噺の話

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カテゴリ:テレビの落語( 97 )

 今ほど気が付いたばかりで、見逃さなくて良かった!

 本日深夜、BS-TBSの「落語研究会」は追悼米朝特番です。

BS-TBS「落語研究会」の該当ページ

第121回落語研究会
5月22日(金) 深夜3:00~4:00
内 容:「厄払い」と「京の茶漬」桂米朝
お 話: 京須偕充 外山惠理(TBSアナウンサー)
ゲスト: 林家正蔵

 
 録画して、明日観るのが楽しみ!

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by kogotokoubei | 2015-05-22 17:55 | テレビの落語 | Comments(10)
先日、11月1日に放送された「NHK新人落語大賞」について、録画を見た感想や自分なりの採点を書いた。
 
 この大会について、記憶がまだ残っているうちに、思いを書いておきたい。

Wikipediaの「NHK新人演芸大賞」には、過去からの名称の変更や、表彰対象の違いなどを含め、詳しい情報がある。 
Wikipedia「NHK新人演芸大賞」

 新人演芸大賞、という名称になり、落語部門と演芸部門に分けて表彰するようになってから21年間の大賞受賞者は、次のようになっている。
-------------------------------------------------------------
        西             東
1994年                桂平治(→桂文治)
1995年                柳家三太楼(→三遊亭遊雀)
1996年                古今亭志ん次(→志ん馬)
1997年  桂宗助
1998年                柳家喬太郎
1999年  桂都んぼ(→米紫)
2000年                林家彦いち
2001年  桂三若
2002年                古今亭菊之丞
2003年                古今亭菊朗(菊志ん)
2004年  桂かい枝
2005年                立川志ら乃
2006年  笑福亭風喬
2007年  桂よね吉
2008年                三遊亭王楽
2009年                古今亭菊六(→文菊)
2010年                春風亭一之輔
2011年  桂まん我
2012年                桂宮治
2013年                鈴々舎馬るこ
2014年                春風亭朝也
-------------------------------------------------------------
 
 来年は、会場が大阪(のはず)。加えて、最近三年間は東京勢の大賞受賞、となると、上方勢の受賞の可能性は高いように思う。

 しかし、今回の上方からの本選出場者は、決して有資格者としては認めにくいものがあった。

 桂三度は、入門三年目という経験の少なさが疑問。新人演芸大賞の頃は、二ツ目や真打という制度のない上方では、「四年以上」の経験を出場資格にしていたはずだ。
 私は、「新人落語大賞」という名称への変更は、過去の資格をうやむやにすることも目的ではないかと、勘ぐった。

 また、笑福亭べ瓶は、師匠鶴瓶から、三度破門になっている。それこそ、笑福亭三度、と名前を替えて登場したら、うけただろうに。
 しかし、破門理由の一つは知人女性への暴力沙汰なので、決して笑えるものではない。

 過去の過ちを後々までずっと引きずらせるのは可愛そう、というご意見もあるだろう。たしかに、再挑戦の機会を与えることは大事だと思う。
 私も、師匠が復帰を認めたのだから、落語家やタレントとしての活動をすることに異論はない。しかし、この大会に参加していることには、納得がいかないのである。NHKは、‘資格あり’と認めたようだが、私は反対だ。
 彼が出場することで、他に機会を失う噺家さんがいたのである。また、被害にあった方は、果たして放送を冷静に見ることはできただろうか。見ることさえ避けたに違いない。

 来年の大会がどうなるかは分からない。しかし、以前に、なぜ予選を公開しないのか、と書いた記事の最後を、私はこう結んだ。
2013年10月21日のブログ

何か予選を公開できない理由があるのだろうか?
 
 たとえば、
  次回の優勝者が所属する協会があらかじめ決まっているとか、
     NHKへの貢献度の高い芸能事務所を優遇するとか、
          その噺家の師匠にNHKの担当が脅されているとか・・・・・・。

 そんなことがないなら、ぜひ予選も公開制にして欲しいものだ。



 この思いは変わらないどころか、、ますます強まるばかりである。

 拙ブログにいただいたコメントでは、結構大忙しの予選を行っているらしい。観客は、いわゆる公開録画ファンのおばさん達(ゲラ子さんたち)が多いようだ。早い話がサクラである。
 そういった予選の場合に危惧するのは、短時間で“公開録画おばさん”達の笑いをとる高座を、誰か知らないが審査員が高く評価することだ。それは、ほとんどお笑い芸人の“一発芸”を評価することに近くなる。

 落語を愛する客と、落語を分かる審査員が存在する予選であるべきではないか。お客さんの一票も生かされるなら、なお結構だ。

 もっと言えば、予選から落語愛好家を楽しませて欲しいのだ。寄席など出番の少ない二ツ目さんを知る、よい機会にもなる。そうすることによって、出場する二ツ目さんのやりがいも高まるだろう。

 加えて、上方の出場資格を明確にして欲しい。経験3年から可、ならばそのように明記すべきである。

 また、次のような結果だった審査員の採点にも、疑問がないことはない。(一人のみ高得点の場合太字にした)

       昇吉   ベ瓶   三度   歌太郎   朝也
桂米丸          8     8     8     8
桂文珍     8     8     9     9     9
松倉久幸    9     9     9     9     10
恩田雅和    9     9     10     9     9
山本一力    9     9     7     10     9
神津友好    9     8     8     7     10
三溝敬志    9     8     8     8     9
合   計   62    59    59    60    64   

 天満天神繁盛亭の支配人である恩田雅和は、桂三度に満点の10点を与えた。
 私は、韓国でのアジア大会の疑惑の採点と同じような違和感に襲われた。

 桂米丸も芸術協会の昇吉のみ9点、他は8点だった。しかし、満点はつけていない。
 逆に文珍が、べ瓶を8、三度を9としたのは、どうしても桂と笑福亭の一門の違いを思わないわけにはいかない。兄弟子である文枝への追従がミエミエである、と言ったら言い過ぎだろうか。
 浅草演芸ホールの松倉会長の朝也の10点は分からないでもないが、他が一律で9というのは・・・・・・。
 神津の歌太郎が7、というのも不思議だ。江戸っ子の啖呵が嫌いというわけでもあるまい。五人の中で最低点の高座とは、私には思えなかった。

