噺の話

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<   2016年 10月 ( 12 )   > この月の画像一覧


 昨夜、録画を観た。
 ネットのニュースなどで優勝者が桂雀太であることはすでに知っていたが、小痴楽がどこまで迫ったのかなどに興味があった。

 出演順に感想や私なりの10点満点の採点を記す。

春風亭ぴっかり☆『湯屋番』 
 文珍も指摘していたが、若旦那という“男”の視線で描かれた噺に
 あえて挑戦した、ということか。
 しかし、どうしても無理がある。彼女が権太楼いわく「かわいい」
 からこそなのだろうが、女性であることを忘れさせる高座とは言い難く、
 妄想で芸者と会話する場面も、女同志の掛け合いに思えてしまうのだ。
 前回の『反対俥』よりは高座そのものは良かったとは思うが、ネタ選び
 は工夫する余地ありだろう。
 私の採点は、8。

桂 雀太『代書』 
 楽しみにしていた人。
 代書屋にやって来た男の名が松本留五郎である。大師匠枝雀から師匠の
 雀三郎を経た、一門のネタ、ということだ。
 受賞決定後のインタビューで、師匠から教わったまま、と話していたのが、
 印象に残る。
 結構、二枚目だったなぁ。
 悪くはない・・・しかし疑いなく優勝という高座でもなかった。
 だから、意外な相手との決戦投票になったのだろう。
 私の採点は、最高点には届かないものの、9。

桂 三度『虹』 
 前回同様、冒頭に「お邪魔します」と言うのだが、これはやめて欲しい。
 虹の七色を擬人化するというアイデアは悪くはない。
 サゲで阪神タイガースを持ち出すのも、上方らしさがあると言えるだろう。
 前回よりは、漫談から落語に発展しつつあるのも感じた。
 採点は、8。

柳亭小痴楽『浮世床』 
 このネタは小咄のオムニバスと言えるので、具体的な内容は『浮世床-夢の逢瀬-』
 とでも書くのが正しいのだろう。あるいは「夢」だけでも通じるかな。
 悪くはないのだが、少し力が入り過ぎたかな、という印象。
 権太楼が指摘したように「一本調子」の感がぬぐえず、もう少し緩急をつけていたら、
 と悔やまれる。
 また、NHK、ということを考えると、ネタ選びがやや艶っぽ過ぎた感もあるし、
 サゲも下がかっているのが、審査結果に悪影響を与えたかもしれない。
 とはいえ、江戸っ子の威勢のいい語り口は聴いていて心地よい。
 最高点はつけられないが、私の採点は、9。

春風亭昇々『最終試験』 
 会場には、若い落語愛好家も多かったようで、受けてはいた。
 しかし、私は、この新作を高く評価する審査員の気持ちが分からない。
 好み、相性の問題でもあるが、その会社の社長の息子の採用面接における身振り、
 表情、語り口などは、ウケを狙って基本を崩し過ぎた、漫談の芸にしか思えない。
 採点は、7。


 私の採点では、全体に最高点10をつけたい人はいなかった。
 雀太と小痴楽が9で同点。どちらが優勝しても良い、という印象。

 しかし、次の審査員は、私には意外な採点をしていた。

<審査員>
桂文珍
柳家権太楼
近藤正臣
松倉久幸(浅草演芸ホール会長)
恩田雅和(天満天神繁盛亭支配人)
神津友好
井上啓輔(NHK制作本部エンターテインメント番組部部長)

 この七名の審査結果は、こうだった。

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 雀太、昇々が、ともに64点で決選投票。
 雀太に、文珍、近藤、恩田、井上の4名が投票し、昇々に挙げた権太楼、松倉、神津の3名を上回った。

 東京開催で、東京の三人が地の利を生かすことはできなかった。

 しかし、そもそも“地の利”などはなさそうだ。
 どこで開催されていようが、審査員の採点には、結構明白なバイヤスがかかっているように思う。

 今回の各審査員の採点で思うことを記す。

 前回の三度の採点でもそうだったが、文珍は、どうしても一門への採点が甘くなるような気がしてしょうがない。あの雀太より三度が上、という評価は疑問だ。
 小痴楽の10は結構なのだが、相手は雀太だろう・・・・・・。

 権太楼は、昨年の佐ん吉にも8をつけていたが、相変わらず上方本格派に辛いなぁ。また、小痴楽のみならず三度と昇々を10とは驚いた。何か政治的な背景でもあったのか。

 近藤正臣は、雀太が優勝、という意思表示が明確。それはそれで良いのだろう。

 松倉久幸は、相変わらず落語芸術協会応援団、という印象。昨年も鯉八のみ10だった。

 恩田雅和は、上方応援団は明白。松倉会長とこの人は、旗色があまりにも鮮明^^

 神津友好の今回の採点には、首をかしげる。なぜ、小痴楽が最低点の7なのか・・・・・・。

 NHKの井上という人の採点も、なぜ小痴楽がぴっかり☆同様に最低点の8なのか、私にはまったく理解できない。
 NHKの審査員は、昨年も実に不思議な採点だったことを思い出す。


 ということで、昨年と一昨年の審査結果を再掲する。

 昨年の審査員は、こうだった。
<2015年の審査員>
桂文珍
柳家権太楼
恩田雅和(天満天神繁盛亭支配人)
松倉久幸(浅草演芸ホール会長)
片岡鶴太郎
やまだりよこ(演芸ジャーナリスト)
山元浩昭(NHK大阪放送局制作部部長)

         ベ瓶   佐ん吉   鯉八   小痴楽   昇々
桂文珍     9    10     9     10     9  
柳家権太楼   8     8     8     10     7
恩田雅和    9    10     8      9     8
松倉久幸    9     9    10      9     9
片岡鶴太郎   9    9      10      9     9
やまだよりこ  9    10     9     10     8
山元浩昭    8    10     9      8    10
合計     61    66     63     65     60  

 ちなみに、私の採点は、ベ瓶 7、佐ん吉 10、鯉八 7、小痴楽 10、昇々 7、だった。


 一昨年は、こうだった。
<2014年の審査員>
桂米丸
桂文珍
松倉久幸(浅草演芸ホール会長)
恩田雅和(天満天神繁昌亭支配人)
山本一力
神津友好。
三溝雅和(NHK制作局エンターティンメント番組部部長)


 先に私の採点結果。
           昇吉  ベ瓶  三度  歌太郎 朝也
小言幸兵衛    9    8    7    8    9


 そして、審査員の採点結果。

        昇吉    ベ瓶    三度    歌太郎    朝也
桂米丸           8     8     8     8
桂文珍      8     8     9     9     9
松倉久幸      9     9     9     9     10
恩田雅和      9     9    10      9      9
山本一力       9     9     7    10      9
神津友好      9     8     8     7     10
三溝敬志      9     8     8     8     9
合  計    62    59    59     60     64   



 これだけ、東京応援団とか、上方応援団、また芸協応援団などの“旗色”がはっきりした人たちによる審査って、どう考えたらよいのだろう。

 今回は、今一つ飛び抜けた高座は見当たらなく、審査結果にも納得がいかない、やや残念な思いで観終わった。


 落語と漫才を分けて現在のような形式で表彰し始めての結果は、次のようになった。
-------------------------------------------------------------
        西             東
1994年                桂平治(→桂文治)
1995年                柳家三太楼(→三遊亭遊雀)
1996年                古今亭志ん次(→志ん馬)
1997年  桂宗助
1998年                柳家喬太郎
1999年  桂都んぼ(→米紫)
2000年                林家彦いち
2001年  桂三若
2002年                古今亭菊之丞
2003年                古今亭菊朗(菊志ん)
2004年  桂かい枝
2005年                立川志ら乃
2006年  笑福亭風喬
2007年  桂よね吉
2008年                三遊亭王楽
2009年                古今亭菊六(→文菊)
2010年                春風亭一之輔
2011年  桂まん我
2012年                桂宮治
2013年                鈴々舎馬るこ
2014年                春風亭朝也
2015年  桂佐ん吉
2016年  桂雀太
-------------------------------------------------------------
 
