古今亭右朝 『締め込み』『百川』 (東海ラジオ「なごやか寄席」のCD)
2010年 07月 06日
HMV 古今亭右朝 『締め込み』『百川』
東海ラジオ開局50周年を記念して昨年から順次発売されている「なごやか寄席」の6月発売分にある右朝の高座二席を聴いた。
※「なごやか寄席」のことは4月26日のブログをご参照ください。
2010年4月26日のブログ
昭和63(1988)年6月21日中電ホールでの収録。一席目のマクラでも説明しているように、10日前まで東京の寄席四軒、計40日間に渡る真打昇進披露興行を終えてからの高座。なお、右朝は“昭和最後の真打”である。昭和23年11月2日生まれだから、当時39歳。
私は生の右朝の高座を知らない。しかし、かつてテレビ朝日で製作された「右朝の落語定席」(全76話)やMXテレビで制作された「東京落語図絵」のCSでの放送をケーブルテレビで結構な回数を見た。
※我が家の近くに住宅都市公団の高層住宅が出来たため、工事費が無料ということで加入したのがケーブルテレビ。見るコンテンツは、主に落語と昔懐かしのテレビドラマ。
これらの映像は50歳前後での収録だろうろ思うので、このCDよりも深みや味わいがある。しかし、この真打ホヤホヤの高座も決して悪くない。特に『締め込み』は語り口もテンポもリズムも心地良く、この人にはニンな噺だと思う。『百川』の方は百兵衛さんの例の「ウッヒョイ!」を、それほど田舎言葉としてデフォルメしていないので、聞く人によっては物足りなく感じるかもしれないが、丁寧な高座姿が偲ばれる貴重な記録である。前述したテレビの映像もそうだったが、この人の噺は“教科書”としても優れていると思う。本寸法でツボを外さないしっかりした落語。享年53歳とは、本当に惜しい。このCDを買ってまったく損はなかった。
ところで、「右朝の落語定席」のDVDあるいはCDをテレビ朝日は発売しないのだろうか・・・・・・。この全76話は、それこそ落語ファンにも落語入門仕立てのプロの勉強のためにも価値あるコンテンツだと思うのだ。いろいろしがらみがあるのかもしれないが、右朝という達者な噺家さんの労作がもっと世に出ることを期待したい。
右朝という噺家さんについてもっと知りたい方は、昨年彼の命日4月29日に書いたブログをご参照ください。
2009年4月29日のブログ
幸兵衛さんの、コメントを読んで絶対買います!!!
右朝師は、私もめぐり会えてません。しかし、同級生の高田文夫氏の
エッセイや志ん朝師のコメントなど、本当にいい噺家さんだったことを
聞いており、興味を持っていました。
おっしゃるとおり、聴きたい・見たいものほど遠いのですよね。
何とかならないのでしょうか?ならないのですよね。
でも、言い続けましょう。いつか、結びつきますから!!!
そうなんですよね、右朝のテレビ朝日やテレビ東京の映像資産、そしてNHKが持っている志ん朝師匠の膨大な(はずの)映像ライブラリーなど、国家的文化的財産(!?)を世に出さないメディアには本当に腹が立ちます。私も小言や要望をできる限り書き続けたいと思います。