噺の話

kogotokoub.exblog.jp
ブログトップ

五代目柳家小さんの十八番とは・・・・・・。

 私は行かなかったのだが、7日に「七夕七人会-小さん語録-」と銘打った落語会が開かれ、居残り会仲間でいらっっしゃった方から、出演者とネタのご連絡をいただいた。

 その情報によると、開口一番と小菊姐さんの俗曲を除くと、次のようであったらしい。

 『棒鱈』 柳家小里ん
 『粗忽長屋』 柳家小のぶ
 『青菜』 柳家権太楼
 『蜘蛛駕籠』 柳家小満ん
 『道具屋』 柳家三三
 『不動坊』 柳亭市馬

 居残り会のお二人の感想が一致し、とりわけ、小のぶの『粗忽長屋』が良かったらしい。

 私は、このネタを眺めて、素朴な疑問を抱いた。

 「えっ、『不動坊』って、小さんの十八番?」

 会の趣旨から、弟子たちは、もちろん小さんの十八番のネタを披露したのだろうと思っていた。

 こうなると、調べなければいけないのが、私の性分。


e0337777_12420451.jpg

『古典落語 小さん集』(ちくま文庫)

 まず、飯島友治さん編集の『古典落語 小さん集』(ちくま文庫)を確認。

 この本には、次の十八のネタが紹介されている。

 御慶・万金丹・猫久・長屋の花見・大工調べ・三軒長屋・粗忽長屋・湯屋番・浮世根問・
 ろくろっ首・狸賽・三人旅・短命・石返し・肥瓶・うどん屋・道具屋・言訳座頭

 『笠碁』が含まれないのは、編者の飯島さんにとって、『笠碁』といえば、三代目三遊亭小円朝だから、ということは、以前『落語聴き上手』を元に書いた記事をお読みの方ならお察しいただけるだろう。
2016年5月7日のブログ

 7日の落語会では、小のぶと三三の二人だけが、この本で選ばれているネタを披露したことになる。

 私は、少し前になるが、“幻の落語家”とも称される小のぶの見事な『長短』を池袋で聴いている。
2013年6月29日のブログ

 『長短』も、小さんの十八番に入れて良いだろう。
 
 『不動坊』は、もちろん、この本では選ばれていない。

 さて、次に、喜多八の落語研究会のネタを紹介する際に参照した、「手垢のついたものですが」サイトの「落語はろー」のデータ編を確認した。

「手垢のついたものですが」サイトの該当ページ

 世に出された小さんの音源の数を、指標としてみようと思った次第だ。
 CDブック『五代目柳家小さん落語全集』中の保田武宏さん作成の資料を元に作成されたという、このサイトの音源一覧を確認した。

 想像していたことだが、他のネタに比べて、『不動坊』がもっとも少ない。
 
 次の三作。
  (1)不動坊火焔 TBSラジオ   1967.08.25 TBS-R まわり舞台
  (2)不動坊火焔(不動坊)   東横落語会  1978.03.29 東横ホール
  (3)不動坊火焔 東宝名人会  1963.10.31 東宝演芸場

 他のネタを音源の数の順で紹介すると、『粗忽長屋』が20、『蜘蛛駕籠』が8、『青菜』が7、『道具屋』が6、『棒鱈』が4である。

 ちなみに、落語研究会で演じたのは、たったの二度である。
  1974年8月29日の第78回と1977年7月22日の第111回だ。

 実際に7日の落語会で、市馬がこのネタを選んだ理由などを説明したのかどうかは知らない。
 彼にとっては、思い出深い噺なのかもしれない。

 しかし、五代目小さんの名を冠した落語会、やはり落語愛好家の多くが納得するネタで演ずべきではなかったか。
 市馬にだって、他にもいくつも、師匠の代表的なネタを持っているように思うのだが、なぜあの噺だったのだろう。

 とはいえ、五代目小さんの十八番・・・結構、難しい問題かもしれない。
 もちろん、好みだってある。
 飯島さんのように『笠碁』を含まないとかね^^

 志ん朝や古今亭に関しては、何度か苦労をしながら十八番を考えてきた。
 そのうち、柳家も挑戦しようか、などと、思っているが、簡単なこっちゃないなぁ。
 でも、そのうち。

[PR]
Commented by 創塁パパ at 2016-07-09 14:40 x
やっぱり、そこをついてきましたね。相変わらず手厳しいですなあ(笑)
Commented by kogotokoubei at 2016-07-10 01:01
> 創塁パパさんへ

落語協会の会長ともなると、こっちも厳しいのです^^

市馬、マクラで何か言ってましたか?

Commented by 創塁パパ at 2016-07-10 06:22 x
幸兵衛様、特にはいってませんでしたね。まあ、私も、前半の4人でもうおなか一杯でした(笑)それくらい、4人が渋くていいです。
Commented by 創塁パパ at 2016-07-10 08:44 x
矢野さんの「落語手帳」の中の、不動坊で、小さんが、4代目のを聴き覚えたエピソードを紹介しています。前座で45分かけて、正蔵(彦六)に叱られたとか。
あながち、ゆかりがないわけではないですが、まああまりやらない演目なのでしょうかね。
Commented by kogotokoubei at 2016-07-10 16:18
> 創塁パパさんへ

元は上方の噺である『不動坊』を三代目小さんが東京に移植しているので、代々小さんの噺と言うことはできます。
しかし、五代目の十八番とは言いにくいのではないでしょうか。
他の出演者と事前にネタの確認をしていたのなら、『大工調べ』でも『笠碁』でも、『湯屋番』でも良かったような気がしました。
私は、『不動坊』は、上方の噺、冬の噺、というイメージが強いので、そのため違和感も強かったかと思います。
Commented by 創塁パパ at 2016-07-10 17:47 x
おっしゃるとおりです。「大工調べ」にしてほしかったですね。
Commented by kogotokoubei at 2016-07-11 08:56
>創塁パパさんへ

石井さんがネタ選びをしたのかと思ってブログを拝見しましたが、謎は解けないなぁ。

http://ameblo.jp/tesorotez/entry-12178347217.html
Commented by 創塁パパ at 2016-07-11 16:25 x
幸兵衛様。エムズが主催なので加藤さんに聴いてみますかあ(笑)
Commented by kogotokoubei at 2016-07-11 17:15
>創塁パパさんへ

いえいえ、それには及びません。
加藤さんにだって、迷惑でしょうに。

権太楼がマクラで言う、弟子がスマホでなんでも調べようとするような行為は慎みましょう^^
Commented at 2016-07-13 15:40 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by kogotokoubei at 2016-07-13 15:57
>鍵コメさんへ

貴重な情報、ありがとうございます。
名前
URL
画像認証
削除用パスワード

※このブログはコメント承認制を適用しています。ブログの持ち主が承認するまでコメントは表示されません。

by kogotokoubei | 2016-07-09 13:41 | 落語のネタ | Comments(11)

落語のことを中心に、ときたま小言や独り言。


by 小言幸兵衛