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桂雀々・立川談春 二人会 国立演芸場 9月2日

この組み合わせは興味があった。とにかく雀々の会には行こうと思いつつこれまで都合が合わなかったし、談春は六月の喬太郎との二人会で相対比較すると喬太郎に軍配を上げざるを得ない内容だったので、枝雀一門との二人会ならどうなるかという期待もあった。会場はほぼ満員。次のような演目だった。
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雀々・談春  ごあいさつ&対談
雀々      田楽喰い(寄合酒)
談春      三軒長屋
雀々      夢八
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ごあいさつ&対談(18:35-18:57)
とにかく楽しいオープニングだった。特に、雀々の師匠だった枝雀のエピソードや立川流の上方への大胆な進出ぶり、談志家元と米朝一門との奇縁など楽しい“雑談”を楽屋で聴いている雰囲気。内幸町ホールは千代田区にあるのに米朝事務所はフリーパスと談春が突っ込めば、雀々も負けずに上方で一日三回同じネタで勝負する志の輔のことを、「考えられない」といじる。もちろん談春は、「志の輔アニさんはパルコで一ヶ月同じネタで満員になる」と返す。たしかに、同じネタを繰り返すあのやり方は上方では考えられないだろう。枝雀と談志家元の病気のことも二人は笑い話にするが、さすが弟子であり噺家なのだ。そこには、師匠への思いも十分に伝わっている。二人は場内の時計を見て慌てて切り上げたが、もう少し聞きたかった程であった。

雀々『田楽喰い』(18:58-19:18)
ネタは『寄合酒』としたいところだが、昨今の『寄合酒』では肝腎な「ん廻し」をほとんど演じないことと、この名か、そのまま『ん廻し』とする上方流呼称を尊重。さすがに火事で半鐘の「じゃんじゃん」で田楽を稼ぐところまでは演らなかったが「ん廻し」の可笑しさは十分に披露した。テレビで雀々にはよく出会っていたが、初めての生は迫力が違う。前座噺でここまで会場を沸かす技量は、並大抵ではない。談春への刺激になったことは間違いない。

談春(19:20-20:08)
今年2月14日の麻生市民館で聞いた内容から少し演出が変わっていたが、時間を少し詰めるためと、談春落語が生きていることの証だろう。オープニングの対談では「一時間も演りませんよ」と言っていたが、約五十分。対談が長引いた分だけカットしたような印象。途中の辰のべらんめい調の言い立て風の部分を含め、ほぼ期待通りなのだが、談春の場合はこの位は当たり前と思われているだろう。次に聞く時にはもう少し“緩急”というか、“奥行き”のような何かが欲しい、という贅沢な感想を持った。やや印象が“平坦”なのだ。雀々は、テレビと生では、ライブの凄さ、可笑しさが際立つのだが、果たしてこの『三軒長屋』はテレビと生でどれほど差があるだろう、という妙な思いで聞いていた。もちろん、ライブと放送を比べようもないのだが、“安定”とか“上手さ”というキーワードだけでなく、“意外”とか“劇的”という表現をつけられる談春の高座にも出会いたいし、そういった力量はもちろんある人だ。出来はもちろん良いし、流石と思わせる部分もいくつもあった。しかし、もっとこの人には期待してしまう。本寸法を極めようとして、今後次第に枯れていき、最後に円生のようになることを彼のファンは願ってはいないはず。誰でもない、「談春落語」を期待しているのだ。

雀々『夢八』(20:20-20:50)
これぞ上方、と言えるネタで会場は沸いた。とにかく騒々しいネタだが、主人公の夢見八兵衛の体を張った演技と「伊勢音頭」の熱唱。サゲは時間の関係もあるのだろうやや端折ったが、それでも雀々ワールドを堪能した。落語でしかありえない不気味かつ荒唐無稽、そしてオカルト的な噺なのだが、これだけやかましく、そして可笑しく演じられると、「どうも参りました」と素直に頭を下げたい思い。


談春も十分に持ち味を出したが、ホストである雀々の上方、いや枝雀一門ならではの二席は強烈だった。しかし、どちらが勝ったか、という思いにさせる二人会ではなく、東京と上方どちらもいいでしょう、と印象づける見事な二人会だったように思う。今年はできる限り上方落語を聞こうと思っているが、今のところ、今日の雀々が私の中ではダントツである。東京では権太楼師匠、そして直系ではこの人が、もっとも枝雀のDNAを今に伝えているかもしれない。二人会、次の相手は志らくとのこと。談春には、雀々(枝雀一門)との交流で、次のステップに進むきっかけになることを願っている。

米朝事務所については、6月19日に新百合ヶ丘駅前の麻生市民館で開催された三三・吉弥ふたり会の感想で少し苦言を呈したが、これだけたっぷり演ってもらえるなら文句はない。12月4日(金)にはその麻生市民館で「桂枝雀生誕70年記念落語会」が予定されている。米朝師匠に春団治師匠、そして南光に加えて雀々も出演予定だ。なんとかやりくりして行きたいものである。やはり、枝雀一門は良いのだ。
Commented by home-9(ほめ・く) at 2009-09-21 10:19
これは私だけの印象かも知れませんが、談春の高座というのは独演会では良さが出るのですが、どうも他の共演者がいる落語会ではイマイチで、特に二人会となると失望することが多いように思えます。
相手が市馬や喬太郎あたりになると、むしろ格の違いさえ感じてしまいます。
この人はマイペースでないと調子が出ない、そういうタイプなのかなあと思ってしまいます。
あるいは周囲の期待が大き過ぎるのかも知れませんね。

Commented by 小言幸兵衛 at 2009-09-21 11:00
 コメントありがとうございます。まったく同感です。『赤めだか』
を読んでも感じますが、この人は実は見かけや言動と裏腹で
繊細な神経の持ち主だと思います。持ち味が違うのだから、
堂々と自分の落語をしたらいいと思うんですが、二人会や
複数出演する落語会では、やや精彩を欠くが多い。
 たしかに周囲も過剰な評価をしていることもありますね。
まだ、四十三歳。あえて言えば、今もがいた後を楽しみに
したいですね。しばらくはこの人の落語会に行くのはほどほど
にしようと思っています。もちろんチケットも取りにくいですしね。
二三年後に期待します。

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by kogotokoubei | 2009-09-02 22:55 | 寄席・落語会 | Trackback | Comments(2)

あっちに行ったりこっちに来たり、いろんなことを書きなぐっております。


by 小言幸兵衛
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