末広亭 7月下席 昼席 7月23日
2011年 07月 24日
新宿三丁目の某ラーメン店でつけ麺で昼食をとってから12時15分頃に末広亭に到着。代演の多い日で、お目当ての一人である遊雀も南なんに代わっていた。これも、寄席なのだ。中に入ると北見翼の奇術の最中。奇術の後で前のほうの座席が空いていたので着席。席に座ってから12時20分以降の演者と感想を書く。()内は所要時間。代演には別な色をつけた。
瀧川鯉太『ぜんざい公社』 (15分)
初である。帰宅してからネットで芸協のホームページで「二ツ目}を探したがないので真打を探したら、二年前に真打昇進していた。鯉昇の三番弟子らしい。なんともリズムの悪い高座。まぁ、今後精進してもらおう。
三遊亭遊史郎『たがや』(15分)
初である。米多朗の代演で小遊三門下。結構本寸法で演じていた。声の性質は好みが分かれるところで、最初は馴染めなかったが、だんだん慣れてきた。それなりの実力を感じさせる。別なネタを聞きたい気がした。
ぴろき(9分)
本来は“青年団”の番だが、早めに登場。たった9分というのは、後で確認したのだが、とてもそうは思えな芸。同じネタでもこれだけ笑えるというのは、やはり凄い。
桂竹丸『漫談』(11分)
初である。その昔(?)、「お笑いスター誕生」(日本テレビ)という番組への出演が縁で米丸師匠に入門し、20年前の1991年、当時は落語も漫才も含めて行われていた“NHK新人演芸大賞”で大賞を受賞した人。漫談で笑わせる技術は、もちろんある。しかし、ほぼ同世代(私より少し若いが)で、その茶髪を含め、なんとかならんかなぁ、とも思う。噺家の茶髪は一人でいい。
神田紅『講談』(14分)
初である。後で調べたら、同世代、少しだけ私が後輩。武田信玄と上杉謙信の「竜虎の戦い」を語る“虚と見せては実と変り、実と見せては虚と変る」の文句が、「赤穂浪士」でも使われているということで、この二つが入り混じったことがあったが、聞いている客は分からなかったというのが可笑しかった。本編は笹野権三郎が、海賊西海灘右衛門一党を一掃する「海賊退治」のさわり。講談をまた聞きたくなる、そんな楽しい芸だった。
国分健二『ワンマン笑』(14分)
初である。青年団の代演。この”ワンマン笑”というタイトルは、芸協のHPから引用した。それにしても芸協のプロフィールの写真は、何十年前の写真だろう、ほとんど詐欺だぞ^^基本はモノ真似。特に小林旭。懐かしい歌のオンパレードでうれしかった。
桂南なん『大安売り』(15分)
この人は初席以来。初席では『動物園』だった。なんとも言えない味のある人。小南師匠門下。もちろん遊雀の休演は残念だが、何度も言うように、これが寄席なのだ。帰宅してから調べたら、遊雀は東村山での営業だったようだ。
桂伸乃介『真田小僧』(13分)
初である。金太郎の代演。十代目の文治が伸治時代に入門したベテラン。 この人が文治一門の総領弟子のようだ。次が蝠丸、その次が伸治の順。なかなか若々しい高座。
桧山うめ吉『俗曲』(13分)
久しぶりだ。噺家に挟まれた、オアシスのような時間(?)。「米山甚句」に始まり、踊りで締めた。芸なら小菊、陽気さなら小円歌、若さと色気ならこの人。そして、いつまでもお元気に玉川スミ師匠!
