噺の話

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落語のことを中心に、ときたま小言や独り言。

場で朽ちるから、バクチ。


 真珠湾訪問のニュースは、別として、政府の悪行について。

 「統合型リゾート(IR)整備推進法案」なんて誤魔化しのお題をつけ、与党が賭場(博打場)の開設を推進しようとしている。

 法案の実態は、「博打推進法」である。

 そもそも「IR」は、“Investor Relations”という株主・投資家向けの情報活動という言葉の略として定着している。言葉自体が、混乱の種になっている。

 衆議院のサイトに、この法案の内容が掲載されている。
衆議院サイトの該当ページ

 「第一章 総則」から引用する。

第一章 総則

 (目的)
第一条 この法律は、特定複合観光施設区域の整備の推進が、観光及び地域経済の振興に寄与するとともに、財政の改善に資するものであることに鑑み、特定複合観光施設区域の整備の推進に関する基本理念及び基本方針その他の基本となる事項を定めるとともに、特定複合観光施設区域整備推進本部を設置することにより、これを総合的かつ集中的に行うことを目的とする。

 (定義)
第二条 この法律において「特定複合観光施設」とは、カジノ施設(別に法律で定めるところにより第十一条のカジノ管理委員会の許可を受けた民間事業者により特定複合観光施設区域において設置され、及び運営されるものに限る。以下同じ。)及び会議場施設、レクリエーション施設、展示施設、宿泊施設その他の観光の振興に寄与すると認められる施設が一体となっている施設であって、民間事業者が設置及び運営をするものをいう。

 第一条の(目的)、“特定複合観光施設区域の整備の推進が、観光及び地域経済の振興に寄与するとともに、財政の改善に資するものであることに鑑み”という前提が、そもそも間違いではないのか。

 「特定複合観光施設」に限らず、地域経済の振興のためには、他にもいろんな対策が検討されてしかるべきである。

 第二条で「特定複合観光施設」が、“カジノ施設及び会議場施設、レクリエーション施設、展示施設、宿泊施設その他の観光の振興に寄与すると認められる施設が一体となっている施設”と定義されているが、カジノが必然なのだろうか。

 兄弟ブログの「幸兵衛の小言」の2014年10月28日の記事で、「内田樹の研究室」の記事の引用を中心に、カジノ法案に関する記事を書いた。
「幸兵衛の小言」の該当記事
 同記事と重複するが、あらためて、今回の政府の暴挙について。

 昔の人は、寄席に行くのにも、後ろめたい思いを抱いていた、ということを本などで読むことがある。

 悪場所、悪所、という表現もある。

 さすがに、今日の寄席通いには、そういった心情と縁遠くなってきたが、賭場に行く場合は、この‘後ろめたさ’を感じるだろうし、そういう感覚、結構大事なのではなかろうか。

 人によっては、地下に潜る感覚が、楽しみを倍加させる効果もあるだろう。

 本来、そこは秘密の場所なのである。

 落語では、たとえば『品川心中』などで博打をしている場面で、「大きな声を出すな。俺たちゃ親孝行してるんじゃねえんだ」という科白を挟むことが多いが、この感覚である。

 博打は、そもそも陽の当たる場所で行うものではないのだ。
 それこそ、国が率先して賭場を作ろうなんてことは、大間違い。

 ギャンブル依存症者を増やすだけである。

 立川談春は『文七元結』において佐野槌の女将に、「その場で朽ちるから、博打なんだ」と言わせる。

 勝つにしたって、まさにあぶく銭。

 あぶく銭か、その場で朽ちるか、という世界は決して真っ当な場所とは言えまい。

 『文七元結』は落語だから、左官の長兵衛が博打で首が回らなくなっても、吉原に沈んでくれようとする娘のお久がいて、五十両貸してくれる佐野槌の女将がいる。
 そして、長兵衛がその五十両を、吾妻橋から飛び込もうとしている初対面の文七に恵んでくれたことに感謝し、お久を請け出してくれる鼈甲問屋、近江屋卯兵衛がいるのだ。

 現実の世界なら、長兵衛一家には悲惨な末路が待っているに違いない。

 
 石破茂は、当初否定的だったがシンガポールのカジノの管理体制を見て、考えが変わったらしい。
朝日新聞の該当記事

 では、韓国の実態も見ろ、といいたい。
 
 あの国に一か所だけある韓国の人が行くことのできる賭場「江原ランドカジノ」が、どれほど多くの不幸を作っているのかを。

 昨日の「報道ステーション SUNDAY」でも長野智子が現地で取材した内容を取り上げていたが、「Business Journal」の記事から引用する。
「Business Journal」の該当記事

 1967年、韓国では外貨獲得のためにカジノが解禁され、当初は韓国人も使用できたが、さまざまな不正が発覚し、2年後には外国人専用となり韓国人は出入り禁止になってしまう。その後、70年~90年にかけてカジノ建設ラッシュとなり、外国人専用カジノが全国に16カ所も建設されたのだ。2000年になり、ようやく韓国人でも楽しめるカジノ「江原ランドカジノ」がオープンし、1年目に約170億円もの利益を上げた。

