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噺の話

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IMAホール落語会 市馬・白酒二人会 12月3日

神奈川の住人にとって決して近いとは言えないのだが、落語仲間のYさんの地元での落語会、長く続いている地域落語会には出来るだけ行ってみたいし、この顔ぶれなので、思い切って参上。もちろん「居残り会」も楽しみであった。都営大江戸線の光が丘駅の駅ビルの4階にあるホールは、五百席近い施設。当日券もあったが、ほぼ八割程度の入り。しかし、前の方から販売してようで、空いている席は後方に集中していた。落語会の中には、後の席は埋まっているのに、前のほうにまとまった空き席が目立つ場合もあるが、この日の場内の見栄えは悪くない。

こんな構成だった。
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(開口一番 柳亭市助 『道灌』)
桃月庵白酒  『替り目』
柳亭市馬   『富久』
(仲入り)
柳亭市馬   『粗忽の釘』
桃月庵白酒  『幾夜餅』
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柳亭市助『道灌』 (14:00-14:14)
初めてである。市也の弟弟子ということになるのだろう。声はまずまずよい。素直な高座で、好感が持てた。頑張っていただきましょう。

桃月庵白酒『替り目』 (14:15-14:40)
 談志のことが公になった23日、喬太郎と二人で大阪の落語会だったらいい。夜の大阪で、喬太郎とテレビを見ていたら、某局で、「談志の死を悲しむ大物落語家」と紹介されて登場したのが・・・・・・というマクラから、この人らしい程よい毒の加減もあり結構な高座。
 本編は、うどんやにサゲまで言わせるノーカット版で、会場を大爆笑させた。この人なりのクスグリも適度にちばめられている。また、市馬が控えているにも関わらず、酔っ払いが「ラバウル小唄」を歌ったが、なかなかいいのだ。その酔っ払いの旦那が帰ってからも飲むと言い張るのに対し、「もうお寝なさい」と言う女房に向かって、「お前、北風と太陽の話知ってる?」が、秀逸。また、うどんやに燗だけさせて怒らせた後に新内流し(実態は“義太夫”流し)が登場する演出も好きだ。テレビ朝日の「落語者」第一シリーズで、この人がこのネタをかけた歳、酔っ払いがほとんど目とつむっている仕草に小言を言ったことがあるが、その時よりも不自然さは消えていたと思う。確実に十八番の一つになったと思う。

柳亭市馬『富久』 (14:41-15:22)
 プログラムの二人の順番を見て、やはりこの後にイイノホールでの会がある市馬が先に上がる構成だった。権太楼、桂平治などの出演と踊りもある会なので、通常の落語会と違っていろいろ趣向もあるのだろうか、あちらも夜ではなく午後三時開演なので、よくこの二つを掛け持ちするなぁ、と思っていた。一席目に長講と思っていたので、師走になったことから、『掛け取り』かと思っていたが、なんとこのネタ。もちろん旬のネタだ。
 本寸法と言いたいのだが、少しひっかかるのが、師匠小さんの型からのちょっとしたズレ。久蔵の住まいが浅草三間町であることや、富札の番号が「鶴の1888」であるのは小さんの型なのだが、旦那の住まいを日本橋横山町にしていた。これは、文楽版なのだ。小さんや志ん生は芝の久保町のはず。このへんがどうしても気になったなぁ。
 そんなことは別にしても本来はその芸は楽しめるはずなのだが、無難な高座とは言えるが、何か訴えるものがないと言うか、今ひとつ軽い感じなのだ。この人の明るさ、軽妙さは良い面でもあるが、このネタの場合に久蔵の苦悩のようなものは、もっと表現しようがあったように思う。ネタとの相性なのかなぁ。

柳亭市馬『粗忽の釘』 (15:33-15:54)
 仲入りを挟んで続けて聞いて、やはりこういう噺がこの人には合っているのか、という思いを強く感じた。粗忽者の大工の亭主が、結婚前に今の女房に買ってやるのが“都腰巻”というのも可笑しい。噺の流れに無理なく登場した得意の唄「トンコ節」も結構でした。

桃月庵白酒『幾代餅』 (15:55-16:25)
 マクラで、「どうして市馬師匠が、協会の副会長でもある人が、トリをとらないのか。この後の仕事があるとはいえ、『後はよろしく』と帰っていいのか」とやっていたら、まだ着物から着替えていないまま市馬が登場して笑顔で深々とお辞儀。お約束ではない登場かもしれない。市馬が退いてから、「なんだ、ぜんぜん急いでいないじゃない・・・・・・」と一言。地域の落語会ならではの市馬のサービスに会場が沸いた。
 本編は、最初に日本橋で2月に扇辰との二人会で聞いて、ともかく驚いたネタ。2011年2月26日のブログ古今亭の代表的な人情噺を、これほどの爆笑ネタにした力量はたいしたものである。
 今回はやや急ぎ足で、クスグリもいくつかカットとしての構成だったが、搗米屋の夫婦の可笑しさなど、とにかく楽しい高座で結構でした。

