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三代目春風亭柳好-謳いあげる噺家

3月14日はホワイトデー、のことではなく、三代目春風亭柳好の命日である。亭号違いを含めると五代目になるようだが、本人も“三代目”と言っていたようだし、現在では三代目で通っている。

 以前に、柳好の初出し音源の大量発売を喜んでブログを書いた。
2009年2月11日のブログ
 その時と同じ内容になるが、亡くなった日のことをご紹介。

 昭和31(1956)年3月14日に、専属だったラジオ東京(現在のTBS)のスタジオで『穴泥』を収録し、その後に向かった鈴本で脳溢血で倒れ、その夜に亡くなっている。翌日の追悼番組の中で放送されたが、このCDにはその際の正岡容のメッセージも併せて収録されており貴重な音源といえるだろう。明治20(1887)年生まれ、享年70歳。落語芸術協会の所属だった。

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日本伝統文化振興財団サイトの該当CD紹介ページ

 遺作となった『穴泥』を収録したこのCDは発売後すぐに購入して聞いた。『青菜』『居残り佐平次』と併せた三席とも非常に結構で、特に『穴泥』は、この後に倒れたということが信じられない内容。

 柳好の全盛期、当時の落語協会の中心人物であった桂文楽は、柳好のはなやかさや人気の高さから、「序列は上でも構わないから落語協会の方に来て欲しい」と真顔で語っていたらしい。当時は、芸術協会の寄席の方が落語協会よりも人気があったようだが、たぶんに柳好の貢献があったのだろう。

 立川談志は、柳好について、あの『現代落語論』で次のように書いている。

謳いあげる春風亭柳好
 『ガマの油』で人気のあった春風亭柳好が、「梅は咲いたか」、の出ばやしで、高座へ上がると、パッと高座に花が咲いたように明るくなったもので、専売特許といってよい『野ざらし』、そして『棒だら』、ああいった噺はもう聞けないと思うし、聞いた者だけが自慢できる楽しみがあった。
 柳好の芸の特徴は、噺の全篇を謳いあげるような雰囲気になり、先代の鶴本の志ん生もそうだったというが、噺全体がトーンのよく効いた音楽のような感じで、抑揚のよさ、緩急自在な呼吸、いうならばおとなの楽しむ一級の娯楽品、映画でいうと、さしずめ007といったところかもしれない。


 “謳いあげる”という表現は、まったく言いえて妙で、どの噺も、そのリズムの良さで、聞いていてうきうきしてくる。志ん朝も、“謳う”イメージがあるが、少し違う。

 こういう実力と人気の両方を兼ね備えていた噺家が、その昔の落語芸術協会にはいたのだ。

 ご興味のある方は、『ガマの油』をお聞きください。いいんだよね、これが!

Commented by hajime at 2012-03-15 12:00
亡くなった私の父は大変な演芸好きでしたが、一番のお気に入りは柳好師匠でした。
若い頃は看板に名前が書いてあると、用事の途中でも中に入って聴いたそうです。
私が柳好師を部屋で聴いていると、入って来て一緒に聴いて、色々な事を話してくれました。
高座に出て来ると、「がま!」「野ざらし!」「たちきり!」とか声の掛かり具合が半端なかったそうです。
結局違う演目をやることもあったそうです。
この音源はSP版ですね。調子良い頃ですね(^^)
亡くなるひと月前の「野ざらし」の録音が残っていますが、あまり調子が良くないので、この頃から異変があったのかと思っていました。
もう少し長生きして欲しかったですね。(^^)

Commented by 小言幸兵衛 at 2012-03-15 12:42
hajimeさんの落語好きは、お父さん譲りなんですね。
柳好は、寄席の客席から「がま!」「野ざらし!」の両方の声がかかると、どちらをかけても片方を望むお客さんに申し訳ないので、他のネタを選んだことが多いようです。
正岡容さんんが、遺作の『穴泥』の放送前に語っている通り、酔っ払いや幇間ネタも抜群ですね!
吉井勇が『幇間腹』を褒めていたことを正岡さんが本人に告げると、非常に喜んだらしいです。
柳枝(八代目)のような噺家さんも現在はいないですが、柳好のようなリズムを持った“謳う”落語家も見当たらない。どうしても、古い音源を聞いてしまいます。
志ん朝、馬生、柳枝もそうですが、早世が惜しまれます。

Commented by ほめ・く at 2012-03-16 09:47
乏しい記憶ですが、向島の柳好が高座に上がってくると寄席全体がパッと明るく感じました。「ガマ」「野晒し」「ガマ」「野晒し」という掛け声が一斉にかかるというのも、後にも先にもこの人だけでしょう。
恰幅が良い色男で、とにかく芸人として魅力がありました。
金馬と共に戦後の落語ブームの立役者でした。

Commented by 小言幸兵衛 at 2012-03-16 12:00
やはり“生”でお聞きでしたね^^
一時、幇間をやっていたそうですから、幇間噺も酔っ払いのネタも上手いはず。
声に色気もあるし、なかなか現役で似た人を探すのは難しいです。

Commented by 創塁パパ at 2012-03-19 12:34
この人の声は、本当にいい。
談志もほめていました。
菊之丞のまねも結構似ています(笑)

Commented by 小言幸兵衛 at 2012-03-19 12:58
ほう、菊之丞が真似ますか。
確かに、声とリズムがいいですよね。
『野ざらし』は、この人と柳枝がツートップだと思います。
『蝦蟇の油』は、この人と円生が双璧ではないかと思っています。

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by kogotokoubei | 2012-03-14 16:44 | 今日は何の日 | Trackback | Comments(6)

あっちに行ったりこっちに来たり、いろんなことを書きなぐっております。


by 小言幸兵衛
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