噺の話

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落語のことを中心に、ときたま小言や独り言。

2015年 06月 13日 ( 1 )


 第190回は、これまでこの落語会の開口一番を担ってきた、市馬一門による会。
 市助が五月下席から二ツ目、市童となったことの披露目の意味もある会のようだ

 階段席は結構お客さんで埋まっていが、私がいつも座るパイプ椅子席は、結構空席が目立った。これは、やむをえないか。それでも、全体で六割以上七割近い入りだったように思う。

 次のような構成だった。
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(開口一番 柳亭市丸『転失気』)
柳亭市弥 『湯屋番』
柳亭市楽 『お化け長屋』
(仲入り)
柳亭市江 『ずっこけ』
柳亭市童 『大工調べ』
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柳亭市丸『転失気』 (15分 *14:00~)
 初である。しかし、この名は、市江が前座時代につけていたなぁ。前座名なのかもしれないが、できれば、別の名前にして欲しかったようにも思う。まだ、“市江の市丸”の余韻が残っているのではなかろうか。
 声は大きく、明るく、という前座の大事な二要素は守られている。見た目のさわやかさもあって、聴いていて居心地は悪くない。よく笑ってくれるお客さんのおかげもあって、幸先良く先輩の高座につないだように思う。

柳亭市弥『湯屋番』 (21分)
 師匠は名古屋で同じ時間から落語会、とのこと。「土曜の昼に、わざわざ来ていただいても、師匠は出ませんよ。いいんですか。」とふったが、もちろん市馬を聴きに来たんじゃないよ(^^)
 マクラで、お客さんに助けられたという逸話として、『金明竹』をかけて、主人が帰ってきて、なかなか客のことを思い出せない女房を演じていると、一番前の席のオバサンが、手を口に添えて、小さな声「中橋の加賀屋佐吉」と言ったり、次に「仲買の弥市」と教えようとした、ってえのはネタだよね。
 この噺は、若旦那がこの人にはニンであるのだが、のっけで、二階から降りてきた若旦那に、面倒をみている頭が「今、何時だと思ってるんですか」と聞いた後の若旦那の科白で、ちょっと失敗。本来は、「寝ていた者に、起きていた人間が時(とき)を聞くってぇのはおかしいね」とでも言うはずが、「寝ている・・・」あたりで口がこんがらがった。「だから、お客さんに助けてもらわなくちゃいけない」と言っても、とても笑えない。
 しかし、桜湯の番台に若旦那が上がってからは、結構良いテンポで進んだ。しかし、全体として、後輩市童や市丸の手本となる高座であったとは、いえないだろう。
 この会でも数多く開口一番で聴いた。久し振りで少し期待もしていたのだが、やや足踏み状態、という印象。

柳亭市楽『お化け長屋』 (32分)
 マクラの小咄が、私には今ひとつ。しかし、よく笑うお客さんのお蔭で、会場は沸いてはいた。
 「四つ頃に 出る幽霊は 前座なり」と、ネタに相応しい川柳をふって、師匠市馬に「前座時代に、幽霊をやられたことありますか」と聞いたら、「体がでかいから、やったことはない。陰気で痩せてないと似合わない。・・・ぴったりなのは、喜多八兄さん」で、結構笑った。
 市朗の前座時代に、開口一番を聴く機会が多く、この人の将来性に期待していた。師匠譲りのスケールの大きさを感じたものだ。しかし、二ツ目の市楽の高座は、正直なところ、あまり感心したことがない。期待が大きすぎたのかもしれない。
 そういう意味では、市楽で聴いた久し振りの高座は、私にとってもっとも良い印象だった。
 貸家を借りに来る客(?)を幽霊話で追い返す“古だぬき”の杢兵衛さんが楽しい。最初の気の小さな男には、見事に“くさい”怪談話で撃退し、二人目の堅気ではなさそうな強面でせっかちなお兄ぃさんとのやりとりで、調子が狂うところも、楽しい。
 杢兵衛さんが「宵のうちから静かで」と言うと、二人目の男が「池袋演芸場か」で笑ったが、最近の池袋は、結構入っているよ(^^)
 そんなに易しい噺ではないと思うが、後輩達に先輩の貫禄をしっかり見せることができたのではなかろうか。

柳亭市江『ずっこけ』 (23分)
 仲入り後は、久し振りのこの人。二年前の末広亭以来かと思う。
 若手としては、珍しいネタ。『居酒屋』の後半が独立したネタ、と言われる。
 金のない熊、店の小僧を相手に「明けの鐘 ごんと鳴るころ 三日月形の 櫛が落ちてる 四畳半」なんて、都々逸を披露しながら、誰か知り合いが来るのを待っている姿などは、なかなか結構。
 酔いつぶれた熊を兄いが迎えに来て、途中で公衆便所での「シーコイコイコイコイ」など、なんとも伝統的なネタへの挑戦は、うれしい。八代目柳枝の音源以外では、四年前に桂文生の高座以来聴く噺だ。
2011年5月15日のブログ
 こういうネタは好きだが、どうも、高座に明るさがない。まだ、老け込む年齢ではないし、二ツ目さんだ。もっと、陽気な酔っ払いを、今後は期待したい。

柳亭市童『大工調べ』 (21分 *~16:07)
 トリは、新二ツ目の、この人。黒紋付での登場。
 今年は、若手で同じ柳亭の小痴楽の、キレの良い啖呵を聴いている。
2015年3月8日のブログ
 市童が、さてどれほどの啖呵を切れるか、期待しながら聴いていた。
 大家の“雪隠大工”のひと言、そして、棟梁が「これだけお願いしても、道具箱は返(けぇ)してもらぇねんですかい」、この後の間。そして、「いらねぇやい、丸太ん棒」に続く、 「呆助、藤十郎、珍毛唐、蕪っかじり、芋ッ掘りめ。手前っちに頭ァ下げるようなお兄いさんとはお兄いさんの出来が少しばかりちがうんでえ」と、三代目小さんからの伝統を引き継ぐ先代小さんの型。
 途中で、少し言いよどみがあったので、サゲの後に照れ笑いがあったのだろうか。あるいは、トリで緞帳が降りるのを待つ、照れか(^^)
 与太郎が棟梁を真似てしくじる場面でサゲる短縮版だったが、なかなか結構。
 市馬門下で、本格派としてもっとも期待できるのは、間違いなく、この人だと思う。


 久し振りに、生の落語を楽しんだ。
 帰って、犬の散歩。
 そして、一杯やりながら、土曜の「寅さん」。
 あらためて思うのは、山田洋次はやっぱり落語が好きなんだなぁってこと。
 オープニング、寅さんが、賽銭箱に間違って百円放って慌てる場面は、『堀の内』。柴又に帰って、父親の墓を間違える場面は、『お見立て』でしょう(^^)

 さて、今は、BS朝日で「ホタル」をやっている。
 この映画は以前にも観ているし、録画もあるので、そろそろ寝るとしよう。
 あえて、寝る前にひと言。
 「ホタル」は、決して戦争を美化する映画ではない。観る者に、平和を希求させる映画だ。

 
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by kogotokoubei | 2015-06-13 22:26 | 落語会 | Comments(0)

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by 小言幸兵衛