噺の話

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落語のことを中心に、ときたま小言や独り言。

カテゴリ:責任者出て来い!( 69 )

 石原慎太郎が、まったく男らしくない会見をしていたが、地元築地には、強い女将さんたちがたくさんいるというニュースを、日刊スポーツから引用。
日刊スポーツの該当記事

築地女将の会「築地を生殺しにしてるのは石原さん」
[2017年3月14日15時53分]

 築地市場で働くおかみ46人で構成される「築地女将の会」は14日、都内で会見を開き、豊洲市場移転計画の中止を求める誓願署名を東京都へ提出したことを発表した。

 553ある水産部・仲卸事業所のうち、393事業所(約71%)の署名が集まったという。「女将の会」会長の山口タイさん(74)は「半分集めるのが目標だった。『(移転には反対だが)きっちとした形でないと署名できない』という方もいたので、今後も増えると思う」と話し、「若者たちを不安な場所に行かせたくない、その一心です」と、あらためて移転反対の意思を示した。

 移転反対の理由は、主に「土壌汚染」が多く、他には「液状化対策の不足」「高額なランニングコスト」などの意見もあった。

 土壌汚染については、築地市場でも敷地内で基準値を上回る有害物質が検出されているが、「築地は300年以上も前に埋め立てられた。護岸のヒ素は自然由来」「一部にクリーニング屋があっただけで、築地は工場跡地ではない」「豊洲は全区域汚染地域に指定されている」と、築地と豊洲では汚染の程度、質が違うことが強調された。

 液状化対策については「豊洲は液状化対策で建築学会の基準を満たしていない。東日本大震災の後は、100カ所以上が液状化した。そんなところで生鮮市場は営業できない」。豊洲市場維持費については「ランニングコストが5~7倍かかる豊洲にはついていけない」などの声が上がった。

 また、川合水産を営む川合ミワ子さんは、今月3日の会見で石原慎太郎元東京都知事が「築地市場の人たちを生殺しにしたのは小池都知事」と発言したことを引き合いに、「築地の人たちを生殺しにしているのは、石原さんなんです」と発言した。

 ほかにも、「豊洲へ行ったら魚を買わないと言われた」「移転の話が出て、廃業した方もいた」など、おかみならではの話が多く飛び交った。

 「女将の会」は、水産仲卸だけでなく青果仲や関連事業者へも署名活動を広げていくといい、今後も東京都への提案を続けていく方針。

 いいねぇ、こういう女将さんたちがいれば、万が一旦那が豊洲移転によろめきそうになっても、その愚行を止めることができるだろう。

 ただし、問題は、豊洲じゃなければ、どうするのか、ということになるだろう。

 たぶん、女将さんたちの希望は、築地改築(改造?)ということだろう。

 もちろん、それも選択肢の一つ。

 しかし、個人的には、以前に八五郎とご隠居の会話で示したように、大田市場がもっとも現実的な移転先ではないかと、今のところ私は思っている。
2017年1月18日のブログ

 しかし、メディアでそういう代替策を提示しているところはないなぁ・・・・・・。

 それが、不思議でならない。

 築地の女将さん達の輪が広がって、築地改築案や移転先の代替案に関する議論が活発になることを期待するなぁ。
 豊洲移転派は、きっと環状二号線問題を持ち出すだろう。それだって、東京五輪の輸送問題について代替案があるはずだ。
 環状線について、感情的になってはだめなのだよ^^

 そもそも、国民や地元の方を無視して東京都や国が密室で決めてきたから、問題がどんどん拡大したのだ。

 公開の場で、地元の人の声を踏まえて考えることで、新たな解を探るべきだろう。
 古希を過ぎた「女将の会」の山口会長やメンバーの皆さんに大いに期待する。
 会長のお名前が「タイ」とは、築地らしいし縁起がいい!

 ぜひ、行政や政治の問題も、女将さん達が扱っている魚のように、見事にさばいてもらいたいものだ。

 
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by kogotokoubei | 2017-03-14 21:27 | 責任者出て来い! | Comments(2)
ヘイトスピーチは、規制されるべきだ。国連人種差別撤廃委員会から法律で規制するよう勧告されるまでもなく、明らかな人種差別、民族排外主義だからやめさせるべきであった。
 しかし、この勧告に便乗して真っ当なデモ行為まで規制しようとする自民党の暴挙は許されない。
 東京新聞の社説をご紹介。
東京新聞の該当社説

【社説】
「ヘイト」規制 国会デモにも広げる愚
2014年8月30日

 政権批判は耳が痛くても、民の声に耳を傾けることこそ政治家の仕事ではないのか。人種差別的な「ヘイトスピーチ」規制に便乗した国会周辺のデモ活動への規制強化は、民主主義を危うくする。

 国会周辺のデモに対する規制強化を検討し始めたのは自民党のプロジェクトチーム(PT)だ。

 もともと、ヘイトスピーチ(憎悪表現)への対応を検討するために置かれたが、高市早苗政調会長は二十八日の初会合で、国会周辺の大音量のデモや街頭宣伝活動についても「仕事にならない」として、規制強化を検討するよう求めたのだ。

 国会周辺では毎週金曜日、複数の市民グループによる「首都圏反原発連合」が活動している。原発再稼働や特定秘密保護法、集団的自衛権の行使容認などへの反対を訴えてきた。

 政権側には耳障りだろうが、デモは有権者にとって意思表示の重要な手段だ。集会、結社や言論、出版などの表現の自由は憲法で認められた国民の権利でもある。侵すことは断じて許されない。

 そもそも国会周辺のデモは「国会議事堂・外国公館等周辺地域の静穏保持法」や東京都の条例で規制されている。厳重な警備の中でも行われているのは、法律や条例に違反していないからだろう。

 実際、警察庁も自民党に対し、静穏保持法による摘発は年間一件程度と説明した、という。

 そのデモ活動と、国連人権規約委員会が日本政府に差別をあおる全ての宣伝活動の禁止を勧告したヘイトスピーチとを同列で議論することが認められるはずがない。

 ヘイトスピーチの放置は許されないが、法規制には慎重であるべきだ。治安維持を名目に、表現の自由など人権が著しく蹂躙(じゅうりん)された歴史的経緯があるからだ。

 自民党の石破茂幹事長はかつて国会周辺でのデモ活動をテロ行為と同一視する発言をして陳謝した経緯がある。同党の憲法改正草案には表現の自由よりも公益や公の秩序を優先する規定まである。

 表現の自由に枠をはめたいというのが自民党の本音なのだろう。在日外国人の人権を守るという理由で、政権批判まで封じ込めようとしているのなら、悪乗りがすぎる。

 差別的な言論や表現をなくし、在日外国人らの人権を守り抜くために、品位ある国民としての英知を集めたい。指導者たる者が国家や民族間の対立をあおる言動を慎むべきことは、言うまでもない。



 “高市早苗政調会長は二十八日の初会合で、国会周辺の大音量のデモや街頭宣伝活動についても「仕事にならない」として、規制強化を検討するよう求めた”らしいが、この人の「仕事」って何なの?

 「政調」会長だろうが、おしなべて国会議員は国民の多様な声を「静聴」することこそ仕事ではないのか。その基本を忘れているから、国民が伝えようとしているのである。

 ヘイトスピーチをする人達も、高市のような国会議員も、人間は平等である、ということが考え方の根本に存在していないことがさまざまな問題を引き起こしているように思う。

 最近読んだ本の印象的な文章を思い出した。

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渡辺京二著『無名の人生』(文春新書)

 『逝きし世の面影』や『江戸という幻影』『北一輝』などの著者である渡辺京二へのインタビューを元にした本。『無名の人生』には、いろいろと示唆される言葉がある。

 第六章の「無名のままに生きたい」の中の「われわれは地球に一時滞在を許された旅人」から引用したい。

 みんな一皮むいてみればただの人間だとは、仏法が説く世界であり、キリスト教が教える世界です。それは、古代インドにみられた一種の共和国「サンガ」の世界でもあって、そこで人間は一人ひとりが独立した存在です。集団のなかの地位であるとか、業績であるとか、権力であるとかは消え去って、宇宙の光が注いでいるだけ。そういう世界こそが真実の世界であることを、昔の人はみんな知っていたのではないか。
 そうであれば、誰もが誇りをもって生きられたでしょう。渡し守で一生を終えても、なんの悔いもなかったでしょう。そして、そういう人は今もいるのです。
  (中 略)
 職業に貴賎なしというものの、われわれは、実際には貴賎の区別はしています。それでも、昔の人間は誇りをもって仕事をしていました。自分の職業に「気位」を持っていたのです。それは、世の中である一定の役割を果たしているという自負であったのかもしれない。しかし同時に、この現世での地位や身分は「仮のもの」であるという考え方もおそらく身についていた。
 われわれは、みな旅人であり、この地球は旅宿(りょしゅく)です。われわれはみな、地球に一時滞在することを許された旅人であることにおいて、平等なのです。
 娑婆でいかに栄えようと虚しい。すべてが塵となるのですから。金儲けができなくても、名が世間にゆき渡らなくても、わずか数十年の期間だけこの地上に滞在しながら、この世の光を受けたと思えること。それがその人の「気位」だと思う。



 “この地球は旅宿”“われわれはみな、地球に一時滞在することを許された旅人であることにおいて、平等”という思いがあれば、他国の人を差別したり、デモの声などに煩わされることはないはずだ。みな同じ旅人なのである。

 そして、「気位」という言葉。今のままでは死語になりそうだが、胸に刻むべき言葉のように思う。

 ヘイトスピーチをしている人に、そして国政を担う議員たちに、あなたたちは一人の旅人としての「気位」がありますか、と問いたい。
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by kogotokoubei | 2014-08-30 10:23 | 責任者出て来い! | Comments(4)
広島の土砂災害の捜索はまだ続いている。
 亡くなられた方のご冥福をお祈りします。また、遺族の方や被害に遭われた方には、心よりお見舞い申し上げます。そして、行方不明の方々の一人でも多くの無事確認をお祈りいたします。

 この災害について、消防局の幹部が避難勧告の遅れを認めているのに、松井という市長が反論している。
朝日新聞の該当記事

広島市長「防災計画通り対応した」 避難勧告遅れに反論
2014年8月22日11時52分

 豪雨災害の対応について、広島市の松井一実市長は22日、記者会見を開いた。消防局幹部が避難勧告の遅れを認めるなか、「ただちに勧告を出すように見直す必要があるかもしれない」としながらも、一連の対応について「防災計画のマニュアルに基づいてしっかり対応した」と述べた。

 今回、避難勧告が出たのは土砂崩れなどが相次いだ後だった。防災計画上では勧告を出すのは原則市長だが区長らが発令していた。「何でも私がするのがリーダーシップとは思っていない。それぞれの区で判断できるという計画になっている。判断をしている時に私の所に情報が入ったという状況ではない」と述べた。

 松井市長は災害があった20日未明、午前3時に対策本部の立ち上げなどについて報告を受けた後、午前7時に登庁するまで自宅にいたと説明している。「寝たり休んだりしながら情報を聞き、対策会議を開くと言うことで関係者を招集した」。今回の対応について、「私も職員も計画に基づいて対応したと思っている」と述べた。



