噺の話

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2017年 04月 10日 ( 1 )

 雨でテニスが中止。
 こうなれば、行きたかった末広亭へ駆けつけるしかない。
 昼が小満んの主任で、顔付けも悪くない。
 諸般の事情で、夜の真打昇進披露興行までは居続けできないが、それもやむなし。

 熊本復興支援(?)で桂花ラーメンで昼食をとってコンビニでお茶などを仕入れて、小雨降る中を少し並んでから入場。

 椅子席は八割ほどすぐ埋まったが、好みの下手桟敷に場所を確保。
 仲入り時点では、すでに一階は椅子席も桟敷もほぼ満席で、二階席も開いていた。

 出演順に感想などを記す。

橘家かな文『たらちね』(10分 *11:52~) 
 昨年11月、国立の志ん輔独演会以来。ネタも同じ。
 あの時にも気になったのだが、どうも長髪が馴染めない。
 後から出て来る小辰や一之輔ほどにはしないにしても、もっと爽やかさが欲しい。
 高座も、二年前に聞いた『やかん』の出来の方が良かったように思う。
 文蔵は、頭髪のことなどはあまり注意しないのだろうか。

入船亭小辰『狸の札』 (12分)
 かな文とは対照的な剃ったような頭が清々しい。
 久しぶりだが、ずいぶん上手くなった。声のメリハリが効いていて、少しだけ師匠を彷彿とさせる。
 独演会なども積極的に開いているようなので、何とか行きたいものだ。

林家楽一 紙切り (8分)
 ご挨拶代わりの「土俵入り」の後、上手桟敷の女の子のリクエストで「バレリーナ」、下手桟敷、私のすぐ近くに母親と一緒に来ていた男の子のリクエストで「バッタ」を切ったが、どちらもなかなかの出来栄え。語りも以前よりは落ち着いてきた。
 紙切りという伝統芸に継承者がいることは、実に嬉しい。

春風亭一之輔『権助芝居』 (8分)
 この日、客席からもっとも大きな反響と笑いをとったのは、マクラを含むこの人の高座と、仲入り後の白酒。
 どちらも客席の反応は、良い勝負だったなぁ。
 あれがたった8分だったとは・・・後からメモを見て驚かされる。
 寄席が好きでしょうがない、という噺家は高座を自分も楽しんでいるようだし、もちろん客席もその楽しい時間と空間を共有している、そんな感じなのだ。
 今夜楽しみにしているNHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」で特集するだけのことはある。

古今亭志ん陽『代書屋』 (12分)
 天どんの代演。
 履歴書を代書屋に頼みに来る男の名が、太田道灌。
 代書屋が、「おおの字は大きいなの、太いなの」と聞くと「あっしのは、太くて大きい」と返したが、小学生が客席にいるのも構わぬクスグリ^^
 道灌の字は、かんの字が難しい。前座が良く間違えて叱られるんだ、には笑った。
 久しぶりだが、この人、こういう噺も悪くない。

東京ガールズ 邦楽バラエティ (13分)
 ♪裏路地の~
 のネタ、結構客席を沸かしていたし、クスグリの後のなんとも言えない二人の表情が可笑しい。このネタは初めて聴くが、なかなか楽しいね。

古今亭志ん弥『替り目』 (15分)
 志ん輔の代演。この日は、代演が多かった。
 女房が、都腰巻一枚で、アブラムシの背中のような顔色、という描写が、なんとも結構。
 酔っぱらった男の「つまみ出しな」に、女房の「お前さんをかい」で客席も私も大笑い。“間”が良いのだ。
 おでん屋に行く前に鏡台の前に向かった女房に「消し忘れた黒板みたいになっちまって」も笑える。
 この人は古今亭の伝統を伝える本格派だとつくづく感じた。これまでの印象以上に巧さを感じた高座。こういう高座に接し、無理に笑わせようなんて思わず、落語本来の持つ楽しさを引き出すことが大事なのだと、若手には伝わって欲しいものだ。

金原亭馬の助 漫談&百面相 (14分)
 落語界と相撲界の身分制度(?)などについて語った後で、十八番の百面相で客席を沸かす。
 相撲界で、幕下になって初めて角帯、角そで(外套)が許される、三代目でようやく雪駄が履ける、などは初めて知った。
 こういう漫談なら、実に結構ではなかろうか。

ニックス 漫才 (14分)
 ロケット団の代演。
 この人たちはこれまで苦手だったのだが、初めて笑わせてもらった。
 日本語と英語の掛け合いは、結構良いネタではなかろうか。
 妹「虎?」
 姉「タイガー」
 妹「虎のおしっこ」
 姉「?」
 妹「タイガージャー」
 など、私の仲間内での落語のマクラでいただくつもり^^

林家種平『お忘れ物承り所』 (16分)
 正蔵の代演。
 以前も聴いたことがあるが、新作とはいえ、時代性の面できついネタ。
 笑わせどころはあるのだが、若干無理がある。
 
