない。もちろん、その体調でも会場を沸かせる技量は、白酒も三三も持っている。
 野球で言えば、調子が万全ではなくても、5回まで3失点までには抑えた、そんな感じだろうか。『平林』にしろ『禁酒番屋』にしろ、寄席で鍛えられた高座と言ってよいのだろう、しっかりツボは押さえているし、『明烏』にしても、初めて聞く人なら文句なく楽しめただろうと思う。しかし、それ以上の白酒の高座を経験していると、贅沢かもしれないが、やはり物足らないのだ。

 誰でもそうだが、特に芸人は体が資本、なかでも咽喉は重要だ。古今亭志ん輔の日記風ブログ「日々是凡日」を読むと、私も含む同年代の一般市民に比べて、彼の健康維持・管理への意識は相当なものだ。日常の結構大きい部分を、耳鼻咽喉科などの医者や漢方の薬局通いが占めている。毎日の朝の体操も然り。私自身は、深酒のネタを読むほうが、もちろん安心するけどね。

 白酒は、まだ四十路。「俺は大丈夫!」的な感覚が強いだろうが、人気があって高座数も多いということは、それだけ白酒落語を心待ちにしているお客さんが多い、ということだ。たまたま今回は、中止や延期、あるいは代演という事態には至らなかったが、ぜひ文楽が吉井勇から贈られた言葉、「長生きも芸のうち」という言葉を思い出し、体調管理につとめて欲しい。

 数年前に比べてずいぶん体が締まってきたのは、どこにでも自転車で出かけているのが、よい運動になっているのかもしれない。ぜひ、今一つ体調管理に気配りをして欲しいと思う。個人的には、本人はそんな気はさらさらないだろうが、近い将来に六代目志ん生の名前を継いで欲しい候補の一人である。ぜひ、長生きして落語界の中核となって欲しいからこその小言と期待なのだ。
 4月上席夜の部は、本人も言っていたが、末広亭が一之輔の披露興行、池袋の主任は花緑、そして鈴本は白酒の主任興行。受付では、鈴本「スタンプラリー」用の値引きチラシをが配布された。2,200円になるのか・・・・・。しかし、期の初め、一之輔の末広亭でさえ行けるかどうか、なのだが、鈴本も気になるなぁ。とにかく、体調万全で、「さすが、白酒!」という高座を次回は期待したい。

P.S.
 しかし、過去の自分のブログをたどると、よくもその日のうちに書いていたことが多いことよ。もう最近では「居残り会」の有無に関係なく、ほぼ日付変更線を超えてしまう。まぁ、そろそろ無理ができなくなってきたなぁ、と思いながらも、酒を飲みつつ深夜までブログを書いている五十路も半ば過ぎのオヤジが、白酒の体調管理のことなど小言を言えた立場か、と思わないでもない。(酔って書いているから、誤字脱字の固まりのため、翌早朝や昼休みに校正しないと、とても公開できないありさまなのだ)
 しかし、小言を書くには、たまには自分のことを“棚に上げる”必要もある、ということでご容赦のほどを。最近はその棚も相当重くなってきたようだ^^
Commented by 佐平次 at 2012-03-23 09:55
在庫が増えてきました。新宿文化センターもまだなのに今日はまた上野桃太郎です。
白酒の「明烏」、ほめくさんもコンビの演じ分けがいまいちと書いておられます。私の聴いたときはそうも思えなかったのはやはり体調が悪く、間がうまくとれなかったのかもしれないですね。

Commented by 小言幸兵衛 at 2012-03-23 11:03
白酒、体調今いち毒気も今一つでした^^
“生もの”ですから、仕方がないですね。
あら、桃ちゃんですか。また、芸協の自虐ネタが出そうですね。
気長にブログへの掲載をお待ちします。

Commented by 創塁パパ at 2012-03-24 12:39
おつかれさまです。私も桃さんでした。白酒の「明烏」は先日の日本橋はよかったからなあ。やはり体調管理。
「無事これ名馬」ですからね(笑)

Commented by 小言幸兵衛 at 2012-03-24 15:52
佐平次さんのブログ拝見しました。
桃太郎・寿輔の二人会、何ともマニアック^^
白酒は、そのうち仕切り直しの高座に出会えるでしょう。

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by kogotokoubei | 2012-03-22 08:29 | 寄席・落語会 | Trackback | Comments(4)

あっちに行ったりこっちに来たり、いろんなことを書きなぐっております。


by 小言幸兵衛
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