 “マニュアルに基づいてしっかり対応”“計画に基づいて対応”・・・・・・ファストフードの店員じゃあるまいし、これだけ被害が拡大している状態において、私には血の通った人間の言葉として伝わらない

 この市長、8月6日の平和宣言で、集団的自衛権にまったくふれなかったのはご存知の通り。
 
 起こってからの問題もあるが、この災害そのものが、天災とは言い切れない。

 専門家による見解が掲載されている京都新聞から引用したい。京都新聞の該当記事

広島土砂災害、宅地開発が一因 京都・滋賀でも可能性

 広島市の土砂災害について京都大の専門家らは、崩れやすい地質や谷筋を造成した宅地開発が、大規模な土石流につながったと分析する。京滋で同様の災害が起きる可能性もあるとして、注意を呼びかけている。

 国際斜面災害研究機構理事長の佐々恭二京都大名誉教授(地滑り学)は、1999年に広島市北部の土石流などで死者・行方不明者32人を出した広島豪雨災害の緊急調査団長だった。「あの時と同じく、花こう岩が風化した『まさ土』というもろい地質が被害を拡大させた」と指摘する。

 「まさ土」は、いったん崩れ始めると摩擦抵抗が非常に少ないため、高速で流出して大きな被害をもたらす。小規模な土石流が、谷に堆積していた土砂を巻き込み、雪だるま式に拡大した面があると分析する。

 佐々名誉教授によると、京都市左京区の比叡山西側斜面や滋賀県の比良山系は、同じような花こう岩の地質で、土砂崩れが起こりやすいという。16日の大雨で土中に水分を含んでおり、「今週末にかけて、少量の雨でも土砂災害に警戒が必要」と呼び掛けている。

 京都大防災研究所斜面災害研究センター長の釜井俊孝教授(応用地質学)は、宅地開発のあり方が大被害を招いたと指摘した。「広島市の被災地は谷筋の奥まで宅地化されている。谷筋はもともと土石流の通り道で、地盤の流動性が高い」と説明する。

 特に被害が大きかった安佐南区の山本地区では、切り開いた斜面の直下に家が建てられ、土砂崩れの跡をコンクリートで補修したとみられる場所もあったといい、「自然が危険性を教えてくれていたのに」と悔やむ。逆に無事だった地域は、尾根筋を切り開いた宅地だという。

 釜井教授は「激しい雨に加え、社会的な要因が重なり、大規模な土砂災害になってしまった」と話した。

 近年は、温暖化によって「観測史上最大」というような豪雨の頻度が増え、災害のリスクが高まっている。両氏は自分が暮らす地域の地形を知るとともに、自治体から出される土砂災害警戒情報を確認し、「早めの避難で命を守ってほしい」と話している。
【 2014年08月21日 08時38分 】



 “崩れやすい地質や谷筋を造成した宅地開発が、大規模な土石流につながった”“宅地開発のあり方が大被害を招いた”という専門家の指摘の通りなら、明らかに人災である。

 広島市のサイトにある、「宅地開発許可の手引き」を紹介したい。広島市サイトの該当ページ

宅地開発許可の手引き

 都市計画法に基づく開発許可制度は、都市の無秩序な市街化を防止し、基盤整備の伴った健全な市街地の発展を図るため創設された制度です。また、宅地造成等規制法に基づく許可制度は、宅地造成に伴うがけ崩れや土砂の流出等による災害を防止するために設けられた制度です。
 これらの制度が相まって、公共公益施設の整備された安全で良好な宅地が供給されることは、本市のまちづくりにとって重要な役割を果たしており、開発事業者等の皆様をはじめ、関係機関のご理解を賜りながら、官民一体となって、よりよい都市づくりの実現を図っていく必要があるものと考えております。
 しかし、開発許可等の事務は手続や基準が複雑で多岐にわたることから、スムーズな許可制度の運用の一助となるよう、「宅地開発許可の手引き」を掲載します。
 開発事業者等の皆様におかれましては、都市計画法等の制度についてご理解をいただき、活力と調和のある都市づくりへ向けて、より一層のご協力を賜りますようお願い申し上げます。



 冒頭に、“宅地造成等規制法に基づく許可制度は、宅地造成に伴うがけ崩れや土砂の流出等による災害を防止するために設けられた制度”と書かれているのだが、なぜ、広島市は被害が発生した地域の宅地造成を許可したのか。

 もちろん、現在の市長だけの責任とは言えない。しかし、マニュアルや計画に基づいて行動するのがお好きな現市長も、肝腎なところで法制度に基づく業務を怠っていたとは言えないだろうか。

  住んでいる人の自己責任とは言えないのだ。そこに公的に建設を認可された住居があるのだから。

 そして、市を統括する役割を持つ県は、するべきことをしてきたのか、その県の行動を管理するはずの国は、果たして何をしてきた、あるいはしてこなかったのか。

 広島や京都のみならず、全国に同様の危険な地域にある住居は多いことだろう。地震や台風、そしてここ数年の集中豪雨という自然の驚異を考慮し、国が率先して早急に調査と対策を推進すべきだと思う。

 安倍晋三は、“美しい国”がお好きなようだが、土砂崩れによる被害が、尊い生命を奪い、自然を破壊している状況は、とても“美しい”とは言えない。

 憲法を“解釈”することより、カジノを東京につくることより、五輪のために建設という名の破壊を進めることより、安倍政権が優先すべきことは、いくらでもある。
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by kogotokoubei | 2014-08-22 12:11 | 責任者出て来い! | Comments(1)
元毎日新聞記者の西山太吉さんが、人生を賭けて闘っているように思う沖縄密約事件について、最高裁が実に理不尽な結論を出した。(太字は管理人)
東京新聞の該当記事

沖縄密約の歴史、闇に 最高裁「請求者に立証責任」
2014年7月15日 07時08分

 一九七二年の沖縄返還をめぐる日米間の密約文書開示訴訟の上告審判決で、最高裁第二小法廷(千葉勝美裁判長)は十四日、元毎日新聞記者西山太吉さん(82)ら原告側の逆転敗訴とした二審判決を支持し、上告を棄却した。西山さんらの敗訴が確定した。行政機関が存在しないと主張する文書について「開示の請求者側に存在を立証する責任がある」との初判断を示した。裁判官四人の全員一致の意見。

 情報開示を求める市民に重い立証責任を課した判断で、特定秘密保護法の施行を控え、国民の知る権利に大きな制約を与えそうだ。

 判決理由で千葉裁判長は「いったん文書があると立証された場合、その後も行政機関が持っていると認められるかどうかは文書の内容や性質、作成の経緯などに応じて個別具体的に検討すべきだ」と判示。文書廃棄などの立証責任を行政側に負わせた一、二審とは異なる判断を示した。

 その上で、密約文書の探索調査をした外務、財務両省が「文書は見つからなかった」としたことを踏まえ、「交渉過程で作成されたとしても、不開示決定時に文書があったと認めるには足りない」と結論づけた。密約の存在を認めた一、二審の判断は維持した。

 一審・東京地裁判決は、米国立公文書館で見つかった米公文書や元外務省局長の法廷証言を基に、国が文書を作成、保有していたと認定。国に文書の全面開示を命じ、原告一人当たり十万円の賠償も認めた。二審・東京高裁判決も国が過去に文書を保有していたことは認めたが「外務、財務両省が秘密裏に廃棄した可能性を否定できない」とし、不開示は妥当と判断した。

 西山さんらは、日本が米軍用地の原状回復費を肩代わりするなど三つの密約に関する文書を開示請求。外務、財務両省は二〇〇八年、文書の不存在を理由に開示しなかった。


 裁判の経緯は、一審、二審、最高裁の三審になるにつれて、国(≒永田町&霞ヶ関)有利な、まったく理不尽な判決と言わざるを得ない。三審制は、誰のためにあるのか・・・・・・。

 記事の後半にある次の西山さんの言葉の通り、日本の民主主義がどんどん崩壊しつつある。もちろん、安倍政権によって、である。

国の主張を正当化

 西山太吉さんの話 日米政府が共同して国民をごまかすために作ったのが密約文書で永久に保存されるべきだ。最高裁判決は、その文書がないという国の主張を正当化した。国民主権にのっとった情報公開の精神がみじんもなく、民主主義の基礎を崩壊させかねない。

 <沖縄返還協定の密約> 1972年5月に発効した沖縄返還協定をめぐる日米の交渉過程で、米軍用地の原状回復費400万ドルや米短波放送中継局の国外移設費1600万ドルを日本政府が肩代わりし、協定で定められた米国への支出金に上乗せして負担することにした密約。「沖縄を金で買い戻した」との批判が予想されたため、国民には伏せられた。毎日新聞記者だった西山太吉さんが外務省の極秘公電を入手し、報道で密約を示唆したが、公電を提供した同省女性職員とともに国家公務員法違反罪で起訴され、2人の有罪判決が確定した。2000年以降、米国立公文書館で密約文書が見つかり、外務、財務両省は10年3月に「広義の密約」があったと認めた。

(東京新聞)



 朝日では、今回の最高裁判断について次にように書かれている。
朝日新聞の該当記事

 最高裁はこの日、「行政機関が存在しないとした文書の開示を裁判で求める場合は、請求した側が文書の存在を立証する責任がある」との初判断を示した。

 NPO法人「情報公開クリアリングハウス」の三木由希子理事長は「報道によって文書の存在がわかった今回のケースは異例であり、情報公開の請求者が文書の存在を証明するのは現実的には困難だ。判決はこの実態にお墨付きを与えるものだ」と批判する。

 仮に国による意図的な文書隠しがあっても、国が「ない」とすればそれを暴くこともできなくなってしまう。「国民の共有財産をしまい込み、都合が悪くなれば捨てるような国の姿勢こそ、厳しく断罪する必要がある」

 西山さんとともに会見した原告で、密約事件についての著作がある作家の沢地久枝さんは「今後も密約文書の行方をはっきりさせる努力をしていく」と力を込めた。


 立証するったって、今後は特定秘密保護法が、その立証を阻むわけだから、役所が「ない」と言う情報をあぶり出すのは、ますます難しくなる。最高裁は、そういうことも踏まえて、安倍政権の圧力を受け、秘密国家化の片棒を担ぐのだろうか。三権分立の名が泣く。

 アメリカで公開された情報で密約の存在は明白。加えて、外務省の元局長が密約の存在を認めてもいるのだ。
 東京地裁が、もっとも真っ当な判断を下している、としか言いようがない。

 その元外務省局長については、北海道新聞の過去の記事からご紹介。
北海道新聞サイトの該当記事

2006/02/08(水)朝刊
1971年 沖縄返還協定 「米との密約あった」
佐藤首相判断で400万ドル肩代わり 外務省元局長が認める

 沖縄の祖国復帰の見返りに、本来米国が支払うべき土地の復元費用を、日本が肩代わりしたのではないかとされる一九七一年署名の沖縄返還協定について、当時、外務省アメリカ局長として対米交渉にあたった吉野文六氏(87)=横浜市在住=は、七日までの北海道新聞の取材に「復元費用四百万ドル(当時の換算で約十億円)は、日本が肩代わりしたものだ」と政府関係者として初めて日本の負担を認めた。