 来年は、どんな顔ぶれが出場するか分からないが、審査員はそろそろ刷新すべきではないかと強く思う。

 背中に東や西や一門、協会の看板がはっきり見える審査員や、その落語審美眼に疑問のある人は、そろそろ交替すべきだろう。

 とはいえ、審査員の審査をできる人ってぇのは、審査員より少ないのだろうなぁ。

 最後は、グチャグチャになって、お開き^^

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by kogotokoubei | 2016-10-31 12:54 | テレビの落語 | Comments(8)

 昨夜は、落語愛好家仲間、いわゆる「居残り会」の仲間六人が集まった。
 とはいえ、落語会の後の「居残り」ではなく、仲間に二人、「横浜DeNAベイスターズ」の熱狂的なファンがいらっしゃるので、関内のスポーツカフェで、「ベイスターズファンを囲む夕べ」という趣向での集まり^^

 お店のテレビで「日本ハム vs. 広島カープ」を観ながら、野球のことや落語のことなど、久しぶりに集まった同好の士、四方山話で盛り上がった。
 その話題の中で、国立劇場開場50周年記念ということで、今月から三ヵ月かけての通し公演が始まった「仮名手本忠臣蔵」のことも、酒の絶好の肴になった。

 同劇場のサイトにあるように、今月は「大序」から「四段目」まで。
国立劇場サイトの該当ページ

 昨夜の話題の一つは、先日観に行かれたKさんの悲惨な(?)体験。
 「四段目」のラスト近くを固唾をのんで観ていたら、近くの席の女性の携帯が鳴ってしまい、大星由良之助役の松本幸四郎から、まるで自分が睨まれたようだった、という話。

 Kさん、どうしても残念でならず、もう一度隼町に行っている。

 休憩中に携帯やスマホをONにして、そのままにしている人って少なくないと思う。
 その結果、肝腎な場面で携帯を鳴らしてしまうのは、中年から高齢の女性が多い。

 寄席や落語会でも携帯の音には困ったものだが、歌舞伎で、それも「四段目」だよ。
 「出物止め」だし、もちろん、「鳴り物止め」だろう!
 この人の名前を記録し、劇場が出入り禁止にしても、不思議はない。

 それにしても、居残り会の皆さんは、落語に限らず伝統芸能がお好きで、行動力もある。
 昨夜のメンバーでは、M女史もI女史も、我らがリーダー佐平次さんも、すでに国立劇場で観劇して、感激しているのだ^^

 何と言っても「四段目」の最後の場面が良かった、と佐平次さん。

 そんな名場面での携帯とは・・・・・・。
 Kさんが仕切り直しした気持ちも分かるなぁ。


 さて、『四段目』(よだんめ)は、ご存じのように落語になっている。

 仕事をさぼって芝居小屋で「仮名手本忠臣蔵」を観ていた定吉が、主人に蔵に閉じ込められて、つい、観てきたばかりの「四段目」を一人で演じる場面が、とにかく楽しい。

 柳家喜多八の「落語研究会」でのネタを調べた際にもお世話になった、「手垢のついたものですが」さんのサイトに「落語はろー」というコーナーがあり、「落語速記編」として、さまざまな落語全集の内容が掲載されている。

 私が大好きな八代目春風亭柳枝の『四段目』も、弘文出版の全集を元に掲載されているのが嬉しい。
「手垢のついたものですが」サイトの該当ページ

 同サイトから、引用させていただく。なお、ルビを少し割愛している。

「(べそをかいて、大声で)旦那ァッ、相すいません、明日っから一生懸命に働きますから勘忍してください。
ねえ旦那ァ……気味《きび》が悪いなァこのォォ蔵ァ――嫌《や》だなァ本当にィ……
第一《だいち》ィあのォ朝おまんまァ食べたっきりでお腹ぺこぺこなんです。
こん中ィ入れなきゃァ気がすまないと思ったらば、表ェ出してご飯を食べさして、あらためてこん中ィこうしまってもらうような具合にならないんですか旦那ァ?……旦那ァ……勘弁してくれねえなァ。
けェどもいくら小言をいわれてもやまないのが芝居。どうしてあたしゃァこんなに芝居が好きなんだろうなァ……
(太鼓の口真似で)てん、すってん、てん……着到を聞くってえとぐうゥゥッと体が吸込まれるようだ。
何度見ても飽きがこないのが忠臣蔵、大序から幕数《まくかず》が、十二段目までずいぶんあるけれども気が入って見るのがたった二幕。四段目に六段目《むっつめ》、六段目《むっつめ》のほうは小身者の腹切りだけに、楽屋で三味線弾いたり笛が入る。
そこいくてえと四段目、これァご大身《たいしん》の切腹だけに、出物止《でものど》め。合間に太棹《ふと》が(口真似で)でえーんでえーんッとあしらうだけだ。
一杯の見物人手に汗を握って、幕の開くのを待っている。そのうちに三っつめの拍子木《つけ》がちょーんと鳴ると、柝《き》なしでもって、幕がつつつつつつつつつ、平舞台周囲《しらぶたいぐるり》に襖《ふすま》、丸に違い鷹の定紋、下手に、斧九太夫《おのくだいう》原郷右衛門《はらごうえもん》上使《じょうし》受けに出る。
そのうちに揚《あ》げ幕の内《うち》で上使触《じょうしぶ》れてえのがある。出て来るのが、石堂右馬之丞《いしどううまのじょう》薬師寺次郎左衛門《やくしじじろうざいもん》、石堂ってえ人《しと》ァ色白ないい男だ、薬師寺てえ人ァ真ッ赤な恐い顔ォしてえる。
上手へ直る、正面の襖を開けて、出ていらっしゃるのが塩冶判官高貞《えんやはんがんたかさだ》。
黒二重《くろはぶたい》の五所紋付《いつところもんつき》、同じ羽織を着て、『(芝居調で)これはこれは、ご上使とあって、遠路のところご苦労に存じたてまつる。
なにはなくとも粗酒《そしゅ》一献《いっこん》。たそあるか、酒《ささ》の用意』、『(大声で)なに酒? こりゃよかろう、この薬師寺もお相手《あいて》ないたそう。が、今日《こんにち》の、上使の趣うけたまわりなば、酒も咽喉ィは、通りますめえ』――憎《にく》らしいことをいう。
これに構わず立ちあがるのが石堂右馬之丞。懐から書付《かきつけ》のお父《と》ッつァんみたいのを出してな、『(扇子をばっと広げて声を張り)上意《じょうい》』ッという――座がしいーんとするなァ。
『しとつこの度、伯州《はくしゅう》の城主《じょうし》、塩冶判官高貞儀、私の遺恨により、執事たる師直に傷を負わせ、殿中を騒がしたる科《とが》により、国郡家《くにこうりいえ》没収《ぼっしゅ》し、その身切腹、申しつくるものなり』、読みあげといて判官さんのほうィきっと見せる。
心得《こころい》たという思《おも》い入れがあって、『お役目相すまば、まずゥうち寛《くつろ》いで粗酒一献』、『(大声で)黙れ伯州! またしても酒々と、自体、この度の科というのは、出頭《しゅっとう》たる師直に傷を負わせ、縛《しば》る首にも及ぶべきところを、格別の憐愍《れんびん》をもって、切腹仰せ付けらるるを、ありがたし、かたじけなしと三拝なし、早速用意もあるべき筈を、見れば、当世様《とうせえよう》の長羽織、ぞべら、ぞべらとしめさるるは、うん、よめた、おん身は血迷うたか、いやさ狂気召されたか?』

