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『落語の国からのぞいてみれば』堀井憲一郎

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堀井憲一郎_落語の国からのぞいてみれば

 堀井憲一郎さんは、たぶん日本でもっとも多く生の落語会・寄席に出向いている人だろう。一昨年、昨年は、年間400回を越えているはず。1日1回以上、ということである。まさに、現在の落語界における語り部にふさわしい人が、講談社現代新書の新刊として、落語をネタになかなかの本を出した。
『東京かわら版』への連載を除いて、初の落語本出版ではなかろうか。

実際に東京日本橋から京都三条大橋まで歩いた経験を踏まえた説得力のある内容 (第二章「昼と夜とで時間はちがう」や第七章「みんな走るように歩いている」など)や、 「子ほめ」を題材にして満年齢と数え年の違いを明確に説きながら、地域社会と個人の関わり の問題まで提起している第一章など、なかなかの筆の冴え。
そして、かつてポッドキャストで も「米朝を聴いて育った」と言っていたが、随所に米朝賛歌がちりばめられている ところも微笑ましく、好感が持てる。
巻末の「参考文献的おもしろかった本解説」「登場落語の解説」も貴重な情報である。
若い落語ファンにとっては、
  (1)落語入門 
  (2)落語名作ガイド
  (3)落語に学ぶ江戸庶民の知恵
という盛りだくさんな内容を含んでいてお徳だしお奨め本である。内容も口語体で読みやすく分かりやすい。

ちなみに、ポッドキャストで堀井さんがかつて語っていた、2006年に聞いた落語ベスト12は以下の通り。
  (1)立川談春 たちきり
  (2)柳家小三治 あくび指南
  (3)立川談志 ねずみ穴
  (4)立川志らく 与話情浮名横櫛
  (5)柳家喬太郎 熱海土産温泉利書
  (6)立川志の輔 牡丹灯篭
  (7)三遊亭歌武蔵 らくだ
  (8)柳家小三治 らくだ
  (9)柳家喜多八 付き馬
  (10)三遊亭白鳥 明日に向かって開け
  (11)立川談春 文七元結
  (12)柳家喬太郎 竹の水仙
もちろん、数多く生で接した落語会の中でのある特定の日の演題の評価として、である。
ポッドキャストには、一位を記念(?)して談春も登場して、なかなか楽しいトークを披露していた。お奨めの落語家も挙げており、上述の方以外には柳家権太楼、柳家さん喬の両師匠などが加わっていた。お奨めナンバーワンは、立川志の輔。

古くは、岡鬼太郎、野村無名庵、その後正岡容、安藤鶴夫を経て色川武大、江国滋、矢野誠一などに続く明治・大正・昭和に渡る落語の指南番。平成で“ニン”な一人は、間違いなく堀井憲一郎さんである。テレビや芸能、サブカルチャーなど堀井さんの興味の対象は広いが、ぜひ落語に関しても引き続き「ずんずん」と著作を増やして欲しいものだ。

なお、本書と同じように「落語」と「江戸」という観点から書かれた本として、中込重明さんの本をぜひお奨めしたい。残念ながら若くして亡くなられたのが惜しい落語研究者です。

中込重明_落語で読み解く「お江戸」の事情
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by kogotokoubei | 2008-07-07 17:11 | 落語の本 | Trackback | Comments(0)

あっちに行ったりこっちに来たり、いろんなことを書きなぐっております。


by 小言幸兵衛
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