金原亭伯楽『長屋の花見』 (14分)
 まさに旬のネタ。
 それぞれの語りを、実に丁寧に進め、本来のネタの可笑しさで、しっかり客席を楽しませる高座。これぞ、寄席の逸品だ。忘れないように、を付けておく。
 居残り会仲間の佐平次さんが四日目にいらっしゃって、このネタを始めたところ、二階席の酔っぱらった客がわめき出して、途中で漫談に替えざるを得なかったとのこと。
 この日は、実際の酔っ払いは客席にはいず、噺に客が酔っていた。

松旭斉美智・美登 奇術 (15分)
 近くにあの男の子がいたせいか、プレゼント・マジックでキャンデーをゲット。美味しくいただきました。
 
桂文楽『看板のピン』 (14分)
 仲入りは、この人。
 羽織の脱ぎ方が、こんなに綺麗だったっけ、と新たな発見をした気分。
 東五西二南三北四なんていうサイコロの説明なども渋さが漂う。
 ソース焼き蕎麦CMの方も、年齢相応に貫禄が増してきたなぁ。

柳家一九『湯屋番』 (15分)
 クイツキは、トリの小満んの二人の弟子の一人。
 マクラは以前も聞いているネタだが、青森で路上のリンゴの直売に「地方発送、承ります」と書いてあり、「主にどこに送ることが多いの」と農家のお婆さんに聞くと、「ほとんど、東京だ」との答え。この、お婆さんに、拍手^^
 東京は、大いなる田舎だからね。
 一九は、『そば清』なども実に味があるが、こういう噺も、しっかり楽しませてくれる。お妾さんに惚れられる妄想による一人芝居は結構だったし、弁天小僧の口上を立て板に水で聞かせてからの「煙突小僧煤之助」も、決まった。

笑組 漫才 (11分)
 ずいぶん久しぶりだ。
 師匠だった内海好江の思い出話から、好江→志ん朝→志ん五、と弟子になった師匠が次々に・・・という、ちょっとだけブラックな自虐ネタ。
 誰かが、「うちの師匠の弟子になってくれ」と言ったとのことだが、誰かは、内緒。
 かずおの持っている“オーラ”が“幕内オーラ”で、幕を越えて客席に届かないというのは、初めて聴いたかなぁ。
 かずおが、「白内障」を「水晶米」と間違えた、というのはネタか、それもと事実か・・・・・・。
 主任の持ち時間を作るのも、この時間の色物さんの大事な仕事。キリンとゾウのネタでサゲたが、やはり、この人たちの漫才は、いいねぇ。

桃月庵白酒『つる』 (12分)
 この人は、寄席の十八番をたくさん持っている。その、一つ。
 ご隠居が八五郎に、首長鳥がなぜつると呼ばれるようになったか、という謎解きをした後の、言葉にならない言葉(?)が、とにかく可笑しい。
 一之輔と同様、実力者は10分もあれば客席をひっくり返すことができる、という証のような高座。

柳家小団治『ぜんざい公社』 (16分)
 初めてだ。協会のプロフィールによれば、小さんに入門した後に、大学を卒業しているらしい。剣道七段、はあの一門だから驚かない。
 マクラで、なかなか理知的なギャグを披露。
 オリンピックの話題から、必ずしも金メダルでなくてもいい、銀は金の右の字に点を付ければ金より良いになるし、銅は金に同じ、という話はごもっとも。
 金を失ってサビるなんてことはなく、酸化(酸化)するのことに意義がある、とのこと。
 それらのマクラがほぼ七分あったので、本編は九分ほど。どちらかと言うと、マクラの方が楽しかったかな。

翁家勝丸 太神楽 (10分)
 膝はこの人。
 珍しく、毬の芸で、何度か失敗。ご本人も苦笑い。こういう日もある。

柳家小満ん『盃の殿様』 (24分 *~16:28)
 ある国の殿様が江戸で気の病。茶坊主が見せた豊国描く錦絵の花魁があまりに綺麗で、実物もそうだと聞くや、吉原に“素見物”、いわゆる“ぞめき”に行きたいと言い出して、ダダをこねる。見るだけなら、と三百人を超える大行列で押しかける。お気に入りの花魁、花扇の言葉に負けて、毎晩のように吉原に通った殿様。国に帰ってからも、花扇が忘れらない。七合入りの大杯を、三百里の道を十日で駆ける早見東作に吉原まで持って行かせて、花扇と盃を交わす、という何ともスケールの大きな噺。
 さて、夜の部は披露興行があるから、さて、どこで収めるかと思いながら聴いていたが花扇が「ちょいと」と声をかけた時には、早見東作はすでに海老名のインターにいた、というところでサゲた。
 九日目で、やや声にかすれを感じないこともなかったが・・・いつもの小満んか。
 寄席用の短縮版ではあったが、聴きながら、この噺のもう一人の名手だった喜多八のことも思い出させる好高座だった。
 なお、小満んのこの噺では、昨年2月のJAL名人会が印象に残る。筋書きも書いているので、ご興味のある方はご覧のほどを。
2016年2月24日のブログ

 
 夜の披露目の花が並ぶ脇を通って外に出ると、雨は上がっていた。

 やらずの雨、ではなく、私にとっては、寄席にやる雨、の恩恵に感謝。


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by kogotokoubei | 2017-04-10 21:25 | 落語会 | Comments(13)

落語のことを中心に、ときたま小言や独り言。


by 小言幸兵衛