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『加賀の千代』ー前田利常の母も、“加賀のちよ”だったなぁ。

 私のブログは、時に“芋づる式”になる。

 加賀への旅から、加賀藩のことになり、今回は、落語のネタ『加賀の千代』。

 前田家、なかでも利常のことを中心に前回のシリーズで書いたが、彼の母親は、朝鮮出兵の前線基地となった肥前名護屋に、利家の洗濯女として出向いた下女の“ちよ”だった。
 そう、利常の母も、“加賀のちよ”ということ^^

 ということで、『加賀の千代』というネタについて。

 三代目桂三木助の十八番だった。
 逸話がある。浪曲師の二代目広沢菊春の得意ネタ「左甚五郎」を、三代目桂三木助が自分の十八番「加賀の千代」と交換した、とのこと。

『加賀の千代』ー前田利常の母も、“加賀のちよ”だったなぁ。_e0337777_11111650.jpg

『落語の鑑賞201』延広真治編(新書館)

 『落語の鑑賞201』から、ご紹介。

【梗概】
 大晦日を間近にして、どうにも年が越せないで困っている夫婦。女房に加賀の千代の「朝顔に釣瓶とられてもらい水」の句を聞かされ、お前は旦那に、この朝顔のように可愛がられているから何とかなると言い含められて、金の借り方を女房から教わり旦那のところへ行き、まんまと成功。つい男が「やっぱり朝顔だ」とつぶやくと、旦那に訳を訊かれ、朝顔の句を説明する。旦那が、「ああ、加賀の千代の句か」と言うと、「かかの知恵だ」。

 内容は、『鮑のし』に似ているねぇ。

 少し頼りない夫と、しっかり者の女房の組合せは、落語の定番。

 千代のことや、この噺のことは次のように紹介されている。

 千代(元禄十六・1703~安永四・1775)は、江戸中期の俳人で、加賀国松任の人。「起きてみつ寝てみつ蚊帳の広さかな」も千代の句として伝えられるが、実はこれは別人のものである。
 東京では、三代目桂三木助や七代目橘家円蔵が演じた。
 他にも同題の落語があるが、これは亭主が二階の女中部屋に忍んでいくので、焼き餅を焼き、二階に上がるはしごをはずしてしまう女房の噺。

 亭主が二階に忍んでいく、という型は、聴いたことがないなぁ。
 
 当代の噺家さんでは、何と言っても柳家三三の十八番と言えるだろう。
 寄席のみならず、落語会でも聴いている。
 春風亭一之輔も、寄席のネタの一つとしてしている。彼の高座も、なかなか楽しい。

 たびたびお世話になる「落語の舞台を歩く」のサイトでも三代目三木助版を元に解説がある。
「落語の舞台を歩く」サイトの該当ページ
 こちらのサイトからも、千代のことを引用したい。

経師表具師福増屋六兵衛の娘。母は村井屋の娘つる。幼名はつ。号は素園、草風。12歳ごろ同国本吉の北潟屋に奉公に出、主人岸弥左衛門(俳号は半睡、のち大睡)に俳諧を学ぶ。17歳の享保四年(1719)北陸地方巡遊中の芭蕉十傑の一人、各務支考(かがみしこう)に教えをうけ、秀句を詠んで人々を驚かせたという。
 18歳で金沢藩足軽福岡弥八と結婚、一児をもうけ早く夫と子に死別したというが確証はなく、未婚説もある。
 23・4歳のころ京に上り、さらに伊勢に麦林舎乙由(ばくりんしゃ_おつゆう。中川乙由)を訪ね師事する。25歳で実家に戻ったという。とかく伝説が多く、確証のあるのは少いが、美女であった。
 伝説が多く、美女。
 これが、後世に残るための重要な要素。
 
 前田利常の母、ちよが美人だったのかどうか・・・・・・。
 磯田道史著『殿様の通信簿』には、ちよ本人は、とりたてて器量よしではなかったらしいが、その母について、『天下一の美人にてまします』という記録(『三壺記』)が残っていると書かれている。
 
 美人の千代が教えをうけた各務支考といえば、二年余り前の柳家小満んの会、『江戸の夢』で、「宇治に似て 山なつかしき 新茶かな」という各務支考の句をはさんでいたなぁ。
2015年5月19日のブログ

 千代女は生涯に千七百句を残したと言われるが、「落語の舞台を歩く」には、代表的な句も紹介されている。朝顔の句のみ引用。

 「朝顔に つるべ取られて もらい水」(35歳の時に、朝顔や~ と詠み直される)
 「あさ顔や蝶のあゆみも夢うつゝ」
 「朝顔や宵から見ゆる花のかず」
 「あさがほや帯して寝ても起はづれ」
 「朝がほや宵に残りし針仕事」
   
 朝顔が、よほど千代の創作意欲を刺激した、ということか。

 ということで、拙ブログも、朝顔のデザインに替えた、というわけ^^
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by kogotokoubei | 2017-09-15 12:45 | 落語のネタ | Trackback | Comments(0)

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