 私が違和感なく、「こういう採点もあるなぁ」と思うのは、作家の山本一力とNHKの三溝の二人だけである。
 
 審査員は所属部門や地域の利害代表になりつつあるにが気になる。かつては、逆に、東京の審査員が上方を、上方の審査員が東京を推すことの方が多かったようにも思うがなぁ。

 堀井憲一郎は、どこかで審査員をやめた(やめさせられた?)ことについて、語っているのだろうか。

 そういった審査への疑問も、予選を公開することから、是正される方向に進むはずだ。
 
 東京の二ツ目さん、そして上方の若手噺家さんは、非常に多い。そして、今もなお彼らが目指す最高の権威ある勲章は、この賞ではなかろうか。だからこそ、できるだけ“公正”で“公平”、かつ落語愛好家も参画できるような催しであって欲しい。

 来年の開催、果たしてどのようなことになるのか。このままでは、本選出場者の顔ぶれや、審査結果に不安が残る。
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by kogotokoubei | 2014-11-07 19:16 | テレビの落語 | Comments(0)
土日は一泊二日で学生時代の仲間との旅行だったので、放送から二日後の今日、ようやく録画を見た。

 名称が変わったことなどを含め、番組についてNHKのサイトから、まずご紹介。
NHKサイトの該当ペ−ジ

詳細
40年を越える歴史を持つNHKの若手落語家のコンテスト番組で今年から「NHK新人落語大賞」と名称を改めた。今年の予選は東京で58人、大阪で46人がエントリー。合計104人の中から勝ち上がったのは桂三度(隣の空き地)、三遊亭歌太郎(たがや)、春風亭昇吉(紙屑屋)、春風亭朝也(やかんなめ)、笑福亭べ瓶(真田小僧)の5人。この5人が大賞を目指して競いあう。司会は、林家たい平と藤井彩子アナウンサー。


 名称を変えるのには、何らかの理由があったはずだ。しかし、その“説明責任”は、あまり考えていないらしい。

 東京で58人、大阪で46人の予選参加とのこと。何度か書いているが、ぜひ公開制にしてもらいたいものだ。

 そういう小言もあるが、褒めるべきところは褒めるよ。
 新たな試みとして、各落語家さんの師匠が映像で登場。これは結構なことだと思う。

 さて、出演順に、感想を記したい。
 出場資格の疑問については、すでに書いたが、ここではそういった背景は度外視し、先入観をできるだけ排除して、あくまで高座のみについて書くことにする。

 最初に全体の感想として書くが、期待していなかったからだろう、意外に楽しく見ることができた。ある一人を除き、全体的にレベルの高い、なかなか結構な戦いであったように思う。

春風亭昇吉『紙屑屋』
 実際にこの公開録画をご覧になった落語愛好家仲間の方のブログで、昇吉が踊りながら客席まで出てきたと私は誤解していたので、「まだ、この人は勘違いしているなぁ」と思っていたのだが、実際に高座を見た後の感想は、大きく違ったものになっていた。
 やはり、テレビとはいえ、実際に見なけりゃ分からないものだ。

 正直なところ、大いに感心した。この噺は上方が元だが、東京で多くの弟子を育てた二代目(初代とも)桂小文治が十八番として東京に普及させた功労者と言えるだろう。今では、何人か東京の噺家さんが高座にかけるが、音曲の素養が必須のネタ。審査の講評の際に、踊りの稽古を頑張った、とつい本音で昇吉は言っていたが、その努力の跡は十分に見受けられた。
 まず、若旦那役が、ニンである。紙屑の中から“野菜づくし”の手紙を見つけて読みだしたあたりから、リズムがよくなり、義太夫本『義経千本桜~道行~』の場面へ。

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 昇吉は短縮版で演じたが、小文治の構成を『上方落語』(佐竹昭広・三田純一編、筑摩書房)から引用すると、次のようになっている。

 千本の道行や。道行もいろいろあるけど、やっぱり千本桜がええな。静と忠信・・・・・・温習会(おさらい)でも、お芝居でもよう演(や)る派手なやっちゃ。幕が開くと、一面に桜の釣枝、吉野山や。静御前が初音の鼓を調べてる、と、花道の七三から、ドロドロのセリ上がりで、上がってくるのが狐忠信。衣裳(なり)がええわなァ。黒びろうどに源氏車の金の縫いつぶし。縫いつぶし、ちゅうのがええわナ、わいは源兵衛はんとこの食いつぶしやけど・・・

 
 この部分を東京版としてしっかりふってから、隣りの稽古屋から三味の音が聞こえる設定で、昇吉の義太夫と踊りの登場。小文治の速記では昇吉が演じた場面、次のようになっている。

 『海に兵船(ひょうせん)、平家の赤旗。陸(くが)に白旗ァーッ』(と、扇子を口に、腰を浮かして見得-とたんに、鳴物、遠寄せ。ジャンジャン、ジャジャン・・・・・・ハッと、我にかえって)なんじゃい、なんじゃい。びっくりしたがな(義太夫、つづいて、

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源氏の強者。鳴物、遠寄せ。三味線のノリ地に合わせて、居候、忠信のフリ。義太夫、
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あら物々しやと、夕日影、長刀引きそばめ、某は平家の武士(さむらい)、悪七兵衛景清と、名乗り立て、薙ぎ立て、薙ぎ立て、薙ぎ立つれば、花に嵐のちりちりぱっと、木の葉武者。鳴物、遠寄せ。ツケ、パタン・・・・・・と、それに合わせて、後ろへトンボを切る。と、上手に寄ったところで起き上がり、そのまま)」
「(おどろいた隣の息子)あんた、なにか。うちのお母(か)ン殺す気つもりか」
「(源兵衛)どないぞしましたンか」


 昇吉は、若旦那が腰を浮かして見得をきってしばらくで場面転換したが、なかなかのもの。

 この後、紙屑の中から別の本を見つけて、そこから長唄「京鹿子娘道成寺」となり、鳴物の鞠唄に合わせて踊る。私は客席にまで入り込んだのだろうと勘違いしていたが、たしかに高座を離れて客席近くにまで出ていったものの、あくまで高座と客席との間のステージ上であった。この噺で、この演出なら許されるだろう。
 『上方落語』から、引用。

 普通、落語家の踊りは、居所をかえず、上半身で踊るのが作法とされ、またイキで洒落たものである、とされている。いわゆる(坐り踊り)である。が、そんな美意識の洗礼など受けていなかった昔の落語家は、この落語などでは、高座いっぱいに動いたものらしい。
 たとえば-『道成寺』の鞠唄に合わせて、長屋の表へ踊り出すところなど、演者が腰をかがめて、実際に、高座の下手のハナまで、チョコチョコっと出る、そんな演出さえあったのである。昔の寄席の三間半ほどの間口の高座で、文字通り、舞台いっぱいに踊りまわったわけだ。いかにもけばけばしい、こってりした高座ぶりも、一概にはけなせないなにかがあるように思われる。