 この肩代わり問題は外務省密約事件として知られ、警視庁が当時の毎日新聞記者西山太吉氏(74)を逮捕、国民の知る権利をめぐる論議になった。

 四百万ドルは、米国が軍用などに接収していた土地を、元の田畑などに戻すための費用。「米国が自発的に払う」と同協定四条で決めた。一方、七条は、沖縄にあるとされる核兵器の撤去や、米国資産の買い取りのため日本が米国に三億二千万ドル払うと決めており、西山氏らは電文などをもとに「三億二千万ドルの中に四百万ドルが含まれている」と主張してきた。

  吉野氏は「当時のことはあまりよく覚えていない」と断った上で「国際法上、米国が払うのが当然なのに、払わないと言われ驚いた。当時、米国はドル危機で、議会に沖縄返還では金を一切使わないことを約束していた背景があった。交渉は難航し、行き詰まる恐れもあったため、沖縄が返るなら四百万ドルも日本側が払いましょう、となった。当時の佐藤栄作首相の判断」と述べた。

 また、日本政府が、円と交換して得た返還前の通貨、米ドルを無利子で米国に預託し、自由に使わせたことも明らかにした。金額には言及しなかったが、米側文書によると、連邦準備銀行に二十五年間無利子で預け、利息を含め計算上約一億千二百万ドルの便宜を与えたとみられる。

 これらの肩代わりや負担は、これまでマスコミや沖縄の我部政明琉球大教授(国際政治)が、米国の情報公開法で米側外交文書を入手し、指摘してきた。しかし、日本政府は否定し続け、情報公開もしていない。外務省は「現在、西山氏から当時の報道は正しかったと謝罪を求める裁判を起こされており、コメントできない」としている。

 我部教授は「証言が正しければ、米側外交文書を裏付けたことになる。日本政府は負担を三億二千万ドルと言っているが、米側文書によるとこのほか、基地の施設改善移転費などが七千五百万ドルあり、現在の巨額の思いやり予算につながっている。政府はきちんと説明すべきだ」と話している。


 こういう証言があったにもかかわらずの、今回の最高裁、なのだ。

 吉野文六元局長の言葉を続ける。

 「西山さんの言ってることは正しい」

 吉野文六元外務省アメリカ局長は、続けてこう言って苦笑した。

  「だから機密扱いなんです」

 一九七二年、国会で横路孝弘衆院議員(現副議長)から「沖縄返還には密約がある」と追及された。証拠の外務省機密電文のコピーを持っているというので、電文の原本を持ち、国会内の小部屋で見せ合った。本物だった。

 秘話がある。吉野さんは、横路氏と見せ合う前に、総裁派閥佐藤派の実力者二人に相談した。そして二人の言葉に驚く。「おまえ、何言ってるんだ。外務省の電報なんて前からおれたちのところにもこんなに来ているぞ」

 政府与党は一体だから外務省が実力者に情報提供することはあるだろう。だが、もし、別ルートの情報流出が常時あったとすると、問題の様相はまったく異なってくる。
二人は故人となり、真相はやぶの中だ。

 電文を見せ合った直後、警視庁は、外務省女性職員が毎日新聞の西山太吉記者に国家機密を漏らしたとして、二人を国家公務員法違反の疑いで逮捕する。吉野さんは西山さんをよく知っていた。

 「新聞記者なら機密を書くのが本能でしょうから、西山さんのやったことは仕方がない。でも、交渉の最中に機密の話が漏れると、相手から信頼されなくなる。米国側から苦情を言われたわけではないですよ。だが、過程を明かさないのは外交の常識。西山さんの書いたことが真実かどうかという問題と、機密漏えいを司法が罰するかどうかは別問題です」

 事件で、毎日新聞を退社、現在北九州市に住む西山さんは反論する。

  「機密は権力の都合のいいよう、時には秘匿され、時には世論誘導のため漏らされる。外務省の立場には何ら拘束されず、新聞は過程を報道しなければならない」

  昨年「政府はウソをついた。報道は正しかった」と国に謝罪を求める民事訴訟を起こした。怒りは募る。

 「四百万ドルを肩代わりしたという吉野さんの言葉が本当だとすると、私の主張を事実上認めたことになる。米国の情報公開文書も正しかったということだ。先進国なら二、三十年もたてば公文書を公開する。日本はなぜしない」

 問題は四百万ドルにとどまらない。協定七条で日本側が負担する三億二千万ドルの内訳は、水道、電気など米国が造った資産の買取費一億七千五百万ドル、沖縄に貯蔵されていたとされる核兵器撤去費用七千万ドル、人件費増加分七千五百万ドルだ。しかし、吉野さんは言う。

  「はじめ米国が無償で沖縄を返すというので、佐藤首相も無償返還をバーンとぶち上げた。ところが、まず大蔵省が折衝を始めたら、米国はこれだけ日本でもってくれとリストを出してきた。外務省は驚きましたよ。三億二千万ドルだって、核の撤去費用などはもともと積算根拠がない、いわばつかみ金。あんなに金がかかるわけがない。費用を多くすればするほど『核が無くなる』と国民が喜ぶなんていう話も出た。三億二千万ドルの本当の内訳なんて誰も知らないですよ」

 マスコミや琉球大の我部政明教授らが米国の情報公開で調べた日本側の財政負担は、このほかに《1》円と交換した返還前の通貨、米ドルを二十五年無利子で米国に預金(一億千二百万ドル相当)《2》基地施設改善移転費六千五百万ドル《3》労務管理費千万ドル−がある。吉野さんは無利子預金については一部認めたが、他は「よく覚えていない」という。

 現役時代、国会答弁では、知らぬ、存ぜぬを繰り返してきた。だが今「もう年で記憶がない」と言いながら、知られていない背景説明を語り、固有名詞を次々に繰り出す。吉野さんはこうつぶやいた。

  「国会で『記憶にありません』と答弁したら、本当に記憶に無くなる。過去を振り返らないようになります。意識的に忘れようとする。大部分は不愉快なことですから。覚えていることを覚えていないというんだから」 (編集委員 往住嘉文)



 再度引用するが、吉野元局長が2006年に語った、次の内容に驚くではないか。

「はじめ米国が無償で沖縄を返すというので、佐藤首相も無償返還をバーンとぶち上げた。ところが、まず大蔵省が折衝を始めたら、米国はこれだけ日本でもってくれとリストを出してきた。外務省は驚きましたよ。三億二千万ドルだって、核の撤去費用などはもともと積算根拠がない、いわばつかみ金。あんなに金がかかるわけがない。費用を多くすればするほど『核が無くなる』と国民が喜ぶなんていう話も出た。三億二千万ドルの本当の内訳なんて誰も知らないですよ」

 沖縄返還問題は、まだ終わっていない。これまでに、いかに理不尽な要求をアメリカから飲まされてきたのだろうか。

 8年前の西山さんの言葉を、再度。
  「四百万ドルを肩代わりしたという吉野さんの言葉が本当だとすると、私の主張を事実上認めたことになる。米国の情報公開文書も正しかったということだ。先進国なら二、三十年もたてば公文書を公開する。日本はなぜしない」

 吉野元局長が密約の存在を語った時に、安倍は官房長官だった。彼はどう対応したのか。
 西山さんについては、昨年11月に、参院の国家安全保障特別委員会に参考人として登場された時にも記事を書いた。その時に引用した日本記者クラブでの会見に関する11月19日の朝日から再度抜粋。
2013年11月22日のブログ

 2000年、アメリカは日本との沖縄返還交渉の外交文書を一挙に公開した。そこには西山さんがつかんだ密約が明らかにされていた。ふつうはそれで日本政府も兜(かぶと)を脱ぐだろう。ところが違った。外務省は密約の当時のアメリカ局長吉野文六氏を呼んで「密約は一切ないと言ってくれ」と口止めをした。吉野さんはOKした。外務省はあわてて日本側の資料を焼却した。1200トンに及ぶ量だった、と西山さんは語った。

 2006年、吉野さんは良心の呵責(かしゃく)からか、「密約に私が署名した」とマスコミに告白した。それでもなお、当時の安倍晋三官房長官、麻生太郎外相、河相周夫北米局長は「密約はない」と言い張った。このシラの切り方は尋常な「秘密体質」ではない。



 安倍晋三の「秘密体質」は、まったく変わっていない。より一層厚い鎧で覆われているかもしれない。

 特定秘密保護法と集団的自衛権により、ますます国民の死活問題が秘密のままに扱われる危険性が出てきた。
 北海道新聞の12日の記事から。北海道新聞の該当記事

集団的自衛権行使 秘密保護法「盾」に自衛隊派遣理由、秘匿も 国民議論できぬ恐れ
(07/12 09:44、07/12 09:49 更新)

 政府が集団的自衛権を行使し、米国の要請などで自衛隊を派遣する際、その理由が国民に十分に知らされない恐れが出ている。今年12月に施行される特定秘密保護法を「盾」に、政府が判断に至る議論を秘匿する可能性があるためだ。専門家は自衛隊派遣の是非を国民が判断できないまま、政府が戦争に突き進むことに警戒感を募らせている。

 特定秘密保護法は、政府が「漏れると安全保障に著しい支障を与える恐れがある」と判断した情報を特定秘密に指定できると定める。対象となる防衛や外交など4分野23項目のうち、参戦理由は「外国や国際機関との交渉内容や方針のうち安全保障に関する重要なもの」に当たる可能性が高い。森雅子内閣府特命担当相は11日の記者会見で「23項目に該当する場合に主務大臣が秘密指定する。それに該当するかどうか、という話になる」と述べ、参戦理由が特定秘密になる可能性を認めた。

 集団的自衛権は、日本と関係が密接な他国への武力攻撃が発生し、日本人の生命や権利が「根底から覆される明白な危険」があると判断すれば発動できる。実際に米国などから協力要請があった場合、国家安全保障会議(NSC)で審議し、内閣が決定するが「安全保障に著しい支障を与える恐れがある」と判断されれば、詳細な理由や議論の過程は秘密となる。第1次安倍内閣で防衛担当の内閣官房副長官補を務めた柳沢協二氏は「米艦が攻撃を受けて日本に防護要請した場合、なぜ米艦が攻撃を受けたのか—といった米軍の行動に関する情報は秘中の秘。表に出てこないだろう」と指摘。「そこを議論しないと参戦の正当性は説明できないが、材料が提供されない可能性は高い」とみる。

 ベトナム戦争では、1964年にベトナム沖で米艦が攻撃を受けたトンキン湾事件をきっかけに各国が参戦したが、その後、事件の際の攻撃は米国の捏造(ねつぞう)だったことが発覚した。当時の日本は集団的自衛権が行使できず参戦しなかった。特定秘密保護法が施行されれば、こうした情報も検証できなくなる恐れがある。

 米軍の動向に詳しいNPO法人ピースデポ(横浜)の塚田晋一郎事務局長代行は「秘密法は何でも秘密にできて、何が秘密か分からないのが特徴だ。参戦後、米軍などと理由をねじ曲げる恐れもある。こんなことで自衛隊が危険にさらされていいのか」と疑問視している。(東京報道 村田亮)<北海道新聞7月12日朝刊掲載>


