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噺の話

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今年のマイベスト十席

本当に迷いに迷う「マイベスト十席」選びだった。選定のプロセスを振り返るために、まず、今年出向いた47回の落語会の後で、私がその日のうちに採点したメモを元に、100点満点で85点以上とした高座二十三席全てを並べてみる。
*月日・会の略称/会場/噺家さんの名前とネタ/当日付けた点数
(1)1/7 白酒独演会/横浜にぎわい座 市馬『厄払い』85
(2)1/29 みなと毎月落語会/菊之丞・菊六兄弟会/麻布区民ホール 菊之丞『山崎屋』85
(3)2/6 仁鶴独演会/相模原市民会館 仁鶴『道具屋』85
(4)2/12 如月の三枚看板 文左衛門・喬太郎・扇辰/銀座ブロッサム 文左衛門『らくだ』85
(5)2/27 第一回 大手町落語会/日経ホール 喬太郎『ハンバーグができるまで』85
(6)2/27 第一回 大手町落語会/日経ホール 鯉昇『長屋の花見』85
(7)4/3 春の若手花の三人会/グリーンホール相模大野 三三『花見の仇討』87
(8)4/8 はん治・喬太郎 二人会/横浜にぎわい座 喬太郎『寝床』87
(9)5/7 第九回 新文芸坐落語会/新文芸坐 菊之丞『愛宕山』85
(10)5/7 第九回 新文芸坐落語会/新文芸坐 花緑『紺屋高雄』87
(11)5/17 第二十五回 人形町らくだ亭/日本橋劇場 小満ん『笠碁』85
(12)6/5 たから寄席 扇辰・兼好/寶憧院 兼好『天災』87
(13)6/23 第二十六回 人形町らくだ亭/日本橋劇場 志ん輔『佃祭』85
(14)8/20 百栄と一之輔で「落語101」/横浜にぎわい座 一之輔『五人廻し』85
(15)9/2 柳家さんと○○さん/横浜にぎわい座 三三『大工調べ』85
(16)9/17 通ごのみ 扇辰・白酒ふたり会/日本橋社会教育会館 白酒『抜け雀』85 
(17)9/17 通ごのみ 扇辰・白酒ふたり会/日本橋社会教育会館 扇辰『阿武松』85
(18)9/24 亭砥寄席 市馬・鯉昇・権太楼/新宿文化センター 市馬『締め込み』85
(19)9/28 落語睦会 秋の夜長のゼントルマン/国立演芸場 喜多八『船徳』85
(20)10/28 第二十九回 人形町らくだ亭/日本橋劇場 小満ん『小言幸兵衛』90
(21)11/16 三三 談洲楼三夜・第一夜/紀尾井ホール 三三『嶋千鳥沖津白浪』92
(22)12/6 桂文我 極彩色高座賑 第四幕/国立演芸場 桂小金治『三方一両損』
(23)12/11 落語 東へ西へ/渋谷区総合文化センター大和田 桂春団治『代書屋』

 この中で、小金治さんと三代目の高座(朱書き)については、点数をつけたりランキングの対象にするなど、まったく失礼の極みなので別格扱い。 その場に居れただけで幸せだった。

 残った二十一席の中からベスト十席を決めるということは、半分以上を落すということである。
 まず、私の選考ルールとして一人の噺家さんからは一席ということにしているので、複数リストアップされた噺家さんの高座を一つに絞る。
・菊之丞は『山崎屋』と『愛宕山』のうち→『山崎屋』を、ちょっと迷いながらも選択。
・喬太郎は『ハンバーグができるまで』と『寝床』のうち→迷わず『寝床』を選択。
・市馬は『厄払い』と『締め込み』のうち→『締め込み』を、結構迷いながらも選択。
・小満んは『笠碁』と『小言幸兵衛』のうち→『小言幸兵衛』を迷わず選択。
・三三は『花見の仇討』、『大工調べ』と『嶋千鳥沖津白浪』のうち→『嶋千鳥~』を、一切迷わず選択。
 
