国立演芸場 八月上席 8月9日
2010年 08月 09日
会場に入った途端、一階も二階もご年輩の団体さんがお弁当を広げている。
どうも、ややご高齢の方の同窓会の場となったようである。そのお客様が全体の三分の一位はいらっしゃっただろうか。まぁ、なかなか洒落た同窓会、とは言える。
次のような構成だった。
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(開口一番 春風亭ぽっぽ 『狸の札』)
春風亭一左 『幇間腹』
桂文雀 『八問答』
ダーク広春 マジック
三遊亭金時 『駒長』
柳家小満ん 『茗荷宿』
(中入り)
ホンキートンク 漫 才
宝井琴柳 講談『堀部安兵衛-抜き読み-』
翁家勝丸 曲 芸
春風亭一朝 『井戸の茶碗』
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ぽっぽ(12:45-12:59)
寄席の開口一番の始まる時間をご存じない団体のお客様が慌てて席につき、ロビーでの会話の続きでもしているのだろう、会場はぽっぽの噺が始まって五分程過ぎても、まだざわざわしていた。団体客の仲間の方が注意してくれて、ようやく落ち着いてから、あらためてぽっぽの噺に耳を傾けることができた。
出だしの騒々しさで、やや気が散ったこともあるのだろうが動揺することもなくしっかり噺を進め、特に後半はなかなかの出来。そろそろ“可愛いい”だけでなく、“上手い”の段階に入る兆しはある。
一左(13:00-13:17)
ちょっと強面のこの噺家さんは入門六年目の二つ目さん。初めてだが、正直な感想として、開口一番のぽっぽのほうが上である。もちろん、このネタのほうが難しい。しかし、その分だけネタの力を借りることもできるはずだ。もっと研鑽していただきましょう。
文雀(13:18-13:35)
楽しみにしていた一人だった歌奴の代演・・・・・・。歌奴を聞けなかったのは残念だが、これが寄席の常。この人は今年三月に真打昇進したばかりだが、昨年末廣亭で二つ目の笑生の時に聞いている。そして、ネタも同じ。これまた、寄席でよくあること。まぁ、この噺が十八番なのだろうし、なかなか珍しいネタなので続けて欲しくはあるが、次は別のネタに出会いたいものだ。
三遊亭金時(13:51-14:07)
この噺を15分で収めた構成の妙を含め、なかなかの高座だった。次の小満ん師匠のために縮めたように思う。以前に寄席で聞いた時はそれほど記憶に残ることはなかったが、今日はその芸達者ぶりを感じた。もしかするとこの人、周囲の評価が低すぎるのかもしれない。今後も少し気にしてみよう、と思わせた高座。
柳家小満ん(14:08-14:33)
茗荷の名の由来となった釈迦の弟子である周利槃特の逸話など、この人ならではの本寸法のマクラをふって本編へ進むのだが、そのマクラですでに“江戸”に誘ってくれる。あえて今日では他の噺家さんがあまり高座にかけない珍しい噺を選んでくれているような気がするが、小満ん落語を聞くと、「なぜ、もっとこの噺を他の噺家はかけないのか?」と思うことが多い。それが、まさに芸の力なのだと思う。今日はこの後に横浜にぎわい座で三三の会のゲストなので、もっと端折るかと思ったが、しっかりの高座。ちなみに、にぎわい座のほうは気がついた時には完売だった。
一朝(15:41-16:16)
マクラの大師匠林家彦六のエピソードが楽しかった。真似はそれほど似ていないのだが、雰囲気は十分に漂う。会場の“同窓会”のお客さんは寄席や落語会は初めての方が多かったようで、毎度おなじみの彦六逸話でも大爆笑。本編は、丁寧な語り口で、二人の侍を見事に演じ分け、正直清兵衛さんも、きっとこんな人だったのだろうと思わせてくれる。想定通りの心地よい後味。やはり、寄席には欠かせない師匠である
今日は国立演芸場が、浅草演芸ホール的な空間ではあったが、それだけ国立演芸場が定席として定着したということなのだろう。歌奴の休演は想定外だったが、金時の高座も想定外。コメントは書いていないが、ホンキートンクの漫才も琴柳師匠の講談も、そして勝丸の曲芸も楽しかった。休日の昼の寄席としては、十分に満足した3時間半だった。
明日記事に書きますが面白い企画でした。
でもそちらも良かったですね。
三三が「年枝の怪談」をやりましたがあれは横浜と神奈川をかけもちで出るところから始まるのですね。
半蔵門と横浜もあり?
渋いですね。私はこ子供と遊んでいて
一日が終わりました(笑)
歌奴は、一度聴いたことありますがうまいですよね。好きな噺家さんです。
小満ん師、一朝師も聴きたかったな。
「いっちょうけんめい」演ってましたか(笑)
「一朝けんめい!」は、もちろんです。
5日の「昔若庵」に続いての国立演芸場でしたが、客層がこれだけ違うとは・・・・・・。
それも、なかなか楽しい体験でしたが(笑)。
夏休みはお子さんが主役なので、なかなか大変ですね!