 さぁ、終演後は楽しみにしていた地元出身Yさんとの「居残り会」。Yさんお奨めの練馬の居酒屋が五時に開店すると同時に店に入り、上手い焼きトンを食べながらのお酒は、結構でした。
 つい話題が二人の落語ともう一つ共通の趣味であるジャズのことになる。そうなると、どうしてもジャズが聞きたくなる。酒の勢いもあって、結局新宿のYさんなじみのジャズバーへ。バーボンを飲みながら、二人がお店にリクエストしたのが、ディクスター・ゴードン、ソニー・クラーク、レッド・ガーランド、そしてあの「バードランドの夜」。1954年の2月、歴史をつくったバードランドの名演を、しばし聞き入った。昼の落語会の後の居残り会なのに、帰宅したのは、もうじき日付変更線を越えそうな時間だった。しかし、楽しかったなぁ。
Commented by mama at 2011-12-04 20:18 x
昨晩は吉祥寺で、小三治の「粗忽長屋」「粗忽の釘」を聴きました。滑稽を通りこしてシュールな世界に遊べる不思議な感覚がありました。
市馬は何回か聴きに行きましたが、どうも声のせいなのか相性が今ひとつなのか、私の中では上っ滑りに感じられてしまうんです。面白いけど酔えないというか。

Commented by 佐平次 at 2011-12-04 20:46 x
市馬はそういう噺家なのでしょう。
それにしてもそれから新宿ですか、若いなあ。

Commented by 小言幸兵衛 at 2011-12-04 20:58 x
すごい二席ですね^^
「粗忽」と「長屋」のダブルで“ついて”ます!
まぁ、小三治は師走に「青菜」をかける位に、今はこだわりのない自由な心持のようなので、それもありなのでしょう。だから、あの真打改革もできたのかな。
市馬は、私も相性が良いとは言えないかもしれません。

Commented by 小言幸兵衛 at 2011-12-04 21:07 x
ホントに、歳も省みずでしたが、Yさんも私も落語も好きですが、ジャズも負けない位に好きなもので^^
佐平次さんの体調が、次回の「居残り会」までには良くなりますようお祈りいたします。

Commented by ほめ・く at 2011-12-05 01:40 x
私事で恐縮ですが、老妻は毎晩落語のCDを聴いているんですが、最近になってジャズを聴きだし、今は落語とジャズ交互に聴いているようです。
70にしてジャズに目覚めたってぇとこですかね。「クリフォードブラウンはいいわ」なんて言ってますよ。

Commented by 小言幸兵衛 at 2011-12-05 08:51 x
何ともうれしいコメントです。
奥様、なかなか素晴らしいセンスをしていらっしゃる^^
ぜひ、ほめ・くさんもご一緒にジャズに“目覚めて”いただき、落語とジャズを肴にお酒でもご一緒できれば、うれしい限りです。

Commented by 創塁パパ at 2011-12-05 12:56 x
楽しかったですね!!!
すいません、まだブログ書いていません(苦笑)

Commented by 小言幸兵衛 at 2011-12-05 13:07 x
いやぁ、楽しかったですねぇ!
どうもありがとうございました。
お忙しいのは何よりですが、ブログ、年内には書けそうですか^^

Commented by 甘木 at 2011-12-05 23:33 x
トンコ節は色んな替え歌がありますね。
二十数年前に、某総合電気メーカー(のコンピュータ部門のSE)
が宴会の余興で歌っていて、ひっくり返って笑った事がありました。
昔はカラオケもありませんでしたしね。
おかげで、いまだにエレベータに乗る際には
「♪上へ下へと上下する こ~れが○○のエレベータ」
のフレーズが頭によぎります(笑)。

Commented by 小言幸兵衛 at 2011-12-06 09:22 x
お久しぶりです。
ご紹介の替え歌、もちろん知ってますよ!
市馬の高座では時間の関係もあり一節でしたが、あの程度の唄なら噺の演出としても自然ですし、まったく抵抗がない。
トンコ節、オリジナルも覚えようかな^^

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by kogotokoubei | 2011-12-04 15:38 | 寄席・落語会 | Comments(10)

落語のことを中心に、ときたま小言や独り言。


by 小言幸兵衛