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 自民党総裁選選挙に立候補した四人の、核燃料サイクルについての見解について、ロイターのサイトから共同通信の配信記事を引用。
ロイターサイトの該当記事

国内政治(共同)
2021年9月26日10:50 午前7時間前更新
4氏、核燃料サイクル賛否割れる
共同通信, Kyodo

 自民党総裁選に立候補した4氏は26日のフジテレビ番組で、使用済み核燃料を再利用する「核燃料サイクル」を巡って討論した。見直しを唱える河野太郎行政改革担当相に対し、岸田文雄前政調会長、高市早苗前総務相、野田聖子幹事長代行は維持を主張。靖国神社に関しては高市氏だけが参拝を続ける意向を示し、賛否が分かれた。

 核燃料サイクルについて、河野氏は「合理的な政策とは言えない。なるべく早く方向転換する必要がある」と指摘。岸田、高市両氏は核燃料サイクルを停止すると原発を稼働できなくなると反論した。野田氏も「電力の安定供給は使命だ」として続けると明言した。【共同通信】

 岸田、高市、野田の三候補は、核燃料サイクルについて、どこまで知っているのか疑問。

 今は更新が止まっている兄弟ブログ「幸兵衛の小言」2015年11月20日の記事では、11月19日の東京新聞の社説を引用した。
「幸兵衛の小言」2015年11月20日のブログ

 核燃料サイクルの象徴ともいえる「もんじゅ」を例として、この政策がどれほど高くつくか実に分かりやすい内容なので、あらためて紹介したい。


【社説】
原発ゼロへ再考を 原子力は高くつく
2015年11月19日

 きょうは原発推進の人たちにとくに読んでいただきたい。原子力発電は結局、高くつく。そろばんを弾(はじ)き直し、原発ゼロへと考え直してみませんか。

 やっぱり金食い虫でした。

 原子力規制委員会が日本原子力研究開発機構に示した、高速増殖原型炉「もんじゅ」の運営を「ほかの誰かと交代せよ」との退場勧告は、その操りにくさ、もろさ、危険さを、あらためて浮かび上がらせた。

 そして、本紙がまとめた「核燃料サイクル事業の費用一覧」(十七日朝刊)からは、もんじゅを核とする核燃料サイクルという国策が、半世紀にわたって費やした血税の大きさを実感させられる。

◆巨費12兆円を投じて

 原発で使用済みの核燃料からプルトニウムを抽出(再処理)し、ウランと混ぜ合わせてつくったMOX燃料を、特殊な原子炉で繰り返し利用する-。それが核燃料サイクルだ。

 その上もんじゅは、発電しながら燃料のプルトニウムを増やしてくれる。だから増殖炉。資源小国日本には準国産エネルギーをという触れ込みだった。

 それへ少なくとも十二兆円以上-。もんじゅの開発、再処理工場(青森県六ケ所村)建設など、核燃サイクルに費やされた事業費だ。

 国産ジェット機MRJの開発費が約千八百億円、小惑星探査機「はやぶさ2」は打ち上げ費用を含めて二百九十億円、膨らみ上がって撤回された新国立競技場の建設費が二千五百二十億円…。

 十二兆円とはフィンランドの国家予算並みである。

◆1日5500万円も

 ところが、もんじゅは事故や不祥事、不手際続きで、この二十年間、ほとんど稼働していない。止まったままでも一日五千五百万円という高い維持管理費がかかる。

 もんじゅは冷却に水ではなく、大量の液体ナトリウムを使う仕組みになっている。

 ナトリウムの融点は九八度。固まらないように電熱線で常時温めておく必要がある。千七百トンのナトリウム。年間の電力消費量は一般家庭約二万五千世帯分にも上り、電気代だけで月一億円にもなるという。

 発電できない原子炉が、膨大な電力を必要とするという、皮肉な存在なのである。

 もんじゅ以外の施設にも、トラブルがつきまとう。さらなる安全対策のため、再処理工場は三年先、MOX燃料工場は四年先まで、完成時期が延期になった。MOX燃料工場は五回目、再処理工場に至っては、二十三回目の延期である。