 まったくその通りで、狭いNHKのスタジオの高座を考えると、昇吉の演出も、一概にはけなせない‘なにか’を感じた。けなせないどころか、なかなかの芸を見せてくれたと思う。
 かつて『稽古屋』で大賞を受賞した小朝のことを思い出した。
 下座さんの協力も大きいが、昇吉の高座、これまでの私の批判的な思いを払拭させて、将来に期待を持たせるものだった。
 昨年の『たけのこ』は、一昨年の『たがや』よりは良かった。2013年10月20日のブログ
 そして、今年は、もっと大きな飛躍をしたように思う。
 つい、この噺が好きなので引用を含めて長くなったが、それは私が先入観を忘れて昇吉の高座を楽しむことができたことが、今回の大きな収穫だったからでもある。

笑福亭べ瓶『真田小僧』
 冒頭、映像で師匠の鶴瓶が、二度破門した、と言っていたのを、三度です、と訂正。この噺も上方の『六文銭』が元。
 本来の『難波戦記』を挟むだけの時間がなかったのは、しょうがないだろう。
 高座のあとに、やりきった、という表情で振り返ったが、たしかになかなかの高座だった。
 寅の生意気ぶり、茶目ぶりがよく表現できていた。また、父親が、途中からは寅の催促なしに小遣いを払う仕草なども、楽しい。語り方、仕草、表情などから、噺家としての基礎はできていると思った。
 この人、過去のしくじりをしっかりと反省し落語に精進するのなら、先はあるように思う。三度破門しても抱えてくれている師匠の恩を、どこまで本気で感謝しているかどうかが鍵だろう。

桂三度『隣の空き地』 
 開口一番、「おじゃまします」は、ないだろう。
 小咄の「隣の空き地(にかこい)」から発展させ、いわゆるKY、言い換えると、察しの悪い後輩と先輩の会話が中心の新作。
 最後まで、落語の口調とは言えない、パァパァしたしゃべりに閉口した。映像で登場した師匠の文枝が、その才能を褒めていたが、師匠も弟子も、何か勘違いしているのではなかろうか。新作だから嫌っているのでは、毛頭なく、“落語”としての完成度において、とても決勝に進出できるレベルとは思えないのである。予選が公開されていないので、どういうライバルとの戦いだったのか分からないが、非常に不思議な選出だ。 

三遊亭歌太郎『たがや』
 少し鼻声である。体調が十分ではないだろうと察した。また、以前に昇吉も選んだネタで、拙ブログで「旬」を度外視したネタ選びに小言を書いたが、その思いは同じである。
 非常にテンポ良く進んではいたし、精一杯頑張ってはいたと思う。私はこの人の高座、嫌いではない。しかし、もう一つ強く印象に残るものがないのだ。それは、この噺そのものの与える印象でもあるが、色気に欠けるのである。女性が登場しないことも含め、『紙屑屋』や『やかんなめ』の醸し出す艶のなさが、今回は損な役回りとなったような気もする。

春風亭朝也『やかんなめ』
 高座の前の本人のコメントの映像で、最大のチャンスと思っている、と結構したたかな面を見せた。
 癪のために倒れこんだ良家の奥様。通りがかった侍の頭が、合い薬のやかんにそっくりと、その頭を舐めさせてくれと頭を下げてお願いする女中。しぶしぶ舐めさせる武士、そして端でそれを見てゲラゲラ笑っているお供の“べくない”という存在。
 こういった登場人物を朝也はしっかり演じ分けていた。また、やかんなめ、という行為から醸し出される不思議な色気、そして女中の存在が男だけの噺とは違う空間の深さを与えているし、そういったネタの味を十分に引き出した朝也の芸であった。
 途中途中で侍が脇を見ての「べくな~い!なにをゲラゲラ笑っておるウ!」の科白が効いていた。
 限られた時間で、落語らしい荒唐無稽な噺を、人の良い親切な侍を軸にして演じ、しっかりと笑いもとっていた朝也、十分に大賞に価する高座だったと思う。
 桂米丸が、講評の中で、寄席ではあんまり聴かれないと言っていたが、それは芸術協会の寄席では、ということであろう。小三治、喜多八がネタに持っていることを、この人は知っているのか、どうか。

 さて、審査員は次の七名。噺家が東西一人づつ、席亭も東西一人づつの二人。時代小説の作家が一名、演芸作家が一人、そしてNHKから一人。あらっ、堀井憲一郎が抜けた・・・・・・。

-審査員-
桂米丸
桂文珍
浅草演芸ホール会長、松倉久幸。
天満天神繁昌亭支配人、恩田雅和。
作家、山本一力。
演芸作家、神津友好。
NHK制作局エンターティンメント番組部部長、三溝雅和。

 10点満点の審査員の採点の前に、私の10点満点での採点。

           昇吉  ベ瓶  三度  歌太郎 朝也
小言幸兵衛    9    8    7    8    9

 さて、審査員は、次のように評価した。特定の人が高得点の場合に数字を太くした。

      昇吉   ベ瓶   三度   歌太郎   朝也
桂米丸         8    8    8    8
桂文珍     8    8    9    9    9
松倉久幸    9    9    9    9    10
恩田雅和    9    9    10    9    9
山本一力    9    9    7    10    9
神津友好    9    8    8    7    10
三溝敬志    9    8    8    8    9
合   計   62   59   59   60   64   

 審査員の中で私と同じ人はいないが、三度の私の評価は山本一力と同じだ。昇吉と朝也とのツートップという考えは、三溝と同じだ。繁昌亭の恩田支配人の三度の10点は、師匠文枝を意識したのだろう、韓国でのアジア大会を思い出させる確信犯的な採点。神津が歌太郎のみ低くした理由は、よく分からない。江戸っ子が嫌いなのか。

 合計点で朝也が一位、昇吉が二位というのは、異論はない。しかし、昇吉が朝也を上回って大賞を受賞しても違和感は、ない。

 もし、以前の新人演芸大賞と同じ三つの評価項目で、私なりの評価点をつけてみるなら、こうなるかなぁ。
       演技力  タレント性  将来性     計
昇吉      9     9     9      27
べ瓶      8     8     8      24
三度      7     8     7      22
歌太郎     8     8     8      24
朝也      9     9     9      27

