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今、菅に必要なのは・・・・・・佐々淳行『危機管理のノウハウ』から

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PHP文庫『危機管理のノウハウ-Part2-』

 佐々淳行さん。1930(昭和5)年生まれで、大学を卒業し、当時の国家地方警察本部、現在の警察庁に入庁し、1986(昭和51)年には内閣総理大臣官房・内閣安全保障室の初代室長を務めた方。最近はテレビなどへの出演も減ったが、浅間山荘事件など数々の”危機“を管理する立場にあった人だ。今年81歳。
 佐々さんが書いた本の中に、『危機管理のノウハウ』がある。1979(昭和54)年にPHPから単行本で発行され、1984(昭和59)年にはPHP文庫にもなっている。今日では「ノウハウ」という言葉の普及により、その言葉のニュアンスも決して高尚なイメージとは言えないが、本書の内容は非常に濃い。企業人を含め、さまざまな危機に対処しなくてはならない立場の人には、大いに参考になるし、数多くの事例も読みごたえがある。

 3冊分冊の文庫の2冊目(Part2)から、「第5章 危機対処の組織管理」の中の一部を紹介したい。「ダメイジ・コントロール」の中の「責任問題」の、ほんの一部。

 責任追求が行われたときには、「現在は危機管理作業の最中であるので、その問題は一段落してから考える」と応えるのが鉄則。
 軽々にその場逃れの責任逃れやトップ以下関係者の進退問題を口にしてはいけない。
 また、組織の長たるものは、まったく庇いようにない破廉恥行為は別として、組織のために働いた部下の結果責任的、あるいは過失責任的な仕事上のミスについては、まず何はさておいても庇うのが原則である。
 まちがってもその場で《スケープゴート》をたけり狂うマスコミに捧げまつるような特定の責任者処罰の約束などしてはいけない。まして、力関係からその約束が空約束になったりしたら、それこそ目もあてられない醜態となるだろう。
 危機対処の最中に、トップが自分だけいい子になろうとして、官僚的な手法で《犠牲の子羊》探しが、みえみえの内部監察など始めようものなら、第一線の士気たちまち衰えること必定で、まして日頃から内部に暗い権力闘争が潜在している場合は、これを奇貨として競争相手を葬ろうとばかり、醜い内部告発や、誹謗中傷や、ざん言などが一斉に表面化し、組織がガタガタになってしまう。
 こういう時こそ、主将の全人格の如何が勝負の決め手になる。


 まだ、福島原発事故は、まったく予断を許さない。「冷却材喪失事故」、要するに原子炉の“空焚き”による「炉心溶融」による放射性物質の被害を、どれだけ抑えられるか、という必死の戦いが現場では続いているはずだ。
 しかし、地震の被災地や原発事故の犠牲になって避難をしている人たちと違って、安全な“永田町”にいる菅他政府陣営の関心ごとが、どこにあるのかは非常に疑問だ。
 菅が現時点で必要なブレーンは、本来は佐々さんのような危機管理のプロではないかと思うが、佐々さんが蓄えた経験とノウハウで“今そこにある危機”を救うには、あまりににも時機を逸している。

 菅が、佐々さんが指摘している“べからず集”を、逆にこれからするかどうか、しっかり確認していく必要があるように思う。放っておけば、彼は“やっちゃいけないこと”を必ずやりそうな状況にあると、私は思う。
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by kogotokoubei | 2011-03-30 21:54 | 今週の一冊、あるいは二冊。 | Trackback | Comments(0)

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