 研究や開発は否定しないが、事ここに至っては、もはや成否は明らかだ。これ以上お金をつぎ込むことは是とはされまい。

 核燃料サイクルが、日本の原子力政策の根幹ならば、それはコストの面からも、根本的な見直しを迫られていると言えそうだ。

 欧米で原発の新増設が進まないのは、3・11以降、原発の安全性のハードルが高くなったからである。

 対策を講ずるほど費用はかかる。原発は結局高くつく。

 風力や太陽光など再生可能エネルギーにかかる費用は普及、量産によって急速に低くなってきた。

 国際エネルギー機関(IEA)の最新の報告では、太陽光の発電コストは、五年前より六割も安くなったという。

 ドイツの脱原発政策も、哲学だけでは語れない。冷静に利益を弾いた上での大転換だ。

 原子力や輸入の化石燃料に頼り続けていくよりも、再生エネを増やした方が、将来的には電力の値段が下がり、雇用も増やすことができるという展望があるからだ。

◆そろばん弾き直そう

 核燃料サイクル事業には、毎年千六百億円もの維持費がかかる。

 その予算を再エネ事業に振り向けて、エネルギー自給の新たな夢を開くべきではないか。

 電力会社は政府の強い後押しを得て、核のごみを安全に処理するあてもまだないままに、原発再稼働をひたすら急ぐ。

 金食い虫の原発にこのまま依存し続けていくことが、本当に私たち自身や子どもたちの将来、地域の利益や国益にもかなうのか。政治は、その是非を国民に問うたらいい。

 持続可能で豊かな社会へ向けて、そろばんをいま一度弾き直してみるべきだ。

 もんじゅは、この社説からほぼ一年後、2016年12月に廃止が決まった。

 なんと無駄で、危険な試みであったことか。


 核燃料サイクルの危険性については聞く耳をもたないかもしれない自民党総裁候補も、これだけ経済性でも問題があることを、知っているのだろうか。


 そして、次にその危険性について。

 原発そのものも実に危険なのだが、MOX燃料を使うことにより、さらに危険性は高まる。

 「幸兵衛の小言」の2014年3月23日の記事では、核燃料サイクルの危険性について、ある組織のサイトやある本を引用して記事を書いたことがある。
「幸兵衛の小言」2014年3月23日のブログ

 冒頭には、オランダ・ハーグで開催される核安全サミットで、当時の安倍総理が、「核燃料サイクル」をすることを独断で表明しようとしているという東京新聞の記事の引用がある。

 核燃料サイクルでは、使用済み燃料を再処理して取り出したプルトニウムとウランを混合してつくった混合酸化物燃料、MOX燃料を使って原発を稼働させようとするのだが、このMOX燃料が、実に危険なのである。

 また、使用済のプルトニウムを再処理して使用することをプルサーマルと、日本では言っている。
 かつて世界でも複数の国で行ってはいたが、その危険性と経済性の問題から、今ではフランス以外では行われていない。
 リンク先の古い記事では、原子力資料情報室の、関電によるMOX燃料輸送に関する反対声明も引用しているが、割愛する。
 ぜひ、こちらもリンク先でご確認いただきたい。


 故高木仁三郎さんによってできた原子力資料情報室は、福島第一原発事故の後、私がもっとも信頼して、サイトや月報、著作で原発のことを学んでいた組織だ。

 そして、高木仁三郎さんの著作、監修した本は、ほぼ全て読んだつもりだ。

 その中の一冊から、あらためて核燃料サイクルの危険性について紹介したい。

 MOXは、原子炉のブレーキに相当する制御棒が効きにくいなど原発稼動中の危険性も大きいが、その燃料を作る過程や再処理まで危険がいっぱいなのである。

 『新装版 反原発、出前します-高木仁三郎講義録-』(反原発出前のお店編、高木仁三郎監修、七つ森書館)から引用。
 重要部分を太字にする。総裁選候補の方にも分かりやすいように。
核燃料サイクルがないと原発が動かない? まず、原発をやめるのである。_e0337865_16393072.jpg

『新装版 反原発、出前します』(七つ森書館)

 MOX燃料を使うためには、ウラン濃縮度がいろいろ違った燃料を作らなくてはなりません。さらにプルトニウムの冨化度(濃度)もいろいろと違ったものを作らなくてはいけないのです。仮にそれを再処理するとなるとどういうことになるかを考えると、頭が混乱してきます。同じ組成のものは一度に再処理できますが、違った組成のものは一度に再処理できないので、原子炉からでてきた使用済み燃料を何通りにも分けなくてはなりません。このように核燃料サイクルがきわめて複雑になるのです。
 もう一つ、MOX燃料加工の場合に問題になるのは、プルトニウムn半減期の問題です。プルトニウム-239の半減期は2万4000年ですが、プルトニウム-240の半減期は6600年です。それからプルトニウム-241の半減期は14年で、プルトニウム-242の半減期は37万年です。このような放射能ができるのです。これが原子炉ごとに違ってくるのですが、問題はプルトニウム-241です。この半減期が短いので早く崩壊していって、アメリシウム-241になります。半減期が14年ですから、一年もすればけっこうたまってきます。アメリシウム-241はガンマ線を強く出しますので、取り扱いが面倒な上に核特性が違ってきます。燃料としては品質が劣化します。このアメリシウム-241がMOX燃料の加工をやっているうちに、たまってきてしまうと、強いガンマ線のために工場に立ち入れなくなることもあります。ですから、「プルトニウムを長い間置いておくな!」「プルトニウムは取り出したらすぐ使え!」といわれています。


 通常のウラン燃料さえ原発のゴミはやっかいなのに、MOX燃料の原発でできるゴミは、もっとやっかいだし、危険性が増すばかりなのだ。

 利用目的の不明確なプルトニウムを所有することが、核兵器保有につながる危険性があると非難されるので、核燃料サイクルをする、というのは悪魔のサイクルである。

 核燃料サイクルがないと原発が動かない、というのは、まったく核のゴミの危険性を分かっていない人の発言であり、まず第一に原発を稼働しないことが、最優先なのである。

 プルトニウムをこれ以上持たない、原発稼働による危険な核のゴミをこれ以上出さずに、すでに出来てしまったプルトニウムの処理方法を真剣に考える、ということがあの事故を経験した日本の選択であるべきだ。


