西のかい枝・東の兼好 横浜にぎわい座 2月14日
2011年 02月 14日
開演前にちょとしたハプニング。やたら大声で叫ぶ酔っ払いがいて、いつもの開演前の注意事項説明の後、にぎわい座の方と手伝いに来ていた桂宮治が連れ出し、あらためて開演挨拶となって、場内から拍手。会場にはなんとも不思議な連帯感のようなムードができてから始まった。
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ご挨拶 桂かい枝・三遊亭兼好
笑福亭笑助 『池田の猪買い』
桂かい枝 『丑三つタクシー』
三遊亭兼好 『蛙茶番』
(中入り)
三遊亭兼好 『バレンタイン』
桂かい枝 『天王寺詣り』
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◇ご挨拶 (19:01-19:10)
緞帳が上がると高座に二つの座布団があり、ご両人登場。兼好が「今日はバレンタインデーで・・・」とふるが、かい枝はまともに受けず「グラミー賞で日本の人が・・・」と返す。例のハプニングのせいもあって、ちょっとちぐはぐな立ち上がりか、と心配したが、エジプトのネタとなり兼好が(なぜか)行ったことがあるということで、少しづつ会話も盛り上がる。日本のバスがそのまま輸出されており、「早稲田行き」のバスが走っていた、など。海外のネタとなるとかい枝も受けは万全。英語落語会で行ったことのある国が14か国、90都市というから、凄い。かい枝が家族でキャンピングカーで行脚したことに対し、兼好は、「ありえない!」と反応。そうなのか、兼好一家は。とにかく、なかなか楽しいオープニングだった。
◇笑助 (19:11-19:28)
宮治が高座返しに登場すると、開演前のハプニングがあったので、会場から「宮治がんばれ」の声。なかなかご通家さんが多い会場だ。しかし、彼はあくまで今夜はお手伝いで、開口一番は笑助。 昨年2月6日の相模原市民会館の仁鶴独演会以来。ネタは『つる』だったが、コメントを割愛した。今日は、少し書きたい内容。笑瓶のたった一人の弟子だが、ホームグランドは関東らしい。本来なら挟まれる池田までの道筋を通りすがりの他人に聞くドタバタを省いたが、若干時間が押したようだ。次のかい枝がやや慌て気味で登場したから、持ち時間は15分だったのだろう。しかし、前座と考えると、このネタでこの高座なら褒めていいだろう。なぜあの師匠なのかは、おいといて、上方落語を関東で頑張ってかける貴重な存在になって欲しい。 昔々、三遊亭百生という方がいらっしゃったからね。
◇かい枝『丑三つタクシー』(19:29-19:49)
なかなか楽しいマクラの後でNHKの「笑神降臨」で演じた三作のうちの一つを登場させた。ネタ出ししていない方の一席だが、NHKのエの字も言わずに始めるところが、この人のいいところだと思う。ネタ出しは二席目の古典なので、きっと、兼好も新作を出すのを知って選んだに違いない。かい枝が二席とも古典では新作の雄としてのプライドが許さないだろうからね。マクラでは、相撲の八百長ネタにひっかけ、「落語には八百長はありません。」と言いながら、「笑点」のことで笑わせた。八百長を依頼する携帯メールにひっかけて、兼好に「トリ(かい枝)を立てるように、最初ぶつかって、あとは流れですべるように」とメールを送ったというネタも可笑しかった。本編は短い時間ではあったがあらすじを知っていても、十分に楽しめた。運転手と客、そして運転手の娘の三人しか登場しないのだが、はめものも生かした秀逸な新作だ。会場の初めて聞くお客さんは、私よりもっと楽しめたに違いない。 笑いも多かった。
◇兼好『蛙茶番』(19:50-20:16)
歌舞伎にからめて芸能における家柄のネタとなり、軽く落語家の家系についてマクラで笑わせる。女形に似合う顔の話や、歌舞伎ネタのマクラはなかなか可笑しかった。こういったマクラがあった後での本編なので20分はなかったのではなかろうか。それでも達者な高座。舞台番は、通常は建具屋の半公なのだが、なぜか竹さんだった。小間物屋のみい坊の相手とくれば半公となるが、これが三遊亭の型なのかどうかは不明。そんなことはまったく重箱の隅の話で、高座全体は、ともかく楽しい。中入り後にかい枝が指摘したが、ちょっとしたいい間違いも気にならない出来栄え。この人は以前に聞いた『一分茶番』も良く、歌舞伎ネタは十八番の一つと言えよう。そのうち『四段目』『七段目』も聞いてみたいものだ。マクラと本編の総合で、今年のマイベスト十席候補とする。