 今回の判決や諸々を思うと、新たな密約の存在も匂ってくる。
 特定秘密保護法、集団的自衛権、それらの背後に安倍政権とアメリカとの間にTPP交渉にからんだ「密約」があるのなら、それこそ、メディアは追求すべきだ。しかし、かつての西山さんのような気骨のあるジャーナリストは存在しないだろうなぁ。

 もし、密約などなく、単にアメリカ政府への「忖度」による行動であれば、それはあまりにも主権国家として情けない。

 密約でも忖度でもなく、アメリカの影をちらつかせながら、安倍晋三が大好きな戦争をしたがっているだけなら、馬鹿に刃物を持たせてはいけない。

 集団的自衛権を憲法違反と主張することなど、とても無理なところまで、日本の司法は存在意義をなくしている。
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by kogotokoubei | 2014-07-15 07:47 | 責任者出て来い! | Comments(1)
TPP交渉における日本側の対応にはあきれ返る。あえてほぼ一年前に書いた記事(現在は「幸兵衛の小言」に別居)の引用を中心に、日本の甘さについて記したい。
2013年9月6日のブログ

 かつて農林水産大臣を務めた山田正彦元衆議院議員の昨年4月15日のブログに、USTR(アメリカ合衆国通商代表部)の発表内容の和訳があるので引用したい。ちなみに山田氏は、この事前協議の合意を「ミズーリ艦上の降伏文書」にたとえていた。(このページ、なぜか今は山田正彦のホームページが閉じていてリンクできない・・・・・・。)


内閣官房の書簡はたった1ページで抽象的な言葉で終わっていますが、私の親友・首藤信彦氏(外交評論家・前衆議院議員)が徹夜で仮翻訳した文章を送っていただいて、更に驚きました。その内容をこの後に掲載していますので皆さんにも是非、読んでいただきたいと思います。
併せて政府が発表している佐々江賢一郎さんの米国に対する、米国務省への書簡。更に米国通商代表代行マランチェスの日本政府に…対する書簡も添付しますので、是非、比較してお読みください。

以下、首藤信彦氏の仮翻訳文書。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
USTR 2013.4.12
TPPへ向けて:日本との協議事項報告 <仮訳>

アメリカ政府はTPPに参加したいという日本との公式二国間協議を2012年2月に開始しました。これは日本のTPP参加国との協議を始めたいという2011年11月の表明にもとづくものです。
日本との協議は、自動車や保険セクターおよび他の非関税障壁に関する二国間の幅広い関心事をカバーし、TPPが求める高い基準を日本が満たす用意があるかどうかという点に関する議論も含まれています。
今日、アメリカ政府は日本との間に、強固な実施行動のパッケージおよび諸合意が成立したこと、そしてアメリカ政府が一連の協議を成功裏に完結したことを報告申し上げます。

自動車
アメリカ政府は、自動車部門に関する深刻かつ積年の関心事を明確にしました。日本政府はアメリカとの協議において、日本車の輸入関税はTPP交渉の他のいかなる製品に猶予された最長期間よりもさらに遅い時期において段階的に廃止されることに合意した。しかも、この段階的廃止は猶予期間が終了した後にのみ実行されることも日本政府は合意した。さらに、これらの措置は米韓FTAで韓国に認められた関税廃止措置よりもはるかに遅れることも日本政府は合意した。

4月12日に日本政府は、簡易許可手続き(PHP)すなわち日本に輸出される米国車に対してより簡単で時間のかからない認証方法での輸入台数を二倍以上にすることを一方的に決定して通告してきました。最近の例でいえば、車種ごとに年2000台まで認められている簡易輸入手続きを、今度は車種ごとに年5000台までアメリカ自動車メーカーは日本に輸出する際には認められることになります。

アメリカ政府と日本政府は日本の自動車産業分野に存在する広範な非関税障壁(NTM)を、TPP交渉と並行して行われる二国間協議の俎上に載せることを合意しました。そのテーマの中には諸規制の透明性、諸基準、証明書、省エネ・新技術車そして流通などの問題が含まれる。さらに、特定車両に対するセーフガード条項を協議し、係争事例の法的救済として関税再課税(snapback tariffs)などのメカニズムも協議することを日米政府は合意した。協議でどれだけの範囲のイシューを協議するかは添付されたTOR(内閣官房資料3)に書かれている。そしてその協議の結果はTPP交渉におけるアメリカと日本の二国間における最終二国間市場アクセス包括協定における強制的約束として含まれるものである。

保険
近年、アメリカ政府はアメリカの保険会社が日本郵政の保険との関係において、日本の保険市場で平等な基準で取り扱われていないことを強調してきた。今回の協議において、TPP協議へ向けて平行して行われる交渉と同時に、このTPP交渉における平等な取扱いの問題を取り上げることに合意した。さらに、日本政府は、4月12日に一方的に以下のことを通告してきた。その内容は、日本郵政の保険に関しては、民間の保険会社に日本郵政と平等な競争条件が確保され、また日本郵政の保険が適切なビジネス経営(非公営)の下で運営されていると日本政府が決定するまでは、いかなる新規のあるいは修正されたがん保険及び単独の医療保険を許可しない、ということである。

非関税障壁(NTM)
アメリカ政府はアメリカ製品の日本への輸出を妨げている広範な産業分野および産業横断的な非関税障壁に対する懸念を表明してきた。これらの問題がTPP交渉においてはまだ十分に討議されていない以上、それらは二国間で、TPP協議と並行して、討議され、TPP交渉終了までに完結させなければならない。(これに関しては別添fact sheetで問題の実情を含め詳細に説明されている)

日本は高い基準での協定受け入れを表明
我々二国間の協議を通してアメリカ政府は、日本がTPP交渉に参加したいなら、現在の参加国である11か国によってすでに交渉された高い基準での協定を受け入れを保証せよと強く強調してきた。それに対し、また2月22日の共同声明に記載されているとおり、日本政府は、すべての産品を交渉のテーブルに乗せ、そのうえで2011年11月12日にTPP参加国によって表明されたTPP協約に明記された包括的で高い基準の協定を達成するために、交渉に参加することを言明した。

強固な関係の成長
もし日本がTPP交渉に参加するなら、その参加はアメリカの最大の貿易パートナーである国の参加であり、TPP協定の経済力を高める。日本は現在、アメリカの第4位の貿易パートナーである。2012年にアメリカは700億ドルの産品を日本に輸出し、サービス分野は2011年に440億ドルに達した。TPPに日本が参加することは、アジア太平洋地域FTA(FTAAP)への道筋を進めると同時に、競争力のあるアメリカで生産された製品とサービスに対する日本市場のさらなる開放を意味する。そのことは同時にアメリカ国内の雇用を支えるのだ。TPPに日本が参加したことにより、TPP参加国全体では世界のGDPの40%近く、そして世界貿易の三分の一を占めることになるのだ。    
以上
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
【駐米日本大使発書簡】



 一方、「官邸」サイトに昨年のこの時期に掲載されている、日本側の発表内容がこれ。
「官邸」サイト掲載の該当PDF

日米協議の合意の概要
平成25 年4 月12 日
内閣官房TPP 政府対策本部

1 日本が他の交渉参加国とともに,「TPP の輪郭」において示された包括的で高い水準の協定を達成していくことを確認するとともに,日米両国が経済成長促進,二国間貿易拡大,及び法の支配を更に強化するため,共に取り組んでいくこととなった。

2 この目的のため,日米間でTPP 交渉と並行して非関税措置に取り組むことを決定。
 対象分野:保険,透明性/貿易円滑化,投資,規格・基準,衛生植物検疫措置1 等

3 また,米国が長期にわたり懸念を継続して表明してきた自動車分野の貿易に関し,
(1)TPP 交渉と並行して自動車貿易に関する交渉を行うことを決定。
   対象事項:透明性,流通,基準,環境対応車/新技術搭載車,財政上の
   インセンティブ 等
(2)TPP の市場アクセス交渉を行う中で,米国の自動車関税がTPP 交渉における最も長い段階的な引下げ期間によって撤廃され,かつ,最大限に後ろ倒しされること,及び,この扱いは米韓FTA における米国の自動車関税の取り扱いを実質的に上回るものとなることを確認。

4 日本には一定の農産品,米国には一定の工業製品といった二国間貿易上のセンシティビティが両国にあることを認識しつつ,TPP におけるルール作り及び市場アクセス交渉において緊密に共に取り組むことで一致。 以上



 違いは一目瞭然だ。

 たとえば「非関税障壁」について、まずUSTR側は、こう書かれている。
非関税障壁(NTM)
アメリカ政府はアメリカ製品の日本への輸出を妨げている広範な産業分野および産業横断的な非関税障壁に対する懸念を表明してきた。これらの問題がTPP交渉においてはまだ十分に討議されていない以上、それらは二国間で、TPP協議と並行して、討議され、TPP交渉終了までに完結させなければならない。(これに関しては別添fact sheetで問題の実情を含め詳細に説明されている)


 日本側の発表内容。
日米間でTPP 交渉と並行して非関税措置に取り組むことを決定。
 対象分野:保険,透明性/貿易円滑化,投資,規格・基準,衛生植物検疫措置1 等


 「保険」の項目についてなど、日本側はほとんどふれていない。

 アメリカは、次のように言っている。

日本は高い基準での協定受け入れを表明
我々二国間の協議を通してアメリカ政府は、日本がTPP交渉に参加したいなら、現在の参加国である11か国によってすでに交渉された高い基準での協定を受け入れを保証せよと強く強調してきた。それに対し、また2月22日の共同声明に記載されているとおり、日本政府は、すべての産品を交渉のテーブルに乗せ、そのうえで2011年11月12日にTPP参加国によって表明されたTPP協約に明記された包括的で高い基準の協定を達成するために、交渉に参加することを言明した。



 まったく違う協議のことを言っているのではないか、と思わせるギャップ。

 事前協議に関するアメリカ(USTR)の言い分が正しいとしたら(たぶん正しいだろう)、日本の政府は、確信犯的に合意内容を隠している。
 
 この時の「概要」という言葉に、すでに欺瞞の匂いがプンプンしている。早い話が、これは国民に対する“詐欺”である。

 別に今回のオバマの来日で、アメリカが“強硬姿勢”をとっているのではない。一年前から、アメリカは“本気”である。日本は、あるいは安倍政権は、まったく本気で準備をしてこなかった。
 
 日本の官僚は、なんと脇が甘くなったことだろう。オバマは、その背後に“アメリカ経済”を背負って交渉に来た。お坊ちゃんの安倍は、オバマ側の要望だろうが、庶民には到底味わえそうにない最低一人前三万円のすきやばし次郎の鮨でオバマを懐柔できると踏んでいた。安倍は、そして側近はオバマアメリカの今回の意図をまったく想定できていなかった。支持率が低下するオバマとしては、歴史に名を残すには今が踏ん張り時なのである。
 甘利の寝不足の表情など、見たくもないし、「もう一度やれと言われたらやりたくない」などというなんとも幼稚な発言は聞きたくない。しかし、それは、安倍政権の“あまり”にも“甘い”外交政策の、ほんの一つの情けない事象に過ぎない。