 定吉の文字通りの一人芝居によって、結構、その映像が浮かんでくるではないか。

 「ぞべら、ぞべら」という科白、結構インパクトあるなぁ。

 続ける。
『あいや、伯州の城主《じょうし》、塩冶判官高貞、血迷いもせず、まった狂気もつかまつらん。今日《こんにち》お上使とうけたまわるより、かくあらんとはかねての覚悟』、すばやく着物を脱ぐ、下《した》ァ無紋の上下《かみしも》。
見ている者《もん》も驚いたが薬師寺てえ小父さんいい過ぎたもんだから目ばかりぱちくりやってる。これを見るなり石堂右馬之丞が、『ご用意のほど感じいったり、いい残さるることあらば、うけたまわるものもあり』、『こは、ご親切なるお言葉、ただ恨《うら》むべきは殿中にて、(力入れて)本蔵ッとやらに抱き留められ、(膝をうって、身をかきむしって)無念――』 
『ああいや……ご用意よくはお心静かに』。
所司《しょし》が畳を二枚、裏返《うらがい》し、白木綿、四隅《よすみ》に樒《しきび》。その上に判官さん、ぴしゃりっと座を構いる。
上手《かみて》から大星力弥、九寸五分を三方《さんぼう》の上へ乗せて、検使の前《まい》へ出す。目でよろしいと知らせる。判官さんの前《まい》へ据えて、下手へさがる……いいとこだなァ
(太棹の口真似で)でえーん――こら一人《しとり》で忙しくなってきたなァこらァどうも……でえーん……でえーん……肌を脱いでお腹をこうさするんだ――(と仕草をする)固いと切り担《そくな》うといけないッてなもんでな。九寸五分を半紙ィくるくるッと包ンで、三方を押し戴いてお尻《けつ》ィ支《か》う。お腹を切っても形のくずれないよう――細かいとこィ注意するもんだなァ……でえーん。
『力弥、力弥』『はァはァ』、『由良之助は?』、『いまだ参上、つかまつりませぬ』、『由良之助まいりなば、存生《ぞんじょう》に対面せで、残りおおいッと申し伝えよ』――
いいとこだなァどうもな……(べそをかいて)お腹がへっちゃァしょうがねえなァどうも……(声を張って)旦那もういいでしょ――いいかげんにおまんまァ食べさしてくれてもォ……先ァ演《や》っちゃうぞォ畜生《ちきしょう》……『力弥力弥由良之助は?』言葉せわしゅう問いかける。力弥もたまりかねて花道の附際《つけぎわ》、揚《あ》げ幕をきっと睨ンで、『どうしてお父ッつァんがこんなにおそいのだろう』て思い入れがあって、『いまだ参上』、つッつッつッと元ィ来て、『つかまつりませぬ』。『ご検使、お見、届けくだされ』。(力を入れて)右の手へ刀を持ちかいる。もうこれで口のきけないのが法だそうだなァ。
脇腹ィぶすっと刺すのがきっかけ、揚げ幕からばたばたばたばたッ、出てくんのァ大星由良之助、七三《しちさん》のとこまで来てひょいッと見ると検使がいるので、思わず平伏『はァッ……由良之助ただいま到着』。これを見ンなり石堂右馬之丞、舞台|端《ばた》までつかつかッと出て、
『おお、国家老、大星、由良之助とはその方か、苦しゅうない近う、近う』、
『はァはァ、はァァ』……じいっと頭を上げる。ご主人はお腹《はら》召されたあと、
『(膝を打って)ああおそかったか』という思い入れがあって、懐《ふところ》ィ手を入れるてえと腹帯《はらおび》をぐうゥッと締めて、すり足で、つッ、つッ、つッ、つッ、つッ、つッ、つッ、つッ、つッ、つッ……
『ごぜん』、
『由良之助かァ』 
『はァはァァ』、
『待ちかねたァ……』、(と急に力がぬけて) つ、つ、つ、つ、つ、つゥ……
(べそをかいて)いいとこでお腹ァへっちゃァしょうがねえなァどうも……
(声を張って)旦那もういいでしょ――ずいぶん入ってるんですからァ……ご飯食べさしてくださいよおまんまをォ……

 この後、蔵の中にあった本物の刀を使って切腹の芝居をしている定吉を女中が見かけて・・・・・・。

 私は、生の歌舞伎を観たことはないし、今回の通し公演も、諸般の事情で行かないだろう。

 歌舞伎は、あと数年したら、連れ合いと一緒に行こうか、などと思っている。
 しかし、あのお方は、落語に何度も連れて行ったが「何が面白いか、分からない」ということで、同行するのを諦めた過去がある。歌舞伎も・・・・・・。
 
 『四段目』は、柳枝が私にとってベスト音源だが、大須での志ん朝の音源もある。
 最初の年、平成2(1990)年の三日目の高座で、まくらを含め50分を超える。これは、まくらがとりわけ楽しいのだ。そのうち、書き起こそうと思っている。

 今年の通し公演には縁がないが、『四段目』に限らず『七段目』や『中村仲蔵』『淀五郎』など、落語で忠臣蔵を楽しむことができるから、私は今のところ不満はない^^


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by kogotokoubei | 2016-10-27 21:18 | 落語のネタ | Comments(8)
 昨夜は、平尾誠二追悼番組として、先日の記事でもふれた「伝説の名勝負 不屈の闘志激突!’85ラグビー日本選手権 新日鉄釜石×同志社大学」が、NHK BS1で午後6時から再放送された。

 2012年1月にも見た内容なのだが、ブログを書きながら見ていて、つい引き込まれた。

 惜しい、あまりにも残念な平尾誠二の早世・・・・・・。

 平尾のことやラグビーのことは別途書くとして、さて、落語のこと。

 10月9日に新宿末広亭に行った際に受け取ったプログラムに、落語芸術協会の来春の真打昇進者の案内があった。

 末広亭のサイトに掲載されている「寄席だより」から引用する。
末広亭サイトの「寄席だより」のページ
■来年5月には 2人の新真打 落語芸術協会

 二ツ目からめでたく真打に昇進するのは昔昔亭桃之助と笑福亭和光。桃之助は02年4月に桃太郎に入門し喜太郎、07年2月二ツ目で桃之助。
 桃之助は02年4月桃太郎に入門、東京都江東区の出身。和光は02年2月に鶴光に入門、栃木県出身。 和光は02年7月鶴光に入門し和光、07年4月二ツ目。当席来年5月上席をふりだしに真打披露が行われる。
 
 さて、ここ数年の3人真打興行は興行的にも良い試みだと思っていたのだが、来春は2人か。

 昇進する2人の入門と二ツ目昇進時期は、次のようになっている。
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昔昔亭桃之助 平成14年3月 入門、平成19年2月 二ツ目昇進
笑福亭和光  平成14年2月 入門、平成19年4月 二ツ目昇進
-----------------------------------------------------------------------

 ちなみに、落語協会の来春の昇進者5人は、こうなっている。
-----------------------------------------------------------------------
林家ひろ木 平成14年 入門、平成17年11月 二ツ目昇進
春風亭朝也 平成14年5月 入門、平成17年11月 二ツ目昇進
柳家ろべえ 平成15年2月 入門、平成18年5月 二ツ目昇進 
三遊亭時松  平成15年4月 入門、平成18年5月 二ツ目昇進
鈴々舎馬るこ 平成15年5月 入門、平成18年5月 二ツ目昇進
-----------------------------------------------------------------------

 そして、来年秋の昇進者は、次の3人。
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桂三木男 平成15年 入門、平成18年11月 二ツ目昇進
柳亭こみち 平成15 入門、平成18年11月 二ツ目昇進
古今亭志ん八 平成15年 入門、平成18年 11月二ツ目昇進
-----------------------------------------------------------------------

 これを見れば分かるのだが、落語芸術協会は入門から二ツ目昇進まで5年、落語協会は3年。

 入門年だけからすると、落語芸術協会で平成15年入門者が真打に昇進しても、不思議はないように思うが、桃之助と和光の後に続く人たちは、どうなっているのかというと、次の通り。
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桂 夏丸 平成15年3月 入門、平成19年9月 二ツ目昇進
神田 蘭 平成16年1月 入門、平成20年7月 二ツ目昇進
瀧川鯉斗 平成17年3月 楽屋入り、平成21年4月 二ツ目昇進
橘ノ双葉 平成17年3月 入門、平成21年4月 二ツ目昇進
柳亭小痴楽 平成17年10月 初高座、平成21年11月 二ツ目昇進
昔昔亭A太郎 平成18年2月 入門、平成22年2月 二ツ目昇進
滝川鯉八 平成18年 入門、平成22年8月 二ツ目昇進
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 ちなみに、落語芸術協会の今春昇進の3人は、こうなっている。
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神田鯉栄 平成13年9月 入門、平成18年10月 二ツ目昇進
橘ノ円満 平成14年2月 入門、平成18年11月 二ツ目昇進
三笑亭可風 平成14年 入門、平成19年5月 二ツ目昇進
-----------------------------------------------------------------------

