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喜多八・文左衛門・白酒 ビクター落語会 10月25日

どうも、私が来れるのはこれが最後かもしれない、三田の仏教伝道センターでの第25回目の落語会である。まずは、ネタから。
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柳家小ぞう      初天神
桃月庵白酒      短命
橘屋文左衛門    試し酒
(仲入り)
柳屋喜多八     文七元結
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小ぞうさん、聞く度に間違いなく達者になっている。今後に期待、という常套句であるが声援を送りたい。

桃月庵白酒(13:50-14:30)
マクラがますます冴えてきた、ということは、芸の懐が深くなったということかと思う。
時局ネタでは、「メラミンって響きが健康に良さそう。メラミン、セサミン・・・・・・」あたりから、「ビクターさんは本当にカットしないから・・・・・・」と言いながら、都内の寄席の惨状を言いよどんでいながら、鈴本の「ラブシート」ネタをふって本編へ。これは、ビクターが本当にカットしないから「ここだけの話」ができないのだろう、と理解。もちろん難しいのだろう、ライブのどこをカットするかといった編集の判断、感性は。しかし、ノーカットでDVD化されることを承知では、さすがに際どいネタは自主規制するだろう。一番楽なのがノーカット。しかし、それでは、゛生゛で゛ライブ゛で味わった者とDVDの購入者と「情報量」としては一緒になる。それは違うと思いますよ、ビクターさん。(でも、これは、配布されたチラシを見て、終演後にスタッフの方にお聞きしたひとまずこの会が終了する、という話を聞く前の感想。ビクターさん、これからも頑張って!)
さて、白酒師の熱演、特に感心したのは「くやみ」の芸。『寿限無』でのくやみを見事に演じたご隠居、それに呼応する八五郎の「たらちねでもできる?」の間が良かった。この人は「長生きも芸のうち」という観点では、ぜひ少しダイエットしてもらい、長く楽しませて欲しい。

橘屋文左衛門(14:30-15:05)
マクラは白酒師のマクラを少しいただいて「ダウ平均株価」から。「麻生首相がホテルのバーで飲んで何が悪い?」「ホテルのバーって、そんなに安いのかな、行ったことないけど、ホッピーでも呑んでるの?」など、まぁまぁの乗りだが、この人は、聞く度に゛二日酔い゛という言い訳が気になる。ラジオデイズの時は、そんな話をしながら今日の喜多八師匠の大ネタ『文七元結』を1時間近く熱演し、なかなかであったが。そういう噺家だから、今日のネタは「ニン」であった・・・・・・。
久蔵が呑む酒の二升目あたりから酒の匂いがしてきたことから、今日の出来が分かるというもの。一升目の飲みっぷりで会場から拍手が沸き起こった。いわゆる「ふら」がある人なのだが、まだ壁を突破するまでには至らない、という印象。好きな噺家さんなので、ぜひ、一皮もふた皮も剥けて欲しい。

柳家喜多八(15:15-16:05)
喜多八師匠の文七は初めて。この人は、出やマクラの弱々しさに騙されてはいけない、「コントラストの魔術師」といえる噺家である。登場人物の演じ分け、静と動、声の大小、という変化を巧みに芸として活かすテクニシャンである。時節柄少し早いかな、と思うのはこの落語会の事情なのだろう。「コントラストのマジシャン」の今日の芸、特にラストシーンでの鼈甲(べっこう)問屋・近江屋卯兵衛の貫禄ある姿と長兵衛とのコントラストが見事だった。吾妻橋でのくすぐりで「誰か来ねぇかな、来りやぁこんな奴渡しちまうのに」など、師ならではのオリジナリティも秀逸だが、やはり何と言っても「コントラスト」の妙がいいのだ。時間の都合でマクラもそこそこに本編に入り、終了間際の携帯電話の騒音にも惑わぬ熱演。


どうも11月22日の会で、これまでの「ビクター落語会」のスタイル、仏教伝道センターでの開催は終了するらしい。経営的に厳しいのであろう。しかし、ホームページには、まだ、こう書いてある。
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<ビクター落語会とは>

「ビクター落語会」は古典落語を通して、「落語の本格」をお楽しみ戴き、
また落語文化をいささかでも高める場となればとの思いから発会致しました。
ご出演頂く噺家の方々も、当会の趣旨に共感し腕をふるいたいと言ってくれた
面々による顔付けになっております。
今後とも当会へのご贔屓を賜りますようお願い申し上げます。
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主催者や形態、会場は変わっても、ぜひこの精神は忘れず頑張って欲しい。
この位の席が落語には寄席の香りがしてちょうど良いのだ。
今年も何度かうかがった、この会。本当に終了は残念だが、装いを新に再出発されるのを期待。

<補足>
ビクターの冠がなくなっても、「三田落語会」として、この会場で開催されるらしいが、詳しいことは11月22日の最終回で説明されるようです。私は都合で11月22日には行けないので、梅薫庵さんなど他の熱心な落語ファンの方がきっとフォローしてくれることを期待しています。
梅薫庵さんのブログ
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by kogotokoubei | 2008-10-25 21:33 | 落語会 | Trackback | Comments(0)

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