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睦会 扇遊・鯉昇・喜多八 横浜にぎわい座 5月7日

1月以来のにぎわい座の睦会。会場は七分の入り。連休明けの平日、こんなものだろうか。しかし、この三人ならもっと入ってよさそうだと、前回も思ったなぁ。
演目は次の通り。

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(開口一番 林家はな平 初天神)
入船亭扇遊  道灌
瀧川鯉昇   ちりとてちん
(仲入り)
柳家喜多八  百川
入船亭扇遊  引越しの夢
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はな平(19:00-19:14)
初めてなのだが、どこか気になる前座さんだ。団子の蜜を舐めるシーンなど、なかなかのものである。後は、バサバサの髪の毛をなんとかして、自分の師匠(正蔵)以外からもどんどん吸収して欲しい、と願う。

扇遊『道灌』(19:15-19:34)
開口一番のはな平が喜多八と同じ学習院卒であり、正蔵門下という話から、初代三平の思い出話に。マクラで何度か聞いているが、いつ聞いても楽しい。昨年のまったく同じ日も扇遊が二席で『人形買い』と『佃祭』だった。さて今夜の一席目は何かと期待していると、まさかまさかの『道灌』である。後で喜多八が「扇遊兄いは風邪気味で」とフォローしていたように、少し鼻声ではあったが、扇遊のこの噺には決して手を抜いた、という印象がない。何と言っても八五郎の顔の表情による演出などは素晴らしく、前座噺で流石と思わせる力量を魅せてくれた。

瀧川鯉昇(19:35-20:13)
いつも通りの雰囲気から、独特のエスプリ溢れるマクラが楽しい。本編は、なんと『酢豆腐』の上方あるいは柳家のバージョンであるこの噺。しかし、いいんだなぁ。『時そば』で顕著なように、この人は食べる仕草のある噺が滅法楽しい。『酢豆腐』よりもこっちのほうが持ち味が出せることを、よくご存知なのであろう。出される酒肴すべてに感動してお世辞を言ってくれるのが太兵衛さん、見栄っ張りで最後に「ちりとてちん」を食べさせられる役を熊さんで演じたが、前半の太兵衛さんのクスグリが何ともいえない。”灘の生一本”には「こんなものが実在するんですか?」と応じ、”鯛の刺身”には「あるんですか、日本に?!」、”鰻”に至っては「こういうものがあるということは、聞いたことはありますが・・・・・・」と対応してくれる。中でも、「今日の日記に書き切れない」には目一杯笑った。

喜多八(20:24-21:04)
マクラでの「この三人はただ飲みたいだけ」的なフリから、「今日は扇遊兄いが風邪で飲み会には出ずに帰るというから鯉昇兄いと二人でみっちり呑むつもり。だいたい扇遊兄いは飲むと江戸っ子ぶるからいけない」「江戸っ子といっても熱海生まれの江戸っ子だけど」という話は、やはり三人で飲みたい、というラブコールに聞こえた。江戸っ子→祭り、という自然な流れで本編へ。喜多八の「百兵衛」、なかなかいい。お約束の「ウッヒョイ」もいいが、一つのヤマである「慈姑のきんとん」を飲み込む場面は、さすがにCDでは伝わらない。サゲも(オリジナルかどうかは不明だが)工夫されていた。この人、どんどん十八番(オハコ)を増やしている、そんな気がする。

扇遊『引越しの夢』(21:05-21:25)
特に喜多八のマクラに触れることもなく、「もう九時五分ですね」といううフリから、これは短いなと思ったが、20分で仕上げたこの噺の中身は濃いし、後半は笑いの連続であった。上方では『口入れ屋』というこの噺、生では初めてだったが、ライブで楽しみが倍増するネタであった。最後の釣り棚(ねずみ入らず)を担ぐ番頭と第二番頭、井戸に落ちた小僧の松蔵の三人の仕草は音声だけではわからない。さすが、である。体調が悪くても結果を出すプロの技を見る思いだった。

今日は、鯉昇、喜多八のお二人はニンなネタをたっぷりと、持ち味を十分に発揮して演じ、トリの扇遊は短い噺ながらも二席、いぶし銀の技で魅せてくれた。
帰り際に次回の睦会が9月1日開催に決まったというチラシが配られていた。都合がつくようなら販売開始の8月1日には申込むつもりだ。
この会は、仲の良い(はず?)三人の個性が光り、それぞれが相応しい噺を演じることで、落語の魅力がびっしり凝縮された贅沢な時間を提供してくれる。いつか、各自一席として、余興で三人の鼎談なども期待したいものだ。
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by kogotokoubei | 2009-05-07 23:16 | 落語会 | Trackback | Comments(0)

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by 小言幸兵衛