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通ごのみ 扇辰・白酒ふたり会 日本橋社会教育会館 9月17日

扇辰と白酒の二人会は初めてで期待していた。会場は昨年七月の「百兼今」以来である。しかし、この周囲には「らくだ亭」が開催される日本橋劇場もあり、たびたび訪れる。歩いていてあきない“江戸の香り”の漂う場所で、好きだ。
チケット完売でほぼ満席の会場。構成は次の通り。
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(開口一番 入船亭辰じん 『道灌』)
入船亭扇辰  『茄子娘』
桃月庵白酒  『抜け雀』
(仲入り)
桃月庵白酒  『寿限無』
入船亭扇辰  『阿武松』
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辰じん(18:46-19:01)
9月11日の国立演芸場以来だが、今日は少しだけ落ち着きがないように感じた。もしかすると、この後に師匠から大食漢であることでイジラレルのを事前に聞いて緊張していたのか・・・・・・。

扇辰『茄子娘』(19:02-19:23)
まず白酒について「楽屋が暑苦しい」「入門した時はあんなに太っていなかった」といった先制攻撃(?)で会場を沸かせた後、弟子辰じんが大食漢であるというエピソード。詳細は秘密だが、その食べ物ネタをマクラとして、師匠扇橋の十八番であるこのネタへ。扇辰では初めて聞いた。このネタも、ある意味で落語らしい噺。お坊さんと“茄子の精”との間に子どもが出来て・・・・・・サゲは地口。軽い寄席向きのネタだが、落語的なロマンチックさがあり好きだ。弟子扇じんに、まず茄子をたらふく食べさせてから稽古をつけ、入船亭の伝統を継承してもらおう。

白酒『抜け雀』(19:24-20:10)
扇辰の先制のジャブに切り返して、これまた会場が爆笑。今日の会場は、この二人をよく知る、タイトル通り“お通家”さんが多いようで、笑いのタイミングやその大きさも最後まで心地よかった。少しマクラの内容を暴露するが、師匠雲助と地方の落語会に同行した際のシクジリを披露していきながら、タクシーで移動中に主催者の方が「雲助師匠!」と言う度に運転手が嫌な顔をした、という話には笑えたし、本編にも上手く導入し感心した。事実かどうかは別にして、雲助一門だから使えるマクラ、といえるだろう。
本編は、旅館相模屋のオンボロぶりは若干志らくのパクリか、と思わせるところもあったが、この人ならではのセンスのあるクスグリも効果的で、このネタでこれだけ笑ったことはないかもしれない。

白酒『寿限無』(20:24-20:44)
一門の名前のユニークさというマクラで笑いをとり本編へ。この人は、このあたりの構成が実に上手い。そして、誰でも知っているネタで笑いをとるのは難しいのだが、そのへんも抜かりはない。特に学校で先生が出席をとるという場面のオリジナリティが秀逸。旬な政治家を登場させたところに、程よいブラックさもあり、前座噺でも噺家によってこう変わる、という見本のような内容。流石だ。

扇辰『阿武松』(20:45-21:18)
二つのネタのどちらをかけるか本当に迷っていたようで、会場の拍手で決める、という楽しい趣向。「少し笑えるネタか、あまり笑えないがいい話」の二択で、私も拍手した後者に決定し『阿武松』になったが、もう一つは何だったのだろう?
以前に相撲界の騒動について書いた際に、このネタの読み方が普及した功績(?)はあったと書いた。そして、たしかに“いい話”である。この噺そのものも相撲界の人たちに聞かせたいものだ。阿武松にとってタニマチである板橋の旦那(橘屋善兵衛)や親方の錣山のような存在は“理想”かもしれないが、見習うべき存在には違いない。扇辰の細い体が大きく見えた高座。これまた結構な高座。


時間配分もゆったりあり演者が焦ることもなく、会場の大きさ(小ささ)もちょうど良く、何より落語を愛するお客さんが多かったようで、高座と会場が一体となった良い落語会だった。主催者の皆さんの“手作り感”もあたたかな気持ちにさせてくれる。週末でもあり、軽く一杯ひっかけてから帰宅。こういう落語会の後の酒は、さすがに上手かった。
Commented by 佐平次 at 2010-09-18 09:28 x
いい落語会でしたね。
二人とも好きな噺家ですがたしかに白酒のギャグはセンスが光ります。
志ん輔がずっと「阿武松」を稽古しているのをブログでみていて聴きたくなりました。

Commented by 小言幸兵衛 at 2010-09-18 10:06 x
お立寄りありがとうございます。
そうなんですよ、志ん輔のブログで、さかんに稽古してましたよね、『阿武松』。志ん輔でも聞いてみたいと思いますね。
昨夜は、扇辰の古武士然とした風合いと、白酒の現代的なブラックな味わい、なかなか楽しい組み合わせでした。

Commented by 創塁パパ at 2010-09-19 09:57 x
おはようございます。私も伺いました(笑)本当に楽しい会でしたね。ただ私のとなりの中年が落ち着きなく辟易しました。どうやら「勘違いの評論家」のお友達一派の感じが(苦笑)
まあ、それを除いても大変いい会でした。ではまた。

Commented by 小言幸兵衛 at 2010-09-19 16:44 x
お立寄りありがとうございます。
あの「勘違い評論家」のお仲間のような人たち、たしかに見かけましたね(笑)
立川流をやたら褒め上げている人たちですね。談春の会に行くと必ずいますね、あの人たち。寄席で見かけたことはありません。
誰に入れ込んでもいいですが、頼みから落語会では普通に静かにしていて欲しいものです。

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by kogotokoubei | 2010-09-18 07:12 | 落語会 | Trackback | Comments(4)

あっちに行ったりこっちに来たり、いろんなことを書きなぐっております。


by 小言幸兵衛