 いくらミシュランで星のついた鮨屋で会食しようが、日本とアメリカでは、TPPという“ネタ”についての考え方が一年前から違っているのである。
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by kogotokoubei | 2014-04-24 21:18 | 責任者出て来い! | Comments(0)
百田尚樹委員の都知事選応援演説の内容に続き長谷川三千子委員のことで、自民党の菅官房長官が、また尻拭いをしている。
「47NEWS」サイトの該当記事

官房長官、NHK委員問題視せず 右翼礼賛報道めぐり

 菅義偉官房長官は5日の記者会見で、NHK経営委員の長谷川三千子氏が、朝日新聞社で1993年に拳銃自殺した右翼団体幹部を礼賛する追悼文を発表したとする一部報道をめぐり「経営委員が自らの思想、信条を表現することは妨げられていない。放送法に違反しない」と述べ、問題視しない考えを示した。

 保守派の論客として知られる埼玉大名誉教授の長谷川氏をNHK経営委員に推した政府の判断については「わが国を代表する哲学者、評論家として活躍している。わが国の文化にも精通しているとの評価の中で政府が国会に(人事案を)提出した」とし、適正だったとの認識を強調した。

2014/02/05 12:26 【共同通信】



 この人は、百田なんかより、ずっと“筋金入り”の右の人だ。

 他にもNHK経営委員には、安倍の仲間が含まれている。NHKのサイトより経営委員をご紹介。

NHKサイトの該当ページ

委員長
浜田 健一郎 (株)ANA総合研究所 取締役会長

委員長職務代行者
上村 達男   早稲田大学法学部 教授

委 員
石原 進   九州旅客鉄道(株) 取締役会長

委 員
上田 良一
NHK経営委員会 委員(常勤)前 三菱商事(株)代表取締役副社長執行役員

委 員
中島 尚正   (学)海陽学園海陽中等教育学校長

委 員
長谷川 三千子  埼玉大学名誉教授

委 員
百田 尚樹   小説家、放送作家

委 員
本田 勝彦   日本たばこ産業(株)顧問

委 員
美馬 のゆり  公立はこだて未来大学システム情報科学部教授

委 員
宮田 亮平   東京藝術大学学長

委 員
室伏 きみ子  お茶の水女子大学 
        ヒューマンウェルフェアサイエンス研究教育寄附研究部門 教授

委 員
渡邉惠理子   弁護士
(平成25年12月11日現在)



 長谷川三千子と百田尚樹は、ともに安倍首相を求める民間人有志による緊急声明発起人。

 安倍は軍国主義化の推進を公共の電波を利用して支援させるにとどまらず、原発推進のために中島尚正という核融合エネルギーフォーラム議長も送り込んでいる。

 JT顧問の本田勝彦は安倍の元家庭教師で、首相を囲む経済人が集う「四季の会」メンバー。また中島尚正が校長を務める海陽中等教育学校は、四季の会主力メンバーであるJR東海の葛西敬之が設立に尽力した。

 つながっているのだよ、NHK経営委員は、安倍を取り巻く“右”と“原発”の糸で。

 だから、彼らが“本音”を語る以上、百田、長谷川に限らず、今後もトンデモ発言は頻発し、菅官房長官が尻拭いすることになるだろう。

 「四季の会」について、少し古くなるが、第二次安倍政権誕生直前の記事からご紹介。
ビジネス・ジャーナルの該当記事

「四季の会」は葛西敬之・東海旅客鉄道(JR東海)会長が幹事役を務める財界人の集まり。前回、安倍氏が政権を投げ出した後も元首相を励まし続け、「再登板」を働きかけてきた。

 葛西氏が東大法学部で机を並べ親友だった与謝野馨氏に「若手の有望株を呼んで勉強会をやろう」と持ちかけ、与謝野氏が当時、官房副長官だった安倍氏を引き合わせたのが始まり。2000年に「四季の会」は発足した。

 葛西氏が集めた人物は、次代の経済界を担う社長候補たち。東京電力の勝俣恒久氏、新日本製鐵(現・新日鐵住金)の三村明夫氏、三菱重工業の社長に就いたばかりの西岡喬氏など、財界本流の人々だった。

 前回の安倍政権時には、この四季の会のメンバーが重用された。

 当時、安倍首相の強い意向が働き、NHKの経営委員長には富士フィルムホールディングスの古森重隆社長(当時、現会長)が選ばれた。古森氏も四季の会の主要メンバーだ。

 古森経営委員長がNHKの会長に任命したアサヒビール(現・アサヒグループホールディングス)の福地茂雄・相談役も四季の会のメンバー。その後、福地会長の後任として11年1月にNHK会長に就いた松本正之氏は、JR東海の元副会長で葛西氏の部下。松本氏を推薦したのは前経営委員長の古森氏だったといわれている。

 これらのNHKトップ人事は、四季の会メンバーによるたらい回しだ、と酷評された。


 籾井という新会長人選にしても、もちろん、「四季の会」の力が動いている。安倍と葛西、古森の談合によって籾井が選任された、というのが大方の見方である。
 私は、新幹線の官製談合も問題だとは思うが、その国民への影響度から考えたら、NHKというメディアを私物化する談合の方により罪の重さを感じる。


 今や数少ない頼れそうなメディアの一つ「日刊ゲンダイ」のGENDAI.NETから、昨秋、経営委員候補の顔ぶれを見て、安倍のNHK乗っ取り危機に警鐘を鳴らしている。

NHK経営委員に“お友達”ズラリ 安倍政権の露骨すぎる言論介入
2013年10月28日 掲載

「皆サマ」から「安倍サマ」のNHKにする気なのか。安倍政権が示したNHK経営委員の人事案には、首相の“お友達”がズラリ。経営委はNHKの最高意思決定機関で、会長の任命権など強い権限を持つ。来年1月に任期が切れる会長人事をにらみ、日本最大の放送機関を「安倍カラー」に染めようとする狙いはミエミエだ。秘密保護法案で国民の「知る権利」や「報道の自由」を奪おうとする中、安倍のさらなる露骨な言論介入は民主主義への挑戦である。

<なぜ傍観しタレ流しているのか、この国の大新聞>

 NHKの経営委員は国会同意人事だ。衆参両院に提出された新任委員の顔ぶれは、JT顧問の本田勝彦氏(71)、哲学者の長谷川三千子氏(67)、小説家の百田尚樹氏(57)、海陽中等教育学校長の中島尚正氏(72)の4人。安倍とは全員親密な仲で、思想的にも極めて近い。よくもまあ、これだけ偏った考えの持ち主を集めたものだ。

「本田氏は安倍支援の保守系財界人の集まり『四季の会』のメンバー。東大生の頃に小学3、4年生だった安倍氏の家庭教師を務めた。東大卒後に当時の日本専売公社に入社し、00年にJT初の生え抜き社長となり、06年まで務めました」(経済ジャーナリスト)

 長谷川氏は「オンナは子を産み育てよ」がモットーで、少子化を口実に家父長制の復権を公然と唱える保守論客だ。

 百田氏は「永遠の0」や「海賊とよばれた男」のベストセラー作家で、安倍も作品の愛読者のひとり。「探偵!ナイトスクープ」の構成作家という経歴から、単なる「おもろいオッチャン」と思ったら大間違い。いわゆる「自虐史観」を一貫して批判し、ある月刊誌で「安倍政権の最も大きな政策課題は憲法改正と軍隊創設」と言い切ったバリバリの軍国主義者だ。

 中島氏が校長を務める「海陽学園」は次世代のリーダー育成を掲げる全寮制の中高一貫校。副理事長を務めるJR東海の葛西敬之会長は、本田氏と同じ「四季の会」の一員だ。葛西氏は財界きっての原発推進論者で、NHKの松本正之会長に不満タラタラだという。

「『アイツは国益に反する放送をしてけしからん』とボロクソに言っている、と雑誌に書かれました。松本会長はJR東海の元副会長で、葛西氏自身が3年前にNHKに送り込んだ。脱原発に転じた小泉元首相が『NHKが震災後に放送した海外ドキュメンタリーを見たのがきっかけ』と発言したのも、元部下への不満に火をつけた。中島氏は、葛西氏の意向に従った“松本降ろし”の刺客でしょう」(財界関係者)

 恐ろしいのは、これだけ保守色の強い面々がNHKの首根っこを掴んだことだ。会長選任には経営委員12人のうち9人の同意が必要だ。新任4人が反対すれば「拒否権」が発動される。

 安倍やその取り巻きの意に沿わない会長は、簡単に葬られてしまう。

「つまり、安倍首相や偏った思想の“お友達”が、NHKトップの人事を左右し、公然と公共放送を乗っ取ろうとしているのです。狙いはひとつ。放送法第1条に定められた『不偏不党』の原則をかなぐり捨て、NHKの報道姿勢を権力の思うがままに操ること。安倍色に染まった会長の下で、原発推進の一大キャンペーンや、反中反韓の偏向報道だって始まりかねません。戦中の大本営発表を想起させる言論封殺の危機なのに、大手メディアの追及は鈍すぎます。民主主義の基盤である『言論の自由』を抹消する動きを、絶対に許してはいけません」(元NHK政治部記者で元椙山女学園大教授の川崎泰資氏)

 川崎泰資元NHK政治部記者の言葉を再度強調しておこう。

 “安倍首相や偏った思想の“お友達”が、NHKトップの人事を左右し、公然と公共放送を乗っ取ろうとしているのです。狙いはひとつ。放送法第1条に定められた『不偏不党』の原則をかなぐり捨て、NHKの報道姿勢を権力の思うがままに操ること。安倍色に染まった会長の下で、原発推進の一大キャンペーンや、反中反韓の偏向報道だって始まりかねません。戦中の大本営発表を想起させる言論封殺の危機なのに、大手メディアの追及は鈍すぎます。民主主義の基盤である『言論の自由』を抹消する動きを、絶対に許してはいけません”

 川崎泰資は、NHK政治部副部長時代に「ニュースセンター9時」のロッキード事件5周年特集の報道をめぐって、当時の報道局長島桂次と対立、翌1982年に島による「日放労大虐殺人事」で放送文化研究所に左遷された人。
 現在は「九条の会」傘下の「マスコミ九条の会」で呼びかけ人を務めている。

 読売新聞で「社会部が社会部だった時代」に活躍し、その後独立した本田靖春とは一歳違い。
 本田靖春については、その著書の引用を含めて以前記事を書いたので、ご興味のある方はご覧のほどを。
2014年1月14日のブログ

 マスメディアからジャーナリズムが喪失することを悲観して、その組織を離れたということで、二人はよく似た経歴であるように思う。川崎は、NHKに「政治部が政治部だった時代」があったと述懐することはあるのだろうか。

 もっと怖いのは、これから数年後、「日本にジャーナリズムがあった時代」として、我々が過去を振り返ることである。すでに、読売や産経は権力側に落ち風前の灯ではあるが、安倍の思うままには、させられない。

 2011年に定められた「NHK放送ガイドライン」をNHKのサイトからダウンロードすることができる。そのガイドラインには、次のように「番組基準」が謳われている。
NHKサイトの該当ページ

