『江戸落語の舞台を歩く』 河合昌次
2009年 06月 01日

河合昌次_江戸落語の舞台を歩く
落語ファンの多くがお世話になっていると思われるサイト「落語の舞台を歩く」を運営している河合昌次さんが、なんとも素晴らしい本を出してくれた。
利き酒会の主催も長らく行われており、「吟醸の館」というサイトを構築されている。落語ファンにも「吟醸」さんとして知られているはず。落語一話ごとに現地を詳細に踏査され、現在の写真や江戸時代の地図なども含めた綿密な情報が掲載されている。私は、知らない落語やその舞台を調べる時は、まずこのサイトを参照させていただいている。
吟醸の館_落語の舞台を歩く
このサイトでは、すでに170話を越える落語の紹介をされているのだが、本書では、その舞台を10の主だった江戸の地域ごとに章を区切り、落語ゆかりの場所を、写真や地図なども交え、懇切丁寧に紹介してくれている。落語ファンがそれぞれのコースを実際に辿ってみるための、素晴らしいガイドブックにもなっている。そして、最終章は「黄金餅」スペシャルとも言うべきもので、古今亭志ん生で有名な道中言い立ての道筋を、現在の地図上に昔の地名を付加して説明してくれる。
最初の落語体験が小学校の時、NHKスタジオで先代の三遊亭金馬と初代の桂小文治だったという河合さんである。同類の落語の舞台を紹介する本は他にもあるが、その情報の質と量はもちろん、落語とその舞台を愛し落語ファンの心を知り尽くした著者の心やさしい文章は、他の比ではない。図や写真、地図が大きく見やすいので、本当にこの本を持って散策に行こうと思わせてくれる。
そして紹介されている落語81話が、これまた「吟醸さん」ならではであり、各地域の代表的な噺が網羅されているのは当たり前だが、今日我々が聞くことの少ない次のような噺が含まれている。
-------------------各コースで紹介される珍しいネタと噺家----------------------
□浅草コース:『白浪看板』(三遊亭圓生)、『ぼんぼん唄』(古今亭志ん生)
□日本橋コース:『派手彦』(三遊亭円生)、『四つ目屋』(古今亭志ん生)
□両国・門前仲町コース:『開帳の雪隠』(三遊亭円生)、『名月八幡祭り』(三遊亭円生)
□亀戸天神コース:『怪談・阿三の森』(古今亭志ん生)
□上野コース:『ねぎまの殿様』(古今亭今輔)
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などなど。
こういった噺が今日聞かれなくなった理由の一つは、河合さんがご指摘される通り、「江戸時代の地名も、諸事情で判らなくなったり、消滅したり」していることにある。市町村の合併やら統合やらで、昔なつかしい地名が消えていく傾向は加速している。日本人として旧き昔の地名消滅は、世界遺産に落書きするのと同様の歴史への冒涜だと思うのだが・・・・・・。歴史的な名称は、行政が変更を禁じるような対策が本当は必要なはずである。
だから、なおさら河合さんの地道な活動と、本書の発行が涙が出る位うれしいのだ。
最近、「二番煎じ」「三番煎じ」の本を読んで落胆していた私には、まさに一服の清涼剤であった。
河合さん、素晴らしい贈り物をありがとうございます。
ナメクジ長屋、本所割下水の位置がわかり大変参考になりました。
今後とも宜しくお願い致します。
取り敢えず御礼まで。
業平をいう駅名がなくなったことで東武をうらんでいます^^
割下水跡は江戸東京博物館の近くでしたよね。
古地図とこの本を持って散策すると、時間がいくらあっても足りないのですよ。
今後も気軽にお立ち寄りください。
