噺の話

kogotokoub.exblog.jp

落語のことを中心に、ときたま小言や独り言。

「夏越の祓」などについてー荒井修著『江戸・東京 下町の歳時記』より。


 今年は、旧暦で閏月がある年で、先週土曜二十四日からが閏五月。

 梅雨の雨のことが「五月雨」であって、旧暦の六月は雨が降らないから「水無月」。

 では閏五月ということは、今年は長梅雨になる・・・かどうかは、分からない。
 
 旧暦の四月、五月、六月が夏だから、今年は夏が四か月ある、ということだ。
 そんな暑い季節の年中行事について。

e0337777_08380914.jpg

荒井修著『江戸・東京 下町の歳時記』(集英社新書)

 荒井修さんのこの本からは、何度か引用している。
 2010年12月に集英社新書から発行された本。

 著者荒井修さんは、私より少し年長の“団塊の世代”で、浅草にある舞扇の老舗、荒井文扇堂の四代目社長さん、だった。過去形になるのが、実に残念。
 いただいたコメントで初めて荒井さんが昨年亡くなったことを知ったのだが、三月に“しのぶ会”があったことを含めて記事を書いた。
2017年3月24日のブログ

 六月晦日近くの行事などについて、本書から引用したい。

家の中の景色が変わる

 このころになると、「枇杷葉湯売り」なんていうのが来る。枇杷の葉を、甘草(かんぞう)なんかといっしょに煎じたやつを売りに来るんだけど、肌にもいいらしい。それから六月の末には「夏越(なごし)の祓(はらえ)」というのがあるでしょう。ここで上半期が終わりですというね。難をよけたり、けがれを祓うために、茅(ち)の輪をくぐったりもする。
 そのときに「水無月」というお菓子を食べるんです。このお菓子は、三角形のくずの上に大納言、小豆がのかっているんだ。この三角というのは氷をあらわすみたいだね。涼しげなこのお菓子を食べると、夏に入っていく。


 この「水無月」というお菓子の由来については、昨年七月の「小満んの会」で『千両みかん』で小満んのマクラに関連して書いたことがある。
2016年7月22日のブログ

 また、夏越の祓が、季節の変わり目の行事の一つであることは、岡山宇佐八幡神社宮司で民俗学者の神崎宣武の著書『旬の日本文化』から引用して記事にした。
2015年2月3日のブログ

 荒井さんの本の引用を続ける。

 だんだん夏の準備が始まって、徐々に家の空気が変わってくる。まず、ふすまが外されて、すだれがかけられる。部屋の仕切りがすだれになるのね。そうすると、部屋がちょっと広くなった感じになるわけ。それから、茶だんすの中の景色が変わります。たとえば、木製の茶卓が籐の茶卓になったりね。
 これはあたしの時代の話ですよ。江戸時代にはそんなものはないかもしれないけれども、籐の茶卓になると、湯呑み茶碗よりも切子のコップなんかが茶だんすの中に増えてくるんです。で、麦湯がいつも冷まして置いてある。みんな麦茶っていうけど、あれはお茶じゃないですからね。いくら飲んでもカフェインがないから、子供たちでもどんどん飲んでいいわけ。この麦湯に砂糖の入ったやつがいいんだ。友人の橘右之吉さんは「それはぜいたくもんだよ」とか言ってたけどね。たしかに、なかなか砂糖は入れてくれない。親戚のところなんかに行くと出てきたりするけどね。
 それから、風鈴がつられます。江戸風鈴ってガラスだけど、最近のやつは下の切り口のところが、さわっても全然ざらざらしない。つるっとしてる。あれはね、大量生産のものが多いらしいんだけど、昔の風鈴っていうのは、切り口がざらざらしてるんです。そうじゃないと、あの音は出ないらしいですね。
 あたしが好きなのはどちらかというと、おやじかなんかが岩手の方に行ったときに買ってきた南部鉄の風鈴。これはまたちょいとぜいたくなものでね。実にさわりがいいじゃない。ちん、といった後に響くんですよ。これがつってあると、涼しげでいいですな。
 そして、蚊帳をつる金具が部屋の四方に取りつけられて、いつでも蚊帳がつれる状態になる。


 生まれ育った北海道は夏が短く、夏越の祓という風習そのものがなかったので、水無月を食べた記憶はない

 しかし、子供の頃には南部鉄器の風鈴があったことを思い出す。
 家族で一緒に寝る部屋に、蚊帳もつった頃があった。
 蚊帳で思い出すのは、志ん生が貧乏時代に、行商の蚊帳売りから安いのでつい騙されて、破れたボロボロの蚊帳を買った逸話^^


 “夏の風物詩”という言葉がある。
 
 すだれ、水無月、籐、麦湯、風鈴、蚊帳・・・・・・。

 そういったものが、次第に我々の生活から姿を消していく。

 3.11以後、いったんは節電ムードになったが、今では誰も電力消費量などを気にすることもなく、暑ければエアコンをつけっぱなし。

 我が家は、よほど暑くても、できるだけ扇風機だ。

 さて、新暦とはいえ六月師走だ。麦湯と水無月で夏越の祓をしようかな。

[PR]
Commented by 山茶花 at 2017-07-01 10:59 x
私は昨日梅田にある露天神社(通称お初天神)へ寄って茅の輪をくぐってきました。京都や奈良の神社が有名ですが、大阪では生玉神社に大きな茅の輪が設けられます。

そして帰りには関西の風習(元は京都が発祥)である水無月という和菓子を食べて穢れを払い、残り半年を無病息災で居られる様にと祈りました。

夏越しの祓いで検索した時にこんなページが。
http://www.komenet.jp/nagoshigohan/

又変な風習を新しく作るんでしょうか。それとも東京独特の風習?でも聞いた事がないなぁ。大昔に赤パプリカやニガウリが普通に食べられていたとは思えません。これ又コンビニがいずれ加わって、全国展開しようとするのでしょう。何でも商売ですね。
Commented by kogotokoubei at 2017-07-01 12:03
>山茶花さんへ

さすが、本寸法の夏越の祓をなさりましたね。
きっと、山茶花さんにとって快適な夏になることでしょう。

へぇ、こんなご飯がありましたか。
まったく知りませんでした。
もし、商業ベースで流行らせようとしているとしても、失われつつある年中行事を思い起こすきっかけになるなら、歴史的な裏付けのない恵方巻きよりは、ましかな^^
名前
URL
画像認証
削除用パスワード

※このブログはコメント承認制を適用しています。ブログの持ち主が承認するまでコメントは表示されません。

by kogotokoubei | 2017-06-27 12:44 | 年中行事 | Comments(2)

落語のことを中心に、ときたま小言や独り言。


by 小言幸兵衛