NHK 国内番組基準
 日本放送協会は、全国民の基盤に立つ公共放送の機関として、何人からも干渉されず、不偏不党の立場を守って、放送による言論と表現の自由を確保し、豊かで、よい放送を行うことによって、公共の福祉の増進と文化の向上に最善を尽くさなければならない。
この自覚に基づき、日本放送協会は、その放送において、
1 世界平和の理想の実現に寄与し、人類の幸福に貢献する
2 基本的人権を尊重し、民主主義精神の徹底を図る
3 教養、情操、道徳による人格の向上を図り、合理的精神を養うのに役立つようにする
4 わが国の過去のすぐれた文化の保存と新しい文化の育成・普及に貢献する
5 公共放送としての権威と品位を保ち、公衆の期待と要望にそうものであることを基本原則として、ここに、国内放送の放送番組の編集の基準を定める。



 この基準そのものは間違っていない。ぜひ、「不偏不党」の立場で、「公共放送としての権威と品位」を保ち、「よい放送」を行なって欲しいのだが、この基準に照らしたら、どう考えても経営委員の顔ぶれに問題があるだろう。
 新会長のトンデモ発言や、度重なる経営委員の問題発言を踏まえ、会長も経営委員はあらためて選任すべきである。その際、決して自民党という政党や、政府からの「言論と表現の自由」を脅かす権力の横暴に屈しないことが「公衆の期待と要望にそう」ことではないだろうか。

 NHKを、安倍軍国主義政権の広報メディアにしてはならない。
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by kogotokoubei | 2014-02-06 00:41 | 責任者出て来い! | Comments(2)
スノーデンが、久し振りにメディアにメッセージを発信し始めた。まず、ワシントン・ポストに語った内容。
「朝日新聞」サイトの該当記事

「任務は完遂、私は勝った」 スノーデン氏、米紙に語る
2013年12月25日11時43分

【ワシントン=奥寺淳】任務は完遂した。私は勝った——。米政府の情報収集活動を暴露した米中央情報局(CIA)のスノーデン元職員が、米ワシントン・ポスト紙のインタビューに応じ、こう語った。誰かが秘密を暴露しなければならなかったとも述べ、自らの正当性を主張した。

 同紙(電子版)が23日夜に報じた。スノーデン元職員は現在、一時的な亡命でロシアに身を寄せている。同紙との約束の時間に1人で現れ、インタビューは計14時間に及んだ。食事をとりながら、リラックスした雰囲気で進んだという。

 スノーデン氏は個人的な満足と断りつつ、「私が試みてきたすべてが正しいと証明された」。CIAの職員として働いていた当時、大量の危険な監視活動がチェックされず、機密の名の下に公の場で議論することが妨げられてきたと指摘。「誰かがジャーナリストと秘密に接触し、十分な証拠を提供しなければならなかった」と振り返った。


 14時間のインタビュー内容は、もっといろんなメッセージを含んでいると思うが、英テレビのインタビューに応じた内容が、現地25日に放送されるらしい。
「時事ドットコム」サイトの該当記事

オーウェルの「監視社会」警告=スノーデン容疑者初のTV登場−英

 米国家安全保障局(NSA)の電話・インターネット情報監視の実態を暴露した中央情報局(CIA)のスノーデン元職員が英テレビ・チャンネル4のインタビューに応じた。同テレビは25日に「もう一つのクリスマス・メッセージ」として放映する。
 スノーデン元職員がテレビ・インタビューに応じたのはロシア亡命後初めて。事前に公表された抜粋によれば、元職員は英作家ジョージ・オーウェルが近未来小説「一九八四年」で描いたような監視社会の到来を警告。「現代社会に生まれた子どもたちはプライバシーという言葉が何を意味するか分からないようになる」と指摘した。
 その上で、情報監視について「われわれは国家に大量監視をやめさせ、国民の考えを知りたければ、スパイ行為ではなく、単に国民に尋ねればいいということを政府に分からせる必要がある」と述べた。(2013/12/25-12:38)


 スノーデンの「現代社会に生まれた子どもたちはプライバシーという言葉が何を意味するか分からないようになる」という指摘は、決して大げさではない。

 そして、それはアメリカだけのことではなくなっている。

 スノーデンはジョージ・オーウェルの『1984』を引き合いにしたようだが、私もこの件について6月に取り上げた時に、次のように書いた。
2013年6月18日のブログ

 「倫理」「モラル」「民主主義」といったキーワードによる壁をネットにおいても築かなければ、ジョージ・オーウェルが『1984』に描いた全体主義化、監視社会化を助長することは間違いないだろう。ビッグ・ブラザーのような政府は必要ない。
 為政者がネットでの監視や検閲を強化することで、過去の歴史さえ塗り替えることもあり得る。まさに安倍右傾化政府が進めようとしている“国家の司令塔機能強化”は、そういった全体主義化、監視社会化の匂いがプンプンする。
 「フェィスブックと同じで、別にいいじゃん」とか、「しょうがないじゃん」と言う若者が増えることを、実は政府は望んでいるのだろう。

 安倍軍国化政権は、まさに政府が“ビッグ・ブラザー”になることを目指している。

 特定機密保護法案、日本版NSA、PKOでの武器輸出正当化、など、なぜ今の段階で“国家”“国家”と叫ばなければならないのか。

 先日書いたように、夏目漱石が『私の個人主義』で指摘する愚行を、安倍政権はどんどん犯し続けている。
2013年12月16日のブログ

青空文庫 夏目漱石『私の個人主義』

 いったい国家というものが危くなれば誰だって国家の安否を考えないものは一人もない。国が強く戦争の憂いが少なく、そうして他から犯される憂がなければないほど、国家的観念は少なくなってしかるべき訳で、その空虚を充たすために個人主義が這入ってくるのは理の当然と申すよりほかに仕方がないのです。今の日本はそれほど安泰でもないでしょう。貧乏である上に、国が小さい。したがっていつどんな事が起ってくるかも知れない。そういう意味から見て吾々は国家の事を考えていなければならんのです。けれどもその日本が今が今潰れるとか滅亡の憂目にあうとかいう国柄でない以上は、そう国家国家と騒ぎ廻る必要はないはずです。火事の起らない先に火事装束をつけて窮屈な思いをしながら、町内中駈け歩くのと一般であります。必竟ずるにこういう事は実際程度問題で、いよいよ戦争が起った時とか、危急存亡の場合とかになれば、考えられる頭の人、——考えなくてはいられない人格の修養の積んだ人は、自然そちらへ向いて行く訳で、個人の自由を束縛し個人の活動を切りつめても、国家のために尽すようになるのは天然自然と云っていいくらいなものです。だからこの二つの主義はいつでも矛盾して、いつでも撲殺し合うなどというような厄介なものでは万々ないと私は信じているのです。この点についても、もっと詳しく申し上げたいのですけれども時間がないからこのくらいにして切り上げておきます。ただもう一つご注意までに申し上げておきたいのは、国家的道徳というものは個人的道徳に比べると、ずっと段の低いもののように見える事です。元来国と国とは辞令はいくらやかましくっても、徳義心はそんなにありゃしません。詐欺をやる、ごまかしをやる、ペテンにかける、めちゃくちゃなものであります。だから国家を標準とする以上、国家を一団と見る以上、よほど低級な道徳に甘んじて平気でいなければならないのに、個人主義の基礎から考えると、それが大変高くなって来るのですから考えなければなりません。だから国家の平穏な時には、徳義心の高い個人主義にやはり重きをおく方が、私にはどうしても当然のように思われます。その辺は時間がないから今日はそれより以上申上げる訳に参りません。


 ジョージ・オーウェルが危惧した世界は、予想から三十年後に訪れるかもしれない危険性が出てきた。

 しかし、オーウェルのSFの世界は、文字通りフィクションであり続けさせなければならないし、プライバシーという言葉を死語にさせてはならないだろう。

 安倍政権は、彼等の内部をトコトン防御し、国民の生活をガラス張りにしようとしている。住みよい社会とは、まったくその逆のはずだ。
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by kogotokoubei | 2013-12-25 19:46 | 責任者出て来い! | Comments(0)
「日刊ゲンダイ」サイトの該当記事

ふざけるな! 安倍政権 「復興予算」を「原発輸出」に流用
2013年12月21日 掲載

 「ゼロとはいかない」。安倍首相が20日のTBS番組で、小泉元首相が訴える「原発即ゼロ」に改めて反論した。
 安倍は「安くて安定的な電力を供給しなければ……」とシタリ顔で話していたが、もはや原発の発電コストが他のエネルギーと比べて「安い」と騙(だま)されている国民は皆無に近いだろう。福島原発を見ても、一度事故が起きれば廃炉や除染、住民避難……で莫大なカネがかかる。

 原発再稼働に突き進む安倍政権は24日に決定する来年度予算案で、総額3兆円の「復興特別会計」を計上する見通し。復興予算といえば、被災地復興と全く関係のない事業にカネがバンバン使われていたことが判明している。なんと、「原発輸出」にまで流用していたことが分かった。

「ベトナムと原子力協定を締結した日本側は09~11年度にかけて、ベトナム現地の調査費用として約25億円を日本原電に支出しています。驚くことに、この中で5億円が復興予算から支出されていたのです。ベトナムに原発をつくることがなぜ、被災地の復興になるのか全く分からないし、よりによって原発輸出のために使うなんて、被災者をバカにしているとしか思えません。国側は『原発の輸出で被災地の原発機器メーカーが潤う』と説明していたが、あまりにデタラメ過ぎますよ」(経済ジャーナリスト)

 政府が年内にもまとめる中長期的なエネルギー政策では、原発が「重要なベース電源」に位置づけられるという。大半の国民が原発に反対しているにもかかわらず、押し切るつもりだ。復興予算がまた原発関連事業に流用されるのも時間の問題だ。



 ベトナムに原発を輸出するための現地調査費用に復興予算が使われたのは、民主党政権時代だったかもしれない。しかし、原発を推進してきたのが自民党だったのは明白である。民主党政権時代でも、原子力ムラは継続して原発の維持を画策してきた。
 そして、安倍政権は、数の暴力で、やや窮屈になりを潜めていた原子力ムラを生き返らそうとしている。

 復興予算が「核融合炉」研究に使われていたことについては、昨年書いた。
2012年10月19日のブログ

 今年も、「節電メーター」への補助金など、被災地支援とはまったく無関係な用途に復興予算が流用されていることを紹介した。
2013年9月15日のブログ

 霞が関に数多くの原子力ムラ構成員や支持者がいるからこその、こういった復興予算のデタラメな運用があるのだろう。

 安倍政権が数の暴力をふるって、ますます原子力ムラの悪事が行なわれようとしている。納税者として、そんなデタラメな政権には早々に退陣してもらいたい。
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by kogotokoubei | 2013-12-23 18:46 | 責任者出て来い! | Comments(2)
猪瀬の最後は何とも情けなかったが、問題はこれからである。猪瀬は都知事を辞めるという代償を払うから逮捕はしないで、というつもりかもしれないが、贈収賄疑惑はもちろん残っている。しかし、あくまで猪瀬はトカゲのしっぽでしかない。

 猪瀬と徳洲会との関係は、前任石原慎太郎からの「引き継ぎ事項」だった。石原が猪瀬に引導を渡したのは、あくまで自分の保身のためである。


 今回は引用記事が多くなるが、ご容赦のほどを。
 
 まず、大新聞が表立って書かない石原慎太郎と徳田虎雄との親密な関係について、「日刊ゲンダイ」から、写真を含む全文を引用したい。
「日刊ゲンダイ」サイトの該当記事

急浮上! 石原前知事と徳田虎雄氏の“親密すぎる関係”
2013年11月25日 掲載

選挙前の「あいさつ」も引き継ぎ事項か

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2人はみんな認める古くからの「盟友」/(C)日刊ゲンダイ

