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新宿末広亭 夜席 8月6日

都内での打ち合わせが終わって、気が向いたので2月29日以来の末広亭へ。主任は扇遊。仲入り前の二人から、次の顔ぶれとネタを桟敷で楽しんだ。客の入りは6割位。いい感じ。
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春風亭正朝   町内の若い衆
三遊亭歌武蔵  親子酒
(仲入り)
入船亭扇治   狸の札
ホームラン    -漫才-
桂 文生     雑談 *二日酔い?
柳亭小燕枝   無精床
林家正楽     -紙切り-
入船亭扇遊    佃祭り
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さん喬が休演だったのは残念だったが、それも寄席である。ちなみに2月29日は、代演でうれしい誤算の桃月庵白酒がすこぶる良かった。

主任の扇遊は、期待通り。この人はビクター落語会で何度か聴いているが、やはり寄席が似合う噺家さんだ。演じる姿がよく分かる寄席空間でこそ、その細やかな仕草や表情の変化が際立つ。しかし、本日の一番は、歌武蔵。あの巨体で、禁酒の約束を破って飲んで帰ってきた息子がいきなり倒れるシーンを、砂かぶりとも言える至近距離から見る迫力はホール落語会では絶対味わえない。また正朝の粋な語り口と現代的なクスグリは相変わらず髪形と一緒でシャープだ。寄席ならではのネタでしっかり客席を暖めた。末広下席では主任らしい。都合がつけば来たいものだ。また、さん喬の代演である小燕枝は初体験だが、さすが小さん門下だけあり柳家の香りがするし、無精床という寄席ならではのネタでしっかり笑いをとっていた。扇辰と交替出演の扇治。雰囲気はあるのだがなぁ、クイツキでこのネタというのはちょっとがっかり。文生は酒にまつわる雑談10分でおりた。二日酔いだろう。

久しぶりの寄席は本当に心がなごむ。特に末広亭は、都内の四つの寄席の中でもっとも建物が古く、いわゆるレトロ感覚がうれしい。部分改修はしているものの昭和21年築なので60年以上たっている。昭和の面影いっぱいの寄席で、この環境そのものが来る価値がある。

寄席はホールでの独演会などと違い噺家や出来栄えにハズレも多いし、主任以外は15分ほどの持ち時間であわただしいという欠点もある。しかし噺家との一体感、お客さん同士の連帯感などは寄席でしか味わえない魅力だ。独演会でチケット完売となるレベルの噺家が主任の時は立ち見にもなるだろう。でも、空席が目立つ平日の会場で、初めての噺家に出会ったり、ホールで知っている噺家の顔を至近距離で確認するのも楽しいものだ。最前列でドッカンドッカン笑っていた年配のおかぁさん達、あなた達は長生きしますよ。
来週の鈴本夏祭りは都合で行けないが、近いうちに寄席にまた来ようと思う、そんな夜だった。

なお、新宿末広亭については、富田均さんの故北村銀太郎席主からの聞書きによる下記の書があり、昭和53年の落語協会の分裂騒動でも存在感を発揮した北村席主の人と生涯を興味深く読むことができる。大正から昭和にかけての噺家達との交流など、北村席主しか知りえないエピソードも多く、落語の歴史書としての価値もあり推奨します。
聞書き_寄席末広亭
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by kogotokoubei | 2008-08-06 23:05 | 落語会 | Trackback | Comments(0)

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by 小言幸兵衛