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落語協会、来年の真打昇進者発表。一之輔が春に単独昇進!

 落語協会の来年の真打昇進者が、本日発表された。
落語協会HPのお知らせページ

新真打昇進決定
2012年 春に春風亭一之輔(春風亭一朝門下)

2012年 秋に古今亭朝太(古今亭志ん橋門下)、古今亭菊六(古今亭圓菊門下)が真打に昇進することが決定いたしました。


 なんと、春に一之輔の単独、秋に朝太、菊六の二人の昇進である。

 実力主義で選ぶだろうことを伝え聞いてはいたが、これほどの小三治会長の英断に、まずは拍手を送りたい。年功を取り払った昇進者の名前、特に一之輔の昇進に期待していたが、ここまでやっていただくと、若干驚きもなくはない。

 末広亭初席のプログラムに、今年は落語協会、芸術協会ともに真打昇進がないというニュースがあったので、「幻の真打昇進者」という内容のことを書いた。少し引用したい。
2011年1月13日のブログ

 落語協会には61名、芸協には27名の二ツ目がいる。
 ちなみに、落語協会の昨秋の真打昇進者五名は、平成8(1996)年と平成9(1997)年の入門で、二ツ目昇進は全員が平成12(2000)年。
 もし今年、春秋ともに五人ずつ昇進するとしたら該当したであろう、“幻”の真打昇進者を推測してみる。

 入門年次と二ツ目昇進の時期を考えると、春の昇進者として“当確”だったはずの方が、まず四名。
□金原亭小駒:平成9(1997)年入門、平成12(2000)年二ツ目。
□川柳つくし:平成9(1997)年入門、平成12(2000)年二ツ目。
□三遊亭天どん:平成9(1997)年入門、平成13(2001)年二ツ目。
□三遊亭金兵衛:平成10(1998)年入門、平成13(2001)年二ツ目。

 そして、春のもう一人と秋は、平成14(2002)年の二ツ目昇進者も対象となり、次のような名前が並ぶ。
□三遊亭亜郎:平成9(1997)年入門、平成14(2002)年二ツ目。
□柳家喬四郎:平成11(1999)年入門、平成14(2002)年二ツ目。
□柳家小権太:平成11(1999)年入門、平成14(2002)年二ツ目。
□鈴々舎風車:平成11(1999)年入門、平成14(2002)年二ツ目。

 この八名の次に入門が平成10(1998)年で二ツ目昇進が平成15(2003)年のこの二人が続く。
□古今亭朝太:平成10(1998)年入門、平成15(2003)年二ツ目。
□三遊亭司:平成10(1998)年入門、平成15(2003)年二ツ目。

 これでちょうど10人である。私がくどい位に主張してきた春風亭一之輔が昇進するのであれば、この中から一人が脱落する、という次第。

 しかし、一之輔どころか、名前を挙げた十人の二ツ目の誰も、今年は昇進しないらしい・・・・・・。


 来年の昇進において年功がまったく考慮されていないことがお分かりかと思う。朝太だって8人抜きだ。一之輔も菊六も、それ以上の先輩を追い抜いての抜擢昇進である。

 昨年の10月に、直前に迫ったNHK新人演芸大賞や今年(2011年)の真打昇進について書いたことがある。そこからも少し引用したい。
2010年10月13日のブログ

そして、もし一之輔が昇進する場合、いわゆる“何人抜き”になるかを予想してみる。彼より入門年次と二ツ目昇進の両方で先輩の二つ目は、次のような名が並ぶ。
(落語協会HPより。名前の五十音順)
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三遊亭亜郎:平成9(1997)年入門、平成14(2002)年二ツ目。
三升家う勝:平成12(2000)年入門、平成15(2003)年二ツ目。
柳家右太楼:平成12(2000)年入門、平成16(2004)年二ツ目。
金原亭馬吉:平成12(2000)年入門、平成15(2003)年二ツ目。
金原亭馬治:平成12(2000)年入門、平成15(2003)年二ツ目。
柳家喬四郎:平成11(1999)年入門、平成14(2002)年二ツ目。
柳家喬之進:平成12(2000)年入門、平成15(2003)年二ツ目。
三遊亭金兵衛:平成10(1998)年入門、平成13(2001)年二ツ目。
金原亭小駒:平成9(1997)年入門、平成12(2000)年二ツ目。
柳家小権太:平成11(1999)年入門、平成14(2002)年二ツ目。
桂才紫:平成11(1999)年入門、平成15(2003)年二ツ目。
柳家さん弥:平成12(2000)年入門、平成16(2004)年二ツ目。
柳家初花:平成12(2000)年入門、平成16(2004)年二ツ目。
古今亭志ん公:平成11(1999)年入門、平成15(2003)年二ツ目。
古今亭朝太:平成10(1998)年入門、平成15(2003)年二ツ目。
三遊亭司:平成10(1998)年入門、平成15(2003)年二ツ目。
川柳つくし:平成9(1997)年入門、平成12(2000)年二ツ目。
三遊亭天どん:平成9(1997)年入門、平成13(2001)年二ツ目。
鈴々舎風車:平成11(1999)年入門、平成14(2002)年二ツ目。
入船亭遊一:平成11(1999)年入門、平成15(2003)年二ツ目。
柳家麟太郎:平成11(1999)年入門、平成15(2003)年二ツ目。
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同期は別として、同じ二ツ目の一之輔の先輩は、この二十一名。



 私のリストに漏れがないのなら、21人抜きになるなぁ。菊六はもっと多い人数を抜くことになる。まだ計算していないが30人近く抜く勘定になる。追い越す先輩の人数で菊六が一之輔を上まわることへの一之輔への配慮が、単独の昇進ということなのだろう。