 さぁ、これで十五席に絞られた。あと、五席を苦渋の決断で落とさなければならない。
*「そんなに悩むなら、無理に選ばなくてもいいだろう!」という声は、聞こえないことになっている。

 点数は当日の興奮などもあるから、その時は冷静なつもりでもややブレもあるので、あらためてブログを読み返し、日々大量に喪失する中でなんとかしがみついている脳細胞を叱咤して、当日の記憶を掘り起こしながら再検討してみた。

 その結果、心を鬼にして除外した五席は・・・・・・、仁鶴『道具屋』、鯉昇『長屋の花見』、白酒『抜け雀』、扇辰『阿武松』、そして市馬『締め込み』。もちろん、どの高座も記憶に残る良い出来栄えだったが、しょうがないのよ、十席に絞るためには・・・・・・。

ということで、あらためて「2010年マイベスト十席」を、短いコメント付きでご紹介。
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古今亭菊之丞『山崎屋』 
 →今年正月に兄弟会で聞いた丁寧な高座は未だに耳に残る。「了見」が違うのだ!
(1/29 みなと毎月落語会 菊之丞・菊六兄弟会 麻布区民ホール)
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橘家文左衛門『らくだ』 
 →あの三人の中でのあの高座、大迫力だった。見た目と違う繊細な演出が光る。
(2/12 如月の三枚看板 文左衛門・喬太郎・扇辰 銀座ブロッサム)
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柳家喬太郎『寝床』 
 →なんとも地味な会なのに、未だに甦る見事な出来。私には“古典の喬太郎”なのだ。
(4/8 はん治・喬太郎 二人会 横浜にぎわい座)
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柳家花緑『紺屋高雄』 
 →談春に稽古をつけてもらった噺を、自分のものにしている。清清しさも印象深い。
(5/7 第九回 新文芸坐落語会 新文芸坐)
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三遊亭兼好『天災』 
 →初めてお寺での落語会で、弾けまくる八五郎に大爆笑。来年も期待しているよ!
(6/5 たから寄席 扇辰・兼好 寶憧院)
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古今亭志ん輔『佃祭』
 →ブログでリアルな日常を曝け出す稀有な噺家。今後も生々しく葛藤して欲しい。
(6/23 第二十六回 人形町らくだ亭/日本橋劇場) 
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春風亭一之輔『五人廻し』
 →二ツ目で唯一。唸った、そして感動した。実力はもう十分に真打。来年も期待!
(8/20 百栄と一之輔で「落語101」 横浜にぎわい座・のげシャーレ)
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柳家喜多八『船徳』
 →気だるさを演出していながらの緩急をつけた喜多八ワールドは、結構奥が深いよ!
(9/28 落語睦会 秋の夜長のゼントルマン/国立演芸場)
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柳家小満ん『小言幸兵衛』
 →文楽の世界をきっちり伝承しながら、さりげない演出でも沸かせる。これぞ名人芸!
(10/28 人形町らくだ亭(第29回) 日本橋劇場)
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柳家三三『嶋千鳥沖津白浪』
 →これを歴史的な快挙と言わずして何と言おうか!?チャレンジ精神に拍手。
(11/16 三三 談洲楼 三夜 -第一夜- 紀尾井ホール・小ホール)

 そして、特別に、客演として小金治さんと春団治師匠の高座を開催してくれた桂文我と古今亭志ん輔に「企画賞」をあげたい。
 また、「ベスト落語会」を一つ選びたい。それは、「喬太郎 古典の風に吹かれて 座@高円寺 4月20日 夜の部」である。小満ん師匠との対談だけでも価値があった。
2010年4月20日のブログ
 
 ご覧のように、立川流は一席もない。なぜなら行ってないから。4月3日に相模大野で談春の『慶安太平記-吉田の焼き打ち-』を聞いただけである。私はこの地噺を評価できなかった。この日は三三の『花見の仇討』が光った。昨年から今年にかけて、どうしても、“立川流バブル”が足を遠ざける。それは、異常にチケットが手に入りにくいということに抵抗感があるとともに、その状況を見るに、ほぼ評価の定まった人たちについて無理に追いかける必要はないだろう、という諦観めいた思いが漂うのだ。また、談春にしても志らくにしても談笑についても、もちろん志の輔にしても、私がとやかく言わんでも多くの“立川流命”みたいな人たちや落語ビギナーの人まで褒めまくるから、いいでしょ、という思いもあった。この思いは来年も基本的には変わらないなぁ。まぁ、家の近くで開催される会で、チケットに縁があったら行くかもしれないけどね。