 落語協会の来年の例では、真打昇進が入門からか14~15年、二ツ目昇進から11~12年。
 落語芸術協会の今年の3人の例では、入門からは14~15年ということで、ほぼ同じ。二ツ目昇進からは9~10年。

 ここで素朴な疑問。

 なぜ、桂夏丸も含めた3人昇進とならなかったのか・・・である。
 昇進する桃之助、和光、そして夏丸の生の高座を聴いているが、夏丸が昇進してもまったく不思議はない。
 ついでに言うと、連雀亭の昨年の初席では、夏丸の歌も聴いている^^

 入門から14年、二ツ目昇進から10年で、条件面では昇進対象となっておかしくはない。

 2人昇進の場合の興行は、一日おきの出演か、あるいは前半と後半に分けるのか。
 また、主任ではないもう一人が口上の後に出演するなどで毎日二人とも聴けるのか・・・などは分からない。

 3人昇進で、全員が毎日出演する興行形式が気に入っていたのだが、さて、来春はどうなるのやら。
 

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by kogotokoubei | 2016-10-24 12:14 | 真打 | Comments(2)

平尾誠二の死を悼む。

 平尾誠二の訃報には、心底、驚いた。

 まだ、53歳・・・・・・。

 私は、あの昭和60年1月15日に、国立競技場にいた62000人の一人だ。
 その頃住んでいた越後の町から、歴史的な一戦を生で観るため、そして同志社を応援するために駆けつけたのだった。
 
 大学選手権三連覇の同志社と、日本選手権七連覇を目指す新日鉄釜石の試合は、それだけの魅力があった。
 また、まだ独身で、そういう行動が可能な時期でもあった。

 松尾雄治の引退試合ともなる決戦は、前半を13対12で同志社がリード。
 日本ラグビーのリーダーが、松尾から平尾に引き継がれる試合、という思いに胸が躍った。
 しかし、後半には新日鉄釜石の“鉄の男たち”に逆転され31対17でノーサイド。

 それでも、両チームの持ち味を十分に発揮した素晴らしい試合だった。
 今のように肩パッドをしていない時代の、体と頭を極限まで使っての死闘だったと思う。

 説明するまでもなく、平尾はその後、神戸製鋼の七連覇に貢献し、日本代表の監督も務め、協会の幹部としての役割も担った。
 2019年に迫ったワールドカップ日本大会において、彼の活躍が大いに期待されていた。

 しかし・・・・・・。

 私は知らなかったが、昨秋から急に痩せたことが話題になっていたようだ。

 つい、思い出すのは、他の一時代を築いたラガーマンのこと。
 上田昭夫が昨年、満62歳で旅立った。
 十年前には、宿沢広朗が、55歳で逝去。
 
 短絡的にラガーマンが早死にする、などと言うわけでは、毛頭ない。それぞれに、惜しんで余りある早世だ。
 
 日本ラグビー代表の昨年のワールドカップでの活躍は、平尾誠二や上田昭夫、宿沢広朗といった人々が積み重ねてきた歴史の上に為し得たことだと思う。

 そして、まだまだ挑戦すべき課題があることも事実。そのために、平尾誠二の存在は大きかったはずだ。

 まだ、空虚感から脱することができない。

 2012年の1月にNHK BSで、あの1985年1月15日の死闘を、松尾と平尾が振り返るという実に興味深い番組があったことを思い出す。

 松尾雄治のコメントは、まだ目にしないが、落胆は小さくないだろう。

 平尾誠二という素晴らしいラガーマンの冥福を心より祈りたい。


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by kogotokoubei | 2016-10-20 21:18 | 幸兵衛の独り言 | Comments(2)
 スウェーデン・アカデミーがノーベル文学賞を授与すると発表して以来、ボブ・ディランとノーベル賞事務局との連絡がつかないらしい。
 
 朝日新聞から引用する。
朝日新聞の該当記事

ディランさんへ、もう連絡しません ノーベル賞事務局
ロンドン=渡辺志帆
2016年10月18日01時12分

 今年のノーベル文学賞を米国のミュージシャンのボブ・ディランさん(75)に授与すると発表したスウェーデン・アカデミーは17日、ディランさん本人への連絡を断念すると明らかにした。サラ・ダニウス事務局長が地元ラジオに語った。

 それによると、アカデミーは授与発表から4日がたった現在も、ディランさん本人と連絡が取れていない。ディランさんが文学賞を受けるつもりがあるかや、12月10日にストックホルムである授賞式に出席するかも不明だ。ダニウス氏は「受諾してくれると思う。そうでなければ悲しいが、栄誉は彼のものだ。心配はしていない」と語った。関係者への連絡は続けるという。

 ディランさん本人は、受賞についてコメントしていない。公式ツイッターは、受賞当日の夜にオバマ大統領からの祝福メッセージをリツイートして以後、更新が途絶えている。(ロンドン=渡辺志帆)

 私は、ディランは、受賞すべきかどうか迷っているのではないかと察する。

 昨夜、私はアメリカ人とドイツ人と一緒に夕食をとったのだが、この話題になり、二人とも今回の受賞に否定的なのは、私の思いと同じだった。

 他の多くの方と同じく、私は今回の授章に疑問を抱く。

 ディランは「シンガー・ソング・ライター」であり、「作詞家」としてだけの存在ではない。
 だから、「文学」の範疇に彼を取り込もうとすることに、無理がある。
 
 「詩人」としての範疇では括り切れない彼の存在を考えて、今回のスウェーデン・アカデミーの決定は多くの人に違和感を与えている。

 そして、何より、彼は「プロテスト・ソング」の担い手である。

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Amazon Bob Dylan「The Freewheelin'」

 ボブ・ディランの「風に吹かれて」を含む、デビュー二作目のアルバム「The Freewheelin'」は、今更説明の必要もない、傑作だ。

 デビューアルバムは、当時5,000枚しか売れなかった。
 この二作目は、RIAA(アメリカ・レコード協会)から100万枚以上のセールスを記録したプラチナ・ディスクとして認定されている。

 1963年11月にリリースされたのだが、収録曲の録音は、1962年4月24日から1963年4月24日までに渡っている。
 1962年の10月に、あの「キューバ危機」が起こっている。

 次のような曲が含まれている。

Side 1
1.「風に吹かれて」 Blowin' in the Wind
2.「北国の少女」  Girl from the North Country
3.「戦争の親玉」 Masters of War
4.「ダウン・ザ・ハイウェイ」 Down the Highway
5.「ボブ・ディランのブルース」 Bob Dylan's Blues
6.「はげしい雨が降る」 A Hard Rain's a-Gonna Fall
7.「くよくよするなよ」 Don't Think Twice, It's All Right

Side 2
1.「ボブ・ディランの夢」 Bob Dylan's Dream
2.「オックスフォード・タウン」 Oxford Town
3.「第3次世界大戦を語るブルース」 Talking World War III Blues
4.「コリーナ、コリーナ」 Corrina, Corrina
5.「ワン・モア・チャンス」 Honey, Just Allow Me One More Chance
6.「アイ・シャル・ビー・フリー」 I Shall Be Free

 公式サイト「bobdylan.com」から、「戦争の親玉」(Masters of War)の歌詞を引用。
ボブ・ディラン公式サイトの該当ページ

Masters Of War
Written by: Bob Dylan

Come you masters of war
You that build all the guns
You that build the death planes
You that build the big bombs
You that hide behind walls
You that hide behind desks
I just want you to know
I can see through your masks

