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噺の話

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五街道雲助一門会 横浜にぎわい座 5月9日

もしかすると、現在少数精鋭という意味ではもっとも充実した一門のように思う、にぎわい座での雲助一門会へ初の参上である。会場は八分ほどの入りで当日券もあった。このへんが一門会の難しさなのかもしれない。構成は次の通り。
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(開口一番 柳家おじさん 『狸の札』)
蜃気楼龍玉 『粗忽の釘』
五街道雲助 『野ざらし』
(仲入り)
桃月庵白酒 『だくだく』
隅田川馬石 『柳田格之進』
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おじさん 『狸の札』 (19:00-19:15)
ずいぶん久しぶりだと思って帰宅してからブログで調べたところ、2009年8月29日の南大沢文化会館での権太楼独演会の開口一番以来。その日は、独演会&一門会のような構成で、この人の他にほたると甚語楼も出演し、客演に菊之丞、権ちゃんは『火焔太鼓』と『代書屋』の二席という豪華版だったことを思い出す。三年~四年前くらい、この人が2009年1月に入門する前は、当時のごん坊(現ほたる)が最後の弟子、のようなことを権ちゃんは寄席や落語会で言っていた気がする。まぁ、その後で気が変ったのか、はたまた私の勘違いか分からないが、まず、この人が最後の弟子になるだろう。一年半ほど前の「子ほめ」よりは良い。しかし早く二ツ目になって師匠が元気なうちにどんどん修行しなきゃね。

龍玉『粗忽の釘』 (19:16-19:35)
短いマクラの後、引越しが済んで八寸の瓦釘を打ち込むところから。向かいの家へ行き、帰ってカミさんに叱られ隣家に行って、「落ち着け」と煙草をくゆらせて、カミさんとの馴れ初め話。隣家の主人と粗忽者との会話が可笑しかった。この人は人情噺よりもこういった粗忽者の滑稽噺のほうが、私は好きだ。『夏泥』などもいい。師匠のために短い時間でしっかりこなした、と思ったら師匠も短かったなぁ。

雲助『野ざらし』 (19:36-19:56)
定番の「笑いは健康によろしいようで」と口火を切って、「馬鹿の東の大関は釣り人だそうで」ときて、まさかと思ったがこの噺へ。雲助では初だ。たった20分で、八五郎が勢いあまって水たまりならず川に落ち助け上げられるところでサゲたが、途中はまったくの本寸法かつ雲助流の楽しいクスグリのオンパレード。「鐘がボンとなりゃあさ~上げ潮、南風(みなみ)さ、からすがとびだーしゃ、こりゃさのさ、骨があーるさーいさい~」の調子も結構。三代目柳好の音源と趣は違うが、この人ならではの調子が心地よい。釣り糸をたれながらの妄想で、幽霊(骨)の年増が嫉妬深くたずねる「いい女(ひと)がいるんだろ!」に対し、「カミさんもいなけりゃ、財産も学問も、何もない」が妙に可笑しかった。仲入り後の二人の高座で判明したが、馬石の長講のためのショートカットだったようだが、こういった滑稽噺の雲助は好きだ。

白酒『だくだく』 (20:06-20:27)
馬石以外は、判で押したように20分の持ち時間だったようだ。テレビ朝日の三遊亭兼好のこの噺も楽しかったが、さすがの白酒ワールド、という印象。“先生”に書いてもらう家財道具の絵の中でも、この人らしい演出があって笑えた。掛け軸の文字に「原発反対」も、なるほどという感じ。へっついの燃え盛る火の「ゴーッ」の吹きだしを見ても、絵と気付かない粗忽な泥棒が可笑しい。
ここでハタと気がついた、龍玉も師匠雲助も、そして白酒も粗忽者が主役の滑稽噺。さて、白酒が、「トリの馬石は、長いですよ」と言っていたネタとは何か?と思いながら、さて馬石が登場。

