噺の話

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2017年 05月 18日 ( 1 )

 16日の夜10時から、NHKのEテレで放送された「先人たちの底力 知恵泉」を見た。
 あの遠山の金さんは、実は大変な上司のために苦労した、というお話。
 NHKのサイトから引用。
NHKサイトの該当ページ

先人たちの底力 知恵泉「遠山金四郎 一件落着!苦手な上司対処法」

「この桜吹雪をよ~く見ろぃ!」実は遠山の金さんは上司に悩んでいた?「ワンマン」「ムチャぶり」「職場いじめ」…現代もいる迷惑上司に向きあう、一件落着!の知恵とは?

「お前の所業は、この桜吹雪がすべてお見通しだ!」と、嫌な上司に言えたらいいのに…。実は「遠山の金さん」こと遠山金四郎(景元)は、苦手な上司との関係に悩んでいた。上司は「天保の改革」で有名な老中・水野忠邦。江戸が衰退しかねない強引な改革を進める水野は、「ワンマン」「ムチャぶり」「職場いじめ」と3拍子そろった迷惑上司。庶民の笑顔を守るため金さんが駆使した、人づきあい全般にも使える、みごとな知恵とは?

 番組で「天保の改革」で、水野が寄席全廃を主張したが、遠山が意見書を出して、なんとか十五軒の寄席を残すことができたと紹介されていたが、たしかに、幅広い芸能に関して、あの改革は「改悪」でしかなかった。

 天保の改革においては、水野の方針のために八丁堀の同心たちも、大いに苦労した。

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林美一著『江戸の二十四時間』(河出文庫)

 時代考証家の林美一さんの著書『江戸の二十四時間』には、江戸時代の庶民や旗本、殿様や同心などのある一日の模様を描いていて、実に興味深い。

 本書の「定町廻同心の二十四時間」は、天保十二年(1842)に絵草紙、人情本、好色本等の取締りのために右往左往する定町廻同心、飯尾藤十郎の一日を描いたものだが、その行動の後の実際の裁きの経緯について書かれた部分をご紹介しよう。

 押収品をもとに、改めて版元の洗い直しがなされ、作者や絵師の身元の割出しが急がれたが、人情本はともかく、春画本の作者や絵師は、署名を欠いたり、わざと隠号を使ったりしているので、なかなか摑めず、嬌訓亭腎水・大鼻山人・女好菴主人・好色山人・淫斎白水・百垣千研・桃草山人・好色外史・悪疾兵衛景筆・猿猴坊月成(以上作者)、婦喜用又平・一秒開程芳・艶川好信・淫乱斎(以上絵師)などと多数の人名が挙がったが、結局、作者としては人情本の元祖と自称する「春色梅児誉美」の作者・狂訓亭為永春水が、嬌訓亭腎水なる似通った隠号から春本作者でもあったことが明らかとなり、かつ最も多作でもあるところから代表的人物として槍玉に挙げられ、浮世絵師では、これも婦喜用又平なる隠号で、最も多作、かつ代表的人気浮世絵師であった歌川国貞が、一月下旬に版元ら七人とともに北町奉行所から差紙を立てられて、奉行遠山左衛門尉じきじきの調べを受けることになった。

 遠山の金さんじきじきのお調べとは、大事だ。
 
 ところが、春水は出頭したが、国貞は事前に察したのだろう、門人を連れて伊勢参りに出かけて裁きの日になっても帰って来なかった。
 その代わりに召喚されて被害に遭ったのが、同じ豊国門下の弟弟子で一秒開程芳の名を高めていた国芳だった。
 彼は、二日間牢に入った後、春水と同様に吟味中に手鎖の刑になってしまい、両手が使えないから絵を描けず飯の食い上げ。

 特に国芳は、人一倍向う意気の強い男だが、二日間の入牢はさすがにこたえた。彼は憤懣の余り、判決後、水野の改革を諷刺した錦絵「源頼光公館土蜘作妖怪図」を発表し、江戸っ子たちの喝采を浴びるのだが・・・・・・。

 その後、伊勢に逃げた国貞が捕えられることはなかった。
 
 金さんが水野に進言して春画、枕絵の作者や絵師を裁かないよう仕向けることができず、自らお白洲で春水や国芳を罰したのだから、逃げた国貞も江戸に戻った後で裁くべきだったと思うなぁ。金さん、ちょっと片手落ちでしょう。

 その逃げた国貞について、林一美さんは、こんな譬えをしている。
 何だかロッキード事件で、すぐアメリカへ飛んでしまった容疑者たちと似たような話
 この本の単行本での初版は平成元年(1989年)。

 ロッキード疑惑が明らかになったのは昭和51(1976)年だ。

 十年以上を経ても作者林さんが譬えにしただけの大事件だったということだろう。

 私は学生時代で、結構テレビに釘付けになったものだ。

 結果としては総理の犯罪として田中角栄の退陣につながるのだが、あの事件を巡っては、周囲で不審な関係者の死が続いた。
 まず、ロッキード事件を追っていた日本経済新聞の高松康雄記者が昭和51(1976)年2月14日、児玉誉士夫の元通訳の福田太郎が同年6月9日、さらに田中元首相の運転手である笠原正則が同年8月2日と立て続けに急死している。

 証拠隠滅のため、何者かの手によって抹殺されたのではないかとの疑念を呼んだ。

 この度の加計学園疑惑のことに思いが至る。
 ようやく全国紙やテレビも思い腰を上げたように思う。
 森友とは比較にならない「総理の犯罪」の匂いがプンプンするじゃないか。

 周囲で不自然なことが起こらないことを祈るばかりだ。


 水野忠邦という暴君とも言える上司に知恵と行動で対処した遠山の金さんのような奉行が、今まさに求められているなぁ。

 遠山の金さんや天保の改革のことから、つい、現実に戻ってしまった。

 「改革」という名で「改悪」をしようとする権力者は、いつの世にもいる、ということか。

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by kogotokoubei | 2017-05-18 12:47 | 江戸関連 | Comments(0)

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by 小言幸兵衛