You that never done nothin’
But build to destroy
You play with my world
Like it’s your little toy
You put a gun in my hand
And you hide from my eyes
And you turn and run farther
When the fast bullets fly

Like Judas of old
You lie and deceive
A world war can be won
You want me to believe
But I see through your eyes
And I see through your brain
Like I see through the water
That runs down my drain

You fasten the triggers
For the others to fire
Then you set back and watch
When the death count gets higher
You hide in your mansion
As young people’s blood
Flows out of their bodies
And is buried in the mud

You’ve thrown the worst fear
That can ever be hurled
Fear to bring children
Into the world
For threatening my baby
Unborn and unnamed
You ain’t worth the blood
That runs in your veins

How much do I know
To talk out of turn
You might say that I’m young
You might say I’m unlearned
But there’s one thing I know
Though I’m younger than you
Even Jesus would never
Forgive what you do

Let me ask you one question
Is your money that good
Will it buy you forgiveness
Do you think that it could
I think you will find
When your death takes its toll
All the money you made
Will never buy back your soul

And I hope that you die
And your death’ll come soon
I will follow your casket
In the pale afternoon
And I’ll watch while you’re lowered
Down to your deathbed
And I’ll stand o’er your grave
’Til I’m sure that you’re dead

Copyright
© 1963 by Warner Bros. Inc.; renewed 1991 by Special Rider Music


最初の段落を、微力ながら和訳したい。

---------------------------------------------
Come you masters of war
You that build all the guns
You that build the death planes
You that build the big bombs
You that hide behind walls
You that hide behind desks
I just want you to know
I can see through your masks

戦争の親玉諸君よ
鉄砲を作る諸君よ
殺人飛行機を作る諸君よ
大きな爆弾を作る諸君よ
壁の後ろに隠れている諸君よ
机の後ろに隠れている諸君よ
あんた達に知ってもらいたい
あんた達の魂胆はお見通しだってことを
---------------------------------------------

最後の段落の一つ前は、こうだ。
---------------------------------------------
Let me ask you one question
Is your money that good
Will it buy you forgiveness
Do you think that it could
I think you will find
When your death takes its toll
All the money you made
Will never buy back your soul

質問させてくれないか
そんなに金っていうものはいいのかい?
その金で許しを買おうというのかい?
そんなことができると思っているのかい?
あんた達も、いつかは気づくだろう
あんた達が死ぬときに有り金全部積んでも
魂は買い戻せやしないってことを
---------------------------------------------

 1963年、ディラン22歳の時の歌に込めた反戦の思いは、75歳になる今も変わらないのではなかろうか。

 彼が讃えられるべきなのは、プロテスト・ソングの作り手てあり歌い手であった人生そのものであろう。

 その彼が、「ノーベル文学賞」授章の知らせがあって以降、ライブ会場でもまったくそのことに触れず、また、ノーベル賞事務局との連絡を断っているいるのは、なぜか・・・・・・。

 「ノーベル文学賞」という分野の問題よりも、ディランにとって重要なのは「ノーベル賞」という権威の背後にあるものではなかろうか。

 アルフレッド・ノーベルは、ニトログリセリンを実用化し、ダイナマイトを発明した人だ。

 Wikipediaのアルフレッド・ノーベルから、引用する。
Wikipedia「アルフレッド・ノーベル」
アメリカに渡って4年間化学を学んだ。そこで短期間だが発明家ジョン・エリクソンに師事している。その後、父の事業を手伝う。最初の特許を出願したのは1857年のことで、ガスメーターについての特許だった。

クリミア戦争 (1853–1856) では兵器生産で大儲けをするが、戦争終結と同時に注文が止まったばかりでなく、軍がそれまでの支払いも延期したため事業はたちまち逼迫し、父は1859年に再び破産する。父は工場を次男のリュドビック・ノーベル(英語版) (1831–1888) に任せ、ノーベルと両親はスウェーデンに帰国した。なお、リュドビックは受け継いだ工場を再開して事業を発展させた。ノーベルは爆発物の研究に没頭し、特にニトログリセリンの安全な製造方法と使用方法を研究した。ノーベル本人がニトログリセリンのことを知ったのは1855年のことである(テオフィル=ジュール・ペルーズの下で共に学んだアスカニオ・ソブレロが発見)。この爆薬は狙って爆発させることが難しいという欠点があったので起爆装置を開発。1862年にサンクトペテルブルクで水中爆発実験に成功。1863年にはスウェーデンで特許を得た。1865年には雷管を設計した。ストックホルムの鉄道工事で使用を認められるが、軍には危険すぎるという理由で採用を拒まれる。

1864年9月3日、爆発事故で弟エミール・ノーベルと5人の助手が死亡。ノーベル本人も怪我を負う。この事故に関してはノーベル本人は一切語っていないが、父イマニュエルによればニトログリセリン製造ではなくグリセリン精製中に起きたものだという。この事故で当局からストックホルムでの研究開発が禁止されたためハンブルクに工場を建設。ニトログリセリンの安定性を高める研究に集中した。また合成者のアスカニオ・ソブレロ (Ascanio Sobrero) に対し充分な対価を支払った。1866年、不安定なニトログリセリンをより安全に扱いやすくしたダイナマイトを発明。彼の莫大な利益を狙うシャフナーと名乗る軍人が特許権を奪おうと裁判を起こしたがこれに勝訴し、1867年アメリカとイギリスでダイナマイトに関する特許を取得する。しかしシャフナーによる執拗な追求はその後も続き、アメリカ連邦議会にニトロの使用で事故が起きた場合、責任はノーベルにあるとする法案まで用意されたため、軍事における使用権をシャフナーに譲渡。

1871年、珪藻土を活用しより安全となった爆薬をダイナマイトと名づけ生産を開始。50カ国で特許を得て100近い工場を持ち、世界中で採掘や土木工事に使われるようになり、一躍世界の富豪の仲間入りをする。1875年、ダイナマイトより安全で強力なゼリグナイトを発明。1887年にはコルダイトの元になったバリスタイトの特許を取得している。

 ニトログリセリンやダイナマイトは、必ずしも兵器としての使用にとどまらず、医療分野や土木の分野で重要な役割を果たしている。
 しかし、爆薬として兵器にもなり得る。

 何より、アルフレッドと父を含めたノーベル一家が、兵器製造によって財を蓄えた事実は、動かしようがない。
 
 「ノーベル賞」の背後にある財の源泉を、ディランが知らないはずはなかろう。

 「プロテスト・ソング」の担い手であったディランが、その「ノーベル賞」を受けることは、いわば、彼の哲学と反することではなかろうか。
 
 ディランは、ノーベルを、“masters of war”の一人としてみなしているのか、どうか・・・・・・。

 ノーベル賞事務局がディランと連絡がとれない謎の答えは、ディランの歌を借りるなら、「風」の中にあるのだろうか。

 ディラン自身が、受賞すべきかどうか、「風」の中に漂う答えを探しているのかもしれない。

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by kogotokoubei | 2016-10-18 20:54 | 幸兵衛の独り言 | Comments(6)
 いろいろあって、やや時間を空けてしまったが、10月9日の夜の部の仲入り後について。

三代目橘家文蔵襲名披露口上 (14分 *19:01~)
 緞帳が上がり、高座の下手から玉の輔、馬生、正雀、文蔵、木久扇、市馬の6人が並んでいた。
 玉の輔は入門が文蔵の一年先輩なので、前座時代の文蔵の逸話を少しだけ披露。
 馬生は、文蔵と麻雀仲間とのこと。
 正雀は、一門の先輩として、実に真面目な口上。
 木久扇は、当代の円太郎の真打昇進披露の際、文蔵が西伊豆で自分で釣った鯛をお祝いに届けたと明かす。
 市馬は、型通りに。
 三本締めで木久扇が「それでは新文左衛門の誕生を祝い」と言ったのは、お約束だろう。