桂米丸『ジョーズ』(14分)
中トリは大正14年(1925)生まれの86歳の重鎮。元気な高座がうれしい。マクラのネタの一つを忘れたという場面もあったが、それもご愛嬌。初席と同じネタになったが、なかなかこの新作は秀逸。サゲの工夫も楽しい。
春風亭柳之助『ちりとてちん』(12分)
初である。春馬の代演。夜席出演だったので、春馬と昼夜交換なのかもしれない。柳昇に入門し、今は小柳枝門下。なかなかの男前で、髪もしっかり短めに揃え、本寸法な高座で、笑いも多かった。5年前に真打に昇進した、今年45歳の人。この日一番の発見である。噺家としては顔が整いすぎ(?)かもしれないが、今後が楽しみな人。
Wモアモア『漫才』(14分)
この二人は、好きだ。結構“毒”のあるギャグを言うのだが、嫌味にならないし可笑しい。もっとも会場が笑ったと思う。20数名の団体が二組ということを、二人の話で知ったが、道理で後半から二階席も開いた訳だ。
桂伸治『お菊の皿』(15分)
蝠丸の代演。久しぶりだが、結構な高座だった。最近の私にとっては、期待している前座、宮治の師匠という認識。師匠の二つ目時代の名跡をもらいながら、文治の名跡を後輩の平治に譲ったやさしさのようなものが、高座からも伝わる。大袈裟に言えば、この人には客をホッとさせてくれるオーラのようなものを感じる。
三笑亭夢太朗『替り目』(15分)
初である。夢楽門下で夢之助の少し先輩に当たるようだ。しっかりした高座で、楽しめた。この日の本寸法な高座という意味では一番。こういう人たちが芸協の寄席を支えているのだと思うと、楽太郎一派などの入る余地はないわなぁ。
ボンボンブラザース『曲芸』(8分)
プログラムに書いたメモを後で見て驚いた。あれがたった8分だったの!?
チャップリンを彷彿とさせるような軽妙な表情の味といい、お客さんを自然に巻き込んだ帽子の芸の楽しさといい、10分以上の印象。それだけ中身が濃かったということだろう。紙切れ芸がなかったが、十分に楽しませてもらった。
桂歌春『鮑のし』(25分)
テレビでは顔を何度か見かけたが、高座は初めて。どうしても昭和24年生まれ、今年で62歳には見えない。私と違ってフサフサの髪の毛を自慢するかのような(あくまで僻みです)姿も、若々しく見させている。そして高座も語り口が軽く(よく言えば軽快)、若さを感じる。好みになるが、私はもう少し年相応のものを期待してしまう。爆笑の高座ではあったが、サゲまで行かなかった。主任なら、マクラを短縮してでもサゲまで願いたいところ。
代演がなんと6名。これが寄席とは言え、この人数の多さは初めてだ。芸協の噺家さんも土曜となるといろいろ営業が入るということかもしれない。
たまの寄席は、やはりいい。初めて高座を見る人も多く、いくつか発見もあった。特に色物にハズレはなかったなぁ、などと思いながら、暑さの残る夕方の新宿の雑踏の中を地下鉄の駅へ向かった。
私は仕事柄土日は寄席に行けませんので、平日しかしりませんが、それでも代演の多い時もあります。
ご存じかもしれませんが、
代演でも芸協と落協とでは基準が違うそうです。
芸協は香盤が同じか少し格下の噺家さんなのだそうです。それでワリを浮かせて他の噺家さんに分けるそうです。
逆に落協はお客さんに失礼だから香盤の上の噺家さんが出るそうです。
昔は談志師の代演で小さん師が出た事もあったそうです。
知りませんでした。
貴重な情報ありがとうございます。
あえて言うと、出演者のことから基準を考えた芸協、
客のことを考えた基準の落語協会と言えなくもないですが、
香盤そのものが噺家の実力を表すわけでもないですよね、
ある意味年功ですから。
代演は、意外な芸人さんと出会えることもあるので、これも寄席の良さと思うべきなんでしょうね。
国分健二は、結構会場を沸かせていましたよ。でも笑いをもっとも獲得したのは、Wモアモアでした^^
総人数が落語協会より少ないですし、結果として中堅どころの噺家の層は協会と比較して薄く感じますが、なかには、「おやっ!」と思う人もいます。
色物は、協会と伍しているような気がしますよ。なかでもボンボンブラザーズは、私の好みです!