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「わろてんか」のチェックポイント(2)ー矢野誠一著『女興行師 吉本せい』より。

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矢野誠一著『女興行師 吉本せい』(ちくま文庫)


 さて、このシリーズ(?)の第二弾。

 今回は、まず、吉本せいの生家について。

 著者の矢野誠一さんは、明石生まれという説もある吉本せいのことを調べるため、明石や大阪の役所に出向いている。
 調べてはみたものの、せいの生まれた土地や、生年月日については、結構、謎が多いのだった。

 吉本せいの父親林豊次郎が明石から大阪に出て、天神橋五丁目で米穀商を営んだことはよく知られていて、せいはこの大阪時代に生まれたのだというひともいる。ものごころついた頃のせいは、すでにこの天神橋に住んでいたといわれているので、林豊次郎が大阪に出たのは、明石から転籍した明治三十二年(1899)よりも早い時期であることは確かなようだ。明石市役所にあった戸籍に記されている、明治三十一年一月五日生まれの五女はなの死亡届が、明治三十一年一月十一日付で「大阪府大阪市北区西成川崎」から出ていることでもそれがわかる。
 吉本せいを明石生まれと伝えるのは、父親が明石出身で、せい自身も幼少の頃病を得た際に明石で療養したことがあるからにすぎないというむきもある。事実、一代で巨額の産を成した吉本せいは、いろいろなところに多額の寄附を好んでしたが、明石に関した施設や団体にそうしたことをした形跡がない。もし本当に明石生まれだとしたら、故郷に対して多少ともいい顔をしたがったはずだというのである。いずれにしても、明治二十二年(1889)十二月五日というせいの出生当時は、戸籍に出生地の記載がないから、正確なところはよくわからない。


 当時は、他人の戸籍を調べることができたのだ。
 今思うと、ぞっとするねぇ。
 矢野さんは調査を元に、吉本せいは、どうも父親が明石から大阪に出た後に生まれたのだろうと推察している。

 NHKの「わろてんか」のサイトを見ると、主人公は、京都の老舗薬種問屋「藤岡屋」の長女、という設定。
NHKサイトの「わろてんか」のページ
 明石はともかく、少なくとも、大阪にして欲しかった。

 まぁ、このあたりから小言を書いているときりがない^^

 次に、せいの家族構成について。

 せいの父、林豊次郎は文久元年(1861)十二月十日生まれ、母ちよは、元治元年(1864)三月十二日生まれとある。父二十七歳、母二十五歳のときの子になるせいは三女で、せいが生まれたとき、すでに明治十六年(1883)生まれの長男信之助、二十年(1887)生まれの次姉きくがいた。むかしのひとの例にもれず、豊次郎とちよの夫婦には子供が多かった。せいの生まれたあとも、千之助、正之助、勝、治雄という四人の弟と、ふみ、はな、ヨネ、富子のこれまた四人の妹ができている。死亡した長女をふくめ、十二人のきょうだいである。
 この十二人のきょうだいのなかで、明治三十二年(1899)年一月二十三日に生まれた三男の正之助と、明治四十年(1907)二月一日生まれの四男勝のふたりの弟が、後年のせいの仕事に大きな役割を果たすことになる。四男の勝は、昭和十四年に、その名を正式にそれまで通称として用いていた弘高と変更している。 
 米穀商としての林家は、決して富裕とはいえなかったが、世間的にかなりの信用を得ていた。その時分の大会社天満合同紡績などにも精米を納めていた。ただ、なにぶんにも十二人きょうだいとあって、幼い頃のせいは、弟や妹の子守りで明け暮れたのも当然であろう。勉強が好きで、またよく出来たから上の学校へ進みたい希望を持っていたのだが、当時の義務教育たる尋常科四年で、その先を断念しなければならなかった事情も、そのあたりにあった。

 十二人きょうだい。

 たしかに、昔は子どもが多かった。
 ちなみに、私の父は十一人、母は十三人きょうだい。

 「わろてんか」では、まさか、名前は替えるとしても、三男の正之助、四男の勝(その後の弘高)は登場すると思うのだが、他の兄弟、姉妹は、結構割愛される可能性がある。

 よって、二つ目のチェックポイント。

「わろてんか」のチェックポイント(2)
せいのきょうだいは、どう描かれるか


 このテーマは、弟、妹が多く子守りに明け暮れていたことが描かれるかどうか、ということも含むテーマ設定。

 すでに、生家の商売は実際の米穀商から薬種問屋に、その場所も大阪から京都に替えている。

 さて、どこまで、家族構成を脚色(?)くれるだろうか。

 どれほど変えてくれても、今回は、笑って見ているつもりだ。

 

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by kogotokoubei | 2017-09-27 08:49 | 歴史ドラマや時代劇 | Trackback | Comments(0)

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