ダーク広和 奇術 (13分)
 紋之助の代演。いつもの軽妙な芸で沸かす。

金原亭馬生『目黒のさんま』 (12分)
 交替出演枠はこの人。綺麗な品のある高座は、実に貴重だ。秋刀魚さえも背筋が真っ直ぐな凛々しい姿に見えてくる。

林家正雀『紙屑屋』 (11分)
 藤兵衛との交代出演。十八番のネタで、歌舞伎、義太夫などの引き出しの多さが生きる。
 高座のみならず、その著作などを含め、八代目正蔵の芸や歴史を木久扇とは別な視点から伝える得難い人である。

林家正楽 紙切り (6分)
 この短い時間で、その語りも楽しませながら、「相合傘」「文蔵」「熊本城」を創作する技量は、やはり凄い。

橘家文蔵『文七元結』 (50分 *~21:19)
 他の方のブログで知っていたが、鈴本から恒例の撮影タイム(写メタイム?)が5分ほどあった。楽屋の仲間も呼び出す。酒瓶を持って小せんが登場。帰り際には並んだ焼酎の一升瓶も持って帰った。ホンキートンクの二人もいた。駒次が笛を吹きながら登場し、吹きっぱなしで戻って行ったが、なかなかの腕前。
 さて本編は、ブログを書き始める前、2008年3月に四谷のコア石響の「ラジオデイズ落語会」で聞いて以来の長講。あの時は、高座につくなり、マクラなしで始まったのでずいぶん驚いたものだ。
 結論から書くが、三代目文蔵の持ち味がぎっしり詰まった素晴らしい高座だった。
 日曜日の九日目、ほぼ満席の会場の客は、私を含め、実に恵まれていたと思う。
 まず、長兵衛が、この人に相応しく少し強面で描かれる。それは実に道理だ。腕のいい左官屋とはいえ、博打にうつつを抜かす男だから、さもこうなのだろうと思わせた。佐野槌の番頭藤助も、ややヤクザがかった感じで、これまた納得。あの世界で番頭を務める男だ、他の噺家が演じるような“良い人”であるほうが不思議なのだと思う。
 そういった男性陣のみならず、女性陣の描写も、この人は見かけによらず(^^)なかなか良いのだ。 長兵衛の女房お兼の、気丈な職人の妻としての姿と、娘の母親としての優しさなどがしっかりと描かれている。
 そして、佐野槌の女将だ。ややぞんざいな言い方をする長兵衛に対し、吉原の大店の女将としての風格を漂わせながら、きっちりとダメを出す重厚さが良い。
 そして、五十両を借りた長兵衛に、別れ際、娘のお久が母を大事にしてくれと声をかける場面は、少し目頭が熱くなったぞ。
 吾妻橋での長兵衛と文七とのやりとりも、五十両を渡すまでを引っ張り過ぎずに、楽しませてくれた。
 近江屋卯兵衛の貫禄ある姿を演じるのには、持ち味を発揮し無理がない。
 見事に登場人物を演じ分けた。
 サゲ近くのヤマ場、長兵衛夫婦の喧嘩、そして、近江屋が五十両を返すと言うのに受け取ろうとしない長兵衛の袖を、隠れているお兼が何度か引く場面の可笑しさもしっかり。
 この高座を、今年のマイベスト十席候補とするのを躊躇うことはない。


 まさか、この噺を聴けるとは思っていなかったので、あらためて日曜の朝の雨に感謝しながらの帰宅。
 新文蔵には、ぜひ師匠が十八番とし、円生や志ん朝までも高く評価し稽古を志願したほどのネタを継承して欲しいし、きっとそれができる人だと思う。
 実は、この人は繊細な神経の持ち主だと思う。見た目と行動では察すことができにくいが、そうじゃなければ、あんな高座は出来ようがない。

 なんとか、披露興行に行くことができ、それもあの高座に大満足し、8時間余りの居続けによる足腰の疲れも吹き飛んだのであった。

 はや一週間を経ようとしているが、披露興行はまだ続いている。都合と縁次第だか、なんとかもう一日行きたいと思ってはいる。

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by kogotokoubei | 2016-10-15 11:03 | 落語会 | Comments(8)
 腹ごしらえをして、さぁ、夜の部。
 
 三代目橘家文蔵襲名披露興行だ。

 前にも書いたことだが、この定席寄席での興行日程、落語協会のホームページでは、ポスターの各寄席の披露興行日程を確認せよ、とばかりに不親切なのだが、次のようになっている。

  9月21日(水)~30日(金)   鈴本演芸場 夜席
 10月 1日(土)~10日(月・祝) 新宿末広亭 夜席 
 10月11日(火)~20日(木)   浅草演芸ホール 昼席
 10月21日(金)~30日(日)   池袋演芸場 昼席
 11月 1日(火)~10日(木)   国立演芸場 昼席
                    *4日(金)のみ昼夜二回公演

 なんとかどこかで、と思っていたが、雨のおかげ(?)で、ご縁があった。

 さて、入れ替え後の客席は、相変わらずの満席に近い状態。
 とはいえ、桟敷は若干空きが増えて、少し前の方に場所を替えることができた。
 緞帳が上がり、お約束の後ろ幕。
 「おたこん落語会」「高円寺ノラや」「贔屓連」連名だった。
 後で、文蔵本人が言うように、実の派手な色合い。それも、ご本人には相応しいかもしれない。

 出演順に感想などを記す。良い印象を受けた高座にをつける。

春風亭朝太郎『一目上がり』 (10分 *16:49~)
 今年の「さがみはら若手落語家選手権」の開口一番以来。
 正直な感想は、これまで聴いた中では、もっとも残念な内容。
 満席近い客席を見て緊張したのかもしれないが、噛みまくっていたなぁ。
 しかし、この人は将来性を感じる。何と言っても師匠が良い。

古今亭駒次『電車戦国絵巻』 (9分)
 この人の十八番。まさか十分を切った高座だったことを後で確認し、あらためて見事な筋書きと演出に驚く。この高座だけ聴けば、十分に真打の中堅どころだ。
 東急電鉄の東横線がグループから離脱してJRグループに寝返りったことを契機に、東急グループが助っ人の加勢を得てJRに立ち向かおうとする内容なのだが、新作としての出来栄えは、相当高いと思う。
 文蔵の高座で恒例(?)となっている写真撮影タイムでは、なかなか達者に笛を吹きながら登場した。
 来春の五人、来秋の三人の真打昇進の後に二ツ目では香盤のトップになる。
 再来年の昇進披露興行で、ぜひ、師匠の元気な笑顔を拝見したい。

米粒写経 漫才 (9分)
 初である。サンキュータツオは「しぶらく」で落語愛好家には名が知られていると思うが、相方の居島一平は知らなかった。ネタは、その居島一平が主役で、どんな県でも客席から言ってもらえれば、その県の有名な出身者や歴史、名産さどを立て板に水で語る、という内容。鹿児島県-秋田県-兵庫県について、なかなかの博識ぶり(?)を披露した。これはこれで聴かせるものはあったが、次の機会には掛け合いの芸を聴きたいものだ。

三遊亭萬窓『悋気の独楽』 (15分)
 この人は地味だが、もっと評価されていい。寄席らしい、とはいえ、今では得難い味のある高座で、私は、声質などはまったく違うのだが、どこか八代目春風亭柳枝のような趣きを感じる。

柳亭左龍『宮戸川』 (13分)
 何度も書いてきたが、“眼力(めじから)”の強い人で、そこに顔の表情も大いに個性的。
 半七が口をパクパクさせると霊岸島の叔父さんが「酸欠のボラか」というのが、可笑しかった。

ペペ桜井 ギター漫談 (10分)
 体調を崩されていたを伝え聞いていて心配していたが、声は少しかすれていたものの、いつもの達者な芸に安心。昭和10年10月10日生まれの81歳。それでも新ネタ(「古井戸」)を披露するあたりが、凄い。
 巧妙なギターの演奏と、あのなんともいえない間のサゲに、寄席で出合い続けたい。

