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噺の話

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春風亭小朝独演会 川崎市麻生市民館 8月2日

小田急新百合ヶ丘駅前の1000人収容可能な会場。3月の談春、7月の志の輔はともに平日夜7時開演だったので、土曜の午後2時開演でどこまでこの広い会場が埋まるか、と思ったが当日券販売ありで約8割の入り。
談春は平日で同じ位、志の輔はほぼ埋まった。まぁ、現在の「落語家市況」から考えると、善戦と言ってもよいのかもしれない。

まず、出演者と根多から。
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林家種平   お忘れ物承り所
春風亭小朝  池田屋
(仲入り)
林家いっ平  漫談~悋気の独楽
春風亭小朝  唐茄子屋政談
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一月の橋本の独演会でも、「元義弟]」のいっ平が出ていたので、ある程度予想はしていたが、案の上。「そこまで、三平を意識しなくていいだろう」と思わせる高座。
これ以上、助演者についてのコメントは控え、小朝の唐茄子屋を中心にしたい。もちろん昨日の三三の唐茄子の翌日だから、である。あえて、二人の演出の違いを聴き手の立場であげてみる。ポイントは3つ。
*ここからはネタバレ注意内容。噺を知らない方で知らないでおきたい方はお読みにならないほうが賢明です。

(1)吉原田圃
ここに噺家の芸の幅が出てしまうのはやむをえない。都都逸の一つ、小唄・端唄のさわりを披露できるかどうかは、非常に大きな違いとなる。残念ながら三三にはなかった粋な一節が小朝には、ある。その有無による聴き手への効果は、この噺に関する限り小さくはない。古今亭志ん生、金原亭馬生、古今亭志ん朝の親子は、みなこの場面で聴かせてくれる。粋なんだ、この人たちの唄が。志ん生の「薄墨」などは、なんともいえない味がある。

(2)誓願寺店の因業大家の出番
あくまでも8月1日の三三、8月2日の小朝の演じ方での違い。
徳が売りだめを置いて帰った後のシーン。小朝は売りだめを返そうと思った母親が因業大家に出会い、大家が家賃のカタに財布を取り上げるところまでを演じ、徳がおじの家に帰るシーンにつなげている。三三は、まだ試行錯誤なのか時間の都合なのか、大家の出番を挟まず徳がおじの家に帰る。二日連続して聞いた感想としては、大家の出番を挟むほうが演出として効果的だと思った。

(3)誓願寺店の母親の容態
古くは母親が亡くなる悲しい噺だったが、それではあまりにもむなしいので、昨今は助かる設定が多い。三三も小朝も助かる噺になっている。助かった、という情報をどこにはさむか、ということなんだが、徳が大家の乗り込む前に無事であると明かす三三と、最後まで隠しておく小朝。謎解きは最後までひっぱっておくほうが聴く側の緊張度は大きく、解放による効果もある。この点も小朝に軍配が上がる。

この3つのポイントだけで考えても、小朝が上回っている。芸の良さプラス親切な演出とでもいおうか。三三は全体の出来が悪いわけではない。役者の三三は良かったが、演出家の三三は課題あり、と言えるかもしれない。ということは演出を工夫した場合の伸びしろは大きいということだ。三三「唐茄子」の今後の進化に期待したい。たまたま連日で味わった「唐茄子」を引き合いに出すほど、この日の小朝の出来は良かった。大銀座で黒子に徹していたため、噺家小朝の血が騒いできた、としたら良い傾向といえるだろう。
 
今日の会は、小朝が一席目にお手の物の「池田屋」-特に近藤勇エピソードのクスグリ-で会場を暖め、トリに唐茄子屋を披露した構成とそれぞれの芸に、貫禄めいたものを感じた一日であった。もう少し詳しく言うならば、「池田屋」で会場をドッカンドッカン沸かしている時には、「やはりローカルバージョンなのかな・・・・・・。」と半ばがっかりし、いっ平の、妙に三平を意識した漫談芸に辟易した後の「唐茄子屋」の出来に、素直に「来て良かった」と思えた。

小朝は、ローカルで初めて落語を聞くお客様向けの“ドッカン”も出来るし、人情噺も、けっして錆はついていない。
しかし、あえて言おう。「元」義理の弟達は自分たちで食い扶持を探せるだろう。もういいのじゃないか、“偽装”兄弟会は・・・・・・。小朝独演会なら行きたいが兄弟会なら行かない、という落語ファンが少なくないことを分かって欲しい。大銀座が役割を果たした、というのなら、三枝との二人会もそろそろ終わりにして欲しい。(そういえば、やはり大銀座のことは、いっ平の漫談で自慢話に出たくらいで、小朝からはまったく話題に出なかったなぁ・・・・・・。)

“多摩川超え”だからこそ、「紺屋」と「文七」をストレートにぶつけてきた談春、「千両みかん」と「しじみ売り」という十八番(オハコ)をしっかりと並べた志の輔、の立川流。小朝も、多摩川超えの未開拓な落語ファンへの「ドッカン」役はいっ平達に任せ、立川軍団と比較して熱く落語ファンが語れるような、本来の「独演会」を期待したい。前座が必要なら弟子を連れてきて欲しい。あなたは林家一門ではないのです。
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by kogotokoubei | 2008-08-02 19:54 | 寄席・落語会 | Comments(0)

落語のことを中心に、ときたま小言や独り言。


by 小言幸兵衛