「一時は炭鉱の町として栄えていた江原に活気を取り戻すべく、カジノを誘致しました。毎年300万人の人々が訪れるようになり、街に活気は戻ったのですが、カジノ中毒に陥る韓国人が続出したのです」(韓国一般紙記者)

 韓国政府は月15回までの入場制限を定め、2カ月続けて15回通うと「賭博中毒センター」でのカウンセリングが義務付けられ、現在までに約5万人の人が利用したという。

「江原ランドカジノの近くには質屋が立ち並び、異様な雰囲気が漂っています。貴金属や宝石を売り払うならまだしも、自分が乗ってきた自動車を売り払う人もいます。今、問題になっているのは“カジノホームレス”。カジノで財産を失った人が行く当てもなく、カジノ周辺に住み込み、その数は100人以上に上るといわれています」(同)

 昨日の「報道ステーション SUNDAY」では、質屋への取材が放送され、駐車場に多くの車が並んでいる映像も紹介された。

 小さな韓国の町の賭博場を石破が見て、果たして、彼はどう言うだろう。

 「日本は、韓国とは違う」とでも言うかもしれない。

 しかし、同じ人間なのだ。

 射幸心をあおられ、ついつい抜けられなくなり、質屋に通い、あげくの果てにホームレスになる日本人も間違いなく増えるだろう。
 最近では、高齢者のパチンコ、パチスロ依存症者が増えているらしい。
 きっと、そういう人たちも、“カジノ”に行くことだろう。

 ‘カジノ’とか統合型リゾートなどというカタカナで誤魔化されてはいけない。

 博打であり、賭場なのだ。

 横浜の林市長まで、賛成しているようだ。
日本経済新聞の該当記事

 おいおい、ちょっと待って欲しい。

 地域“経済”は、別な方法で活性化させることを考えようじゃないか。
 博打の上がりに頼らない方法は、必ずあるはずだ。

 真っ当に税金を払えない国民を増やしては、元も子もなくなるじゃないか。


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Commented by saheizi-inokori at 2016-12-06 09:59
強行採決のときに「恥ずかしくないのか!」のヤジ、こういう議員もいるのに。
Commented by kogotokoubei at 2016-12-06 12:20
>佐平次さんへ

自民党内にも、疑問を持つ議員は少なくないはずなのですが、安倍に反旗を翻すのは恐ろしいのでしょうね。

この法案第一章第四条に「国の責務」があるのですが、そこには、「国は、前条の基本理念にのっとり、特定複合観光施設区域の整備を推進する責務を有する」としか書かれていません。
ギャンブル依存症など、「推進」することによる弊害などに関して、国は責任を持ちたくない、ということでしょう。
リスクマネジメントの発想が欠けています。

メディアは、この法案の利権関係について、もっと追究すべきです。
野党も、もっとメディアをうまく使えばいいのですが、どうも下手なんですよね。
Commented by 麻生 at 2016-12-06 20:03 x
わたしも、新聞で読んでコリャア良くないと思ったのですが・・・・・・・・なんだか本気で怒る気になれないのです。
「どうせ金持ちの遊びだろう。わしら庶民には関わりのない世界じゃ」
という気持ちがあって。

なんだか遠い国の政変を見ているような・・・・・・。

Commented by kogotokoubei at 2016-12-07 08:58
>麻生さんへ

いえいえ、遠い国のお話ではありませんよ^^
パチンコ、パチスロにおける高齢者のギャンブル依存症は、結構身近な問題ではないでしょうか。
きっとカジノができたら、おじいちゃん、おばあちゃんが年金をつぎ込むことでしょう。
Commented by 麻生 at 2016-12-07 22:14 x
なんとねぇ。おとしよりが博打にはまりこむとは・・・・・・

わたしは
「わしも若いころは博打にのめりこんだりしたもんだが、このとしだからね。たまに賭けても、薬味程度さ」
などという落ち着いた老人像を脳裏に描いていたのですが。私の祖父は真面目でして。博打で醜態をさらすことなどなかったのですが・・・・・・・。あれは典型ではなく例外だったのかもしれません。

江戸時代には、このへんどうだったのでしょう。高位の旗本や大名も、時には賭博にのめりこむことがあったのでしょうか。
Commented by kogotokoubei at 2016-12-08 12:09
>麻生さんへ

コメントを拝見し、「看板のピン」を連想しました^^

独り暮らしのご老人が増えたこともあり、偶数月の15日の年金支給日の後、パチンコ屋さんのお客さんの平均年齢が一気に高くなるそうです。
顔なじみがいることも動機の一つなのでしょう。

江戸時代に高齢の方が博打にのめり込むことは稀有だったろうと思います。
やはり、賭場には血気にはやる職人さんなどが多かったのではないでしょうか。
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by kogotokoubei | 2016-12-05 21:16 | 幸兵衛の独り言 | Comments(6)

落語のことを中心に、ときたま小言や独り言。


by 小言幸兵衛