馬石『柳田格之進』 (20:28-21:05)
マクラで、この噺を師匠に稽古をつけてもらい、ネタおろしはしたのだが、かけるところはあまりないだろう、ということでトリでの登場になったと説明。なるほど、そういう背景でしたか。本人白状したとおりで、まだ日が浅くこなれていない面はある。独特の間なのか言いよどみか微妙な瞬間もに三四回あった。しかし、この人ならではの格之進の方向性のようなものは、よく分かった。今後変る可能性はありえるが、この日の高座はこうである。
・格之進の娘きぬは、吉原には行かない
・万屋の番頭徳兵衛は、それほど憎たらしくない。
・万屋の主人源兵衛と番頭徳兵衛は、お互いを庇いあう
など、ともかく「ハッピーエンド」で筋をつくっている。
マクラでこの夏にかける『牡丹灯篭』の勉強の一環として、明治座の『牡丹灯篭』を見に行ったら、終演後にロビーでご婦人達の「ハッピーエンドじゃなかったわね・・・・・・」という会話が耳に入ったとのこと。「牡丹灯篭でハッピーエンドはないでしょう」とふっていたが、彼のこの噺は、まずはとことんハッピーエンドにしてみたようだ。これも、一つの解釈だが、今後より一層熟成されてから、あらためて聞きたいと思う。


 白酒も馬石も、マクラで言っていたが、師匠をはじめ自分達の出番が終わったらそれぞれ帰ったようだ。それが一門の文化なのか、たまたまこの日だけのことなのかは不明。しかし、さん喬一門会のような“学芸会”的なお遊びはなくてもいいが、全員顔を揃えてのトークなどは、あってもいいと思うなぁ。それぞれが忙しい身ではあるのだろうが、せっかくの一門会なのである。白酒の“毒”が適度にまぶされたトークで一門のエピソード披露など、結構楽しいと思う。
 それぞれの芸は相応に楽しめたのだが、一門の“組織”としての演出がなかったのを少し残念に思いながら、桜木町の駅へ向かった。
Commented by hajime at 2011-05-10 10:15 x
雲助師匠の高座はかなり見ているつもりですが、「野ざらし」は未だ見たことはありません。
寄席等だと時間が無い時は「身投げ屋」で済ます事が多いのすよね。(^^)
あれは、あれで楽しい噺ですが・・・
私も聴いてみたいですねえ。

白酒さんは枕で毒を吐く処が好きですね
え、原発反対」は良かったですね。(^^)

Commented by 佐平次 at 2011-05-10 11:31 x
楽しい会でしたね。
雲助の顔を思い出しながら読みました。
今日はまた権ちゃんです^^。

Commented by 小言幸兵衛 at 2011-05-10 12:08 x
そうなんですよ、雲助のこの噺だけでも、来て良かったと思いました。
とにかく、今一番光っている一門かもしれませんね。
しかし、やっぱり、全員並んでのトークが欲しかった(くどい^^)。

Commented by 小言幸兵衛 at 2011-05-10 12:10 x
そうなんです。あの雲助の表情で、このネタです。楽しくないはずはない。
鈴本の楽日ですか、うらやましい!

Commented by home-9(ほめ・く) at 2011-05-10 18:28 x
浅草見番での一門会では、師匠と弟子(馬石さんだったかな)が、揃って自転車で会場入りする姿が見られて、家庭的な印象を受けました。
師匠がそれぞれの入門時のエピソードを語ってくれるなど、とても温かい雰囲気の会でした。
一門全員が真打で異なった亭号を持っているという、実に珍しい一門ですね。

Commented by 小言幸兵衛 at 2011-05-10 20:53 x
そうですか。たまたまだったんでしょうね、昨夜は。
この一門ですから、いくらでも楽しいエピソードがあるように思います。
また、機会があれば行くことにします。

Commented by 創塁パパ at 2011-05-11 07:05 x
おはようございます。そう来ましたか。「野ざらし」ねえ。聴いてみたいなあ。白酒の「だくだく」も楽しいですよね。馬石「格之進」ですか。
あまり、好きではないんですこの噺。
どうも、馬石にはもっと「明烏」あたりを磨いてほしいんだよなあ・・・

Commented by 小言幸兵衛 at 2011-05-11 12:54 x
龍玉も、師匠同様、その顔の表情で十分演技できる人ですね。
師匠雲助は「盛者必滅会者定離、頓証菩提、南無阿弥陀仏・・・・・・」でした^^
「だくだく」はご想像通りの大笑い。マクラも可笑しかったんですが、ちょっと書きにくい内容も多くてね!
馬石は、今後に期待、ということろですか。

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by kogotokoubei | 2011-05-09 22:47 | 寄席・落語会 | Comments(8)

落語のことを中心に、ときたま小言や独り言。


by 小言幸兵衛