 今年は、権太楼、さん喬という落語協会のツートップ(?)の会には、結果としてあまり行けていない。来年は権ちゃんのことも気になるので、できるだけ行くつもりである。
 鯉昇は睦会を含め結構聞いたし、まず外れなく安定した独自の世界を楽しんだが、トップテン選定においては、結果として他の人の高座が上になった。私好みであることには変わらない。ただ、マクラがちょっとマンネリかもしれないなぁ。「磨き上げたマクラ」とも言えるが、「またか・・・・・・」という思いもないではない。来年、どう変わるかは、やっぱり行って聞かなきゃ分からない。

 ベスト3を挙げるなら、
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三三『嶋千鳥沖津白浪』

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小満ん『小言幸兵衛』
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喬太郎『寝床』

ということになるだろう。これも、迷い出したらキリがないが、まぁ、このへんで思考停止!
*三三と喬太郎は二年連続での受賞(?)
*昨年はどうだったか気になる物好きな方は、2009年12月24日のブログをご覧のほどを。

2009年12月24日のブログ

 懲りずに個人賞的なものを無理に作ろうとするなら、こんな感じ。
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年間MVP 柳家三三
 *「嶋千鳥沖津白浪」の三夜通し口演が最大の受賞理由
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最優秀新人賞
(入門十年目までが対象) 春風亭一之輔
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カムバック賞 桂小金治
 *説明の必要なし、でしょう。

 来年は、三三、一之輔の成長を継続して追って行きたい。また、遊雀を含め芸術協会の人をもっと聞いてみたいと思う。結構、もったいない人材を見逃しているような気がしている。そして、超若手では辰じんが二つ目になるだろうから、彼の独演会開催を期待したい。前座では今年ピカ一。今後も間違いなく彼は伸びるだろう。
 安心して古典の世界に浸れる“らくだ亭”にはできる限り足を運び、できれば、噺を肴に人形町で上手い酒を飲みたいと思っている。

 さぁ、大名跡の襲名問題や、未だに発表のない真打昇進者のことなども含め目の離せない落語の世界。来年も楽しい時間と空間の心のオアシスに数多く浸りたいと思うばかりである。
Commented by 創塁パパ at 2010-12-24 06:24 x
大阪です。今年最後の(笑)
いやあ、ご苦労様でした。これは大変な作業です。思い起こせば5月に初めてコメントをさせて頂きましが、あれからもう半年以上ですか。早いですな。
そして、私は小満んのみ聴いていますが、あの高座はすばらしかった。そして三三は聴いていないが「情熱大陸」で、そのすばらしさを垣間見ました。
来年も、よろしくお願いいたします(笑)

Commented by 小言幸兵衛 at 2010-12-24 08:53 x
お立寄りありがとうございます。
いやぁ、備忘録として始めたブログが、こういう時にはその役割を果たしてくれますね(笑)
まだ早いですが、来年もよろしくお願いします。

Commented by よかちょろ at 2010-12-24 14:07 x
こんにちは!
ベスト十席拝見しました。
文我師の会以外、
もののみごとに未見です。
それもこれも、そうワタシ、
立川流命だからでしょうか(^^ゞ
でも今年は他流派も聴いてみようと、
間口を広げるようになりました。
来年はさらに、
手づくり感のある小さな会や、
若手の会も観ておこうと思っています。
いつかどこかで、
お目にかかることもあるかもしれませんね~♪

Commented by 小言幸兵衛 at 2010-12-24 14:17 x
お立寄りありがとうございます。
立川流命、けっして非難していませんので、誤解なきよう^^
文我の小金治さんゲストの会は、来年もぜひとも行きたいと思っています。お会いできればいいですね。