 唯一の被爆国でありながら、核兵器禁止条約に批准しない。

 そして、史上最悪の原発事故を経験しながら、いまだに原発を稼働させ、危険極まりなく、その保管に数千年も必要な核のゴミを増やそうとしている。

 そんな政府は、もうたくさんである。

# by kogotokoubei | 2021-09-26 19:27 | 原発はいらない | Trackback | Comments(0)
 前の記事に引き続き、官邸ポリスのことについて。

 狙った獲物には、どんな些細なことでも、罪をかぶせる怖い事例である。

 LITERAから引用する。
LITERAの該当記事

共産党・山添議員の不可解な書類送検の裏に官邸ポリスの政権忖度!
埼玉県警本部長に安倍晋三の元秘書官・原和也が就任後、方針変更

2021.09.25 04:00

山添議員を一年近く前の軽犯罪で書類送検した、官邸ポリス。_e0337777_18203834.png


 八代英輝弁護士の「共産党はまだ暴力的な革命を党の要綱として廃止していない」というデマ発言によって日本共産党および野党共闘への攻撃のやり口があらわになったばかりだが、時間も経たないうちにまたも嫌がらせが起こった。共産党所属の山添拓・参院議員が鉄道営業法違反(鉄道地内立ち入り)などの疑いで書類送検された件だ。

 山添議員といえば緻密で舌鋒鋭い国会質疑で注目を集めてきた“共産党のホープ議員”のひとりだが、その山添議員が今月18日に自身のTwitterで〈2020年11月3日、休日を利用して趣味の鉄道写真を撮りに行った際に、長瀞町の秩父鉄道の線路を横断したことが、埼玉県警秩父警察署から軽犯罪法違反であるとの指摘を受け、本年9月16日付で送検した旨の連絡を受けました〉と報告。〈地域住民によって道がつけられ、水路に渡し板がかけられていた箇所を、列車が接近していない時間帯に、通行可能な道であるという認識のもとに、約1秒程度で渡りました〉と事情を説明し、同時に〈軽率な行為だったと反省しています〉と述べた。

 つまり、「撮り鉄」として出向いた先で、正式な踏切は設置されていないものの、住民が日常的に線路を渡っているいわゆる「勝手踏切」を渡り、そのことによって山添議員は無断で線路に立ち入った疑いで書類送検された、というわけだ。

 たしかに踏切道以外で線路を横断する行為は鉄道営業法に抵触するおそれがあるものだが、一方、「勝手踏切」は国交省によると全国に1万7000カ所もあるとされており、生活道路として黙認されていることも多い。今回の山添議員の行動は慎むべきものだったとはいえ、フェンスを破って侵入したわけでもないのに書類送検までされるのはやりすぎなのでは、という声があがった。

 実際、現地取材をおこなった東京新聞によると、農作業をしていた女性は「渡ったらダメだと今回の件で初めて知った。これを渡って警察沙汰になるのはかわいそう」「渡れないと畑に行けなくて困る。警察にも踏切をつくるよう言ってるけど対応してくれない」とコメント。事件になったことについては〈地元では同情する声が聞かれ〉たという。

 同様に、現地を取材したフジテレビも「付近にある踏切の間隔は200メートルから300メートルほど。そして、その踏切の間には線路を渡ることができる場所がいくつも見つかった」「付近の住民の一部にはこうした勝手踏切を通っている人も多いという」とし、取材時に踏切がない場所を渡る高齢女性に声をかけ、「あっち(踏切がある場所)までずっと行くんじゃ、本当に年寄りだから大変ですよ」という声を伝えていた。

 「撮り鉄」の山添議員が、つい、勝手踏切を渡ってしまったこと、それも一年近く前のことが、なぜ、書類送検にまで大ごとになったのか。

 当たり前だが、畑仕事のため毎日のように渡っている地元の人は、書類送検されていない。

 どう考えても、狙われた、としか思えない。

 LITERAの記事には、前の記事で取り上げた新警察庁長官中村格の名も出てくるが、この件で鍵を握る官邸ポリスのメンバーは、埼玉県警本部長である。

 今年2月15日、県警のトップである埼玉県警本部長に原和也・警視監が着任しているのだが、この原県警本部長、2019年からの1年間、安倍政権下で安倍晋三首相の秘書官を務めていた人物なのだ。

 しかも、この原氏は、警察庁で警備課長や外事課長を歴任してきた公安警察のエリートで、安倍・菅政権で“官僚の監視”を担った杉田和博官房副長官や“野党やマスコミの監視、謀略情報の仕掛け人”として暗躍してきた北村滋氏に連なると目されてきた人物。実際、先日の中村氏の警察庁長官就任と同じ人事で第97代警視総監に昇格し、やはり安倍首相の秘書官を2012年から2019年まで務めた大石吉彦氏の後釜として首相秘書官に抜擢された。つまり、原氏は現在の中村・大石ラインにも組み込まれた、正真正銘の安倍・菅政権の「官邸ポリス」のひとりなのだ。

 この件を、また御用新聞の読売が、六段ものスペースで山添議員を批判する論調で記事にしていることを、LITERAは紹介している。

 官邸ポリスによる、政権に都合の悪い人物への攻撃、そして、御用マスゴミを利用することによる、「人物破壊」が、また行われようとしているのだ。

 LITERAも、前例のことを書いている。

 ご存知のとおり、読売新聞は、加計学園問題で「総理のご意向」文書について告発しようとした前川喜平・前文科事務次官(当時)の違法性のない“出会い系バー通い”を官邸からリークされ、社会面で大々的に報じたことがある。このときも官邸の謀略に軽々と乗ったことを批判されたが、今回も性懲りもなく、同じように官邸ポリスとの連携プレーに走ったというわけだ。