 猪瀬都知事以上に徳洲会とズブズブだったのは前任者、日本維新の会の石原慎太郎共同代表(81)だ。

 石原と徳洲会の徳田虎雄前理事長は、自他ともに認める「盟友」。99年3月、石原が都知事選に出馬表明する前夜に都内のホテルで会っていた相手も虎雄だ。

“密談”をスクープした「FRIDAY」の取材に、虎雄は「出馬会見の前に話がしたいというから、急きょ、奄美大島から飛んできた」と話していた。

 虎雄は石原新党構想を盛んに訴えていたこともある。次男の毅衆院議員が03年に盛大な結婚式を挙げた時も石原は主賓として招かれた。

「石原都政1期目の99年に、都内で初の徳洲会グループの病院を武蔵村山市に招致することが決まりました。しかし、02年に誘致反対の市長が当選して、計画は頓挫。徳洲会が建設予定地を昭島市に変更して申請すると、都は地元医師会の反対を押し切って、早々に開設を許可しました」(都議会関係者)

その石原から、猪瀬は後援会組織や献金団体、人脈など、丸ごと引き継いでいた。都選管の資料によると、12年に猪瀬の資金管理団体に寄付した16団体のうち、都医師政治連盟など10団体が、その前年に石原の資金管理団体に献金していた。10団体の寄付総額は1723万円で、全体の95%に当たる。

「石原さんは1人2万円の会費で知事を囲む昼食会の集金システムも継承させています」(前出の都議会関係者)

 猪瀬は昨年11月の都知事選立候補挨拶が、虎雄との「初対面」だったと説明している。

「石原氏も都知事選の前には虎雄氏に会っていました。3期目の都知事選を目前に控えた07年春にも、神奈川県葉山町の医療施設で闘病中だった虎雄氏を見舞っています。正確な病状を知らなかった石原氏は、難病で不随状態になった虎雄氏の姿を見て、泣き崩れてしまったそうです。それほど、2人の関係は深かった。問題になっている猪瀬知事の5000万円も、石原氏の後継者だからということで、虎雄氏が用立てたのでしょう」(「トラオ~徳田虎雄 不随の病院王」の著者でジャーナリストの青木理氏)

 石原人脈によって窮地に立たされた猪瀬は「とんだトバッチリ」と思っているかもしれないが、有権者はどう感じるか……。


 「とんだトバッチリ」だと思うから、猪瀬はあれだけ知事の椅子に居座ろうとしたのであろうし、まるで他人事のような対応をしたとも言える。
 「アマチュア」だった、などと言う表現は、彼が物書きとしての視点で都知事を務めようとしたのでなく、権力を欲し、本気で政治家になりたかったのだがプロの政治家にはなりきれなかった、という思いから出た言葉だろう。

 石原を徳田に引き合わせたのは亀井静香と言われているが、亀井に関しては徳洲会金脈の一部が暴露されてきた。
 「朝日新聞」サイトの該当記事

亀井氏、徳洲会側から2千万円 08年、収支報告せず
2013年12月17日05時00分

 元国民新党代表の亀井静香衆院議員(77)=無所属=が2008年、医療法人「徳洲会」グループからパーティー券購入代金2千万円を受け取りながら、政治資金収支報告書に記載していないことがわかった。亀井氏側は昨年後半に2千万円を返し、「収支報告書を訂正する必要はない」としている。一方、総務省は「収入があった時点で記載義務が生じる」としており、政治資金規正法に違反する可能性がある。

 徳洲会関係者らによると当時、グループの「金庫番」と呼ばれ、事務総長だった能宗(のうそう)克行容疑者(57)=警視庁などが業務上横領容疑で逮捕=が08年前半、亀井氏の政治団体が07年までに開いた4~5回分のパーティーの券の購入代金2千万円を、現金で亀井氏側に手渡したという。

 現金は、能宗容疑者が社長だった徳洲会の関連会社「インターナショナル・ホスピタル・サービス」(IHS、大阪市北区)が捻出した。昨年、徳洲会内の内紛に伴い、IHSの資金の使途について能宗容疑者を追及する動きが表面化。能宗容疑者は亀井氏側に領収証を求め、亀井氏側が同年中に返却した2千万円が、IHSに戻されたという。


 この記事で登場する能宗克行という人物が、一連の徳洲会の事件の鍵を握っている。

 能宗容疑者の逮捕についての記事を紹介。
「47NEWS」サイトの該当記事

徳洲会の元幹部を横領容疑で逮捕 告訴受け警視庁

 医療法人「徳洲会」グループの関連会社から数千万円を着服したとして、警視庁捜査2課は3日、業務上横領の疑いでグループの元事務総長能宗克行容疑者(57)を逮捕した。

 能宗容疑者は徳田虎雄前理事長(75)の元側近で、グループ法人の専務理事などを務めたが、徳田氏の親族らから資金を着服するなどしたと迫られて2月に解任された。

 グループと離反後は、一連の選挙違反事件の情報を捜査当局に提供したとされる。徳洲会側から業務上横領などの疑いで警視庁に告訴されていた。
2013/12/03 11:43 【共同通信】



 あくまで「告訴」による逮捕、である。

 徳洲会ファミリーと能宗克行容疑者との関係について、少し古くなるが「現代ビジネス」の今年2月の記事から引用する。
「現代ビジネス」サイトの該当記事

2013年02月14日(木) 伊藤 博敏
「徳洲会=旧自由連合」スキャンダルの背後にある
「徳田ファミリー vs "すべてを知る男"」の血みどろの戦い


 何度も浮かんでは消えた「石原新党」は、今回の衆院選で石原慎太郎前都知事が橋下徹大阪市長と組むことでようやく結実したが、10年前にも一度、現実化しそうになったことがある。

 2003年5月31日、都内のホテルで盛大な結婚式が開かれた。新郎は徳田虎雄自由連合代表の次男毅氏で、媒酌人は亀井静香自民党元政調会長。石原氏は野中広務自民党元幹事長とともに主賓として出席。全員、当時の小泉純一郎首相に公然と反旗を翻しているメンバーで、「石原新党結成の布石」と、取り沙汰された。

 この時もそうだが、徳田虎雄氏に常につきまとうのは「政治とカネ」の問題。旬を過ぎた有名タレントを中心に大量出馬させ、大量に落選させられる資金力は、日本最大の医療法人徳洲会の理事長だからで、「右のポケット(徳洲会)のカネを左のポケット(自由連合)に移している」と、批判された。

□徳洲会と自由連合の「すべてを知る男」

 私は、この結婚式から書き起こした自由連合のカネにまつわる話を、講談社発行の『月刊現代』(03年8月号)に、「石原慎太郎の盟友・徳田虎雄『疑惑の錬金術』」と題して記事にした。書いたのは、「右から左への移し替え」のカラクリである。大量購入で医療機器を極端に安く仕入れ、間に赤字法人を挟み込む形で節税、浮いたカネを自由連合にバックさせていた。

 その構図は、赤字法人の"内輪揉め"が法廷闘争となり、その過程で明らかになったものなので、疑いようがなかった。裁判所も裏ガネであることは認定、その後、この取引に関わった徳洲会系医療機器リース会社などが、「所得を隠した」と東京国税局が指摘、追徴課税したことでも明らかだった。

 この取材の過程で浮上したのが、能宗克行氏だった。問題となった徳田氏のファミリー企業の代表取締役で、徳洲会の秘書室長、自由連合の会計責任者。徳田虎雄氏のスケジュール管理を含め、「すべてを知る男」だった。

 曲折の末、能宗氏は取材に応じ、「裏ガネ6億円をキャスター付きの旅行鞄に詰めて、新幹線で運んだ」という法廷証言にあった話は否定したものの、「ファミリー企業から自由連合への56億円の貸付金」などは認めた。認めるべきは認める姿勢に好感を持った。なにより「能吏の金庫番」として、破天荒な医者であり政治家でもある虎雄氏が、能宗氏を重用する理由もわかった。

 それから10年、その能宗氏は今、虎雄理事長と徳田ファミリーに反旗を翻している。

□徳田ファミリーの「聴聞通知書」と能宗氏の「回答書」

 能宗氏は、本来、徳洲会と旧自由連合(11年に解散)と徳田家の秘密を、「墓場まで持って行かねばならない秘書」であり、本人にもその気はあったはずだ。

 しかし、徳田氏が10年前に筋萎縮性側索硬化症を患い、目で文字盤を追って自分の意思をかろうじて伝えられるものの、統率力は低下した。その不足を能宗氏が補ううち、「能宗が徳洲会を私物化している」と疑った秀子夫人と2男5女の徳田ファミリーとの間に、抜き差しならない対立が生じた。

 ファミリーは、弁護士や公認会計士などを使い、徳洲会のカネ、政治団体のカネ、ファミリー企業のカネの動きを徹底的に洗い、「私物化の証拠」を掴んだという。だが、その動きがあった最初の頃は、「波風を立てるな」という虎雄氏の言葉で、収まっていた。虎雄氏は、能宗氏が反撃に転じた時の怖さはわかっていた。

 だが、ファミリーは執拗だった。「不正の数々が判明。許し難い」として虎雄氏の許可を得たうえで、昨年9月末、能宗氏の事務総長職を解いた。追い打ちをかけるように、懲罰委員会を置き、今年1月21日、12項目の「聴聞通知書」を能宗氏のもとに送った。それに対して能宗氏は、同月29日、「回答書」を作成、懲罰委員会に提出している。

 そして、当時、「政治とカネ」だけでなく、ファミリーのスキャンダルにも対応したのが能宗氏である。「回答書」には、相手から民事訴訟を起こされたものの、07年5月に1,000万円で示談が成立、そのうちの800万円は徳洲会で用意、「徳田毅代議士の人間性に問題あり」と、書かれていた。

□肉を切らせて骨を断つ血みどろの戦いに

 徳洲会スキャンダルは、これで終わらない。83ページの「回答書」で能宗氏は、自分にかけられた嫌疑を晴らしつつ、返す刀で毅氏の醜聞を書き立てたように、虎雄氏を含むファミリーに挑戦状を叩きつけている。肉を切らせて骨を断つ作戦だが、予想以上の深手となる可能性もある。

 能宗氏は、元代議士を使った病院払い下げ工作では、政治家への根回しを赤裸々に語り、虎雄氏が特別な配慮を求めた亀井静香代議士に関しては、亀井事務所に求められれば、徳洲会工事の「推薦状」を書くことが一般化。臓器移植に絡んで関係を指摘された暴力団組長との"共謀"は否定したものの、関係そのものは認め、そのほかにも虎雄氏が持っていた暴力団や右翼との関係を引き継ぎ、捌いてきたと主張した。

 また、ファミリー企業を利用した裏ガネ作りや葬祭業者からの個人的な借金についてもふれ、「政治活動に必要なものだった」と説明、選挙対策の"実態"を語った。そこは確かに、能宗氏でなければわからない表と裏のカネが錯綜する世界だろう。