 春に一之輔が単独昇進。この決定に、落語協会の新たな、そして明確な主張が込められているような気がする。8月1日に発表された芸術協会の見事な年功昇格とは、あまりにも対照的だ。
2011年8月3日のブログ
 まさか、今後追加発表なんてないだろうなぁ。もし、この三人だけなら、単独昇進の大変さは菊之丞の著書『こういう了見』を読んで知っているだけに、一之輔はこれからが大変ではあろう。
2010年12月7日のブログ
 しかし、一之輔がそのプレッシャーに潰されるような器ではないことも十分に察することができる。だからこそ小三治会長も決断したに違いない。

 一之輔のチケットが、ますます取りにくくなるが、やむを得ないなぁ。

 これは、ある意味で“革命的”なことと言えるだろう。かつて志ん朝がやりたくてもなかなか出来なかった実力主義での昇進決定である。これを「小三治革命」と、とりあえず名付けておこう。
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Commented by hajime at 2011-09-15 21:09 x
こんばんは、お邪魔します。(^^)
小三治会長が、会長になった時に「これからは真打の昇進基準を改める」と言っていましたが、有言実行ですね。
一之輔さんの昇進については全く文句のつけようが無いと言うのが感想です。
秋の昇進の二人については、英断かな?とも思います。
朝太さんは先日も高座を拝見しましたが、達者で何時でも真打になれる。と感じました。
菊六さんにかんしては、たまに線の細さを感じる時があるので、この一年でさらに成長されると思います。
でも一之輔さんは期間も短いし一人昇進と言う事でプレシャーも掛かるでしょうが、跳ね除けて欲しいと思って居ます。
あとは、協会が昇進の基準をある程度、明確にして欲しいですね。
揉め事のタネになりやすいですからね。
(^^)

Commented by 小言幸兵衛 at 2011-09-15 21:28 x
一之輔は文句なし、菊六は来年か、という感じもありますが、NHK新人演芸大賞は菊六が先、ということもあります。
“基準”の明確化は望ましいですが、「年功」という、ある意味でデジタルな分かりやすい指標ではなく、「実力」というアナログな指標は主観の問題もあり、結構表現が難しいようにも思います。
市馬あたりが、なんとかするかなぁ。

Commented by 佐平次 at 2011-09-16 10:30 x
ワクワクしますね。

Commented by mama at 2011-09-16 10:34 x
かつて志ん朝がやりたくてもなかなか出来なかった実力主義での昇進決定である・・・この部分が感慨深く、反応してしまいました。春から志ん朝関連の本を読みあさっていました。その所々にポソッと出てくる小三治の志ん朝に対する評価は言葉少なだけに、小三治の様々な想いを想像していました。落語会の将来を考えた改革という志ん朝の遺志が生かされることが嬉しいです。

Commented by 小言幸兵衛 at 2011-09-16 14:02 x
一之輔のことですから、彼自身はマイペースで飄々と行動するでしょうが、「ちくしょう・・・・・・」と歯軋りしているであろう追い越された先輩、そして「がんばれば抜擢があるんだ!」と励みになったであろう二ツ目の若手達の、これからの“血みどろの戦い”にワクワクします^^
とにかく、小三治会長が、これまでの温室的環境に緊張感を与えたことは間違いないですね。

Commented by 小言幸兵衛 at 2011-09-16 14:11 x
昭和53年の騒動から以降、円生の唱えた実力重視の姿勢に志ん朝は共感しながらも、ある意味での「政治」にかかわるよりも、自分自身の芸を磨くことに賭けたのではないでしょうか。もっとも勢いのある時期でしたしね。
しかし、小三治は満を持して、円生や志ん朝が目指した昇進をやってのけたように思います。あの騒動につながった大量年功昇進を実施したのが師匠五代目小さんだったのも、歴史の皮肉でしょうか。
小三治の英断を今の政治家は見習うべきでしょうね。

Commented by ほめ・く at 2011-09-16 18:50 x
先ずはオメデトウと言いたいですし、多くの落語ファンも喜んでいるでしょう。
落語協会の香盤で見る限りでは、一之輔はご指摘の通り21人抜き、菊六は28人抜きになります。
「入門さえすれば、十数年ボーっとしていても誰でも真打になれる」なんて書いていましたが、これでは書き改めねばなりませんか。

Commented by 小言幸兵衛 at 2011-09-16 21:30 x
「ぼーっとしていても・・・」は、志ん朝『文七元結』のマクラを思い出します。
改革には反動がつきものでしょう。しかし、落語愛好家の多くは支持するであろう今回の英断に拍手ですね!
NHK新人演芸大賞というお墨付きがない朝太が、もっともプレッシャーがあるのかもしれませんが、志ん朝に稽古してもらったテープをなくすような図太い(?)噺家なので、きっと大丈夫でしょう^^

Commented by 創塁パパ at 2011-09-17 14:10 x
やりましたね。さすが、小三治会長。
後は、朝太ががんばらんとねえ。
志ん五のためにも・・・

Commented by 小言幸兵衛 at 2011-09-17 19:45 x
正蔵(彦六)→柳朝→一朝の流れの一之輔、そして古今亭から二人、柳家にも候補者がいたのにゼロ、ここらへんが小三治会長の潔さと言えますね。

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by kogotokoubei | 2011-09-15 17:58 | 真打 | Comments(10)

落語のことを中心に、ときたま小言や独り言。


by 小言幸兵衛