 いずれにしても、解散総選挙を目前に控えたこの時期の不可解な書類送検が、自民党政権の言いなりになっている警察幹部=官邸ポリスの政治的な野党共闘攻撃であることは明白だ。総裁選の有力候補者はいずれも安倍・菅の息がかかった人物だが、自民党政治がつづくかぎり、この警察国家化はどんどんエスカレートしていくことは間違いない。

 官邸ポリスを操っていた人物は、なぜか、いまだに政治の舞台で大きな影響力を維持しているようだ。

 森友事件は、自民党の次期総裁=次期総理大臣は、忘れたことにするらいい。

 そうしないと総裁選で勝てないという構造こそが、自民党が再生することを阻害している。

 そして、官邸ポリスは、まだ、その自民党政権のために刃を研いでいる。

 全国30万人の警察官のトップが、その闇の軍団の重要人物であったことは忘れてはならないし、埼玉県警の動きも、今後は注視すべきだろう。


 政権に都合の悪い人物を狙い撃ちにして軽犯罪で書類送検、などという警察国家など、ごめんだ。
# by kogotokoubei | 2021-09-25 20:47 | 責任者出て来い! | Trackback | Comments(0)
 一昨日22日、新警察庁長官に中村格(いたる)が就任した。

 菅による論功行賞としか思えない人事。

 デイリー新潮サイトから引用。
デイリー新潮サイトの該当記事

伊藤詩織さんの準強姦逮捕状を“握り潰した”男が警察庁長官に就任 その内幕とは
国内 社会 週刊新潮 2021年9月23日号掲載

 全国約30万人を数える警察職員の頂点、それが警察庁長官である。栄達を極めるまでの道のりもさまざまだろうが、次期長官となる中村格(いたる)氏(58)は殊更に独特だ。官邸との近さをウリにし、関係者の逮捕状を握り潰すなど朝飯前というのだから。

 ***

 警察庁次長の中村氏が長官に昇進するという人事が今月10日に内示された。正式就任は22日付。中村氏は東大法学部を卒業して1986年に入庁し、警視庁刑事部捜査2課長ほかを歴任してきた輝かしい経歴だが、警視庁刑事部長時代に安倍官邸のために“あり得ない大ワザ”を放った人物として知られる。

 2015年、ジャーナリストの伊藤詩織さんに対する準強姦の容疑で元TBSワシントン支局長の山口敬之氏に逮捕状が出されたが、執行直前、これをストップさせたのだ。

「山口氏はTBS政治部に在籍した経歴から、かねて安倍晋三前総理をはじめ安倍政権の要人らと親しく、官邸とはズブズブの関係などといわれてきました。一方、菅義偉総理の官房長官時代に秘書官を3年つとめた中村さんは15年当時、警視庁に戻って刑事捜査の元締めの座にあったわけです。自分を気に入ってくれている安倍さんや菅さんに忖度し、得点を稼ごうとして山口氏を守ってあげたと囁かれたものです」(警察関係者)

 この件は伊藤さんの告発を本誌(「週刊新潮」)が報じ、大きなニュースになった。当時、中村氏は本誌の取材に、

〈(捜査の)指揮として当然だと思います〉

 と述べたが、

「さる警察幹部は“疑いを持たれること自体が問題”と渋い顔でした」(同)

 そして、こんな揶揄(やゆ)の声まで聞こえてくる。

「菅政権の退陣間際での滑り込み的な人事発令に、中村さんも安堵していることでしょう」(官邸関係者)


 22日の就任会見において、あの事件での疑惑について質問され、「法と証拠に基づき組織として捜査を尽くした。捜査指揮では常に法と証拠に基づいて適切に判断してきたと考えている。法と証拠以外の他事を考慮し、何らかの捜査上の判断をしたことは一度もない」と答えたが、国民の多くは、そうは思っていないぞ。

 現在は更新が止まっている兄弟ブログ「幸兵衛の小言」の2019年3月9日の記事で、ある本から、あの事件に関する記述を紹介した。
「幸兵衛の小言」2019年3月8日のブログ

 重複するが、忘れてはならない、新警察庁長官への大きなる疑惑について。

新警察庁長官中村格に残る、大いなる疑惑。_e0337865_16102597.jpg

幕蓮著『官邸ポリスー総理を支配する闇の軍団』(講談社)