 やはり、昇吉と朝也が並ぶのである。
 
 今回の放送、未見だった朝也の高座を確認できたことと、昇吉を見直すことができたことが収穫。

 来年も、予選は未公開なのだろうなぁ、きっと。夢吉は来年真打昇進だろうから、放送で、小辰や一蔵に出会えることを期待するばかりだ。
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by kogotokoubei | 2014-11-03 08:49 | テレビの落語 | Comments(8)
NHKの案内にあるように、昨年まで「NHK新人演芸大賞-落語部門-」と銘打っていたが、「NHK新人落語大賞」と名称変更となり、本選が27日(月)に行われる。NHKサイトの該当ページ


 出演者は次の通り。

NHK新人落語大賞】
[出演]桂三度、三遊亭歌太郎、春風亭昇吉、春風亭朝也、笑福亭べ瓶 (五十音順)
[司会]林家たい平、藤井彩子アナウンサー


 テレビ放送は11月1日の土曜日、総合で午後3時5分~4時18分予定。

 今回は、ご案内のみ。予想は、しない。
 なぜなら、聴いたことのない人が過半数だからである。それは去年と一緒だな・・・・・・。
 
 あえて、私が期待している二ツ目さんが出演していないから、と加えよう。

 以前にも書いていることだが、予選の内容が公開されていないことが、このイベントの大きな問題だと思っている。
 2013年10月21日のブログ

 どんな予選を経て、この五人が残ったのだろうか・・・・・・。

 小辰や一蔵、夢吉などが予選に出ることが案内され、落語愛好家が観覧できるのなら、ぜひ行きたいと思っているのだが・・・・・・。

 未見の中で朝也は、拙ブログへのコメントをいただく複数の方が高く評価されているので、楽しみにはしている。

 放送時間は外出する予定なので、録画を見てから、何か書こうと思っている。
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by kogotokoubei | 2014-10-20 20:17 | テレビの落語 | Comments(12)
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(BS朝日サイトの同番組紹介ページより借用)
「BS朝日」サイトの該当ページ

 昨年11月に放送されたBS朝日の「君は桂枝雀を知っているか-伝説の天才落語家の真実-」が、命日の翌日4月20日(日)の夜九時から再放送されるようだ。

 BS朝日のサイトから、「放送内容」を引用する。BS朝日サイトの該当記事

大阪・朝日放送に保存されている「枝雀寄席」などの貴重な資料映像を活用しながら、枝雀の落語を具体的に分析する。また、桂枝雀の2人のご子息をはじめ、兄弟弟子や弟子、枝雀ファンの各界の著名人など、多くの方の証言から枝雀の人物像を構築していく。

コメントをいただいた方々
・前田一知(長男)、前田一史(二男)
・小佐田定雄(落語作家)、佐渡裕(指揮者)、養老孟司(解剖学者)、 段田安則(俳優)、長沖渉(演出家・脚本家)
・桂ざこば、桂南光、桂雀三郎、桂文之助、桂九雀(桂米朝一門)
・桂福團治、月亭方正

特に2人のご子息からは、“素顔の桂枝雀”について貴重なお話を聞かせていただく。長沖さんからは、病気で苦しむ枝雀との隠れたエピソードを語ってもらった。
さらに、枝雀が行きついた笑いの理論「緊張の緩和」についても考察。「緊張の緩和」理論とは何か、落語作家の小佐田さんをはじめ、枝雀を見守ってきた身近な人物として弟子の皆さんにも解説していただいた。

また、枝雀が笑いと落語の研究をしたためたノートを見せていただくことができた。そこには「笑いの性質の13分類」「落語の快感構造」と題し、どのようにしたら自らの落語をお客さんに届けることができるか、考察して書き記されていた。枝雀落語は見方によっては傍若無人かのごときだが、実は、お客様に喜んでもらうために徹底して科学的に分析された集大成であることがわかる。枝雀落語の特徴をいくつかにしぼり、実際の映像を駆使して検証していく。

桂枝雀が心の病を発症し、自ら死を選んでしまった理由は最後までわからないところであるが、今回の取材を通して、枝雀の落語に対する真摯(しんし)な思いこそ枝雀落語の基本であることがよく理解できるだろう。



 11月に観た感想などは翌日記事にしたが、未見で次の日曜を楽しみにしている方はお読みにならない方が良いかもしれません。
2013年11月25日のブログ

 芸術祭参加番組だったが、受賞は逃した。もしかすると、枝雀に関する番組は、過去にNHKで優れた番組があったので見劣りがしたかもしれない。
 没後十年の2009年放送の二つの番組、春総合テレビで放送された「あの人に会いたい」と、秋にBSで放送された「桂枝雀の世界」(なんと五時間)についてはブログにも書いたのでご興味のある方はご覧のほどを。他にも関西地区のみ放送された好企画が過去にあったとも耳にする。
2009年4月11日のブログ
2009年9月26日のブログ

 BS朝日の番組、紹介した制作陣のお奨めのように、私はご長男とご次男の言葉を聞くだけでも見る価値はあると思っている。落語愛好家で11月に見逃した方は、ぜひご覧のほどを。


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by kogotokoubei | 2014-04-15 07:09 | テレビの落語 | Comments(2)
毎週火曜夜に放送されているBS11の「柳家喬太郎のようこそ芸賓館」を見た。

 ゲストは桂福團治の二回目。一回目は見逃していた。
 
 BS11のサイトで次のように紹介している。
BS11サイトの同番組のページ

【2月11日放送】
「桂福團治一人会 その2」
ゲスト:桂福團治

2週続けて桂福團治師匠がご出演!
春團治師匠の一番弟子であり、関西演芸協会会長を務める上方の重鎮・福團治師匠!
「落語の師匠は春團治。人生の師匠は藤本義一。」という福團治師匠。
作家・藤本義一先生と深い交流があり、あの伝説の番組11PMにレギュラーで出演。
藤本先生の直木賞受賞作「鬼の詩」が映画化され、福團治師匠が映画初出演で主演。
壮絶な演技で話題になり、喬太郎師匠も映画「鬼の詩」の大ファンなのだとか。
東京の落語家と多く交流があり、先代の正蔵師匠・談志師匠との想い出もをたっぷり。
落語は志ん朝師匠とのエピソードがある「くっしゃみ講釈」をお届けします。


 藤本義一作『鬼の詩』を以前紹介した。
2013年5月13日のブログ

 福團治が映画で演じた馬喬は、実在の米喬がモデル。女房の露役は、なんと片桐夕子である。映画『鬼の詩』

 昨日紹介した露の五郎兵衛の『上方落語夜話』には、次のような文章がある。

昭和43年、正月の各新聞はたいてい前年またはその年のホープと目される人が取り上げられるものですが、この年は上方落語の充実ぶりを、いろいろな形で取り上げ、小春、小米、朝太郎、春蝶、仁鶴ら若手のはりきりぶりが話題にのぼってきました。

