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春風亭小朝独演会 横浜にぎわい座 昼の部 5月3日

にぎわい座では聞いたことがなかったので、久しぶりに小朝の会にやって来た。
玄関先のポスターには当日券も含め完売との案内。私が喬太郎とはん治の二人会の後で買った時も二階席しか空いていなかった。その時は、買うつもりではなかったが、「もしかして、にぎわい座の客の前なら期待してもいいかも・・・・・・」と思い衝動買いした。たしかに人気はまだ衰えていない。しかし、後述するが、あまりにもその人気が偏っている。
次のような構成だった。
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(開口一番 春風亭ぽっぽ 悋気の独楽)
春風亭小朝 猫の皿~七段目
(中入り)
春風亭小朝 こうもり~越路吹雪物語
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ぽっぽ(13:00-13:18)
昔(昭和30~40年代)なら、この噺は『喜撰小僧』のほうが多かったように思うが、さすがに「喜撰」という言葉も、サゲも通じない時代には「独楽」になるのだろう。昨年6月の末広亭の開口一番以来だが、可愛さだけではなく、芸も磨かれてきた。元女優として培ったものも生きているのだろう。将来は立川こはるとこの人が女流落語家でツートップを走るように思う。

小朝(『猫の皿』~『七段目』:13:19-13:52)
派手な着物と袴で登場。この姿は今までなら釈台を前に「源平」モノなどを演じるのがパターンなのだが、落語であった。最初のマクラから『猫の皿』が終わったのが13:34なので、たった15分。歌舞伎のマクラを5分間ほどふってたので正味の『七段目』所要時間が12分ほど。後から、こんな短い時間だったとはとても思えないほど、それそれの噺は素晴らしい。一席目は、茶店の主のキャラクターが秀逸。笑い方に見せる“狂気”めいた味は、喬太郎を思い出させた。
二席目は、まぁ十八番の歌舞伎のネタで、これまで何百回と演じてきているのだろう、若旦那と定吉の掛け合いも見事。ともかく、この人の芸のエッセンスを缶詰に詰め込んだ、そんな内容。トリネタが何か気になった。釈台があるんだろうか、それとも落語か・・・・・・と思いながら一服しに外へ。

小朝(『こうもり』~『越路吹雪物語』:14:04-14:40)
幕が開くと釈台。しかし今度は袴姿ではない。果して何か、と思ったらこういう構成だった。
新作落語や漫才の台本コンテストで受賞歴もある社会人落語家の微笑亭さん太さんの『こうもり』を、約10分で演じた。鶴や狸ではなく蝙蝠の恩返しというネタは、まぁまぁ楽しめたが、あまりにもトリネタとして軽すぎる。さて次は、と思ったら『越路吹雪物語』。25分ほど演じて緞帳が降りた。時間の短さと、中入り前も一度下げてから噺が続いたので、また緞帳が上がって何か演るのではないかと思っていたが、終演。


 お客さんは高齢の女性客が主流。そして、それを見越した構成なのだろう。BGMも用意されていたし。近くの席の連れ合って来られたであろうおば(ぁ)さん達は、中入り前で、コンパクトな小朝の落語のエッセンスに笑い、トリでは懐かしの越路吹雪の話や、中高年女性のツボをはずさない小噺でドッカンドッカンしていた。帰り際も「小朝はやっぱりうまいねぇ」と言いながらお帰りだった。これからおいしいお茶と和菓子でも食べに行くには、1時間40分の落語会は長すぎず体にもやさしいのであろう。

 しかし、何度も聞いた小噺で短いネタを2本つないだ後は、自分も関与した「六人の会」主催の新作落語台本コンテストの受賞者のネタと、自分の好みなのかもしれないが、どちらかと言うと客に媚びたと思われる作品で2時間にも満たない落語会を終わらせる“金髪の噺家”の姿に、「今日こそは、かつての小朝の姿が見られないものか」と駆けつけた私を唸らせるものは、何もなかった。せっかく中入り前の落語に、この人の芸の片鱗をかいま見た思いがあったので、残念でならない。中入り前で帰ったほうが印象は良かったかもしれない。「夜の部」だって午後4時開演で6時前にお開きなら、「宵の部」だろう。もしかすると、同じネタでの二回口演かもしれない。誰かがブログで書いてくれることを期待しよう。

