噺の話

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2017年 04月 30日 ( 1 )


 28日の金曜日、午後から休みをとり、末広亭へ。
 夜の部の主任、白酒が目当てだったが、落語協会HPで確認すると、この日は代演で歌之介。
 師匠円歌逝去後五日目。
 昼の部には歌奴、歌司、夜の部には歌る多の名もある。
 ちょっとした円歌一門の追善寄席という感じで、それも良しと思い他にもいろいろな会がある中、予定を変えずに新宿三丁目に向かった。

 コンビニでお茶や助六を仕入れて入場した時は、仲入りの権太楼『町内の若い衆』が始まっていた。来るのが、ちょっと遅かった。
 会場は椅子席はほぼ満席。桟敷も七割位は埋まっていた。平日の昼、なのに。
 一番後ろでしばらく立ったまま、権太楼の高座を聴く。
 女房が湯に行くという旦那に向かって「そのまま風呂屋で弔いを出してもらいな!」が可笑しかった。客席から大きな笑いをとった高座が終わり、後ろから移動して好みの桟敷真ん中位に場所を確保。

 その後の高座について、短い感想を含め記録として記す。

<昼の部-仲入り後->

三遊亭歌奴『初天神』 (13分 *14:59~)
 クイツキは、この人。久しぶりに爽やかとでも言える高座に接した。
 天神さまに並ぶ屋台を目にした金坊の、「大人は偉い、汗水して働く大人は偉い、なんとか少しでも売上の協力したい」という科白が可笑しい。
 まだ歌彦の名が頭に残るが、早く新しい歌奴像をつくって欲しいし、もちろんそれが可能な力量を持っている人だ。

ホームラン 漫才 (10分)
 十八番の結婚式ネタを中心に、安心して聴いて、笑える漫才。
 今や、落語協会の漫才の中核と言って良いだろう。

蝶花楼馬楽『時そば』 (17分)
 ずいぶん久しぶりだ。ブログを始める前の末広亭以来だろうから、十年ぶり位かと思う。よく笑ってくれる客席から、蕎麦の食べ方で拍手。寄席に相応しい噺家さんを、一人思い出した、そんな結構な高座。

三遊亭歌司 漫談 (12分)
 冒頭、「八十六になりまして・・・ウェストが」で大爆笑。
 かつての寄席の違いによる客層として、末広亭には大学生が本を持ち込んでいて、ネタをかけると「xxページ」と本を読んでいた学生が仲間に教え、それを読んでいる学生が「間違わず、やっている」とか言ってやりにくく、池袋ではご通家がにこりともせず聴いていて、どこか間違えると、「ふっ」と笑う、と言うのは、その昔の落語風景としてありそうな話。
 漫談でも一つの芸にしていた師匠を思い出しながらの高座、そんな気がした。

鏡味仙三郎社中 太神楽 (13分)
 仙三郎と仙成の二人。傘の芸からバチの取り分けまでを、しっかり。
 仙成が上手くなった気がする。
 寄席の吉右衛門が健在で、何より。

柳亭小燕枝『笠碁』 (33分 *~16:39)
 昼の部の主任は、この人。
 ネタは師匠小さん直伝なのだろうが、筋書きやサゲを少し変えていた。
 「待った」をした方の旦那が雨の日に碁敵の美濃屋が来るのを待っている間の話相手が女房ではなく番頭。そして、その番頭が二人を指して「お互いに一目置いている」でサゲ。いぶし銀とも言える高座は良かったのだが、このサゲは疑問。本来のサゲでこそ“笠碁”だと思う。
 
 ここで昼の部はお開き。歌奴と歌司の円歌門下が光った。

<夜の部>

(開口一番)林家彦星『無学者』 (8分 *16:49~)
 初である。後で調べると、正雀の弟子。大師匠の晩年の彦六から一字もらった、ということか。
 なんとも評しにくい高座。味はあるが、もう少し大きな声でメリハリを、という前座の基本を期待したい。

桂三木男『お化け遊園地』 (12分)
 古今亭志ん八との交互出演で、残念ながら、この日はこの人。
 自分の新作なのかもしれないが、遊園地のメリーゴーランドに侍の幽霊が出るという設定の作品の内容も決して良いとは思えないし、演者としても褒められるものではない。不思議な髪型も含め、今秋に真打昇進し五代目三木助を襲名するのは、どちらも時期尚早と思う。

ニックス 漫才 (11分)
 姉がある元プロレスラーのイベントに行って声を嗄らして出ない。そうじゃなくても妹が圧倒的にしゃべるのだが・・・・・・。
 客に失礼だ。代演を依頼すべきである。

三遊亭彩大『幇間腹』 (12分)
 初である。円丈門下で前名が、ぬう生だった。出身大学にちなんで二年前の真打昇進でこの名にしたようだ。
 針で縫うクスグリで由利徹の真似をしたのは可笑しかった。
 なかなか楽しい高座ではあった。
 しかし、この人、今後は古典と新作のどちらを主軸にするのだろうか。
 親近感があり、基本は結構出来ていると思うので、古典を中途半端なクスグリでいじるだけの噺家にはなって欲しくない。

