第32回 人形町らくだ亭 日本橋劇場 1月20日
2011年 01月 21日
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(開口一番 春風亭朝呂久 『饅頭こわい-序-』)
古今亭志ん輔 『駒長』
柳家小はん 『へっつい幽霊』
(仲入り)
柳家小満ん 『厄払い』
柳家さん喬 『うどんや』
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朝呂久 (18:50-19:00)
11月の第30回の時以来。その時の『道灌』にも好意的なことを書いたが、今回もなかなかのものだった。一朝門下の前座さんで、大きな体を揺すりながらメリハリの利いたハキハキした声で熱演。いわゆるフラを感じさせる人で、今後の成長が楽しみである。
志ん輔 (19:01-19:29)
大ネタではないが、大師匠志ん生、師匠志ん朝と伝わる古今亭の噺。結構あっさり目の演出だったが、なかなか楽しめる高座だった。前半のヤマ場である長八とお駒の会話が好きだ。借金で首が回らない二人が、お駒に惚れて毎日のように借金の催促に訪れる損料屋の丈八を、芝居を打って美人局で騙そうという計略を相談するところだが、この人らしい顔や身振りのオーバーアクションと独特の一拍間を置く(アフタービート?)のリズムが良い。本人の日記風ブログによれば駒ヶ根での落語会(ネタは『幾代餅』)から帰ってきたばかりで、このネタをさらった形跡がないのだが、体に染み込んでいる噺なのだろうと感じた次第。
小はん (19:30-20:04)
実は初めて聞く。登場して来て高座に上がるまで、やや足元があやしく、どうなることかと思ったが、語り始めると結構安心して聞くことができた。見た目の様子からは、詳しく知らないが、以前に大病をしていて少し後遺症が残っているようにも見受けた。しかし、このネタは相当深く体に染み込んでいると見えて丁寧に最初の師匠三木助の十八番を演じてくれた。昭和16年生まれで35年に三代目桂三木助に入門しているが、翌年三木助がなくなって五代目小さん門下に移籍しているので、このネタを三木助から直接稽古してもらったとは思えない。しかし、最初にへっついを買った男が幽霊が出て返しに来た際の言葉の終わりに「~道具屋」を入れて笑いをとるところや、熊さんと若旦那がへっついを運ぶ途中でへっついをぶつけて中から金が出てくるところなど、まさしく三木助の型である。入門当時の高座を目に焼きつけ、今に残る音源を聞きまくって自分のものにしたのかもしれない。昭和の香りのする今年満70歳になる噺家さん。貴重な高座を見たように思う。
小満ん (20:14-20:34)
マクラが楽しかった。昭和の名人達が健在だった時代の寄席の楽屋風景を思い出しながらの語りは、この話だけでもずっと聞いていたい懐かしく楽しい内容だった。最初の師匠文楽、志ん生、そして金馬などの声色は、声が似ているというよりは、雰囲気をつかんださり気ない隠し芸と言えるだろう。落語黄金時代にその場にいた人しか語れない話。本編は、昨年も1月7日に、横浜にぎわい座での白酒独演会の客演として登場した市馬で聞いていたが、やはり文楽譲りのこの人の高座に軍配が上がる。与太郎ものもなかなかだ。炒った豆を食べるシーンは、一瞬明烏の甘納豆を彷彿とさせる。短い時間だったが、懐かしさと暖かがこもった高座に感謝。
さん喬 (20:35-21:05)
いくつか師匠小さんの思い出話を披露してから本編へ。ネタについてはやや言訳じみたことをマクラで語っていたので、普段はあまりかけないのかもしれない。私自身はさん喬でこのネタは初。上方の『風邪うどん』を三代目小さんが東京に移植して代々小さん門下の十八番。時間のせいもあるのだろう、笑いをとる場面である酔っ払いが仕立て屋の太兵衛の娘の結婚という同じ話をうどん屋に何度も聞かせてからむ部分は、繰り返しがいっぺんだけだった。マクラで自信なさげに語った理由は分かる。あまりこの人には向いていないネタかもしれない。同じ酔っ払いでも、妾馬の八五郎などは光るが、ただの酔っ払いは苦手と見た。会場では結構笑いが起こったが、私には今一つ、という印象。現役の一門では先輩小三治のこのネタが筆頭だろう。何ともいいんだよね、下戸の人が演じる酔っ払いが。さん喬には次に会える時の高座を期待しよう。
どれか一つ飛び抜けた高座があったわけではないが、会としは、時間配分も良く十分満足。そして、何と言っても終演後に落語を愛好する先輩達との噺を肴のおいしい酒に、時間のたつのも忘れ、大寒の冷え込みも吹き飛ばし心地よく酔えたことが収穫。人形町の夜空に輝く満月を眺めながら、再会を約して水天宮の駅に向った。
いわゆる、“まったり”していて暖かい、そんな居心地の良い会でした。
小満ん師匠の「初夢マクラ」、あれだけでも30分位聞いていたいですね^^
初見の小はん師匠の三木助ネタは、また聞いてみたいと思います。
志ん輔の何とも言えない軽さとリズム、さん喬の“くどさ”と“くささ”の、やはりうれしい。
しばらくはらくだ亭お休みしますが、人形町には行きますので!
このネタは、市馬もいいし、小三治もいいですよねぇ。
昔の音源では、三笑亭可楽なんか好きです。
さん喬も『棒鱈』などは絶品なので、数をこなしていけば、この噺も十八番になると思います。
この時期ならではの噺ですね。
