噺の話

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2015年 06月 29日 ( 1 )


 先日行った落語会の場所は川崎だったが、その川崎に、落語で反戦を訴えるアマチュアの落語家さんがいらっしゃるのを、東京新聞の記事からご紹介。
東京新聞の該当記事

笑いで反戦 軽妙に訴え アマチュア落語家 寝床家道楽さん
2015年6月28日

 川崎市在住のアマチュア落語家、寝床家道楽(ねどこやどうらく)(本名・中島邦雄)さん(80)が、落語を通じ、平和への思いを訴え続けている。先の戦争で家族を失った寝床家さんは、国会で審議中の安全保障関連法案に関しても「『平和法案』なんてまやかし。起きるかどうか分からない危機で国民を不安にし、軍事予算を増やすだけですよ」と断じ、国の行方に危機感を強めている。 (山本哲正)

 落語の話に入る前に時事的な話題を入れて話す「まくら」のおもしろさが道楽さんの魅力の一つ。最近は「安倍さん(安倍晋三首相)は若だんなです。落語の世界では、ろくな若だんながいません」と話し、若だんなが身代をつぶす「山崎屋」へとつなげる。

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 東京・浅草生まれ。小学四年生だった一九四五年、疎開先の宮城県で、父母と妹、弟二人の家族全員が三月十日の東京大空襲で亡くなったと知らされた。「死に目に会っていないから実感を持てない。『どこかで生きていてくれる』という思いを中学生ぐらいまで引きずっていました」

 都内の高校を卒業。親がいないことで就職に苦労したという。卒業した都内の高校の先生に勧められ裁判所の速記官になったが「悲しみ、苦しみに長く引きずられる人々を生み出す戦争は絶対いけない」との思いを強めた。

 戦後、ラジオから流れてくる落語に、両親との下町暮らしの記憶を重ねた。落語が心の支えとなり、聞き覚えて、速記官時代に寄席に出始めた。キャリアは約四十年。今も落語仲間の会や小学校の落語教室などで月四回ほど落語を披露する。東京大空襲資料展に合わせて三月十日前後に東京・浅草で開かれる寄席にも出演してきた。七月十五日には足立区で開かれる「憲法のつどい」に出演する。

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 二〇〇四年ごろ、改憲に向けた政治の動きが出る一方、九条の会の発足など平和憲法を守る活動も活発化。そのころ落語「生き字引」を作った。八っつぁんが大切にする憲法を「新しいのと取り換えたい」と外国人が訪ねてくる。面白くも、かみ合わないやりとりが続き、見かねた子どもが「九条は世界遺産に登録しちゃえばいい」と言う。この話は時機に合って評判を呼んだ。

 最近、まくらの時事話とともに力を入れているのが禁演落語。戦時中の精神や雰囲気に合わない、酒や浮気話が出てくる落語は当時できなかった。それを禁演落語というが、あの嫌な時代に戻ってはいけないとの思いから、しゃべっている。

 話のタネには困らないようだ。「フグは毒があるから全部食べたら当たるが、肝を外せば食べられる」。横畠裕介内閣法制局長官はこう発言し、他国を武力で守る集団的自衛権をフグに見立て、「限定的」な行使なら合憲との考えを示した。寝床家さんは「次々出てくる迷言から、まくらを練りたい。こんな国にされて悔しいと言うにはまだ早い。自分にできることをしなければ」と意欲的。

 現政権については「国民の生命や幸福追求の権利を守るため集団的自衛権を行使するとおっしゃいますが、いま国民の命や幸福追求を守っているかといえば、全然そうじゃあないね」とチクリ。

 小学生の時に東京大空襲で親兄弟を失ってからの寝床家道楽さんのご苦労は、察するに余りある。
 
 それにしても「山崎屋」など、本職の噺家さんでも、なかなか手ごわいネタだが、凄い。
 私などは、とても出来そうにない。

 道楽さんは、これまでの人生で、深い悲しみを味わってこられただろうが、落語との出会いが癒しになったのであれば、落語愛好家としても非常に嬉しいことだ。

 少し調べてみたら、今年5月に「むさし寄席」という名で横浜にぎわ座の芸能ホールで落語会を開催していらっしゃる。
横浜にぎわい座サイトの該当ページ
 第35回だったとのこと。結構、歴史がある。

 自作のネタにおける、憲法第九条を世界遺産に、という発想は昨今‘九条にノーベル平和賞を’という活動があり、私も署名したが、道楽さんは同じような精神を先取りされていたということだ。

 落語という芸により、笑いに乗せ、ひとひねりした権力批判こそ、言論の自由を見事に行使するものではないかと思う。

 とんでもない発言が飛び出した自民党の勉強会は「文化芸術懇話会」というお題だったようだ。
 だったら、道楽さんを呼んで、ぜひ落語を聴いてもらいたいものだ。
 しかし、馬鹿な若旦那が、「まるで自分たちの親分じゃないか!?」と笑える感性を持った参加者はいそうにもないから、無駄か(^^)


 NHKの「クローズアップ現代」で、4月6日に米朝追悼番組の一環として、“庶民の笑い”を絶やさない ~落語家・桂米朝さんの生涯~が放送された。
 今も、NHKのサイトで、動画を見ることができる。
NHKサイトの該当ページ
 この中で、脚本家の大石静が、こんなことを言っている。
‘笑いというのは、実は知的なもので、なんか笑いによって、ある風刺をする、権力を批判するというのが一番、洗練された方法じゃないですか。
ストレートに意見を言うよりね。
そういう意味でも、反権力なんかもさらりとやってのけるという意味において、洗練されているっていうことじゃないかと思いますけれども’
 同感だ。さすが「ふたりっこ」や「功名が辻」の脚本家。

 もちろん、面白おかしく笑わせてくれるのも、落語の重要な要素だが、‘笑いによって社会を風刺し権力批判をする洗練された芸能’であることも、落語の重要な側面である。


 にぎわい座の会が日曜開催を通例とするなら、私が行きにくい日なのだが、道楽さんの会の情報を調べ、何とかお聴きしたいと思う。



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by kogotokoubei | 2015-06-29 18:10 | 幸兵衛の独り言 | Comments(2)

落語のことを中心に、ときたま小言や独り言。


by 小言幸兵衛