いちのすけえん 春の段 内幸町ホール 3月26日
2010年 03月 26日
演者とネタ。
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(開口一番 春風亭一力 『たらちね』)
春風亭一之輔 『花見の仇討』
(中入り)
伊藤夢葉 奇術
春風亭一之輔 『抜け雀』
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一力(19:00-19:17)
青々とした丸刈りが妙に似合う昨年入門したばかりの前座さん。どこか不思議な魅力がありそうなのだが、まだこれから。がんばってもらいましょう。
一之輔『花見の仇討』(19:18-20:01)
学校寄席の話を中心にマクラが17分。工業高校の男子生徒、女子高生といった観客を前にした苦労話もそれなりに楽しかったが、その分、約25分になった本編にしわ寄せがあった印象。3月5日横浜にぎわい座での兼好のこの噺がすこぶる良かったので、どうしても比較してしまった。兼好と本編に要した時間はそんなに違わないのだが、その出来栄えと会場の反応には少し大きな差がある。やはり一人一人のキャラクターの描き方がその大きな違い、あえて言えば二つ目と真打の差でもあるのかもしれない。長屋の友人四人が全員一之輔なのだ、まだ。六部役がおじさんの家で酔いつぶれるシーンなどは、もっとこの人なら弾けていいと思う。この人にしては少し淡白だった印象。
一之輔『抜け雀』(20:38-21:12)
短いマクラで雲助、駕篭かきのことを説明して本編へ。無難な出来なのだが、どうも今ひとつしっくりこない。ネタ出ししてあるぶん、もう一席よりは完成度は高いのだが、こっちの期待が高すぎるのだろうか・・・・・・。相模屋の夫婦の会話なども、もっと盛り上げられるように思うし、絵師の演出もまだまだ工夫ができるはず。教科書的には問題ないだろうが、芸としては、まだまだ先を期待する。
まだ二つ目、三十を過ぎたばかりということは十分承知しているのだが、この人にはもっともっと上を期待してしまう。持ち味のダイナミックさが今日の二席ではあまり感じられなかった。過渡期なのだろう。「上手く」演じようと思ってはいないのだろうが、そうしているように感じる。もっとクサくていいと思う。弾ける時でも遠慮している印象。
来年からは日暮里サニーホールの独演会(真一文字の会)も含めて毎月この会場で行うことになったとのこと。オフィスM'sさんが後押ししているのだろう。本人は「大丈夫でしょうか・・・・・・」とか「ちょっとバブルで」とか謙遜していたが、この会場を平日でも満席にする力と人気はある。ただし、「上手い」だけの一之輔を彼の客は求めていないはずだ。もっとスリリングで骨太の噺家になって欲しい。白酒や兼好に負けない毒も持って欲しいし、遊雀に負けずに弾けても欲しい。一朝師匠の弟子であっても芸風まで似る必要はない。もっともっと彼ならではの噺家像を目指して欲しい。その力は間違いなく持っている。
