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噺の話

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ざま昼席落語会 むかし家今松・柳亭燕路 ハーモニーホール座間 2月11日

当初、この日は都合が合わずに来れないかと思っていたが、なんとか来ることができた。それも、昨年末に今松の末広亭での会でお誘いいただいた落語ブログ仲間のYさんも遠くから遠征しての参戦。
 そのYさんの思いが伝わるような、滅多に出会えない高座に巡り会うことができた。

 九割ほどの中々の入りだった通算157回目の会は、次のような構成だった。
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(開口一番 古今亭きょう介 『たらちね』)
むかし家今松 『後生鰻』
柳亭燕路   『猿後家』
(仲入り)
柳亭燕路   『やかんなめ』
むかし家今松 『子別れ-通し-』
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古今亭きょう介『たらちね』 (14:00-14:11)
 去年8月の横浜にぎわい座での白酒の会以来。同じネタだっただが、今回の方が短縮版。「今朝は怒風激しうして小砂眼入す」もカット。しかし、内容は前回よりずっと良かったように思う。もちろん、細かい部分はいろいろ注文があるが、なかなか落語家らしくなってきた、そんな印象。

むかし家今松『後生鰻』 (14:12-14:28)
 昨年の転変地変のことから日本人の神頼みのこと、といったマクラから、「えっ、もしかして昨年末末広亭と同じ『風の神送り』か!と思ったが、なんとこのネタ。
今では寄席でもなかなか聞けないネタではなかろうか。志ん生の音源では聞いているが、生の高座では珍しい。
 殺生の大嫌いな隠居が、鰻屋のネタを買い上げて川に逃してやるくだり、「うなぎ」の後に「どじょう」と続くき、さりげなく「今どき、どじょうは評判悪いからね」と言うクスグリに、私は“クスッ”とした。
 古今亭一門の噺家さんに寄席でもっとかけて欲しい志ん生ゆかりのネタ、なかなか結構でした。二席目が何か、非常に楽しみになった。(しかし、まさかあのネタとは・・・・・・。)

柳亭燕路『猿後家』 (14:29-14:52)
 この噺は、正直なとことろ、あまり好きではない。それは、“後家”さんの描き方にもよるが、ネタそのものが、ある意味で“イジメ”の内容で、あまり明るくない。
 しかし、燕路の女将さんの描き方は、なかなか良かった。以前に志の輔で聞いたこともあるが、やはり噺が暗くなってしまって感心しなかった。しかし、燕路は女将さんの描き方が適度に愛想があり、全体として印象が明るい。貸本屋の善公や番頭もしっかり生きていて、燕路の飄々とした高座はこのネタの可笑しさを見直させてくれたような気がする。

柳亭燕路『やかんなめ』 (15:04-15:24)
 別名『癪の合い薬』。上方では『茶瓶ねずり』とも言うらしい。東京では、今や“小三治一門”のネタと言っていいかもしれない。喜多八もよくかける。二代目小文治も得意にしていたようだが、音源は残っていないように思う。とにかく、落語らしい、馬鹿馬鹿しさで笑えるネタ。燕路の高座に会場はしっかり暖まった。さぁ、燕路が短い噺で切り上げた後、今松のトリのネタは何か、と期待が膨らんだ。

むかし家今松『子別れ~通し~』 (15:25-16:25)
 とにかく驚き、感心し、感動もした高座だった。落語と川柳がともに世の中を斜に構えている点で共通している、と話題をふって、吉原の話に入り、「弔いが 山谷と聞いて 親爺行き」や「弔いが 麻布と聞いて 人頼み」などの川柳から本編へ。
 昨年末の末広亭で『風の神送り』を聞いた時は、他の人がやらないような珍しいネタを、何とも淡々と聞かせる不思議な噺家さん、という印象だったが、今回は“うれしい誤算”というか、この人の奥深さのようなものを、まざまざまと見せつけられた圧巻の高座。
 今回は色物が入らなく3時半前に高座に上がったので、おそらく長講だろうとは思ったが、まさか“通し”とは。熊が弔いで酔っ払って紙屑屋の長さんと吉原に乗り込むまでの(上)を聞きながら4時に近づき、「せいぜい上のみ、もしかすると中でサゲるだろう・・・・・・」と思っていたが、淡々とはしながらも、その熱演は終わることがない。
 前の方のパイプ椅子に座ったので、表情も動作もしっかり確認できたが、無駄はないが、しっかりとした効果的な演出が光った。“中”の「浮名のお勝」の部分はあっさりとしてはいたが、あの場面はあまり盛り上がらないので、あれで結構。締めの『子は鎹』の亀吉の可愛さも程良く、無理に泣かせようとしない演出で夫婦はヨリを戻し、めだたしめでたし。
 きっかり1時間の高座に堪能した。もちろん、年間マイベスト十席の候補である。


