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被災地の仙台から、伊集院静さんのメッセージ

3.11に被災地にいた作家の伊集院静さんからのメッセージ。
MSN.産経ニュースの該当記事

東京人は本当に買い占め必要か? 伊集院静さん
2011.3.28 21:45
直木賞作家、伊集院静さん(61)が、妻で女優の篠ひろ子(63)と住む宮城県仙台市での震災体験と被災者への思いを綴った。(夕刊フジ)

 仙台市の自宅で被災した。妻が耐震補強をしていたから、家はなんとか倒れなかった。備蓄があったので、水を近所に配った。周囲は壊れかけた家が多く、お年寄りたちは避難所に逃げた。私は声を掛けた。「諦めたら、死ぬぞ」と。

 被災から5、6日目、多くの遺体が見つかっているというニュースをラジオで聞いた。周りは死者ばかりなんだ…自分は生きているが、本当に生きているのか? なんでこんな切ないんだという悲しみが来た。男の私でそうだから、お年寄りや女性、子どもはもっとだ。ケアしないとその人の一生にかかわる。被災者の近くの人はなるべく声を掛けてほしい。

 寒さと余震に震えた。東北の救援が大事なのに、東京からのニュースは原発ばかりで、怒りが込み上げた。人々を生きて救い出してほしいと願った。

 被災した側だから言う。東京人は本当に買い占めをする必要があるのか、自らに問い返すべきだ。道徳や規律がなければ“街”ではない。東京人はコミュニティーのない「仮住まい」にいるのだろうか。不道徳の連鎖は卑しい。未来のあるものを優先しなければならない。

 被災者には、必ず再生すると言いたい。前よりもっと良くなる。信じ合おう。諦めるな。(作家)


 重要なメッセージだと思う。もちろん、原発の問題も重要だが、伊集院さんが主張したいのは“コミュニティ−”、“道徳や規律のある街”という点だろう。

 今、被災地ではない地域に住む私たちの周囲には目に余る行動が多い。
 「とりあえず、水と○○と○○○を、買えるだけ買っておいて!」。先日、通勤途上のバス亭で、携帯電話でこんな会話を家族と思しき相手にしていた中年の女性がいた。愚かな行動だと思いながらも、朝から見ず知らずの他人に面と向かって意見するわけにもいかず、非常に嫌な一日の始まりだった。
 政府の曖昧な発言や行動、そして扇情的な内容を細切れでたれ流す傾向にあるマスコミの報道は、そういった“道徳”や“規律”を忘れた行動を煽ってはいても、抑えるベクトルも力もないのが、残念な実態だろう。

 そういう状況においても、被災地の伊集院さんからのメッセージは、被災地以外の国民が“すべきこと”と“すべきではないこと”に関する、重要な“現場”からの主張であると思う。いくら計画停電があろうと電車の臨時ダイヤによる不都合があろうと、贅沢さえしなければなんとか食べる物もあり、風呂にも入ることができ、プライバシーを守った生活ができるのなら、そして、被災地の皆さんの苦労を思いやる想像力があれば、無駄な買い物などはできないはずだ。
 あくまでも結果としてだが、我が家には結構食料などの備蓄があり、震災以降に昨日までに生活物資として買った物は、灯油18リットルだけである。自慢でもなんでもなく、家にあるものでしばらくは食べていけるし、浄水器は通しているが水道の水を飲んでおり、ミネラルウォーターが必要だとは思わない。なぜスーパーやコンビニの棚が空になるのか、不思議でならない。もちろん、仕事の内容や家族構成、その他ものもろ事情が違うだろうから一概に非難はできないが、あのバス亭で見かけたオバサンと同じような光景は、もう見たくないと思う。

 伊集院さん夫婦が、もう少し落ち着いてからテレビなどで心境を語っていただくことがあれば、あのオバサンはしたり顔で、せんべいでも食べながら、「その通りよねぇ」などと言うのかもしれない。しかし、現在の彼女は、ミネラルウォーターを売っている店の情報収集に近所の人脈をフル活用しているのだろう。

 今、被災地以外に住む国民にとって重要なことは、被災地の人々の状況をしっかりイメージして、暮らすことだと思う。まだ停電の続く地域もある。避難所で心身ともに辛い日々を送っている人たちがいる。行方不明の家族の安否を心配する人たちも多い。被災地以外の日本人が、今どう行動すべきか、それはそんな難しいことではないだろう。
 日本人には、特によそ者ばかりが集まった江戸での生活の知恵として育まれた、独特の“コミュニティー”や“街”の道徳、規律、伝統といった“心の財産”があるはずだ。この困難な時を乗り越えるためにも、そう信じたい。
Commented by 創塁パパ at 2011-03-30 15:05 x
「コミュニティー」ですね。
不足しています。われわれ都会人は。
私は、テレビを見ていて休日におとうさんが、「買出し」の命を受けてスーパーに並んでいる
姿を見て辟易しました。
かみさんの前で、「俺は命令されても
絶対従わないぞ!!」と言いました。
かみさんは「そう」とうなずいていましたが。「恥を知れ」と言いたい。
普通に生活できることのいかに恵まれていることかですよね。

Commented by 小言幸兵衛 at 2011-03-30 18:19 x
「世間」を意識し、隣近所と同じであることで安心するのが日本人なら、「買い占め」が「世間体の悪い」ことになれば、収まるということもできます。
最終的には、日本人はそんなに馬鹿じゃない、と信じていますけどね!

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by kogotokoubei | 2011-03-28 22:22 | 幸兵衛の独り言 | Trackback | Comments(2)

あっちに行ったりこっちに来たり、いろんなことを書きなぐっております。


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