 
 この“小春”が福團治である。ちなみに、“小米”が枝雀。

 『古今東西落語家事典』(平成元年初版発行)から引用。

【桂福團治】 かつら ふくだんじ
  黒川亮 昭和15年10月26日 
 昭和35年5月三代目春團治に入門し一春。同年小春、48年10月四代目福團治を襲名。
 ペケペン落語や『小学生』をはじめとする新作落語で売りだす。現在では、上方では珍しい『蜆売り』『鼠穴』などの人情噺の演じ手として評価を高めつつある。ポリープで声が出なくなった経験から、手話に関心を持ち、手話落語に取り組んでいる。


 番組のプロフィールが正しければ、小春襲名は入門後三年目昭和38年らしい。

 三代目の総領弟子。年齢では志ん朝の二つ下、枝雀の一つ下になる。

 番組前半の喬太郎との会話、かつての落語界の東西交流に関する思い出話が印象的だった。

 上方からは松鶴、米朝、春團治の大御所に福團治などの若手が加わって、末広亭や東宝名人会に十日間出演。東京からは文楽、正蔵、円生などに小ゑん時代の談志、朝太時代の志ん朝も加わって道頓堀角座での東西会。
 角座での交流会では、かしまし娘や宮川左近ショー、横山ホットブラザーズなどが会場をドッカンドッカン大笑いさせた後で談志が登場し、客席に向って「帰んな、帰んな」と言ってから残った客に向って『小猿七之助』を演じたというのは、なるほど家元らしい。
 喬太郎が、この逸話を聞いて“ぶるっ”と身震いがしたと言っていた。「私も『帰んな』って言ってみたいけど、皆、帰るかもしれないなぁ」。

 志ん朝が福團治の家を訪ねて『くっしゃみ講釈』の稽古をしてもらったという逸話も初めて知った。
 福團治の家のミシミシ言う床、ギシギシする戸に、「これ、いいねぇ。噺家の家はこうでなきゃあ」と言って帰っていったが、その後、福團治が新聞で志ん朝が五億円の家を建てたことを知り、「これ、いいねぇ」、というオチで、喬太郎も私も笑った。
 福團治の演じたテープを持って帰ったらしいが、志ん朝がこのネタを高座にかけることはなかった。福團治も、「勉強になるのでぜひ聴きたかった」ようだ。たしかに残念だが、志ん朝には講談が登場したり講釈から落語になったネタ、ほとんどないなぁ。このへんも、談志とは好対照である。

 志ん朝も評価した、福團治の『くっしゃみ講釈』。後藤一山の「難波戦記」が渋くて良かった。

 高座の後の対話では藤本義一の思い出。喬太郎は『鬼の詩』が大好きらしい。さすがに見てるねぇ、この人は。

 福團治は、ある程度の年齢になってからは「肩書きを取っていかなあかん」という藤本義一の言葉を紹介する。手話落語についても、藤本義一が強く支持してくれたらしい。

 今後、福團治は、お伽衆の曾呂利新左衛門の残された咄を掘り起こし“曾呂利ばなし”を試みているとのこと。「温故知新」の言葉で、対談を締めくくった。

 本で読むのとは別な楽しさがある、福團治の昭和落語夜話、という趣きで結構だった。


 福團治が振り返った、昭和三十年代から四十年代にかけての東西交流の活発さを思うと、現在でも、もっと交流があっても良いような気がする。個々人の噺家同士では活発ではあるが、協会同士で定席で十日間通し、なんて交流会はない。
 上方落語協会の会長さんは、いまだに続く自分の襲名披露でお忙しくて、東西交流に向けて努力しようなんて思っていないのかなぁ。
 ぜひ末広亭や繁昌亭で東西交流会を組んでもらいたいと思う。まだまだ聴きたい上方落語は多いし、関西の人にも一部の人気者の他に、いろんな噺家が東京にいることを知ってもらえると思うのだ。
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by kogotokoubei | 2014-02-12 01:41 | テレビの落語 | Comments(0)
NHKのEテレ(旧、教育テレビ)の「趣味Do楽」の月曜日は「落語でブッダ」。

 その二回分の録画を観た。

 第二回目は笑福亭たま演ずる『猿後家』が題材。放送時間の都合で途中は割愛する場面もあるが、題材となる落語の高座のあと、その落語について、仏教的な視点(?)から講師役の釈さんが噺家と語り合う、といった内容。

 たまの高座、以前に増して良くなったねぇ。

 ちなみに第一回目は柳家喬太郎の『仏馬』が題材だった。初回の放送を見逃していたが、再放送を録画して、こちらも見た。

 二回とも、まだ再放送があるので、詳しい内容は書かない。あくまで、このシリーズのご紹介にとどめたい。

 NHKのサイトに、次回の案内が次のように書かれている。NHKサイトの該当ページ

落語を通してブッダの教えを学ぶ教養エンタテインメント番組「落語でブッダ」。第3回は、入船亭扇辰師匠が「甲府ぃ」を披露する。日蓮の教えと法華経に帰依する「法華信仰」について、仏教の名解説者・釈徹宗が解説。「南無妙法蓮華経」のお題目は、「法華経に帰依します」の意。「願掛け」と「願ほどき」(お礼参り)についても解説する。



 扇辰は出身の新潟でお寺での落語会も結構やっているので、十八番のネタの後の対談でどんな話題が出るか楽しみである。

 これまでの二回、講師の釈さんの語りのうまさなどもあるのだろう、そんな堅苦しい内容にはならず、仏教を全面に押し出すというより落語に描かれた人間の本性、談志なら“業”と言うようなものなどについて噺家をまじえて語っている、という感じである。

講師の釈さんのプロフィールをサイトからご紹介。

講師
釈 徹宗(しゃく てっしゅう)

1961年、大阪生まれ。龍谷大学大学院博士課程、大阪府立大学大学院博士課程修了。学術博士。浄土真宗本願寺派 如来寺第19世住職。節談説教研究会副会長。相愛大学人文学部教授。NPO法人リライフ代表として、認知症高齢者のためのグループホーム『むつみ庵』、ケアプランセンターも運営。論文「不干斎ハビアン論」で第5回涙骨賞受賞。主な著書に、『おてらくご~落語の中の浄土真宗』(本願寺出版社)、『いきなりはじめる仏教生活』(新潮文庫)、『ブッダの伝道者たち』(角川学芸出版)、『聖地巡礼 ビギニング』(共著・東京書籍)など。



