噺の話

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若者の落語ブームの記事から思う、いろいろ。


 最近、若者の落語ブームのことがメディアで取り上げられることが増えた。

 集英社「週刊プレーボーイ」のweb版「週プレNEWS」の6月18日の記事をご紹介。
 見出しは、ややウケ狙いに過ぎる気がするなぁ^^

「週プレNEWS」の該当記事
暴走族の元総長に女子が出待ち? グラドルもハマる若手落語家人気とは
[2016年06月18日]

高座も観客も老人ばかり――そんなイメージもあった落語で、噺家(はなしか)もファンにも“若返り”が起きているという。

■観客席に増える若者&女性

「最近、意外と若いお客さんも多いですよ。平日に行っても混んでますし、ひとりの女性やカップルで来てる方とかいます。昔よりはだいぶ、TVとかにも落語家さん出てきたりとかニュースで取り上げられたりしているので興味のある人が増えたんじゃないですかね」

というのは、グラビアアイドルの川奈ゆうだ。5年前にファンにもらった落語CDを聞いて以来、落語にハマり、時間があれば寄席(よせ)に通っているという落語好きだ。

確かに近年、“落語ブーム”と言われて久しい。2005年に宮藤官九郎脚本・長瀬智也主演でドラマ化された『タイガー&ドラゴン』や2007年の国分太一主演映画『しゃべれどもしゃべれども』あたりから火が付き、大泉洋が売れない落語家役を務めた『トワイライト ささらさや』(2014年)、松山ケンイチが主演を務めた『の・ようなもの のようなもの』(2016年)と最近も落語を題材にした映画がヒット。漫画『昭和元禄落語心中』も今年、アニメ化され、話題となった。

「『行ってみたいんだけど、ひとりで行けない、行きづらい』という友達も少なくないですね。『行きたいから連れてって』といわれて一緒に行ったりしますよ。知り合いのアイドルのコでも好きなコがいて、今度行こうという話をしたりしています」(川奈)

映画やアニメなど普段、落語を観ない層からファンが増える一方、落語界もブームに乗って変わってきている。特に注目を集めているのが、若手の台頭だ。

2014年にスタートした、落語に造詣(ぞうけい)の深いお笑い芸人・サンキュータツオが主催する、若手落語家が中心となった「渋谷らくご」(通称:シブラク)は連日満員。

さらに『平成27年度 NHK新人落語大賞』を獲った柳亭小痴楽(りゅうていこちらく)と瀧川鯉八(こいはち)などが結成した若手落語家ユニット『成金』の公演も満員御礼が続いている。

「今はSNSもありますし、若手落語家自ら発信する機会も増えました。そうしたところから各々アピールして認知され始めていると思います。特に昔と違って、今は元お笑い芸人出身だったり前職のある若手も多く、キャラクターに富んでいるので面白いんですよ」

そう話すのは、演芸情報誌『東京かわら版』の佐藤友美編集長。「落語」という芸だけでなく、その魅力的な人間性でファンを増やしているとのことだ。

 元暴走族のことや、このグラビアアイドルさんが、落語の楽しみ方について、なかなか良く分かっていらしゃることは、リンク先の2ページ目でご確認のほどを。
 同ページにあるのだが、なんと、若者にとっては、柳家喬太郎が“渋めの落語家”らしい。

 紹介した文中では、小痴楽が昨年のNHKで大賞を取ったことになっているが、それでは、桂佐ん吉が可哀想だろう^^
 たしかに小痴楽の高座も良かったけどね。
 ご興味のある方は、拙ブログの感想などの記事をご覧のほどを。
2015年11月1日のブログ


 落語芸術協会が、二ツ目の「成り金」メンバーを売り出そうと後押ししてきたことなどが、実を結びつつあることは、結構だと思う。

 漫画やドラマ、映画をきっかけに、これまで落語に接することのなかった若い人が落語と縁が出来ることも、良いことだと思う。
 「落語女子」が、寄席にかけつけることで、寄席の空間も華やかになるだろう。