 元警察庁キャリア官僚が内部告発した本として話題になったのが、『官邸ポリスー総理を支配する闇の軍団』だ。

 著者は、幕蓮というペンネームで、巻末のプロフィールには、「東京大学法学部卒業。警察庁入庁。その後、退職」とだけ記されている。
 
 Amazonには、多くの否定的なレビューが投稿されている。
 それだけ、この本の帯にある「92%は現実」を裏付けていると私は思う。

 主要登場人物の仮名と、実際の人物と思われる名を並べてみる。

  内閣官房副長官 瀬戸弘和--->杉田和博
  内閣情報官 工藤茂雄 ------->北村滋
  警察庁総括審議官 野村覚--->中村格 ※前職は警視庁刑事部長

 実名の三人、ここ数年、いろんな場面でネットに登場する。

 今回は、政府に近いマスコミの人間が、その罪を“官邸ポリス”にもみ消してもらった、あの騒動について。

 工藤は運動不足解消も兼ねて、敢えて階段で六階に上がった。そこには内閣情報調査室の各班がある。
 その一番奥、総務班の背後にある資料室の入り口のセキュリティセンサーに掌(てのひら)を近づけた。ピッ、ガシャッと、ロックが外れる。役所のなかでも、特に厳重なシステムだ。警察庁警備局の部屋以上のセキュリティが施されており、内調の職員だからといって自由に出入りすることはできない。
 何よりこの部屋には、内調のIDカードだけでは入れない。内調でも総務班の一部など、限られた職員だけが入室を許されている。
 薄暗い部屋に入っていく。周囲の棚には、過去の週刊誌やDVDだけでなく、いまは懐かしい八ミリフィルムやVHSビデオも保管されている。その奥に、パソコンが整然と置かれたデスクが並んでいた。そこが、まさに官邸ポリス準備室だ。表向きは内調の資料室の作業スペースだげ、これが特命チーム、通称「エイワン」の打ち合わせ場所であった。
 今日はふらっと寄っただけだが、ここに関係者を集めて打ち合わせをすることもある。工藤は、ときおり、ここで一人になって沈思黙考し、気持ちを新たにしていた。
 -内務省を実質的に復活させ、真に強い日本を作るのだ、と。

 その翌日、珍しく業務が落ち着いていた工藤は、昼飯に何を食べようか、などと考えていた。そのときスマホが鳴った。液晶画面には「山本記者」と表示されている。それを確認して、通話ボタンを押した。
「山本さん、こんな時間に珍しいですね。どうかなされましたか?」
 工藤が聞くと、その声にかぶせるように、切羽詰まった山本の声が聞こえた。
「工藤さん、助けてください!実は厄介なことに巻き込まれていまして・・・・・・恥ずかしくて、いまのいままで相談できなかったのですが、私は逮捕されるかもしれません・・・・・・」
 声の主は、多部総理や須田官房長官にも近い、東日本テレビ元ニューヨーク支局長の山本巧記者である。内閣情報調査室のトップとして情報を収集することを任務とする工藤にとって、米国や北朝鮮の情勢について情報をもたらしてくれる山本は、大事な存在であった。

 この山本のモデルは、もちろん、TBSの元ワシントン支局長の山口敬之である。

 作中の名前で続けるが、山本は、彼が自社で記事化できなかった北朝鮮の金正恩委員長のスキャンダルを、署名入りで週刊誌で発表したため、支局長の任を解かれていた。
 翌年のアメリカ大統領選挙選に向けて情報交換をしていこうとしていた矢先のことで、工藤も、そんな山本にどれほどの価値があるか自問しながらも、彼の電話を聞いていた。
「ある女性と合意のうえに関係を持ったのですが、最近、関係がこじれてしまいまして、彼女が私に強姦されたとして警視庁に告訴したらしいのです」
 倫理意識の強い工藤は、内心、そんな痴話喧嘩くらいで電話するな、と思った。もし事実なら、そんな輩は罰せられれんばいい。しかし、総理の盟友を無碍にするわけにもいかない。
「状況がよく分からりませんので、現時点では何とも申し上げられません。もちろん、いわゆる事件のもみ消しなど、当然できませんが、少々お時間をください」
 そう答えて、電話を切った。

 この後、工藤は、内閣官房副長官で官邸ポリスのリーダー、瀬戸に相談する。

 瀬戸は、警視庁の広報課長の根本に実態を探らせるよう工藤に指示を出した。
 
 瀬戸は、そうそう、と言って続けた。
「山本は、言ってみれば総理を宣伝する本の出版も計画しているらしい。その山本を助けられれば、ことによると官僚嫌いの多部総理も、内務官僚だけは評価してくれるかもしれない。山本みたいな人間でも、政権の広報マンとして使えるなら助けてやれ。しかし、言わずもがなだが、くれぐれも違法なことはするな。黒を白にするような無茶もダメだ」

 工藤は、官邸ポリスのメンバー、警視庁刑事部長の野村覚に電話した。
 野村は、捜査一課ではなく、後輩の広報課長の根本に電話をした。

 工藤は、山本の名を出さずに、有名人の逮捕案件は速やかに連絡をくれるよう、伝えた。
 根本は、何のことか分からず不審がっていたが、翌日。

 コンコンと課長室のドアがノックされた。
「課長、いま少々よろしいですか?」と広報課次席の声が聞こえた。
「どうぞ」と根本が答えると、次席が課長室に入ってきた。
 (中 略)
「いま、品川中央署の副署長から電話がありました。東日本テレビの山本という記者を、成田空港で逮捕する予定、とのことです」
 そこまで一気に言うと、次席は少し表情を和らげた。
「先だっての副署長研修で、社会的に耳目を集める可能性のある逮捕事案は事前に一報を、と課長に言っていただいたお陰です。早速、効果が出てきました。どう対応いたしましょうか?報道担当係長を呼びますか?」
 ここで根本は、初めて昨日の野村刑事部長の電話を思い出した。
(ああ、このことだったのか・・・・・・山本、あのテレビでも見かける人か・・・・・・確か、総理にも近い人じゃなかったかな?)

