噺の話

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落語のことを中心に、ときたま小言や独り言。

2009年 07月 01日 ( 1 )

匿名性の功罪

このブログを見ていただいている人の中には、すでにお気づきの方もいらっしゃるのだろうが、私はAmazonで落語関係本中心にブックレビューを書いている。(ニックネームは幸兵衛ではない。)
今日、久しぶりに自分のレビューの状況を見て驚いた。たった4~5日で、ある自分のレビューの「参考にならない」という数が30ほど増えている。通常ではありえない数だ。ここまでカミングアウト(?)したのだから、そのレビューの対象も明らかにしよう。昨年発行間もない頃に読んだ立川談春の『赤めだか』である。通勤電車の中で読了し、ついつい涙が出たことを今でも思い出す。もちろん星5つで評価した。しかし、なぜ今になって、あえて「No」という意思表示を一日平均5~6件も受けたのか・・・・・・。これは普通ではない。高い評価の定まった本であり、ここ数カ月は、私のレビューへの投票は2~3週間に一つあるかどうかという状況だったのだから。そう思って最近書かれた他のレビューを見ていると、以前にはなかったネガティブなレビューが並んでいた。加えて、そのレビューへの支持が、短期間では考えられないレベルで多い。一週間で20も30も「参考になった」という投票があるのは、よほど話題性のある新刊の場合くらいである。非常に不思議だ。また、そのレビューを読むと、「この本は楽しめた。しかし・・・・・・」と、本そのもののことではなく、この本を高く評価することが過剰な「談春礼賛」だと短絡している。「本」は本であり、「高座」は高座、「人」は人である、という当り前のことが分からないレビューが、なぜそんなに支持されているのか?

あえて勘ぐるなら、何らかの「談春憎し」といった意図を持った人が『赤めだか』憎し的な動きにつながったのだろう。そして、ポジティブなレビューの中で「参考になった」という支持の多いものに、意図的にネガティブな評を入れているように察する。技術的にどんな手法を使っているか分からないが、私以外の高い評価のレビューにも同様の現象が見られるのだから、尋常ではないと思う。もちろん私は談春の身内ではないし、出版社の回し者でもない。良い本と思うから良いと言うのであって、それは本という作品への評価ではあるが、著者を「礼賛」するものではない。

しかし、私のレビューへの「賛成票」とともに「反対票」の数の多さは、これから初めて読もうとする人への影響もあるだろう。また、何らかの作為的な、あるいは不自然な動きに自分のレビューが曝されるのは許せない。自分のレビューを本日削除した。
もちろん『赤めだか』が素晴らしい本であるという思いは今でも変わらない。

なぜ、一年も前のブックレレビューに、いきなり「No」「No」「No」という意思表示をされなくてはならないのか・・・・・・。匿名であることは、メリットもたくさんある。匿名だからブックレビューも書きやすいし、このブログも書いていると言える。しかし、今日は匿名であることの、特にネットでの危険性を、身にしみて感じた。よく「ブログ炎上」という表現があるが、これはたぶんに「便乗派」の付和雷同がもたらしているのだと思う。“みんなで渡れば怖くない”というギャグは笑えるかもしれないが、特定のポジティブ、あるいはネガティブなキャンペーンをするのに「匿名性」は“みんなで渡りやすい”、格好の隠れ蓑ともなり、この現象は笑って見過ごせない恐さがある。「匿名」であることは、群がりすごいエネルギーで流れを突き動かすこともあるが、反面大きな危険性も持つ。2チャンネルも氏名を公表するのなら成立しない。身をもって匿名性の功罪を再認識したのだった。

しかし、これからも「良いものは良い」「悪いものは悪い」と、幸兵衛は書く。もし、何らかの作為的な意図でこういうことをする人がいるのなら、私はその人を心底かわいそうに思う。また、やたらネガティブなレビューばかり投稿している人にも、憐れみを感じる。私のレビューの基本姿勢は、ほんの一部の例外を除き、「ぜひこの本を他の人にも読んでもらいたい」というポジティブなお奨め本紹介である。お奨めできない本は、レビューを書かなければいいのだ。どうも、世の中には良い面を発見することがヘタで、悪い面ばかり見えてしまうかわいそうな人もいるようだ。小言は言うが、幸兵衛は“良いもの”がわかるつもりだから、その目指すレベルと現状とのギャップに小言を言っているのである。最後はちょっと偉そうだが、自分が受けたショックから立ち直るには、これ位は許していただこう。
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by kogotokoubei | 2009-07-01 23:50 | 幸兵衛の独り言 | Comments(2)

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by 小言幸兵衛