柳家小せん『千早ふる』 (14分)
 いつ聴いても、声の良さが印象的だ。ほぼ小三治型と言ってよく、もしかすると稽古してもらったのかもしれない。こういうネタは実に上手い。

五明楼玉の輔『紙入れ』 (21分)
 少し長めの時間をもらったようで、定番のマクラからこの噺へ。
 マクラも本編も、会場を沸かせる技量は高い。でも、古典を演じても、なかなか江戸の情景が、私には浮かんでこないのは、相性が良くないということか。この人の軽妙さを好む方も確実にいるのだろうが、これだけはどうしようもないかなぁ。

ホンキートンク 漫才 (12分)
 今、両協会の若手・中堅漫才では、間違いなくトップクラスにいると思う。
 『芝浜』や『時蕎麦』の落語を取り入れたネタは、寄席のお客さんの爆笑を誘わずにはいられない、という感じだ。いいなぁ、この漫才。

柳亭市馬『二十四孝』 (15分)
 交替出演、この日は落語協会会長。
 久しぶりなのだが、以前よりはムダに首を左右にふることが少なくなって、見ていていらつかなかった。
 時間の関係だろうが、サゲまで演じずに終わったのは、残念。

林家木久扇 漫談&『彦六伝』 (14分 *~19:15)
 仲入りは、本来の一朝の代演で人気者のこの方。
 「笑点」ネタは、この人だと許せる気がするのは、人柄だろうか。彦六ネタは、まさに“テッパン”で、会場を大いに沸かせて前半終了。


 今回は二回に分けるので、披露口上以降、文蔵の名高座までのことは次回ということでご容赦のほどを。


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by kogotokoubei | 2016-10-12 21:42 | 落語会 | Comments(0)

 雨でテニスが休みとなった。
 これは、天が、三代目文蔵襲名披露興行中の「末広亭に行け」と言っていると感じ(?)、出かけた。
 どうせ行くなら、入れ替えなしの末広亭だから、昼夜居続けにしようと思った次第。
 
 早めの昼食の後に電車と地下鉄で新宿三丁目へ。コンビニで夕食やお茶などを仕入れて、末広亭に入ったのが一時少し前で、アサダ二世の途中だった。
 二階も開けての大入り。
 後ろの壁に沿って並ぶ、お祝いの献花。
 舞台上手の献花はビクターエンタティンメントから、下手はTBSラジオからだった。

 なんとか好みの下手桟敷に狭いなからも一人分の空間を見つけて着席。
 初めから聴くことのできた高座や色物について、感想などを記す。良かったと思う高座にを付ける。

柳家一琴『のっぺらぼう』 (14分 *13:02~)
 さん福の代演。4月8日の、同じ末広亭居続けの夜の部『目薬』以来。
 この噺は八代目文楽門下で『水道のゴム屋』なども作った六代目三升家小勝の作品と言われている。落語芸術協会では、五代目柳好でよく聴く。落語協会で聴くのは、入船亭扇好以来か。
 4月の『目薬』でも感じたことだが、こういった小品でも、この人はしっかりした高座に仕上げる力量があると思う。流石、小三治一門、と思う。

三遊亭歌武蔵『相撲漫談』 (14分)
 いつものネタで、満員の客席を爆笑させる。それ自体は、寄席の芸として優れたものに違いはない。しかし、私は、この人に昔の相撲のネタは、もはや必要ないと思っている。「只今の勝負~」という冒頭の科白も好きではない。
 でも、よく考えると、相撲界と落語界という常人にはうかがい知れない二つの世界を経験している貴重な人なのだ。歌武蔵が、その稀有な経験を強みとして生かすことを批判することは出来ないかもしれないなぁ。とはいえ、個人的には、この人の漫談ではなく、一席のネタを期待している。
 
ロケット団 漫才 (13分)
 桟敷の私の近くにいた女性二人連れのお客さんが、キャッキャキャッキャと笑っていた。
 定番の四字熟語、「先の見通しがつかないこと」が「五里霧中」ではなく「国民年金」というあたりに、この人たちの持つエスプリが効いている。久しぶりだが、やはりいいねぇ。

桃月庵白酒『茗荷宿』 (14分)
 寄席の十八番をいくつも自分のものにしているなぁ、という印象。これまた、近くにいたお客様が大いに笑っていた。この日の昼の部は、落語初心者と思しき若いお客さんも多く、ネタそのものの可笑しさでも大いに笑いがとれていたが、そこに、白酒ならではのクスグリもあって、実に楽しい高座。「茗荷の開き」は、不味そうだ^^

柳家さん八『長短』 (15分)
 マクラで国民年金から介護保険や国民保険が天引きされることにボヤいていたが、場内は無言で頷くお客さんも少なくなかったように思う。本当に切実な問題だ。
 本編は、柳家の十八番をしっかり。また、『小言念仏』かと思っていたので、少し嬉しかった。

林家二楽 紙切り (14分)
 (1)桃太郎(ご挨拶代わり) 
 (2)サザンオールスターズ(江ノ島風景)
 (3)初日の出
 で下がった。なぜ体を動かすか、という兄弟子正楽のネタをパクっていたが、これは許されるだろう。協会が違う実の兄が小南を襲名する披露目では、ぜひ兄弟共演の興行を期待している。

川柳川柳 漫談(春の甲子園テーマ曲) (15分)
仲入りは御大。春の甲子園のテーマ曲を紹介しながらの漫談で、最後に軍歌でサゲたが、やや声が出にくいのかなぁ。意地悪な紙切りのネタ、ということで「むかで」の名が出ず、客席がお手伝い^^
 昭和6年生まれの85歳。その姿を拝めるだけでも、有難い。

桂やまと『豆屋』 (13分)
 主任の師匠の席なので、この人がクイツキ。何を演るかと思っていたら、この噺。
 元は上方落語で、三代目小さんが上方から移入したネタの一つだが、あまり聴くことはない。
 当代文治の高座をテレビの「落語研究会」で聴いたことはあるが、あの迫力には及ばないものの、なかなか楽しい高座だった。四年前の「さがみはら若手落語家選手権」で才紫時代に優勝している実力者。丁寧で品を感じさせる若手は、そう多くはないので、今後、いっそうの飛躍を期待したい。

とんぼ・まさみ 漫才 (14分)
 以前は、結構小言を書いた。この日は、そう悪くなかったが、無駄な間や、むやみに相方をぶつ芸は、好みとは言えない。

林家鉄平『紀州』 (14分)
 ごった煮の高座。聴く側を混乱させるような構成も良くないし、自虐的なクスグリも、感心しない。

春風亭正朝『六尺棒』 (16分)
 あらためて、この人の持ち味を再認識させる好高座。
 父親と息子との対比の演じ方が見事だし、立場が逆転してからの科白の楽しさで、会場からも笑いを誘う。これこそ、寄席の芸、と思わせた。
 あの事件さえなければ、と思わせる。本当は、中堅落語家のトップランナーとして走っているべき人だ。そろそろ、時間という妙薬のご利益を聴く側も甘受する時期になったのだろうか。
 上手さにおいては、当代の東京落語界では五本の指に入るのではなかろうか。こういう寄席の高座でこそ、その実力が分かる。今年を振り返る際に、寄席の逸品賞として候補にしたい高座。

柳家小菊 粋曲 (7分)
 トリの時間を作るための短い時間でも、しっかりと彩りをそえた。 

桂才賀『カラオケ刑務所』&踊り「函館の女」 (27分 *~16:34)
 二年前の新作落語台本賞の準優秀作だった噺とのこと。
 マクラで説明したように、柳昇の『カラオケ病院』への「パクリ」ではなく、「オマージュ」と悪者は台本の冒頭に記しているらしい。実は、この「オマージュ」がサゲにつながる。
 なるほど、周囲が、このネタは才賀さんしかいない、と言うはずである。
 33年前に少年院を慰問して以来、少年院や刑務所の慰問を続け、なんと11月3日には府中刑務所で一日所長の栄誉をになう人だからね。
 ネタの内容は、刑務所のカラオケ大会で、各工場代表が、「罪名」にちなんだ歌を披露するという爆笑もの。「ストーカー」で捕まった代表の曲が『ついてくるかい』など。
 会場は爆笑の渦。加えて、一席の後には『函館の女』のアテブリで「篠原流」なる流派の踊りを披露。
 これは、なんとも馬鹿馬鹿しくて笑った。
 会場、笑いのうちに、昼の部がハネた。