 根本は、品川中央署がすでに令状請求も済み、成田空港にすでに逮捕メンバーを派遣していることを知り、野村に報告。

 野村と根本は、警視総監の高田に会って、この件を野村に一任してもらうことの了解を得た。

 野村は、品川中央警察署長に電話をする。

「逮捕状は、絶対に執行しないでください」
「どういう意味ですか?」と、署長が抵抗する。野村は既に冷静な声に戻っている。
「意味も何も、文字通り、逮捕状を使わないでください、ということです。釈迦に説法ですが、捜査は、任意が原則です。山本は有名人であり、逃走の恐れはありません。そして、いまさら証拠隠滅の恐れもなさそうです。逮捕しなくとも、任意で話を聞けばいいでしょう」
 署長はまだ諦めない。
「ただ、マメは逮捕するのが通常じゃないですか。それに山本は、被害者の女性に、介抱しただけで合意のうえだ、という趣旨のメールを送っています。これは口封じ、つまり証拠隠滅に当たるでしょう。そもそも捜査員が捜査を積み重ねて取った逮捕状を執行しないなんて、少なくとも私は経験したことがない。これは命令ですか?」
 しかし、野村は冷徹言い放つ。
「そう理解していただいても結構です。何も、彼の事件をもみ消せと言っているわけではありません。有名人物である山本については、マスコミからの反響も大きい。その捜査については特に慎重に進めるべきであり、原則に従って任意にすべきだ、と申し上げているだけです。その辺を誤解しないでください。ちなみに、政府レベルでの重要人物であることも申し添えておきます。ご斟酌ください」
 野村は署長の返事も聞かずに、ここで受話器を置いた。

 この野村のモデルが、警察庁長官に出世した中村格である。

 その中村に、山口事件のもみ消しについて、執拗に取材を続けたのが、東京新聞の望月記者である。

 望月記者をなんとか貶めようとしていたのも、もちろん、中村格だ。

 
 菅政権は終焉を迎えた。
 
 もし継続していたらと思うと、空恐ろしい。

 しかし、新たな総理大臣候補にも、危険な兆候のある人はいる。

 官邸ポリスは、今後どう変容するのかは分からない。

 しかし、忘れてならないのは、約30万人の警察組織のトップに、官邸ポリスの一員として、政権に近い人物の犯罪をもみ消し、被害者である女性に、生涯消えることのない大きな傷を残した疑惑があることだ。

 警察は、いったい誰のために仕事をするのか、ということがあらためて問われなければならない。
# by kogotokoubei | 2021-09-24 20:27 | 責任者出て来い! | Trackback | Comments(0)
 漫才コンビ「ホームラン」勘太郎の訃報に接した。
 デイリースポーツから引用。
デイリースポーツの該当記事

2021.09.22
「ホームラン」の勘太郎さんが心不全で死去、65歳 最後のツイートは大谷40号

 お笑いコンビ「ホームラン」の勘太郎(本名・岡本善陽=おかもと・よしはる)さんが18日午前0時、心不全のため亡くなったことが分かった。65歳。所属の落語協会が22日、発表した。通夜・告別式は近親者のみで営まれた。

 落語協会によると、勘太郎さんは、体調を崩して入院中だった。という、同協会の舞台に立ったのは、昨年6月28日、東京・上野の鈴本演芸場の配信寄席が最後だった。

 勘太郎さんはコンビ名通り、野球が好きだったとみられ、自身のツイッターでは米大リーグ、エンゼルスの大谷翔平投手のホームランを喜ぶコメントを投稿していた。最後のツイートは8月19日、「おーたにさーん!40号、9勝目!」続けて「8でした早とちり。ごめんなさい」というものだった。

 私と同じ、昭和30年生まれだ。11月の66歳の誕生日を迎えることなく、旅立ってしまった。

 師匠は、小野ヤスシ。

 今頃、天国で師弟の再会なのだろう。

 落語協会の漫才で、ここ数年は、もっとも充実した芸を披露していたように思う。

 何度も寄席での縁があったが、たとえば、2017年6月の末広亭の記録には、このように書いていた。
2017年6月9日のブログ

ホームラン 漫才 (10分)
 落語協会漫才の重要メンバーという地位を確立しつつある、という印象。
 勘太郎と私は同じ昭和30年生まれだが、彼の方がふけて見えるよなぁ、間違いなく^^
 たにしの腹話術のような相槌が可笑しい。
 しっかり客席を暖め、トリの時間も確保する、名人芸だった。

 この日は違ったが、トリの前の膝がわりをしっかり務められる色物さんの地位を築きつつあったので、残念でならない。
 5分でも10分でも15分でも、この二人は自在にネタを操り、客席を爆笑の渦に巻き込むことができた。

 一人一人の芸人としての完成度が高いのである。

 そうそう、2018年のクリスマスイブの末広亭では、嬉しそうに、あるテレビに出演する、かもしれない言っていた。
2018年12月26日のブログ

ホームラン 漫才 (11分)
 正月の某局のテレビに出演するかもしれないが、もしかすると出ないことになるかもしれないから、詳しいことはネットで書かないで、とのこと。
 だから、秘密^^?
 もし出演する場合のネタを披露してくれた。ぜひ、テレビで確認したいものだ。

 これは、1月3日のNHKの「新春生放送 東西笑いの殿堂」のことで、しっかり放送されていたこともブログで書いていた。
2019年1月3日のブログ


 相方たにしの方が昭和25年生まれで五歳上。
 
 いつも素気ない落語協会の訃報にしては珍しく、その相方のコメントが載っていた。
落語協会サイトの該当ページ

2021年09月22日
ホームラン勘太郎 訃報
当協会員のホームラン勘太郎(本名:岡本善陽)が、
令和3年9月18日(土)午前0時、永眠いたしました。(65歳)
通夜・告別式は近親者のみで執り行われました。
謹んでご冥福をお祈りいたします。

― ホームランたにしコメント ―
勘太郎は最高にいい奴で、感謝の気持ちでいっぱいです。
いつも心で生きています。

 寄席で、色物の中でその名を見つけたい一つが、ホームランだった。

 同級生の私は、これから飲食店のアルバイトだ。
 健康であること、丈夫な体を親から授かったことへの感謝の念も募る。

 それにしても勘太郎、早すぎるぞ!

