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桃太郎・鯉昇 二人会 内幸町ホール 9月8日

「らくだ亭」の第23回目は、サブタイトル“脱力系爆笑競演”と銘打たれて、このお二人。最近は独自の古典に挑戦していると噂の桃太郎と、今もっとも個人的に贔屓の鯉昇の組合わせに魅かれた。
演者とネタは次の通り。
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(開口一番 昔昔亭A太郎 たらちね)
昔昔亭桃太郎  裕次郎物語
瀧川鯉昇     蒟蒻問答
(仲入り)
瀧川鯉昇     ちりとてちん
昔昔亭桃太郎  寝  床
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A太郎(19:00-19:13)
後で師匠桃太郎のマクラで判明したが、大学でフットボールをしていたとのこと。なるほど体育会系で、まあまあのイケメンでもある。話しぶりは前座らしく大きな声ではあるが、インドア系の多い落語界で、さてどこまでいけるか今後に期待しましょう。

桃太郎『裕次郎物語』(19:14-19:36)
まずは定番ネタ。とはいえ途中にはさんだ芸協イジリのネタで、かつて新宿厚生年金会館の楽屋で志ん朝に浅草で演ったこのネタを誉められた(志ん生が大の裕次郎とプレスリーファンだった!)が、隣にいた米丸(当時芸協会長)が、「誉められていい気になるなよ」と冷や水を浴びせた、という話はご本人曰く初披露とのこと(?)。加えて、師匠柳昇から「誰のファンだ?」と聞かれ「裕次郎です」と答えたところ「お前は弱虫だから強い者に憧れるんだ」というネタを含め「落語協会は志ん朝師匠でさえ若い者を誉めて伸ばそうとするが、芸協は・・・・・・」という筋書きだが、今はどうなんだろうと思ってしまった。

鯉昇『蒟蒻問答』(19:37-20:12)
いつものごとく高座に坐ってからの何とも言えない間が、まず笑いを誘い出す。黙っていて自分の空間を作り出すという意味では、今日稀有な噺家さんだ。お決まりのマクラも、何度聞いても笑える。六月の神奈川県民ホールでの一席目もこのネタだったことを思い出した。生でなければ楽しさを味わえない落語の代表格。やや後半は急ぎ足であったが、“初鯉昇”のお客さんも多かったろうし、それを意識したネタで、「ご挨拶」代わりという感じ。少し余力があったように感じたので、二席目が逆に楽しみになった。

鯉昇『ちりとてちん』(20:27-20:57)
なるほど、これで来たか!という感じ。何度も書いているが、この人に食べる仕草のあるネタをやらせたら、ちょっと右に出る者は今いないと思う。そして、このネタは“鯉昇食べ物ネタオンパレード”とでも言うべきもので、ともかく独自のクスグリを含め会場は爆笑の連続。ネタが分かっていても笑える、という典型である。いろんな意味で、桃太郎は相当このネタを意識して次のトリを迎えたはずだ。

桃太郎『寝床』(20:58-21:35)
ともかく後半は涙を流して笑い続けていた。鯉昇を十分に意識した“食べ物”シーンの連続技や、長屋の住人や使用人のみなならず、高田文夫、犬、猫、鼠、はては蛇まで旦那の義太夫から逃げ出すという設定や、それぞれの逃走方法の意外性に会場も私も爆笑するしかなかった。初めて聞く桃太郎版古典だったが、期待以上というか、何か“革命”的なものを感じた。


鯉昇の二席が桃太郎の『寝床』に結果として喰われたようにも見えるが、鯉昇を程よく意識した結果の『寝床』であったとも言える。もちろん、どちらも十分に楽しませてもらった。桃太郎は11月に、さん喬・権太楼との長講三人会で『らくだ』を演る予定だが、「もう頭では覚えちゃった。でも稽古はまったくしていない」と言ってのける。この人の可能性は、今大きく広がっているような気がする。

七回忌を迎えた柳昇の門下である今日のお二人や昇太など、古典でも新作でも何か革新的というか「他の噺家とは違うぞ」という強い意志と際立った個性を感じることができて、非常に楽しい。間違いなく落語協会に堂々と対抗できる芸協の“リーサル・ウェポン”(春風亭百栄が鯉昇を喩えた言葉!)と言えるだろう。
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by kogotokoubei | 2009-09-08 23:30 | 寄席・落語会 | Trackback | Comments(0)

あっちに行ったりこっちに来たり、いろんなことを書きなぐっております。


by 小言幸兵衛
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