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噺の話

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月例三三独演 国立演芸場 7月14日

三月以来のこの会。2010年3月2日のブログ
プログラムの“ごあいさつ”に短くこうあった。

以前は苦手意識があった“柳家の滑稽噺”
最近はとてもいとおしくって・・・。
これも「独演~」での特訓の成果でしょうか。
よォし、今夜もやるぞー!


この言葉通りの会で、結構でした。
演者とネタは次の通り。
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(開口一番 柳亭市楽 『蝦蟇の油』)
柳家三三 『お菊の皿』
柳家三三 『粗忽長屋』      
(中入り)
柳家三三 『唐茄子屋政談』  
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市楽(19:00-19:25)
マクラは名古屋の大須演芸場でトリで地元の芸人さんと十日間の興行に出演していたエピソード。本人はネットで書かないでくれとお願いしていたが、正直なところ書くほどおもしろくなかった。内容的には可笑しいと思うエピソードもあるし、やや暴露的ブラックテイストもあるのだが、語りが度々の言い澱みなどでリズムが悪く笑いのツボをはずしている。本編ももう一つだった。酔った後の演出が平坦すぎる。二つ目にはちょっと厳しいかもしれないが、市朗の前座時代は大きな声でメリハリも良く将来を期待させた人。今日の体調のせいもあるかもしれないが、今後の一層の精進を期待。

三三『お菊の皿』(19:26-19:46)
プログラムにネタ出しの『粗忽長屋』と書かれていたので、一瞬「あれっ」という思いがあったが、そのちょっとした驚きを含め演出として良かった。『粗忽長屋』を30分以上はふくらませなかったということかもしれないが、結果として得した気分の一席。なるほど細身の体型を活かした幽霊役も“ニン”なことを再認識した。小朝や喬太郎のような派手さはないが、誰もがやや演出過剰気味になりがちな噺だけに“本寸法皿屋敷”といった存在感がある。

三三『粗忽長屋』(19:47-20:05)
中入りかと思ったお客さんが数人席を立ったが、緞帳が降りず恩田えりさんの三味線と「なんまいだ~」の節を挟んで再登場。志ん生を一瞬思い出させるこのネタならではのマクラをふって入った噺は、柳家の滑稽噺への意気込みを感じさせる結構な出来。なかでも兄いが浅草から長屋へ戻って十年間空き家の戸を「熊ぁ~、熊ぁ~」と叫びながら叩く、一方の熊はゆったり煙草をくゆらしながら「兄ィもそそっかしいや。しかし熊って野郎も早く返事すりゃあいいじゃねえか」と言いながら「う~ん、熊って俺か!?」と気づく、というクスグリが効いていた。何度か書いたこともあるが、ぜひ三三の滑稽噺を以前から聞きたかったので、20分にも満たない時間とはいえ、大いに満足。この人の奥の深さを感じた一席である。

三三『唐茄子屋政談』(20:16-20:55)
この噺は2008年8月1日の紀尾井ホールの独演会以来。その翌日に新百合ヶ丘で小朝のこのネタを聞き、その時は小朝に軍配を上げるようなブログを書いた。もちろんあれから二年、十分に熟成され完成度は上がっている。しかし、唯一残念なのが吉原田圃での回想場面。“やらずの雪”で花魁と鍋をつつきながらの会話シーンで徳三郎に「何か唄ってよ」と頼む花魁の願いを徳が「唄はできないんだ」と断わり、艶っぽい会話でつなぐのだが、唄わないまでも都都逸の一つもそろそろ入れて欲しいものだ。この人なら出来るはず。まぁ、この噺がネタ出しされていない“お楽しみ”ネタなので、聞けただけでも良しとすべきかもしれない。しかし、ぜひ今後チャレンジして欲しい。せっかく徳三郎はもちろん、叔父さん夫婦、田原町の親切なお兄さん、誓願寺店の親子などの登場人物それぞれが生き生きしていて頗る良い高座なので、どうしても勿体ないと思うのだ。現役ならさん喬、小朝、そしてかつての名人志ん朝に匹敵する噺にこしらえて欲しいと思うし、三三には出来ると思うからこその小言である。
2008年8月1日の三三の会についてのブログ
2008年8月2日の小朝の会についてのブログ

人情噺や政談ものの力量は辛口の落語ファンも認めるところだろう。今夜は柳家の十八番(オハコ)である滑稽噺でも、期待通りの高座を披露してくれた。そして、なかなかの機知を感じるのがネタ出しの手法。しばらく滑稽噺を主眼にしているのだろうが、配布されたチラシによると、すでにチケット完売の8月12日の会は『看板のピン』、9月16日は『弥次郎』、そして10月14日は『宗論』となっている。これらの噺にももちろん興味は沸くが、その相方にどんな“お楽しみ”ネタをぶつけようとしているのか、これまた大いに気になるではないか。『粗忽長屋』に『唐茄子~』ですぞ!「どちらかと言うと『唐茄子~』をネタ出しすべきじゃないの!?」、と思わせる。さて、お披露目された滑稽噺の相方としてどんな“お楽しみ”長講ネタを用意するのかを想像するのも楽しい。これが企画会社のアイデアなら、なかなかのセンスである。

チケットが取りにくいのも十分に理解できる会。会場の規模もほど良く、現在行われている独演会のシリーズ企画では最良の部類に入ると思う。間違っても算盤をはじいて1,000人規模のホールに変更しないでいただきたい。都合もチケット入手の可否も含め、すべては“縁”であり“運”である。さぁ、次回のご縁はいつになることやら。長く続けてもらい、年に二~三回でも足を運ぶことができれば、と思っている。
Commented by 佐平次 at 2010-07-16 09:36 x
好い会でしたね。
私は三三も好きですが独演会のキップを買うまでには至らなかったのです。
この記事を読んでちょっとそそられました。

Commented by 小言幸兵衛 at 2010-07-16 11:34 x
お立ち寄りありがとうございます。
三月の会はご本人が風邪気味で、聞いているほうがちょっと可愛そうになるような状況でしたが、今回は「当たり!」でした。
三三のチケットも本当に激戦になってきて、都合がつきそうになってネットを見たら「売切れ」ということが何度あったことか・・・・・・。
三席、二時間がこの独演会の基本のようです。そのうちお会いできて、終演後に一杯、なんてことになればいいですね!

Commented by 創塁パパ at 2010-07-16 15:11 x
おつかれさまです。暑いですね。
京都です。「祇園祭」なんてね。仕事です(笑)
三三の「滑稽噺」いいですね。彼の芸がどんどんひろがって
楽しみが増えますよね。昨日は私「池袋演芸場」でした(笑)

Commented by 小言幸兵衛 at 2010-07-16 16:30 x
遠くから(?)のお立ち寄りありがとうございます。
池袋で「佃祭」の翌日は「祇園祭」ですか(笑)。
神田お玉ケ池の次郎兵衛さんもびっくりの祭り好きですね!
三三は、まさに大きく飛躍している最中なのでしょうね。
お気をつけてお帰りください。

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by kogotokoubei | 2010-07-14 23:00 | 寄席・落語会 | Comments(4)

落語のことを中心に、ときたま小言や独り言。


by 小言幸兵衛