 多くのお客さんが退場して行くが、結構、居続けの方もいたようだ。
 才賀が、椅子に座っての高座にも出合っているので、落語も踊りも元気一杯の姿を見て、安心した。
 夜の部に備えて、夕食の寿司をパクついた。

 夜の部は、別途書きたい。ここまで、入場から、ほぼ3時間半余り。
 さて、夜は三代目橘家文蔵襲名披露興行。
 あの、文蔵の見事な高座まで、まだ先は長い。
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by kogotokoubei | 2016-10-10 14:47 | 落語会 | Comments(6)
 新しいNHK朝の連続テレビ小説「べっぴんさん」で、気になることがある。
 
 主人公の母親坂東はなの役で出演している菅野美穂が「語り(ナレーター)」も務めているのだが、その関西弁に違和感がある。
NHKサイトの「べっぴんさん」のページ

 神奈川県伊勢原生まれで埼玉育ちの菅野の関西弁は、何ともたどたどしいし、私には生粋の関西人の言葉とはかけ離れて聞こえてしまう。
 
 なぜ、彼女が「語り」までをする必要があったのか疑問だ。

 私は北海道生まれで学生時代を関西で過ごしただけでその後は越後経由で関東に住んでおり、とても本物の関西弁は話せないが、聞く耳は持っているつもり。

 関西の方は、菅野の「語り」を聞いていてどう思われているのだろうか・・・・・・。

 「とと姉ちゃん」は、花森安治という反戦、反権力のジャーナリストの真相を描くのを避けた。
 それは、歴史の歪曲ではあったが、捏造とまでは言えない。

 あえて書くが、菅野の「語り」は、言葉の捏造だ。
 
 江戸っ子の言葉、上方の人の言葉、そして全国各地の方言は、その土地の歴史、文化と密着したものである。
 聞く人の耳に、その言葉がどう響くのかということに、もっとメディアは気を配るべきではなかろうか。
 関西弁と言っても、大阪、京都、神戸では違う。
 「べっぴんさん」の舞台は神戸。
 しかし、菅野美穂の言葉には、神戸に限らず関西のどの土地の香りも、私は感じない。

 もちろん、菅野美穂も含め、出演者にも関西出身ではない人が、関西弁を話す人もいる。
 しかし、演者の場合、動的な演技全体の流れの中での言葉なので、その演技の中で「言葉」の問題を緩和することもできようが、「語り」は姿のない「言葉」そのものである。
 ドラマの底流となる重要な「言葉」なのだ。

 もし、関西弁でナレーターを行うなら、関西出身の、“地”で関西弁を語れる人にすべきではなかろうか。

 ドラマを見ていて、彼女の語りが入ることで流れが途切れるような気がして、興が削がれるのである。

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by kogotokoubei | 2016-10-07 12:27 | 幸兵衛の独り言 | Comments(2)

 今年のNHK新人落語大賞も、まったく知らぬ間に予選が行われ、五人の出場者が決まったようだ。
 NHKのサイトに、出場者を含めて案内が載っている。
NHKサイトの該当ページ

 サイトから、そのまま引用する。だから、新人お笑い大賞のことも含んでいる。

日時
【NHK新人お笑い大賞】平成28年10月23日(日)
開場:午後3時15分  開演:午後3時45分  終演予定:午後5時20分
【NHK新人落語大賞】 平成28年10月24日(月)
開場:午後5時45分  開演:午後6時15分  終演予定:午後8時

会場
NHKみんなの広場 ふれあいホール (東京都渋谷区神南2-2-1)

出演予定
【NHK新人お笑い大賞】
[出演]アインシュタイン、アキナ、勝又:、
スーパーニュウニュウ、だーりんず、大自然、トット、ラフレクラン(50音順)
[司会]フットボールアワー、三輪秀香アナウンサー

【NHK新人落語大賞】
[出演]桂 三度、桂 雀太、春風亭 昇々、春風亭 ぴっかり☆、柳亭 小痴楽 (50音順)
[司会]林家たい平、雨宮萌果アナウンサー

 また、今年も、司会はたい平か。毎年替えたらどうかと思わないでもない。

 放送日の案内。

放送予定
【NHK新人お笑い大賞】
平成28年10月23日(日)
午後4時~5時18分【総合】(生放送)
【NHK新人落語大賞】
平成28年10月29日(土)
午後4時~5時13分【総合】

 出場者の桂三度、桂雀太、春風亭昇々、春風亭ぴっかり☆、柳亭小痴楽の中で、テレビも含めて未見なのは、初出場の雀太。

 昇々と小痴楽は昨年に続く出場。三度は2014年(朝也が優勝)に続き二度目、ぴっかり☆は2012年(宮治が優勝)に続き二度目の出場。

 昨年は、桂佐ん吉の『愛宕山』に、小痴楽の『真田小僧』は及ばなかったが、私の採点は同点だった。
 過去4年、録画した内容を見た感想や自分なりの採点を書いた記事は次の通り。ご興味のある方はご覧のほどを。
2015年11月1日のブログ
2014年11月3日のブログ
2013年10月20日のブログ
2012年11月4日のブログ

 現在のように、漫才と落語を分けて実施する形式になってからの優勝者は、このようになっている。
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        西             東
1994年                桂平治(→桂文治)
1995年                柳家三太楼(→三遊亭遊雀)
1996年                古今亭志ん次(→志ん馬)
1997年  桂宗助
1998年                柳家喬太郎
1999年  桂都んぼ(→米紫)
2000年                林家彦いち
2001年  桂三若
2002年                古今亭菊之丞
2003年                古今亭菊朗(菊志ん)
2004年  桂かい枝
2005年                立川志ら乃
2006年  笑福亭風喬
2007年  桂よね吉
2008年                三遊亭王楽
2009年                古今亭菊六(→文菊)
2010年                春風亭一之輔
2011年  桂まん我
2012年                桂宮治
2013年                鈴々舎馬るこ
2014年                春風亭朝也
2015年  桂佐ん吉
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 今年は東京での開催。
 昨年が、関西での開催で上方の佐ん吉が優勝。
 今年、地の利は、東京の三人にあるだろう。

 この三人のうち二人は、落語芸術協会の“成金”メンバーで、昨年はこの二人に加え、鯉八が出場した。よって、昨年は落語協会からは一人も出場できなかった。
 その落語協会から、紅一点のぴっかり☆が予選を突破したが、前回のネタ『反対俥』は、ややその奮闘ぶりが空回りした印象がある。優勝はそう簡単ではないように思うが、女としての強みが生きるような高座なら、可能性はないとは言えない。
 昇々は、昨年の『湯屋番』では辛口の感想を書いたが、一年間の成長がどれほどあったかを、楽しみにしている。イケメンだけではなく、実力が発揮できるかどうか・・・・・・。
 何と言っても、小痴楽が今年も出場してくれたのが、嬉しい。どんなネタで勝負するのか、楽しみだ。
 
 上方の二人。三度は、前回は噺家の高座とは思えない内容。冒頭に「おじゃまします」だったからねぇ。どこまで、お笑いピン芸人のおしゃべりから脱し、落語を演じることができるかを確認したい。

 雀太は、雀三郎の弟子。果たしてどんな噺家さんなのか、初めて聴く楽しみがある。
 
 聴いたことのない雀太がいるので、優勝予想は、しない。

 しかし、小痴楽には期待している。

 問題は審査員の顔ぶれだ。
 いろんな人がいるからね。

 また、録画を見て感想なりを書くつもり。

 秋を感じる、そんな年中行事になってきた。


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by kogotokoubei | 2016-10-04 12:42 | テレビの落語 | Comments(8)

落語のことを中心に、ときたま小言や独り言。


by 小言幸兵衛