全八回の内容と放送予定日をサイトから引用。(太字は管理人による)

第1回
落語と仏教は大の仲良し
柳家喬太郎 古典落語『仏馬』(東)
Eテレ 12月 2日(月)
Eテレ再放送 12月 9日(月)
総合再放送 2月 4日(火)

第2回
笑いとお説教の関係
笑福亭たま 古典落語『猿後家』(西)
Eテレ 12月 9日(月)
Eテレ再放送 12月16日(月)
総合再放送 2月11日(火)

第3回
江戸っ子人情と法華信仰
入船亭扇辰 古典落語『甲府ぃ』(東)
Eテレ 12月16日(月)
Eテレ再放送 12月23日(月)
総合再放送 2月18日(火)

第4回
落語の中の仏教説話
露の団姫 古典落語『松山鏡』(西)
Eテレ 12月23日(月)
Eテレ再放送 1月 6日(月)
総合再放送 2月25日(火)

第5回
禅問答を落語で表現すると
柳家喬太郎 古典落語『蒟蒻問答』(東)
Eテレ 1月 6日(月)
Eテレ再放送 1月13日(月)
総合再放送 3月 4日(火)

第6回
なにわ商人文化と浄土真宗
桂 塩鯛 古典落語『お文さん』(西)
Eテレ 1月13日(月)
Eテレ再放送 1月20日(月)
総合再放送 3月11日(火)

第7回
宗教を笑い飛ばす!?
五明樓玉の輔 古典落語『宗論』(東)
Eテレ 1月20日(月)
Eテレ再放送 1月27日(月)
総合再放送 3月18日(火)

第8回
日本人、こころの原風景
桂 文我 古典落語『蛸芝居』(西)
Eテレ 1月27日(月)
Eテレ再放送 2月 3日(月)
総合再放送 3月25日(火)



 落語の祖と言われる僧であった安楽庵策伝を引き合いに出すまでもなく、“咄”が“説教”をルーツとしていると言われているだけに、落語と仏教との縁は深い。

 先日、WOWOWの「W亭」で柳家花緑の、あまりにも饒舌な『中村仲蔵』を見、またその高座をベタ褒めした岡田某のコメントに閉口した。贔屓の噺家をヨイショしまくる姿には、どうしても腰が引ける。

 「落語でブッダ」は落語家より噺そのものを主役とした企画と言ってよいが、テレビで落語を素材にする場合の好企画だと思う。ナレーション(語り)は三宅民夫アナ。

 これからの放送も楽しみだ。東に限らず上方を含む中堅どころの噺家さんが登場するのもうれしい。
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by kogotokoubei | 2013-12-12 00:02 | テレビの落語 | Comments(4)
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 今ほど、昨夜24日にBS朝日で放送された「君は桂枝雀を知っているか!?」の録画を観た。

 上の画像は、BS朝日サイトの番組紹介ページからお借りした。同ページから文章も引用したい。
「BS朝日」サイトの該当ページ

その破天荒な芸風からは想像もつかない計算された笑いの理論、そして心の葛藤…。今、改めて桂枝雀とは何だったのか、その人間に迫るドキュメンタリー。枝雀が自ら死を選んでから14年が過ぎた今年は「枝雀」を襲名して40年に当たる年でもある。不世出の落語家が、真摯(しんし)に落語を追い求めた姿とは…。
語り:宮崎美子

「上方落語の爆笑王」といわれた桂枝雀が、1999年4月に亡くなって早や14年。今では、枝雀の高座をナマで見た人も少なくなったが、その存在は忘れ去られていくどころか、逆に大きな注目を集めている。大きな要因の1つは、若者に人気の芸人たちがこぞって枝雀へのリスペクトを表明していること。その代表が松本人志、千原ジュニア。彼らの発言によって、これまで落語の評論家やファンの間で高い評価を得てきた枝雀の偉大さが再認識されている。芸人の山崎邦正(月亭方正)は、枝雀没後に枝雀落語に傾倒し、落語の道へ進み始めた。さらに、佐渡裕(指揮者)、段田安則(俳優)、養老孟司(解剖学者)、長沖渉(演出家)ら、さまざまな分野で影響力を持つ著名人たちが枝雀を評価している。最近でも次々と「落語全集」のDVDが出版されていることは、枝雀の人気がいまだに衰えていないことを証明しているだろう。


 民放としては、多くの関係者の証言や映像を中心に、なかなか気合の入った二時間番組だった。もう少し、サイトから引用。

大阪・朝日放送に保存されている「枝雀寄席」などの貴重な資料映像を活用しながら、枝雀の落語を具体的に分析する。また、桂枝雀の2人のご子息をはじめ、兄弟弟子や弟子、枝雀ファンの各界の著名人など、多くの方の証言から枝雀の人物像を構築していく。

コメントをいただいた方々
・前田一知(長男)、前田一史(二男)
・小佐田定雄(落語作家)、佐渡裕(指揮者)、養老孟司(解剖学者)、 段田安則(俳優)、長沖渉(演出家・脚本家)
・桂ざこば、桂南光、桂雀三郎、桂文之助、桂九雀(桂米朝一門)
・桂福團治、月亭方正

特に2人のご子息からは、“素顔の桂枝雀”について貴重なお話を聞かせていただく。長沖さんからは、病気で苦しむ枝雀との隠れたエピソードを語ってもらった。



 枝雀に関するテレビ番組と言えば、没後十年の2009年放送の二つのNHKの番組を思い出す。春に総合テレビやBSでも放送された「あの人に会いたい」と、秋にBSでの「桂枝雀の世界」(なんと五時間)で、見た感想をブログにも書いた。
2009年4月11日のブログ
2009年9月26日のブログ

 この番組は、タイトルを考えると若者を意識したのかもしれない。たしかに前半は若者に人気があるらしいお笑い芸人が登場する。彼らが枝雀を高く評価していると言うことに関しては、若い人が枝雀を知るきっかけになるのなら良いことだろう。彼等にそれ以上に付け加えるコメントはない。

