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立川談春独演会 麻生市民館 2月14日

同じ会場で昨年3月12日は平日夜でもあり若干の空席もあったが、さすが土曜日の開催、事前にチケット完売。実際に1000名入る会場がほぼ埋まっていた。
演目は次の通り。

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(開口一番 立川春太  饅頭こわい)
立川談春  マクラ(オフレコ25分)と寝床
(仲入り)
立川談春  三軒長屋
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春太(18:00-18:13)
入門三年目としては、テンポも良く先が楽しみ。ただし、確かに会場の笑いはとれていないので、この後で師匠から「春の陽気なのに会場を冬にした、木枯らしのようだ」といじられていた。でも今日の会場は必ずしもご近所の演芸ファンばかりではなく、結構遠方からも馳せ参じた若い談春ファンも多かったと思うので、地域寄席的な笑いを期待するのは難しかったのだろうと察する。

談春(18:14-19:13)
「おかげさまでチケット完売だそうで、多摩川も制したか(笑)。次の目標は平日の夜で完売か」と、昨年を思い出しながらのコメントから。「なぜ照明を暗くしているか。それはメモを取らせないため(笑)」という気持ちは分からないでもないが、これは暗すぎである。この件は後述。とにかく25分のマクラが笑えた。しかし、内容は約束通りオフレコ。残った時間で何を繰り出すかと思ったら『寝床』。さすがに通しではできず、元番頭が味わった、旦那とのサシの義太夫攻撃による逸話で「上」としてサゲたが、談春版『寝床』の片鱗は十分うかがえた。長屋の店子や奉公人が、なぜ旦那の義太夫の会に出れないかを、それぞれ苦心した゛うそ゛で説明する茂蔵が生き生きとしている。また、このサゲ方は、いわば志ん生スタイルともいえるものなので、必ずしも定吉が登場してサゲるまで演じなくてもいいとは思うのだが、談春は通しも志ん生スタイルも両方演じるのだろうか。もちろん、通しでも聞きたいものだ。

談春(19:27-20:27)
マクラなく本編へ。黒紋付での登場に、一瞬「妾馬か?」と思ったがうれしい勘違いとなった。テレビでは見たことがあったが、生では初の『三軒長屋』である。あっと言う間の1時間であった。技術論的なことを素人がダラダラと書きたくはないのだが、やはりその巧さが印象に残る。例えば、人が出入りする際のカミ・シモのさりげない瞬時の切り替えである。これは、そのテクニックが重要と言うより、それによって噺の流れが切れず、かつ会話のメリハリが出るということが重要なのだと思う。伊勢勘が妾の家に来た後の妾と伊勢勘の会話、鳶頭が楠木先生宅へ出向いた際の内緒話における仕草などが心憎い。また、男勝りであっても「小またの切れ上がった」いい女である姐さんが、しばらく振りで帰ってきた夫の鳶頭に留守の間の出来事を聞かせるくだりで、聞こえよがしに「隣の妾がねぇ~」と大声でリフレインするところが笑えた。本人が終演後に語っていたように、こういう噺が好きなんだと思う。そして聞く側も好きなのである。

堀井憲一郎さんの著作『青い空、白い雲、しゅーっという落語』に収録されたインタビューの中で、談春は次のようなことを言っている。
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人物描写とかね、情景描写とか性格付けとかそんな大きなところじゃないン。
強いて言えばね、聞いてて気持いいかどうかなんです。気持よくしてあげる
ポイント。それは筋に関係ない。ここをこう押さえるとうまく聞こえるとこがあって、
それは音とか流れなの。
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『寝床』での茂蔵と旦那とのリズミカルな楽しい問答、『三軒長屋』では鳶頭の家の二階で喧嘩が始まる前の辰による道中言い立てのような長広舌の飽きさせないテンポ、そういった部分に、「うまく聞こえる」という言葉を思い出させた。しかし、それは上っ面な技巧ではもちろんなく、その落語の勘どころはどこか探し続ける努力と鍛錬がなければ出来ない「芸」なのであろう。

実は、まだ目が充血している。久しぶりに一緒に行った連れ合いも「目が痛い」と言っており、間違いなくこれは会場の照明の問題だと思うのだ。会場が暗すぎて舞台が明るすぎる、という状況で観客は目を凝らして見つめているうちに目が大いに疲労してしまうのだと思う。これは暗い部屋でテレビのアニメを見た時の子供への影響と近いのではなかろうか。今後、メモはご指摘通り極力控えて、できるだけバレないように取りますので、できれば会場の照明はもう少し明るくしてください、と切にお願いする次第である。

「来年は、そろそろ『居残り~』かな?」などと思いながら、つかの間の春の暖かさから冬に戻りかけた外の冷気の中、新百合ヶ丘駅に向かった。
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by kogotokoubei | 2009-02-14 21:51 | 寄席・落語会 | Trackback | Comments(0)

あっちに行ったりこっちに来たり、いろんなことを書きなぐっております。


by 小言幸兵衛
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