柳亭左龍『家見舞』 (15分)
 この人から、夜の部が、まさに寄席らしくなったし、締まった。
 兄貴分の新築祝いに瓶を買いに行った古道具屋の主人が、実に良い。
 その瓶がどこから掘り出した物かを解き明かしながら、「ふっふっふっふ・・・だから水瓶には、なりません」の間の良さ。そして、その表情や口ぶり、もちろんこの人の目が実に結構。

三遊亭歌る多『替り目』 (13分)
 この人に寄席で出会うとこの噺が多いが、悪くはない。
 途中で挟んだクスグリも良かった。居酒屋で「ひや」と言うと店の者が「冷酒ですね」と言う、「違う、ひやだ」と言うと「あっ、常温ですね」と言うのに小言を言っていたが、その通りだ。「何が常温だ、北朝鮮じゃねぇやい」とは、結構じゃないか^^
 本来は昼の部の予定が夜になったことが得した気分の好高座。

入船亭扇好『短命』 (14分)
 上手いんだが、何かが欲しい、というのがこの人の高座でいつも感じること。
 噺に遊びが必要、うまく言えないが、そんな気がする。

花島世津子 奇術 (12分)
 ヒモの奇術が、いつ見ても結構。
 大須の志ん朝の音源に、世津子さんの名が出てくる。この方の名を見ると、大須の音源を思い浮かべる。

柳家小袁治『うなぎや』 (15分)
 マクラで鰻屋での披露宴で司会を頼まれたが、その際の来賓で、酒を飲みながらぶつぶつ言っていたので聞いてみたら「鰻屋で披露宴なんかやるもんじゃねぇ・・・裂いて身を焦がす」と言っていた、というのはネタか事実か分からないが、なるほど、と思って聞いていた。

桂南喬『粗忽の釘』 (16分)
 仲入りは、大好きなこの人。
 お客さんの笑いの感度も高かったが、本来のネタの可笑しさで会場を沸かせる技量は本物である。
 なんと、父親を前の長屋に忘れて来て、自分も「我を忘れます」という本来のサゲだった。もしかすると、初めて生で聴くかもしれない。貴重な高座だった。

柳家小せん『黄金の大黒』 (15分)
 クイツキは、龍玉の代演でこの人。少し痩せたかな・・・・・・。
 相変わらず、良い声をしている。
 マクラでこのネタか『長屋の花見』かどっちかと思っていたが、こちら。
 久しぶりだったが、その古風(?)な風貌も含め寄席に似合うなぁ、とあらためて思いながら聴いていた。

ホンキートンク 漫才 (10分)
 客席のウケも良かったし、ネタの切れ味も抜群。今、最ものってる漫才コンビかもしれない。

古今亭菊之丞『元犬』 (14分)
 この噺になったので、この後の馬石の寄席の十八番とも言えるのがこの噺だから、「へぇ~、いじめ!?」と思ったが、そんなことはないわなぁ。
 昼の部のトリの小燕枝と同様、サゲを替えていた。
 途中で、女中の名、お元を出さなかったので、どうするのかと思ったが、男が上総屋に戻って来てからサゲになるのだが、どうも落ち着かない。
 高座は、もちろんこの人なのだ悪うはずがないのだが、本来のサゲでスッキリさせて欲しかったというのが、本音だ。

隅田川馬石『子ほめ』 (10分)
 この人の噺は、やはり“劇”の要素が背景にあると思わせる。
 普通の会話ではない、独特の間が個性なのだろう。
 トリの時間調整としての役割も果たす、好感のもてる高座だった。

翁家社中 太神楽 (10分)
 小助の土瓶の芸が安定してきた。
 染一、染之助の芸が懐かしいが、あの話芸もなんとか学んで欲しいなぁ。

三遊亭歌之介 (『B型人間』『母ちゃんのアンカ』) (34分 *~21:05)
 冒頭に「なんとか普通の姿になって」と言うようなことを言って、師匠円歌の思い出話が続く。
 途中から『B型人間』になったものの、『母ちゃんのアンカ』に変わり、小学生で父親と離婚して苦労した母親のことを語り出してから目が赤くなってきた。
 十八で入門してから父親代わりだった円歌のことが走馬灯のように脳裏に浮かんできたのだろう。
 九時までにはハネなくてはならないトリだったが、歌之介の熱い思いがつい時間を忘れさせたのだろう。
 こういった高座も、なかなか良いものだし、たまたま故郷薩摩の後輩白酒の代バネであったという巡り合わせ、そして、その客席にいた僥倖なのだと思う。
 今年のマイベスト十席とはならないが、記憶に残すためにを付けておきたい。


 終演後は、同じ空間を共有していた佐平次さん、そして、後で四ツ谷で小満んを喬太郎と扇辰が囲む会に行っていたI女史、日本橋で一之輔と萬橘の二人会だったM女史も合流し、久しぶりの居残り会。
 盛り上がらないはずもなく、案の定、帰宅は日付変更線超えだった。


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by kogotokoubei | 2017-04-30 22:24 | 落語会 | Comments(4)

落語のことを中心に、ときたま小言や独り言。


by 小言幸兵衛