 私が前半で楽しく見ていたのは、『雨乞い源兵衛』のマクラの映像。あの枝雀独特の天気(地球)の長い歴史に比べて圧倒的に短い歴史しかない人間の天気予報が当らないのは当り前、というマクラが楽しい。このマクラの原型とでも言うべきものは、1973年、枝雀襲名直後の10月15日に大阪朝日生命ホールで収録された『日和ちがい』のマクラである。「桂枝雀と申します。旧名を小米と申します。今後ともよろしくお付き合いのほどをお願い申し上げます」とあいさつする若々しい声が、耳に残っている。アメーバから魚類、両生類から爬虫類を経て鳥類、そして哺乳類に進化する様子を枝雀ならでは芸で楽しく紹介してくれる。二本足歩行が可能なのは呼吸をするからだ、という珍説も可笑しい。

『代書』における松本留五郎の履歴書の言い方の変遷も、映像で続けて見ると楽しい。
80年6月:ジレキショ
84年7月:ギレキショ
88年3月:リレキシオ
92年1月:ギレレレ・・・キショ

 常にネタを、その時の自分の基準で磨き続けた、ということなのだろう。

 小佐田定雄が指摘する通り、同じ内容を繰り返すのではなく、もっとおもしろくするにはどうしたらいいかを考え続けた人なのだろう。

 中盤でうれしいのは、若かりし日の師匠米朝との対話場面だ。その対話や弟子の南光、雀松、そして弟弟子ざこばなどの証言で、食べ物の過度な凝り性が紹介された。一年通してフグを食べたり、ホルモン焼きを食べたり、という極端な懲り方は、枝雀のどんな哲学に基づいているのだろうか。

 後半で印象深いのは、番組紹介ページでも書かれているように、長男の一知、次男の一史へのインタビューである。二人ともミュージシャンとして、父のDNAを継承しているらしいし、一知は時折高座にあがって、玄人筋の評価も高いようだ。

 長男一知は、飲み屋に迎えに行って、酔った父の代わりに、子供の一知がタクシーの運転手に料金を払って「領収書いただけますか」と言い、家に連れ帰る役だった、とのこと。

 一知が1972年3月生れ、一史が1977年の3月生まれ。父が旅立ったのが、それぞれ27歳と22歳。その当座には、語れなかった思い出を、今では冷静に振り返ることができるのだろう。ファミコンに一番はまったのが父だった、という話も微笑ましい。

 一知「子供みたいなお父さんでした」
 一史「どんなことでもみくびらなかった」

 彼らには、何事にも一所懸命な父の姿が、しっかり記憶されているようだ。

 サゲの分類は有名だが、小佐田定雄が語る、“スライド”や“知らず困り”などの「笑いの十三分類」や、「落語の快感構造」は、初めて知った。小佐田さんには、枝雀関連本の次回作としてぜひ書いてもらいたいものだ。

 指揮者の佐渡裕の枝雀ファンぶりも有名で、海外に出向く際はたっぷり枝雀のCDを持って行くことは、枝雀のCDのライナーノーツにも佐渡が書いている。

 また、1996年10月から1997年4月にかけて放送されたNHKの朝ドラ「ふたりっこ」の収録での逸話を、当時のディレクター長沖渉が回想した場面も、印象的だった。
 
 永世名人として将棋界に君臨する米原公紀役だったのだが、挑戦者である内野聖陽が扮する森山史郎に敗れる場面を撮影する際の話。
 長沖の元に電話が入る。「まったく科白が入りません・・・」と、鬱状態の枝雀から泣きが入った。長沖は、「一行づつでいいですから」と説き伏せて収録を行った。その放送を見た本人からの直筆の手紙も紹介された。
 最後の収録も放送された(NHKはよく貸してあげたねぇ)が、何とも悲壮感のある表情である。亡くなる二年前のことだが、相当きつかったのだろうなぁ。

 全体の中で、もっとも印象に残ったのが次男の一史の言葉。

 「なぜお父さんは心の病になったと思うか?」という問いかけに、しばらく考えてから発した言葉。

 「僕の解釈ですと・・・一般的には噺家として突き詰めすぎたと言われていますけど・・・僕は巷間で言われているようなことではないのではないかと思うんです・・・癌になった人に、なぜ癌になったかとか聞かないでしょう・・・かなりシンプルに、病気になったんだと思います」

 まったく、その通りだと思う。芸を追求するあまり、などという説明は後からいろいろと語られるが、あくまで病にかかった、としか言えないのだと思う。その原因をあれこれ考えても致し方のないことであろう。
 彼も、これまで数え切れないくらいの「なぜ?」と問いかけた結果、“シンプル”に考えることができるようになったのではなかろうか。

 私のような枝雀ファンも、そんな思いで、ようやく映像を楽しく見ることができるようになったような気がする。

 提供が製薬会社だったことだけは、少し引っかかるが・・・・・・。

 芸術祭参加らしい。受賞してもしなくても、見逃した落語愛好家の方のために再放送を希望する好企画だった。
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by kogotokoubei | 2013-11-25 20:32 | テレビの落語 | Comments(8)
昨日、放送を見て記事を書いたが、どうしてもしっくりこないので、この大会の予選について書きたい。

 NHKのサイトで予選の案内は見たことがない。予選については、我々落語ファンに対して、まったく情報が遮断されている。よって、いつ開かれたのか、会場に観客がいたのか観客不在だったのか、また何回開催されたのかなどが、分からない。

 これって、結構な権威を持つに至っていると思われる大会において、許されることなのだろうか。本選はサイトでも案内されるし、東京と大阪で隔年で観客を入れて開催しテレビ放送もされているのに、予選には落語愛好家との接点がない。

 たとえばローカルなイベントではあるが、「さがみはら若手落語家選手権」は、予選も公開されていて、予選通過は観客の投票で決まる。複数(だいたい四回)予選があり、各回で最多投票の人と、もっとも僅差で二位だった人の五人が本選に出場する。
 予選も本選も日曜開催なので私自身はほとんど行けない(過去に予選に二回だけ参加)のだが、客が参加できる非常にオープンな選考方法で、このイベントに私は好感を持っている。
 今年三月に本選があった第十二回大会は笑福亭羽光、昨年は桂才紫が優勝している。過去には三遊亭萬橘(当時はきつつき)、立川志の八、三遊亭歌奴(当時は歌彦)なども優勝している。結構、流派を超えて選ばれている。

 さて、NHK新人演芸大賞は、なぜ予選を秘密(?)に開催するのだろう。出演した落語家のブログを探すと、NHKのスタジオで予選は行われているらしい。今回の結果に関する新聞の記事には、予選に95人参加、と書かれている。東西の合計だろうが、五人位づつで実施しているなら合計20回近くになる。まさかとは思うが、十人ほどまとめて開催しても十回近く実施しなければならない勘定だ。それを東京と大阪で“秘密裡”に行なっているというのは、落語愛好家として、どうも納得できない。
 