 いつか、釈台を使わない、落語長講二席の独演会をするまでは、この人の会には行かなくてよさそうだ。力も技もある。しかし、このような余力たっぷりで、たまにしか寄席や落語会には来ないだろうと思われる平均年齢の高い客層の受けばかり狙った会にばかり出会うと、この人への未練のある落語ファンだって、そのうち足は確実に遠のくだろう。同じにぎわい座を満員にする志の輔、談春、喬太郎達に、いまさら「噺」で対抗するような気持ちは、サラサラないようだ。“省エネ落語会”であり、“ビジネスマン落語家”としての印象が、また強くなった。

 小朝が今日話した中で、「あの志ん朝師匠も高座に上がる前には緊張して、手のひらに人の字を書いて飲み込んだ。越路吹雪がステージに上がる時は、マネージャー役の岩谷時子さんが背中に虎の字を書いて背中を押してあげると緊張感がとれた」という内容が印象に残るのは、今日の落語会でそういった緊張感をご本人が感じたとは到底思えなかったからである。

「落語界の綾小路きみまろか、あんたは・・・・・・」と呟きながら、ゴールデンウィークでにぎわう桜木町の駅に向かっていた。帰りの電車賃がもったいなく思えた落語会は久しぶりだった。
Commented by yotaro-3 at 2010-05-03 22:39
同じ昼の部を2階の後ろの方で見ていました。ほぼ同じ感想でかなりガッカリして帰ってきました。会場をあとにする人にも「なんか物足りないね」と言っている人もいたので、意外に多くの人が同じような感想を持ったみたいです。
「本気の小朝」はいつ見れるんでしょうか。彼の口調で「慶安太平記」とかやったら格好イイと思うんですけどね。軽口叩くぐらいなら、家元が死ぬ前にいろいろ教わっておけばいいのに、とも思いました。

Commented by 小言幸兵衛 at 2010-05-04 08:52
へぇ~、yotaro-3さんも昨日いらっしゃったんですか。
そうですよねぇ、あれじゃガッカリです。
ご指摘の通りで釈台を使うネタでも「慶安太平記」なら、もう少しは楽しめたでしょう。
もし、この会がネタ出しされていたら、まず行かない構成でした。
家元が代議士の時には議員会館にまで押しかけて稽古をつけてもらったエネルギー
や情熱が、少しでも戻ることを気長に待つしかないかもしれませんね。
15才で入門したので、芸歴としては、もう燃え尽きてしまっても不思議ではない
ですが、まだ若い。私とほぼ同世代ということを考えると、安易な道に逃げずに、後輩を
ライバルとして戦って欲しいと思います。それが我々50歳台で人生の岐路を迎えた者
たちへのエールにもなるということを分かってほしいものです。

Commented by 佐平次 at 2010-05-06 07:55
あの追っかけおばさんたちをがっかりさせることに踏み切れるかが問われますね。
小満んとの会「噺の扉」あたりが突破口になるか!?

Commented by 小言幸兵衛 at 2010-05-06 08:33
たびたびのお立ち寄りありがとうございます。「追っかけおばさん」だったんですか!?
なるほど、そういえば以前に他の会場での小朝の会で見かけたご一行がいたように思います。
小満ん師匠との「噺の扉」は、おばさんに媚びた落語会によるマンネリ化を自ら絶つための企画なら、ぜひ今後に期待したいですが、あの“小朝ストーカー軍団”は、ある意味で強力な支援団体ですから、なかなか裏切れないでしょうね。いずれにしても、しばらくは小朝の会に行く気がなくなりました。
もっと、貴重な時間とお金を投資すべき“これから”の噺家さんは、たくさんいますからね。
よほどのことがない限り、小朝は“これまで”の人かと思います。

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by kogotokoubei | 2010-05-03 16:37 | 寄席・落語会 | Trackback | Comments(4)

あっちに行ったりこっちに来たり、いろんなことを書きなぐっております。


by 小言幸兵衛
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