噺の話

kogotokoub.exblog.jp
ブログトップ

2017年 03月 08日 ( 1 )

 メールで、ほぼ毎日、落語会の案内がくる。

 三ヵ月も四か月も先の案内などもあって、予定を決めることもできず予約はしないが、内容によってはリンク先で詳細を確認することもある。

 木戸銭を確認すると、それなりに名の通った噺家さんが複数出演する会は、四千円を超えるものが増えてきたような気がする。

 また、独演会や二人会でも、噺家さんや会場によって、結構な木戸銭を設定している。

 その中でも驚いたのが、この落語会だ。
----------------------------------------------------------------------
赤坂ACTシアタープロデュース 恒例 志の輔らくご
第一部 大忠臣蔵-仮名手本忠臣蔵のすべて/第二部 落語 中村仲蔵
[出演]立川志の輔
2017年5月4日(木・祝)-2017年5月7日(日)
会場:TBS赤坂ACTシアター (東京都)
----------------------------------------------------------------------

 木戸銭は、5500円。
赤坂ACTシアターサイトの同公演のページ

 赤坂ACTシアターは、一階席が890、二階席434で、合計1324席もある大ホールだ。
 そもそも、落語に相応しい小屋とは言えない。

 渋谷のパルコがなくなってからの目玉づくり、ということか。

 志の輔の企画では、恒例で『牡丹燈篭』のあらすじ説明を含む落語会をしているようだが、ゴールデンウィークは赤坂「大忠臣蔵」を恒例にしようということか。

 すでに「恒例」と謳っている・・・・・・。
 演目についても、“恒例となった「中村仲蔵」”と説明されている。

 『中村仲蔵』は、パルコで一度ならず演じてきたお手の物の十八番。

 パルコ同様、四日間とも同じ内容・・・・・・。

 私は、こういう企画への興味はまったくない。
 がってん、しない。

 もし、忠臣蔵を題材に落語会を開くのなら、私は行けなかったが、桂文我の会のような、忠臣蔵にちなんだ複数の噺で構成するのなら、がってんだ。
 ちなみに、紀尾井小ホールで今年一月十四日(土)に開催された会では、一部と二部合わせて、次のような噺が演じられたようだ。
 「田舎芝居(大序)」「芝居風呂(二段目)」「質屋芝居(三段目)」「蔵丁稚(四段目)」「五段目(五段目)」「片袖(六段目)」「七段目(七段目)」「九段目(九段目)」「天野屋利兵衛(十段目)」「三村次郎左衛門(十一段目)」) / 桂米平「立体紙芝居」

 聴いたことのない噺が並んでいる。
 一月十四日は旧暦で十二月十七日だったので、ネタとして“旬”でもあった。
 こういう企画こそが、忠臣蔵にちなむ落語会に相応しいと思う。
 これで一部、二部のそれぞれの木戸銭は、3000円。
 ちなみに、紀尾井小ホールは250席。
 三三が、最初に『嶋鵆沖白浪』を披露した会場でもある。
 行きたかったが、野暮用で無理だった。来年もあるなら、最優先で予定したいものだ。

 対して志の輔の赤坂でゴールデンウィークの忠臣蔵・・・器が大きすぎることに加え、何ら季節感のない企画。


 もちろん好みの問題である。
 赤坂に志の輔の忠臣蔵の講義と高座を聴きに行きたい方は、どうぞ行ってください。


 江戸時代の寄席の木戸銭について以前に書いたことがある。
2014年4月29日のブログ


 いろんな考えがあるが、一両を120,000円としよう。
 一両が四千貫として一文は30円になる。
 蕎麦の十六文が480円。これでも、少し高いけどね。

 寄席の木戸銭は、安政以前の三十六文で1,080円、安政以降の四十八文で1,440円。それぞれに下足札四文、中入りに引くくじ代十六文の計二十文分の600円を足すことにして、安政以前1,680円、安政以降2,040円になる。
 寄席の木戸銭としては、妥当な気がする。

 大工の月の稼ぎが銀で135匁、銭にして9,000文という試算があるので、月の収入が現在価値で270,000円。週に一度位は寄席に行く余裕もあるだろう。

 現在、都内定席の寄席の木戸銭が、ほぼ3,000円になっているが、これはあれだけの出演者がいて、鈴本以外は入れ替わりがないことを考えると、江戸時代よりは少し割高とはいえ妥当かもしれない。

 独演会や二人会規模の落語会も、せいぜい3,000円が妥当で3,500円が上限ではないか、と私は思っている。

 だから、4,000円超えが当り前になりつつある昨今の木戸銭には、違和感がある。
 また、会場も、落語という芸能に相応しいのは200~300席ではないかと思っている。

 よって、千人を超えるような大ホールでの落語会には、原則として行こうとは思わない。
 実は、以前にそういう会に行った時の小言から、このブログは始まったのである。
 大きなホールで、高い木戸銭の会を目にする度、私には、「野暮」の二文字が脳裏に浮かぶ。

[PR]
by kogotokoubei | 2017-03-08 08:54 | 木戸銭 | Comments(10)

落語のことを中心に、ときたま小言や独り言。


by 小言幸兵衛