 そして、ありがとう。
# by kogotokoubei | 2021-09-23 09:47 | ある芸人さんのこと | Trackback | Comments(8)
青山透子著『日航123便墜落 疑惑のはじまりー天空の星たちへー』(河出文庫)より(20)_e0337777_13251298.jpg

青山透子著『日航123便墜落 疑惑のはじまりー天空の星たちへー』

 7月に発行された、青山透子さんの第一作の文庫版『日航123便墜落 疑惑のはじまりー天空の星たちへー』から二十回目。
 本書は、最初マガジンランドから2010年に『天空の星たちへー日航123便 あの日の記憶』として発行され、2018年に河出書房新社から復刻版が単行本として発行されていた。


 今回も、引き続き、「第二部 乱気流の航空業界 未来はどこへ」の「第一章 過去からのメッセージ」から。

 前回は、青山さんの航空業界への就職を希望する教室の学生の発表により、墜落事故のあった8月12日と翌13日の、当時の中曽根総理大臣の動静をご紹介した。

 翌日、輸入バザールに見学に行くことの不思議や、午前と午後、駐日米大使が官邸を訪問していること、二度目には大使は米軍司令官を伴っていたこと、そして、事故調査の責任者である山下運輸相は、その後、夜になって会っていることなど、いくつもの疑問が湧きおこった。

 では、その後の、総理の動静についてはどうだったのか。
 青山さんの教室の学生Jが、上毛新聞「中曽根さんの一日」を元に振り返る。

8月14日(水)
7時起床。9時皇居着。藤本国務相の認証式。10時15分公邸着官邸へ。辞令式。11時2分、国際子供夏季休暇村代表の子どもら86人表敬。
12時30分労相、13時10分藤森官房長官、日向方斉・関西経済連合会長。
14時5分宋之光駐日中国大使が離任の挨拶、30分小暮電通社長、田丸前社長。
15時55分高木養根日航社長、16時25分糸山英太郎代議士、中山元駐フランス大使。
18時35分公邸へ。
20時20分東京谷中の全生庵にて座禅。22時公邸着。
     *
 ようやく午後三時すぎに日航社長の高木養根氏が来ている。
 そのあとに民営化につい最近まで個人大株主として日本航空特別顧問となっていた糸山英太郎氏。
 この日の締めは、座禅である。何を思い、何を考えていたのだろうか。そしてなんの策略を練っていたのだろうか。その心に上野村の惨状は届いたのであろうか。
 なお、この日、「中曽根首相、また人間ドック入り?」との記事が小さく出ている。
 突然15日の夕方から夫人とともに二泊三日で都内の市ヶ谷河田町にある東京女子医大病院で定例の人間ドックに入る予定とのことだ。側近が十四日に明らかにしたという。
 体の具合が悪いというわけではない、健康管理上のことだ、として退院後はただちに、長野県軽井沢町で静養をするという。
 今、なぜこの大変な事故があった直後に人間ドック?
「健康管理上の問題でどこも悪くないのなら、軽井沢ではなく上野村へ行くべき!」
と学生の意見が出る。その通りだ。
 首相という責任のある立場にある人間には、自分の体調を押してでも国民のために何かを成し遂げるものだ。ましてや一民間会社ではなく、三分の一は政府が株を持つ会社なのだ。
 何でもないのに、こんな時に人間ドックへ入るとは・・・・・・。
 深いため息と憤りが教室中に溢れ出た。

 中曽根康弘は、大正七(1918)年5月27日生まれで、一昨年2019年に101歳で亡くなった。
 1985年の事故当時は、今の私とほぼ同じ、67歳だ。

 軽井沢でテニスをしたり、プールで泳いでいた時に、なぜ、単独機世界最大の墜落事故が起こったにも関わらず、人間ドックになど入る必要があったのか。

8月15日(木)
7時起床。この日は戦後40年で初めて中曽根首相をはじめ、閣僚たちが靖国神社を公式参拝した日である。
11時50分、全国戦没者追悼式。
13時44分、九段北の靖国神社公式参拝。14時1分官邸、31分、村上正邦防衛政務次官、15時、千鳥ヶ淵戦没者墓苑にて世界総調和の日、平和祈念及び戦没者慰霊式典にてあいさつ。公邸着。
16時21分東京女子医大病院にて夫人と人間ドック入り。
      *
 何度も毎年恒例の人間ドックだ、という記事がある。ある学生が、
「政治家は都合が悪くなるとすぐ病院へ入院するよ。ぼくの兄が新聞記者だからそう言っていた。それって、首相周りで出入りの人たちの名前を新聞に書く必要もなし、誰が面会に来たのかもわからない、それに自分が必ずしもその部屋にいるとお限らない。病院には抜け道がいっぱいあるそうですよ」と説明してくれた。
 確かに今まで分刻みで面会や行動が書いてあったが、次の日からか何も書いていない。
 ここで本当に人間ドックに入っていたのだろうか。何か事故についての対策を考えていたのではないか、おかしすぎる、という意見も出た。
      *
8月16日(金)
8時起床。検査と静養。
      *
8月17日(土)
午前7時半起床。
13時43分退院、13時57分公邸着、15時53分公邸発、16時8分上野駅着、16時15分「あさま」65号乗車。18時28分軽井沢駅着、18時38分、ホテル「鹿島ノ森」に到着。19時27分、軽井沢町の中華料理店「赤坂飯店」で、実兄の中曽根吉太郎氏夫妻と食事。21時37分ホテルへ戻る。
      *
「不思議だ!」と、事故原因を主に調べて発表した学生が声を上げた。
 15日の人間ドック入りの時刻は、米国からボーイング社の担当者らが来て垂直尾翼を検証している時刻で、その直後の16日、17日はフライトレコーダーもボイスレコーダーも一部しか分析されていないのにもかかわらず、いきなり後部隔壁破壊説が出てきた時期と重なるのである。この空白の二日間に事故原因がなぜか新聞記事で断定されている。
 まさか病院を抜け出して、また病院において、誰かと協議があったのだろうか。
 面会記録に残らないこの病院で、確かに疑われても仕方のないものだと言えるのではないか。