◇兼好『バレンタイン』(20:27-20:42)
なんとも驚いた。この人の新作を聞くのは初めてである。それも、まさにバレンタインデーにこのネタとは。自分のオリジナルかどうかは知らないが、なかなか楽しい。おやじギャグを連発する主人公には、大いに親近感をもった。リアルな十二支をかたどったチョコのどの動物を誰にあげるか、ということで笑いをとる内容だが、この後にかい枝が、「今日しか出来ないネタ」と茶化していたが、2月~3月の二ヶ月くらいはかけて違和感はなさそうだ。サゲは予想できたものの、まさに旬の新作に巡りあえて良かった。
◇かい枝『天王寺詣り』(20:43-21:13)
いやぁ、いいものを聞かせていただいた。ネタ出しされており、楽しみにしていたが期待以上。マクラで、「風情のある噺をやらせていただきます。風情のある、ということは、あまり笑えないネタということで・・・・・・」とふったが、とんでもない。風情と笑いがふんだんであった。そして、何よりも会場が上方のこのネタでこれだけ沸くのがうれしい。「ここは繁昌亭か?」と思ったほど。筋は詳しく書かないが、愛犬のクロを弔うために天王寺に引導鐘をつきにいく男と、連れで案内人役の二人連れの噺。天王寺の境内の様子や、たくさんの出店-覗きからくり、立ち食い寿司屋、昔ながらの玩具屋、などなど-の描写を、可笑しな二人のやりとりを通して描写する。途中で、玩具売りの符牒を言いながら、「なんのこっちゃわかりませんが、師匠から習った通りやってます」とやったのも良かった。そう、師匠桂文枝は、笑福亭のネタと言われるこの噺を、笑福亭一門以外で十八番にしていた代表的な一人で、他には前述した三遊亭百生も得意だったらしい。この珍しい上方ネタで、雪のそぼ降る横浜を、一気に彼岸の四天王寺に連れて行ってくれた高座。文句無く今年のマイベスト十席の候補である。
この会の副題に「第11回 にぎわい倶楽部」とあるのを、帰り際でチラシを見て気付いた。そういえば、会場には、顔見知りの常連さん同士、と思われる挨拶の光景があちこちで見受けられた。きっと、かい枝のファンも多数いらっしゃったのだろう。だからこそ、本寸法の上方噺で、あれだけ会場が湧いたのだ、と納得。開演前のハプニングの後の、連帯感的なムードも、にぎわい座の常連さんが多かったから自然に出来上がったように思う。
終演後には、いつものように階段の手前で二人揃ってお見送りだ。常連さんの多くが、二人に笑顔で声をかける光景が、この会のなんとも言えない温かさを物語る。
帰り道、外は大雪になってきたが寒さが気にならない、心地よい余韻が残る二人会だった。
いいなあ聴きたいなあ(笑)
まさに、その「亀山のチョーン兵衛はん」でした。
こういうネタは東京にはないですね。
サゲは今日では分かりにくいけど、噺全体が“風情”がありまんな!
こういう噺を聞くと、上方落語の奥深さのようなものを感じます。
で拝見して以来のえらい新しいかい枝
さんファンです。
私のように落語不通の者ではない
コメントを読ませていただくと、
そうなんだ~ってすごく勉強になります。それとちゃんと知っている方には
それなりに深く、私のようなミーハーでも楽しいものは楽しませてもらえるのが実力なんだなって解りますね。
落語面白いな~って入門中なので
色々勉強させてくださいね。
あまり持ち上げられると、のぼせますので、お手柔らかに^^
勉強、と言われると固いイメージになりますが、人や背景などを知れば知るほど落語を楽しめる部分も増えるのではないか、と思う次第です。
しかし、重箱の隅をつつかないようには注意したいと思います。
今後も気軽にお立寄りください。
また、貴重な情報をいただきありがとうございます。
ドイツの方なんですよね!
のげシャーレでお見かけしたかもしれません^^
そうですか、兼好のオリジナルですか。
私は、今輔か百栄あたりの作かと思いましたが、兼好も作れるんですね。
たまには彼の新作も新鮮でいいですね。
