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伊集院静さんへのインタビュー(「宅ふぁいる便」“私の職務経歴書”より)


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              (写真は「宅ファイル便」のサイトより)

 私は仕事や私用で大容量のデータなどを送る場合、「宅ふぁいる便」を使うことがある。「宅ふぁいる便」のサイトのエンターテインメントの一つに、「私の職務経歴書」というシリーズがあり、最新の第5回は仙台で被災した伊集院静さんへのインタビューである。非常に興味深い内容なので、リンクさせていただく。
「宅ふぁいる便」サイトの“私の職務経歴書”のページ
 長いインタビュー記事で、読み応えがある、一部紹介したい。まず、冒頭の部分から引用。

伊集院さんはエッセイ『大人の流儀』(講談社)の中で、これまで多くの危険を経験してきたと書かれています。ですが今回、仙台のご自宅で経験した地震は、その中でも特別な体験でしょうね?
「もちろんです。そしてそれは、とても不幸なことです。私が仙台に居を移したのは16年前のことですが、そういう場所を選んだということは、人間として手ぬるくなっていたのかもしれません。
私が仙台に移り住んだのは、そこが今の女房(女優の篠ひろ子さん)の故郷だったからです。幸いなことに、女房を含め、身内が命を落とすようなことはありませんでしたが、引っ越しをする際、私は海沿いの土地に家を持つことを提案したんです。私は瀬戸内の海辺で生まれ育ちましたからね。
それでも、海辺ではなく高台に家を建てたのは、女房の母親の『神主が来てお祓いした土地は、10年住まないと本物にならない』という話に従ったからです。昔の人の言うことは、90%は間違いがないということを私は知りました。女房たち家族は16年前、私の意見を退けたことで、自分の命を救ったわけです。
私にとってこれは、死というものが生と紙一重であることを改めて実感した体験でした。2年前、地震に備えて耐震工事をすませておいたのは正しい判断だったし、非常食や手回しラジオなどの防災品を用意しておけと命じたことも功を奏しました。言われた通りに備えをしてくれた女房には、感謝をしなければいけません」


 「昔の人の言うこと」を聞くことの重要性について、なんとも説得力のある裏づけと言えるではないか。この後に、“あの人”の「天罰」発言について、こう答えている。

この震災を「天罰」と意味づけした人がいましたが、人生の中で、被災を経験するということに何か意味はあるのでしょうか?
「いえ、意味などありません。地震というのは、地球が起こしているんです。天罰でもなければ、神の啓示でも何でもありません。
そもそも津波という語は、慶長16年(1611年)に発生した慶長三陸地震の記録で初めて出てきた言葉ですが、そのときは住民の9割が亡くなったそうです。しかしその後、被災地は見事に復興しました。今回の震災についても、同じことが言えます。復興は、必ず行われるでしょう。もしかすると、以前よりよくなるかもしれません」


伊集院さんは東北の復興を「確信」している、と言う。その理由がこう明かされている。

「私がなぜ東北の復興を確信しているかというと、これからは国がいう政策を鵜呑みにするのではなく、自分たちの頭で考え、行動する人が多数を占める世の中になるだろうからです。企業はリスクを避けるのが常ですから、半分は東北から去っていくでしょうが、ここを故郷だと思っている人たちは必ず帰ってきます。
東北という土地は、これまで日本が存亡の危機に直面する際、つねに矢面に立ってきました。日清戦争しかり、日露戦争しかり、東北人は兵の先頭に立ちました。東北の人は、日本の誇りだと思います。東北の再生は、日本全体の再生にもつながるのです」


 まさに、これからの日本は、自分たちの頭で考え、行動する人が多数を占める世の中 になるだろう。そうならないといけないと思う。

 前妻の夏目雅子さんのことについての内容も印象的だ。

夏目雅子さんが亡くなったのは1985年9月11日です。伊集院さんにとって、そのことを語るには25年もの年月が必要だったわけですね?
「死は哀しいものです。しかしそれは、『二度と会えなくなる』という意味において、それ以上でも以下のものでもありません。そのことに気づくには、それなりの時間がかかったけど、哀しみには終わりが来るんです。
私は、数年前に観た映画のこんなセリフに心を打たれました。チェチェンの老婆がそこで、こんなことを語ったんです。『あなたはまだ若いから知らないでしょうが、哀しみにも終わりがあるのよ』と」


 私は未見だが、伊集院さんが見た映画は『チェチェンへ アレクサンドラの旅』かと察する。老婆の、哀しみにも終わりがあるのよ、という言葉が心に響く。

 最近発行されたエッセイ『大人の流儀』と自伝的小説『いねむり先生』、両方さっそく読もうと思っている。伊集院さんなら、その印税を有効に使ってくれそうな気がするし、何と言っても、前者は“小言幸兵衛”と波長が合いそうだ。後者は落語愛好家でもあった色川武大さんのと交流がたっぷり書かれているらしいので、これまた楽しみ。最近読む本は原発関係書ばかりだったこともあり、一息つくことも必要だろう。読後、感想を書かせてもらうつもりです。
Commented by hajime at 2011-04-26 19:57 x
「哀しみにも終わりがあるのよ」
いい言葉ですねえ・・・
心に沁みます。
有難う御座います。(^^)

色川武大さんは「懐かしい芸人たち」を読んでも、落語や芸人さん達をこよなく愛していた事がよく分かりましたね。

感想文、楽しみにしてます。(^^)

Commented by 小言幸兵衛 at 2011-04-26 21:55 x
本当にいい言葉ですね。
「明けない夜はない」を、女性風にロマンチックに言ってくれているような、とても素敵な響きです。
色川さんの落語への造詣は、半端じゃないです!
寄席の席亭になるのが夢だった位ですから^^
まだ、読みかけの本があるので、伊集院さんの本の感想は少しだけ先になりますが、ご容赦のほどを。

Commented by 中嶋 at 2011-04-26 22:50 x
哀しみにも終わりがあるのよ...実にいい言葉です。ぐっときますね。また、これからの日本は、自分たちの頭で考え、行動する人が多数を占める世の中 になるだろう…これも3・11以降「日本は、何が大切なのか実感し、必ず再生する」と海外の友人に宣言してしまった自分の心にしみる言葉です。
我々の「独創村」を訪問してくださりありがとうございました。またお邪魔します。
ps.3・11を機に新しいサイトを作る計画がありますので、その節はぜひ。

Commented by 小言幸兵衛 at 2011-04-27 09:03 x
お立寄りありがとうごじます。
何か私でお手伝いできそうなことがあればいいのですが。
今後ともよろしくお願いします。

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by kogotokoubei | 2011-04-26 14:56 | 幸兵衛の独り言 | Trackback | Comments(4)

あっちに行ったりこっちに来たり、いろんなことを書きなぐっております。


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