 不可解な人間ドック入りの真相は、もはや解明されないのであろう。

 しかし、公邸でも官邸でもなく、面会記録の残らない病院というカモフラージュを使う理由が、きっとあったに違いない。

 学生たちの怒りは収まらない。

 そしてまた、事故現場を通り過ぎて軽井沢である。
「これって、奥様はどう思っていたのでしょうか。私がもし首相夫人ならば、あなたここではなく、上野村へ行きなさいと言うと思う。それが夫人の務めなのではないでしょうか」そうつぶやく女子学生も多かった。
 そして翌日の8月18日(日)。悲惨な写真や事故現場で懸命に作業をしている人たち、うなだれて泣いている遺族たちの痛々しい写真、肩を落として座り込む少年、棺桶が無数に並んでいる写真の下に書いてあった中曽根首相の一日には教室中のだれもが無言となった。
 この日の首相は軽井沢にて長男弘文氏と一緒に、また親戚と一緒に歓談。
 午後は夫人とTミネベア社長の別荘にてプールで水泳、ゴルフ場内散歩。

 18日の新聞を読んだ学生たち、そして青山さんが、言葉を失うのも当然と思える。
 あまりにも対照的な内容が並んでいるのだ。

 苛酷な遺体収容作業が続く、そのすぐ近くの避暑地での日本のリーダーの行動は、まるで世界最大の単独機墜落事故などなかったかのようにも見える。

 これらの行動からはどうしても首相らしさや誠意といったものを感じられない。
 そして次のコメントがそれを決定的にしてしまった。
「戦後五番目の長寿、首相在職1000日」ということで受けたインタビュー記事である。8月22日でちょうど千日となった感想で、新聞各紙によると中曽根氏はこう述べている。
「国民の皆さんや党の協力などによって今日まで政治が出来たのは望外の幸せである。
 特に声を出さない、あるいは声を出せない方々の声に耳を傾けて、謙虚に戦々兢々として、薄氷を踏む思いで、勤めさせていただきたい。今は戦後政治の総決算、二十一世紀に向かう準備のための時期だ。
 そのためじっくりと充電をするから、今年の夏、週末は軽井沢で過ごし、健康優良児になるよ。まずゴルフだったが日航機事故以降は自粛している。そのあおりでゴルフ会談は出来ないが、代わりにテニスと水泳、読書三昧で過ごしている」と語る。
 政治部記者との会食に余念がないそうだ。まったく事故現場に行く気がないらしい。
 声を出せない方々の声に耳を傾けるのならば、軽井沢ではなく、すぐ隣りの上野村に行くべきなのではないだろうか。それに対して何か反論があるならばぜひ聞いてみたい。

 軽井沢と上野村との距離を測ってみたら、70kmほど。車で一時間半もかからないだろう。

 紹介したインタビューの行われた日は、事故から、まだ十日しか経っていない。
 まるで、事故のせいでゴルフができないのが不満、とでも言いたげではないか。

 本書では、このインタビューの翌日、8月23日に、イギリス中西部のマンチェスター空港で、ボーイング737型機が離陸直前にエンジンから火を噴いて炎上し、54名が亡くなった事故があったことを紹介している。
 その時、夫婦でオーストラリアで休暇をとっていたサッチャー首相は、急遽帰国して、すぐに事故現場に駆けつけたとのこと。

 さて、国民は、どちらのリーダーを信頼するのだろうか。
 

 日航123便墜落事故当時の日本のリーダーは、多くの謎を残したまま亡くなった。
 
 その中曽根康弘が残した自民党の系譜が、今の二階派(「志帥会」)である。

 総裁選がどうなるのかは分からないが、たびたび人間ドック入りしたり、入院したりするリーダーであっては欲しくないものだ。


 本書は、この後、日航を中心に航空業界の変貌、そこで働く若者たちの苦悩、映画「沈まぬ太陽」のことなどが紹介されていますが、拙ブログのシリーズとしては、20回の節目にてお開きとします。

 長々のお付き合い、誠にありがとうございます。

 青山さんの新作が待ち遠しい!
 
# by kogotokoubei | 2021-09-22 12:54 | 今週の一冊、あるいは二冊。 | Trackback | Comments(0)

あっちに行ったりこっちに来たり、いろんなことを書きなぐっております。


by 小言幸兵衛