 これだから、地域の落語会は、あなどれないのだ^^

 『子別れ』はご存知のように、本来は長い噺。(上)(中)(下)にはそれぞれ『強飯の女郎買い』『浮名のお勝』『子は鎹』の名がついている。通し口演は、有名なところでは下北沢本多劇場での小三治の高座のCDが発売されている。当時ソニーの京須氏に説得された小三治が、口演ぎりぎりまで山篭りをしたという逸話があるが、ご興味のある方は、以前のブログをご参照のほどを。2009年4月21日のブログ
 また、権太楼・さん喬の鈴本でのリレー落語もCD化されており、なかなか楽しい。志ん生の音源もあるようだが、私は聞いたことがない。珍しいところでは、権太楼の『浮名のお勝』を、NHK「日本の話芸」で観たことがある。そういえば、小三治のことを書く直前、権太楼のこのネタのことや、『子別れ』の作者などについても書いた。2009年4月18日のブログ
 いずれにしても、“通し”は滅多に聴けない大作。まさか、座間で(こう言うと大変失礼ですが)、今松の出色の『子別れ~通し~』に出会えるとは思わなかった。

 終演後は、前日から「座間で何かが起こる」と予感して長躯遠征してきたYさんと、もちろん“居残り会”。せっかくなので座間市に感謝の気持ちで相武台駅近くの居酒屋さんに飛び込んだところ、そのお店のご主人が大の落語好き。美味しい酒肴と落語談義で会話は大いに盛り上がったのは言うまでもない。あぁ~、何ともありがたい一期一会であった。
Commented by 創塁パパ at 2012-02-13 07:53 x
いやあ、誘って頂き大感謝です。
ここ何年かで一番の感動です!!

Commented by 小言幸兵衛 at 2012-02-13 08:46 x
こちらこそ、年末の末広亭を誘っていただいてなければ、座間には行っていないと思います。
会場のお客さんのマナーも雰囲気も良く、高座と一体化した滅多にない一期一会でしたね。

Commented by 佐平次 at 2012-02-13 11:05 x
ざまをみろ、なんちゃって。
今松、是非今度は!

Commented by 小言幸兵衛 at 2012-02-13 18:11 x
「座間」を見ろ、ですね^^
今松、4月4日に国立演芸場で独演会があります。
私は行けそうにないのですが、Yさんは行かれるようですよ!

Commented by mama at 2012-02-13 23:06 x
「子別れ」は、生では上・下しか聴いたことがなく、権太楼さんも「浮名のお勝」をほのめかす程度でした。この中段があると、「子は鎹」の子どもの描き方があざとくなくなるように思うんです。そしてその方が好きだな。
最近、今松さんの名前が聞かれるようになり、興味があります。しばらく出掛けられないけれど、気長に機会を待ちましょう。

Commented by 小言幸兵衛 at 2012-02-14 08:50 x
「通し」と書きましたが、今松の高座で「中」の「浮名のお勝」の部分は、ほとんど“地”で、お勝が来て出て行った経緯をあっさり語った程度なので、正確には『子別れ~上・下~』と言うべきなのかもしれません。
しかし、筋としては、まったく違和感ないですし、あえて「通し」と言いたいのです。
今松、なかなかの人です。あの三三による通し口演で反響をよんだ『嶋衛沖津白浪』は、もっと以前に今松が手がけたと聞いているので、ぜひ出会いたいと思っています。
私も、気長に僥倖に期待します。ホール落語などで気負って臨むと、結構ガッカリしますし、気軽に地域の落語会に行くと、「えっ!」という凄い高座に出会える。そんなものなのだと思います。
「たかが落語、されど落語」ですね。

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by kogotokoubei | 2012-02-12 17:18 | 寄席・落語会 | Comments(6)

落語のことを中心に、ときたま小言や独り言。


by 小言幸兵衛