素人芸能人の落語会への出演について
2010年 03月 30日
俳優の風間杜夫や月亭方正(山崎邦正)が出演する“有料”の落語会がある。共演者の“プロ”の落語家の名前で検索しスケジュールも都合がよくて一瞬チケット購入への食指が動くが、その横に彼ら素人芸能人落語家の名前が並んでいるので、「げっ!」となり断念する。
WOWOWで三三や遊雀といった落語家がお笑い芸能人に落語の稽古をつける企画があったが、これは稽古のプロセスが中心の番組なので、楽しめないこともない。
しかし、上述したお二人は、落語会への出演である。たしかに、風間杜夫は器用だし、『火焔太鼓』は“素人ばなれ”しているとは思う。しかし、“玄人”ではない。山崎邦正という人は、おおかたのイメージと違って頭も良く多彩な人のようだし、聞いたことはないが落語も素人としては上手いのだろう。でも、あくまで素人の余興なのだ。
私はこういった会に行こうと思わない。そして、共演する好みの落語家には、素人と付き合うそんな閑があったらまともな落語会や独演会にその貴重な時間を使って欲しいと思う。共演者には結構多忙な顔ぶれが並んでいるのだ。
「落語がそれだけ普及した証拠だから、いいじゃないか?」「彼らの落語を楽しみたいという客だっているだろう」という声もあろう。
しかし、落語ファンの大半は、当たり前だがプロの芸を楽しみたいのだ。素人が落語を披露するなら、仲間内で無料か、もし有料の会場を借りて演じるならその費用支援のカンパ程度でお願いしたい。
「落語映画だって落語素人の俳優さんが出演しているじゃないか」と指摘する人もいるかもしれないが、映画は落語会ではない。俳優は落語家のみならず、いろんな人物になりきって演じるのはあたりまえのことである。
「落語は一人芸だからいいじゃないか」という抗議もあるだろう。違うのだ。独演会ではなく落語会となって複数の出演者が登場するイベントは、プログラムそのものが素人出演者を意識した構成にならざるを得ない。だから、プロだけの落語会とは自ずと違った“空気”、ちがった“演出”になるし、座談会などが組まれれば間違いなく素人さんが中心になる。
私自身が気のあった仲間と行く旅行で、夕食後の余興に下手な落語を酒の勢いで演じるので、よく分かる。仲間うちだからいいんだよ。とてもとてもプロの落語の世界は奥が深い。あまり“図に乗る”のは野暮ってもんでさぁ。素人芝居だって、全員素人だったら結構。落語も全員素人の会なら、それはそれで楽しめる。先日、岐阜で2月に行われた“落語のインカレ”とでもいうべき安楽庵策伝大賞をBSで見たが、なかなか面白かった。しかし、彼ら彼女たちが精一杯奮闘する姿にスポーツにも似た見どころがあるのであって、今後プロの道に入って大成しそうな素材は何人かいるにしても、芸はやはり“おちけん”のそれなのである。
素人芸能人落語家の方々、プロと一緒に落語を演じるその「勇気」は認めましょう。しかし、度が過ぎた「稚気」を私は認めない。どうぞ、仲間内で酒の肴におやんなさい。
プロの落語を聴くことに慣れていると
ふだんは意識することもないですが、結局のところ、
客は芸と覚悟を見に行っているのであり、
それこそが対価を支払う前提条件なのではないでしょうか。
山崎邦正は一応月亭八方に入門していますが、
お笑いタレントとの兼業だから、素人と変わらないですね。
j_i_k_a_nさんも高円寺にいらっしゃったんですね。
あの対談、良かったですね。
さて、素人芸能人さんの件。あえてポジティブに考え、
落語の普及という意味では多少は貢献しているかもしれません。
しかし、ご指摘の通りで、その芸でのみ勝負する噺家だからこそ
対価を払うというのは、ごもっともです。月亭xxの名の出る
落語会が増えており、困ったものです。