 だが、潔白を証明する文書は、捜査当局、国税当局、マスコミなどが見逃せない不正を感じさせるものも含まれており、今後、「能宗攻撃」につながる可能性は否定できない。

 もちろんそれは「能宗は俺に刃向っている」と、意思表示した虎雄氏と徳田ファミリーにもいえる。政党助成金を受けながら77億円もの負債をそのままにしている自由連合の責任者は代表だった虎雄氏であり、各種の優遇措置を受けてきた医療法人を、政治活動のために私物化したのも虎雄氏だった。

「側近の罪」を叩くなら、まず先に虎雄氏自身が過去を清算、徳田ファミリー支配の見直しも必要だろう。

 地獄の釜の蓋は開いた。双方が、血みどろの戦いになる可能性は高い。



 “すべてを知る男”が逮捕されたが、逮捕に関する記事に、“グループと離反後は、一連の選挙違反事件の情報を捜査当局に提供したとされる”とあるように、すでに“能宗メモ”は検察の手に渡っているようだ。

 猪瀬辞任などは、あくまで序章にすぎない。本人が言うように彼は“アマチュア”なのだ。すぐバレる嘘をついて逃げ道をなくした。しかし、その背後には周到にバレないように手を尽くして私服を肥やしているワルがいる。

 検察は、徳洲会をめぐる政治家との黒い金脈を探って、“プロのワル”の巧妙な罠を見破って彼らを追い込むところまで行かなければならないと思う。それが、ここ数年下がってきた検察の権威を回復するためでもあるだろう。国民を欺く為政者の罪を追及してこそ、検察の存在意義があるのではなかろうか。
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by kogotokoubei | 2013-12-20 19:56 | 責任者出て来い! | Comments(2)
安倍政権は、中学の英語の授業を英語で行うなど、義務教育における英語教育の“改革”という名の“改悪”を進めようとしている。
朝日新聞サイトの該当記事

中学の英語授業、英語で 18年度から、教員能力も検証
2013年12月13日14時30分

 文部科学省は13日、中学の英語の授業は原則、英語で行うことなどを盛り込んだ「英語教育改革実施計画」を発表した。より実践的な英語指導への転換がねらい。学習指導要領の改訂などを経て、2018年度から段階的実施を目指す。

 高校の英語の授業は現在英語での指導が原則だが、計画では中学でも原則英語による指導とし、達成目標を現在の「英検3級程度」から「準2級程度」に引き上げる。高校では英語による発表や討論などを重視し、「準1級程度」を目指す。小学5年生から週1コマ教えられている「外国語活動」を小3からに早め、小5からは正式教科として週3コマ程度に増やすことなどを盛り込んだ。

 指導者確保のために、指導に優れた教員をリーダーとして加配▽英語力にたけた外部人材が小学校で指導できる特別免許を創設▽英検などで英語教員の能力を定期的に検証——などの対策を検討するという。

 政府の教育再生実行会議が5月に「英語教育の早期化」を提言し、文科省内で具体策を検討していた。

 下村博文文科相は同日の記者会見で「グローバル社会で活躍できる人材育成(のための英語教育)へ変わる必要がある」としたうえで、他教科も含む授業時数全体を「増やさないといけない」とも述べた。有識者会議や中央教育審議会で、制度の詳細を検討する。



 記事中にある「英語教育改革実施計画」(頭に「グローバル化に対応した」という言葉がつく)のPDFは、文科省サイトからダウンロードできる。
文部科学省サイトの該当ページ

 これがその1ページ目。文字が小さくて見えにくいが、ご容赦のほどを。

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 オリジナルデータはPower Pointだと思うが、相手に分かりやすい資料という観点から言うと、1ページにこれだけ文字を突っ込んではいけない。こんな資料でプレゼンテーションすることは、民間企業なら上司が許さない。
 
 文科省の人間がまとめたのだろうが、英語より前に、彼らの日本語によるコミュニケーション技術を“改革”すべきだろう。

 冒頭の部分には次のように書かれている。

 初等中等教育段階からグローバル化に対応した教育環境づくりを進めるため、小学校における英語教育の拡充強化、中・高等学校における英語教育の高度化など、小・中・高等学校を通じた英語教育全体の抜本的充実を図る。
2020年(平成32年)の東京オリンピック・パラリンピックを見据え、新たな英語教育が本格展開できるように、本計画に基づき体制整備等を含め2014年度から逐次改革を推進する。



 “グローバル化”に対応するための英語教育の強化を、なぜ“2020年(平成32年)の東京オリンピック・パラリンピックを見据え”て行う必要があるのだろうか。

 七年後に、ボランティアで英語のガイドができる国民を増やしたいということもあるようだが、オリンピックには、いろんな国の人が来日するのである。フランス語やドイツ語、中国語やハングルではなく、なぜ「英語」のみなのか・・・・・・。
 たしかに英語によって海外の方とのコミュニケーション機会は増えるだろう。しかし、問題は英語という道具で「何を」語るかである。

 この計画書の最終7ページには、こんなことが書かれている。

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 「日本人としてアイデンティティに関する教育の充実」だって!?

 落語愛好家としては興味深いことが、「伝統文化・歴史教育」という項目だが、このようになっている。

②伝統文化・歴史教育
○伝統文化に関する学習内容を充実:
そろばん、和装、和楽器、美術文化等の充実、武道の必修化
【H26年度概算要求】我が国の伝統や文化に関する取組を活用した
指導方法に関する調査研究

○歴史学習の充実:
・小学校−我が国の文化遺産の学習を新設
・中学校−授業時数増、130時間(25時間増)
・中・高等学校−近現代史の重視



 残念ながら「落語」という文字がないなぁ^^

 ぜひH26年度予算で、歌舞伎や寄席という伝統芸能を対象にした指導方法の調査研究をお願いしたいものだ。

 このページの一番下の枠にはこんなことが書いてある。

◎日本人のアイデンティティの育成に関する検討の実施
○趣旨:グローバル化が進む中、国際社会に生きる日本人としての自覚を育むため、日本人としてのアイデンティティを育成するための教育の在り方について検討し、その成果を次期学習指導要領改訂に反映させる。
○検討項目(イメージ):我が国の歴史、伝統文化、国語に関する学習の一層の充実のための方策



 “アイデンティティ”を育成、とあるが、いったいどんな“アイデンティティ”なのだろうか・・・・・・。

 日本人はどこから来たのか、を学ぶ教育をしっかりやるなら、アメリカよりアジアの隣人のことに思いが向かうだろうが、そんな授業をやるはずもないだろう。

“identity”という英語には、「同一性」「正体」「独自性」などの意味が含まれるが、ここで政府や官僚が言う“アイデンティティ”には、現在の日本と日本人を無批判に肯定しようとする甘えや、国粋的な匂いがプンプンする。傲岸不遜とも言える独りよがりの“アイデンティティ”の押し売りをしようとしているような気がするのだ。

 “グローバル”な人材の基本要件は、お互いの“違い”を認めることである。しかし、かつての“ゆとり教育”への過度な反省などから、いわゆる“個性”を肯定的に捉える教育論議が少なくなった。

 “日本人のアイデンティティ”を明治の偉人に求めるのなら、道徳教育において、四書五経を教材にする発想があってしかるべきだが、そうはならないのだろう。

 もし、東京オリンピック・パラリンピックをターゲットに政府が“グローバル”な視点で行うべきことは、義務教育における英語の授業を増やすことよりも、他の国の方がオリンピックに来ても片言でも日本人と会話ができるように「日本語教育」の強化を支援したり、「日本文化・伝統」について発信する機会を増やすことではないだろうか。桂かい枝、三遊亭竜楽、三遊亭兼好などの海外での落語会を国が支援することで、どれだけ日本の伝統文化が伝わるかと思うが、そんなことに税金は使わないのだろうなぁ。

 この問題については「教育再生実行会議」のことを含め、以前に書いた。2013年4月23日のブログ

 政府や官僚の語る“グローバル”とは、ほぼ“グローバル資本主義”のことであり、その“グローバル資本主義”と学校教育とは“食い合わせが悪い”と内田樹が書いていることも紹介した。

 4月のブログから再度引用したいことがある。

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宇沢弘文著『社会的共通資本』(岩波新書)
 宇沢弘文著『社会的共通資本』(岩波新書、2000年初版)の「第4章 学校教育を考える」から。
 

教育とは何か 
 教育とは、一人一人の子どもがもっている多様な先天的、後天的資質をできるだけ生かし、その能力をできるだけ伸ばし、発展させ、実り多い、幸福な人生をおくることができる一人の人間として成長することをたすけるものである。そのとき、ある特定の国家的、宗教的、人種的、階級的、ないしは経済的イデオロギーにもとづいて子どもを教育するようなことがあってはならない。教育の目的はあくまでも、一人一人の子どもが立派な一人の社会的人間として成長して、個人的に幸福な、そして実り多い人生をおくることができるように成長することをたすけるものだからである。


 今、政府がやろうとしていることは、著者が「あってはならない」と指摘する中の、“国家的”“経済的”イデオロギーにもとづいて教育しようとする試みと言ってよいだろう。

 同じ章の「大学の自由」の部分からも少し引用する。

 今、世界の大学人が共通してもっている問題意識は、政府からの圧力に対して、大学の自由(Academic Freedom)をいかに守るかということである。これは、国立大学はもちろんのこと、私立大学も、国からの財政的援助に対する依存度がきわめて大きくなってきたことに起因する。
 もともと、大学は、重要な社会的共通資本として、一国の文化的水準の高さをあらわす象徴的な意味をもち、その国の将来の方向を大きく規定するものである。このとき、国(Nation)の統治的な機構としての政府(State)からの力に対して、大学の自由をどのようにして守るかということが重要な課題となる。


 政府は、許認可の権利や補助金という札びらを目の前にヒラヒラさせて、大学の自由をも踏みにじろうとしている。

 英語の授業も、そしてアイデンティティを育成するための授業も増えることで、義務教育はいったいどうなってしまうのだろう。本当は、もっと学ぶべき内容の機会をどんどん迫害していくのではなかろうか。

 例えば、3.11を経験した日本には、私は小学校から「放射能教育」が必要だと思う。現在では静岡の一部の地域しか行われていないが、非常に重要な教育だと思う。何が危険で、どこまでなら安全なのかを知ることで、風評被害も減少するだろう。オリンピックで来日した海外の旅行者にも、そういった知識を踏まえて会話することが重要ではないか。3.11を経ても、やみくもに「安全」を語ることのほうが、日本人のアイデンティティについて疑問を投げかけることにはならないか。

 2020年には、フクシマがどんな状況なのか、東京への影響はどうなのか、といった旅行者からの質問に対し、データを元に的確に説明できる日本人こそ必要なのではないか。

 あっ、しかしそういった事実に基づくと、オリンピック自体が開催できないかもしれないなぁ。

 いまだに放射能汚染水を垂れ流していることに抜本的な対策が打たれていない。そういった国の“アイデンティティ”って、いったい何なのだろうか。
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by kogotokoubei | 2013-12-13 19:50 | 責任者出て来い! | Comments(4)

落語のことを中心に、ときたま小言や独り言。


by 小言幸兵衛