県民ホール寄席 桃月庵白酒独演会 神奈川県民ホール 2月23日
2011年 02月 23日
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(開口一番 古今亭きょう介 『手紙無筆』)
桃月庵白酒 『火焔太鼓』
柳家喬太郎 『うどん屋』
(中入り)
桃月庵白酒 『木乃伊取り』
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きょう介(18:31-18:43)
なんとか急いで開口一番にも間に合ったのだが・・・・・・。2009年入門の前座さんらしいが、頑張って精進していただきましょう。
白酒『火焔太鼓』 (18:44-19:16)
マクラは、自主興行である「白酒ひとり」の会場(内幸町ホール)でかけたBGMを巡るJASRACとの戦い(?)について。ブログの内容が、ある意味で犯人(?)ということだ。詳しく書くと、また白酒を困らせることにもなりかねないので、この位で。ともかく笑った。甚兵衛さんがこんなに可愛い『火焔太鼓』も珍しい。この人のキャラクターによる可笑しさに、独特のクスグリなども違和感なく融和して、笑いながら感心し、あっと言う間に終わった、そんな印象。たとえば、太鼓の音を駕籠の中で聞いた殿様の命で侍が道具屋を訪れた際、「叱られる!」と勘違いした甚兵衛さんが太鼓を叩いた定吉を紹介する時の、「橋の下で拾ったんです」は可笑しかった。会場には、私も含めて、子供の頃に悪さをすると親からそんなことを言われたような年齢層のお客さんが多いと思われるので、結構ハマったくすぐりだったと思う。また、太鼓の代金として侍から三百両を五十両づつ受け取る際の甚兵衛さんの意味不明なことを言いながらのうろたえぶりなども含め、しっかり白酒ならではの噺に仕上がっている。文句なく年間のマイベスト十席候補としたい。
喬太郎『うどん屋』 (19:17:19:46)
マクラで、「バレンタインデーなんていらないでしょ」の次に、「恵方巻って、昔はなかったでしょ、あれおかしいでしょ」となった時は、“まさかオレのブログを読んだわけではあるまいし・・・・・・”と思いながら何度も頷いていた。ほぼ2月3日の私のブログと骨子は近い。
2011年2月3日のブログ
こういうマクラをふっているから、喬太郎を知るお客さんの八割位は、「きっと『白日の約束』だなろうな、主役も“白”酒だし」と思ったはず。しかし、うれしい誤算、というやつで私が期待していた古典。それも、柳家伝統の、このネタ。酔っ払いがうどん屋相手に繰り返す「仕立て屋の太兵衛、知ってるだろ?」の科白の可笑しさにばかり頼らない、しっかりした芸を楽しませてもらった。 むしょうに、うどんが食べたくなった。
さて、このネタになった背景は、いかに・・・・・・。
(1)最初からこのネタに決めていた
(2)最初は新作の予定が、会場の様子を探っているうちに古典に替えた
のいずれかだろうが、本来は主役である白酒とネタがつかない(かぶらない)ように打合せをするだろうから、通常は(1)のはず。しかし、勝手な思い込みでもいいので、(2)と考えたい。お客さんの様子を見て、“古典を期待しているんだろうな!”と察してくれたのに違いない!
白酒『木乃伊取り』 (20:04-20:42)
マクラでは、具体的なことは言わなかったが、たぶん来週WOWOWで放送される番組と思われる、素人に噺を教えることの難しさという話。ベテランの落語愛好家の方が多い会場を考えてのことだろう、いつもよりは毒が少ないと思われる短いマクラで本編へ。内幸町ホールでの「白酒ひとり」の前身の会、という位置づけだったかのかどうかは分からないが、かつてお江戸日本橋亭で「白酒ひとり会」があって、2009年4月28日の会(WAZAOGI落語会)に行ったことがある。この噺はその時に聞いて大いに感心した。その年のマイベスト十席にも入れた。2009年4月28日のブログ
あの、お江戸日本橋亭での印象があまりにも強いので、どうしても今回の高座を比べてしまう。だから、飯炊きの清蔵の弾け具合にしても、全体のリズムやスピード感なども、ややおとなしく思えてしまうのだ。加えて、一席目が凄かったので、ついもっと上を期待してしまう、ということもあるだろう。ただし、会場、客層などの落語会のTPOの違いもあるだろうし、二年間近い時間の経過による熟成の結果なのかもしれない。全体的には頗る良い高座だったのは間違いがない。両方を聞いた場合、人によっては今夜の高座に軍配を上げるかもしれないなぁ。好み、感性の問題なので難しい。
いつもの少しブラックなマクラは会場の品格(?)に合わせて抑えたとはいえ、本編ではしっかりその実力を横浜のベテラン落語愛好家を前に披露した白酒。そして、予定通りか咄嗟の判断かは不明だが、爆笑のマクラと柳家伝統の古典で唸らせた喬太郎。 やはりこの落語会はいい、とつぶやきながら心地よく帰路についた。
白酒の「木乃伊取り」、現役ではこの人がベストだし、圓生よりも上ではないかとさえ思っています。
白酒の描く登場人物の造形の鮮やかさには、いつも感心してしまいます。
圓生より上、という点については私が語れるだけの引き出しはありませんが、確かに、旦那とお内儀さん、若旦那、そして“木乃伊取り”になるそれぞれの登場人物や酌婦たちのそれぞれがしっかり演じられていて、その場に自分が居るような気分にもなれます。
彼の十八番は多いですが、間違いなくその一つですね。