 
 どうせなら、公開制で観客の投票も何らかのかたちで審査に反映してはどうだろう。

 公開し観客の投票も参考にするとなると、デメリットとして“組織票”の問題がある。しかし、その組織票だって、それだけ応援する人がいるということは良いことだろうと、思えなくもない。たとえば、審査員を六名人選し各一票、そこに観客の最多得票を一票分として加えるなど、方法はあるだろう。少しでも自分の票が結果を左右する、という参加意識が客の態度にも良い緊張感を与えるだろう。

 落語通の方の中にはテレビの落語は見ない人もいらっしゃるが、公開制とすることで、伸び盛りの噺家の真剣勝負の生の高座を楽しむ機会をつくることにもなる。

 もし予選を公開制にしてくれるなら、少なくとも私は、入船亭小辰や春風亭一蔵、立川こはるなどが参加するなら、何とか都合をやりくりして行こうとするだろう。あるいは、都合がよければ、贔屓の噺家が出ていなくても、まだ聴いていない二ツ目さんが出る予選会に行くかもしれない。そういった落語愛好家の方が結構多いのではなかろうか。

 今のままで予選を秘密主義で行っていると、どうしても、本選出場者選抜の背景を疑ってしまうことになる。何らかの力が働いているのではないか、と勘ぐりたくもなる。少なくとも公開することで、そういった嫌疑も解消される方向に進むだろうし、何より若手落語家が必死に高座をつとめる姿を楽しむことができる。

 今回の本選、好みの問題をあえて棚に上げるならば、馬ること紫が最初の審査結果で同数トップだったのは、了解できる。しかし、5点満点は10点満点に変更すべきかと思ったなぁ。
 各審査員の審査結果を公表し、決選投票も挙手でオープンに行なったことは評価してよいだろう。これまでなかった情報公開である。それだけに、予選の“秘密主義”が残念だし、ストレスがたまるのである。

 何か予選を公開できない理由があるのだろうか?
 
 たとえば、
  次回の優勝者が所属する協会があらかじめ決まっているとか、
        NHKへの貢献度の高い芸能事務所を優遇するとか、
             その噺家の師匠にNHKの担当が脅されているとか・・・・・・。

 そんなことがないなら、ぜひ予選も公開制にして欲しいものだ。
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by kogotokoubei | 2013-10-21 06:08 | テレビの落語 | Comments(4)
今、放送を見たところ。事前に出演者のプロフィールを含めて書いた通り、聴いたことのない人も多く今回は予想ができなかった。
2013年9月20日のブログ

 落語協会のサイトで大賞受賞者を事前には知っていたが、いったい五人がどんな高座をした結果そうなったのかを確認するためにも放送を見た。

次の七名の審査員が五点満点で審査していた。(いつものように敬称略)
東京落語界から金馬、上方からは病後の回復状況を心配していた染丸。繁昌亭支配人の恩田。なぜか赤井英和。堀井憲一郎。神津友好。NHK大阪放送局のチーフプロデューサー藤澤。

出演順に寸評と私の五点満点評価。

立川志の春『ナンシー』
 初めて聴くこの人は、新作。喬太郎の『夜の慣用句』に似た上司と部下の盛り場での会話が中心。しかし、上司一人、部下一人なので空間の広がりに欠けるし、一本調子の語り口に、ほとんど“間”が入らない客を疲れさせる高座。金馬や堀井憲一郎は褒めていたが、社交辞令としか思えなかった。採点は3。

春風亭昇吉『たけのこ』
 喜多八がたまに演るらしいが、私は初めて聴くネタ。侍役は確かに恰好がつくが、自分でその姿に酔っていたような印象。染丸が講評していたが、口調がまだたどたどしくて痛々しかったなぁ。昇吉は昨年の旬を無視した『たがや』よりはネタ選びの工夫を含め良かったが、4どまり。

鈴々舎馬るこ『平林』
 演者によって細工のしやすい噺だが、この人の好きな歌入りでの改作。かつて落語会で聴いた頃からは成長が見える落ち着いた高座だったが、評価は4を越えない。たい平の質問に「これが師匠馬風ゆずりの鈴々舎の芸です」と答えていたが、そうかなぁ。小せんだっている。

露の紫『厩火事』
 聴くのを楽しみにしていた人。“芋蛸南京”ばかり食わせている、と亭主が怒ったので喧嘩になった、というのが噺の発端だった。兄さん(東京落語の隠居役)は「あんな酒飲みなんか、やめとき」と言って唐土(もろこし)の学者と“さる”旦那の例からサゲまでは、ほぼ東京版と同じ。
 非常に結構だった。ネタ選びも良かったと思うし、演じ分け、間の取り方も他の四人から頭一つ抜けていたように思う。誰か一人には最高点5をつける決まりがあるのなら、私は迷わずに5をつける。

月亭太遊『たまげほう』
 初めて聴く。新作だった。古典で言うなら『てれすこ』に似たシュールな筋書き。しかし、あそこまで造語が続くと、聴いていてしんどい。とはいえ、最年少で私は将来性を強く感じた。期待をこめて4とする。


最後に審査員が五点満点で点数をつけ一人づつ公開していた。
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       金馬  染丸  恩田  赤井  堀井  神津  藤澤    計
志の春    4   4   4   4   4   4   4    28
昇吉      5   5   5   4   4   5   4    32
馬るこ     5   4   5   5   5   5   5    34
露の紫    5   5   5   5   5   5   4    34
太遊      4   4   4   5   3   3   4    27
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 馬ること紫が同点となり七人がどちらかの名札を挙げる決選投票。染丸、恩田、赤井は紫、他の四人が馬るこで大賞となった。
 藤澤審査員は、大阪放送局の人なのに出身は東京なのだろうか・・・・・・。それとも逆に地元の上方を押しづらかったのか。いずれにしても彼の審査結果が左右して露の紫は大賞を逃した。私の審査結果では差をつけて大賞は紫だ。私の評価が染丸に近いのが、なぜかうれしい。紫には来年もう一度挑戦してもらいたい。東京の立川こはるに加え上方の露の紫、この二人が女流落語家において私が期待する若手となった。

 今年は予選で敗れたのかもしれないが、来年こそ小辰、一蔵に本選に出場してもらいたい。予選に出ていたら、決して馬るこにひけをとることはないはずなのだがなぁ。
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by kogotokoubei | 2013-10-20 16:24 | テレビの落語 | Comments(2)

落語のことを中心に、ときたま小言や独り言。


by 小言幸兵衛