Commented by 彗風月 at 2010-12-24 15:42 x
 はじめまして。彗風月と申します。以前よりブログを拝見させていただいておりましたが、改めてご挨拶を申し上げます。どうぞ宜しくお願い致します。今年度のベスト十席を拝見し、嬉しい思いと深い感動でいっぱいになっております。こんなにも真剣に自らの見た高座記録を解き明かし、キチンとした言葉に乗せて論評されたものを読むことが出来るのは、大変幸せなことだと思います。見巧者の健筆にお礼申し上げます。
 私は定席をふらりと覗くことが多く、残念ながら今十席には足を運んでおりませんが、登場している噺家さんには、自身でも注目している人がありますので、成る程、さもありなん、の感を強く持ちました。奇麗事な故に若さが線の細さと感じていた菊之丞・三三の両師が、最近とみに骨太な部分を見せ始めていることや、喜多八師の演目に入った瞬間からのギアの上がりっぷり、矢来町に益々似てきたと個人的には思う志ん輔師の佇まいなど、いずれも高座の様子が浮かぶようです。
 来年も是非素晴らしいブログを拝見させて下さい。楽しみに致しております。



 最後に大変失礼ながら私からも今年の2席を。
6/24 第546回紀伊国屋寄席 白酒「化物使い」
 *着々と評価を上げている白酒師の、勢いのある好高座。
12/3 末廣亭12月上席夜之部 世之介「堪忍袋」
 *あれ、この人はこんなに面白かったっけ、と見直した高座。

Commented by 小言幸兵衛 at 2010-12-24 16:14 x
お立寄りいただき、ありがとうございます。
また、過分なお褒めの言葉に恐縮するばかりです。
あくまで備忘録を見ながらの一人よがりの書きなぐりと思し召しください。
あまり期待されますと、つい“受け”を狙った他所行きの内容になる恐れもあり、それは小三治師匠が弟子達に伝える柳家の教えにも背くことになります^^
まぁ、気軽に読んでいただける内容を来年も書き続けていければ私自身の老化防止にもなるかと、そんな思いで無理をせず書きつらねていこうと思っております。
今後ともよろしくお付き合いの程を、お願い申し上げます。

Commented by 佐平次 at 2010-12-24 16:33 x
私の聴いた噺と三つ重なりましたよ。
いろいろ聴くことが出来るうちが花、せいぜい張り切っていきましょう。
今年はあとは明日の花形演芸会(駒次・兼好)、27日落語研究会(権太楼)、29日末広亭の権太楼です。
権ちゃんがんばれ!

Commented by 小言幸兵衛 at 2010-12-24 16:47 x
お立寄りありがとうございます。
まだ、年内三回も落語会に行かれるなんて、うらやましい限りです^^
重なった三つが何かは、想像すきますよ!
来年もよろしくお願いします。

Commented by ほめ・く at 2010-12-26 16:32 x
いやいや、大変な力作ですね。
多くの方からコメントが寄せられているのも、管理人さんの落語への情熱、愛情の故でしょう。
30日のにぎわい座が今年のラストですので、拙ブログの年間BESTは大晦日に掲載予定です。
今年活躍の目立った三三、白酒、兼好、一之輔の4人の更なる飛躍に期待したいと思います。

Commented by 小言幸兵衛 at 2010-12-26 18:30 x
お立寄りありがとうございます。
なんともお恥ずかしい限りの、自己採点プロセスの押し売りになってしまいました。
皆さん、それぞれ噺家の好みも通った落語会も違うのに、こんなにコメントをたくさんお寄せいただき、まったく恐縮しております。
三三、白酒、兼好、一之輔への期待、同感です。それに、菊六を含め、来年も彼ら若手がどう化けるかを見たいものだと思います。
ほめ・くさんのBEST、正月の酒の肴の楽しみとしてお待ちしております!

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by kogotokoubei | 2010-12-23 17:09 | 寄席・落語会 | Comments(10)

落語のことを中心に、ときたま小言や独り言。


by 小言幸兵衛