 しかし、危惧することもある。

 本当に“人間性”で人気になるのならいいが、決してそうは言えないだろう。

 ブームの中で、果たして冷静にいられるかどうか、少し心配だ。
 人気になることで、また、若い女性に追いかけられて、自分を見失わないで欲しい。

 実力と人気とは比例しない。

 テレビも「イケメン」落語家などということで若手を紹介するのは、あまり感心しない。
 見た目の魅力(?)と落語の実力は、まったく別物である。
 ちなみに、紹介した記事の中でイケメン若手二ツ目として二人の名が挙がっているが、私は、どちらの技量も、まだまだ、と思っている。

 お客様の前で落語を披露する機会が増えるのは、自分の芸を磨くために良いことだが、チヤホヤされることで、勘違いしないで欲しい。

 ブームは、いずれにしても一過性のものである。

 いつブームが去っても不思議はない、という心づもりで、この流れをぜひ芸を磨くための場として活かせるかどうかが、長い落語家生活を左右するだろう。

 繰り返しになるが、今の若者の落語ブームは、落語芸術協会の若手を支援しよう、売り出そうという努力が実を結びつつあることが背景にある。

 そして、その活動は、危機感を背景にしていたと思う。

 2011年師走の同協会納会の席で、末広亭の社長が、落語芸術協会の寄席の客の入りの悪さに対し、他派との合同での開催なども含めたテコ入れを要請した。
 このことは、翌年正月の朝日の記事を引用して拙ブログで書いた。
2012年1月27日のブログ
 この記事で、私は、当時の落語芸術協会のホームページの問題などを含め、結構きつい小言を書いた。

 その後、ホームページは、当日の代演情報の掲載など、一歩づつ改善され、今では適宜最新情報も掲載されているし、二ツ目昇進者の案内も、出演予定の寄席情報を含め掲載されるなど、実に良いホームページとなっている。

 どうしても、落語協会のホームページと比べてしまう。

 五年前と今とでは、両協会のホームページは、まったく逆の状況になっている。

 あえて書くが、柳家喜多八のプロフィールは「物故者」の欄ではなく、現役のページに残ったままだ。
 四十九日までは、このまま、とでもいう規定があるのだろうか・・・・・・。

 7月11日の「お別れの会」についても、何ら案内されていない。

 昨年のNHK新人落語大賞の本選には、落語協会から一人も出場できなかった。

 協会は、これを“危機”として、考えているのかどうか・・・・・・。

 若い落語ファンから“渋め”と形容されている、柳家喬太郎理事あたりが、今何を考えているのか、気になるところだ。

 ネット時代の今日、ホームページは、その組織の「顔」とも言えるものである。

 落語芸術協会のホームページからは、実にニコニコした、元気な協会の顔を拝むことができる。

 一方、落語協会のそれは、“渋め”の色調と同様、なんとも活力のない顔としか見えない。

 若者の落語ブームという記事から、五年前から、ほぼ完全に逆転した両協会の勢いのことなどに思いた至った次第だ。

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Commented by 幾代太夫 at 2016-06-20 15:13 x
幸兵衛様

近頃、間違いなく寄席の客層が変化していますね。
私は十数年寄席へ足を運んでおりますが、今回は「タイガー&ドラゴン」が放送されたその時以上だと思います。明らかに若い客が増えました。

悲しいことに同時に客のマナーの質も低下していると思います。
つい最近のことです。とある定席で、芝居中に私語をするカップル、噺家をスマホで撮影する女性がおりました。いずれも若者です。
最初は誰もが初心者ですし、勝手が分からないこともあるとは思います。しかし最低限のマナーは守ってほしいものです。
Commented by kogotokoubei at 2016-06-20 15:41
>幾代太夫さんへ

なるほど、お客さんの側にも、懸念すべきことはありますね。
どんな芸能の鑑賞でも同じでしょうが、他のお客さんへの気配りが必要です。

寄席の方も、真打の高座の途中では席に案内しないとか、徹底して欲しいものです。
結構平気で案内しますからね、最近は。

来週あたり、寄席に行けそうなので、私も客層の変化を確認したいと思います。
Commented by ぱたぱた at 2016-06-20 21:53 x
いつかの土曜日の朝のニュースでそういうのがとりあげられていました。
そういえば、よく行く三田落語会の整理券に見慣れない若い人がいました。また、先月行った鶴川落語会も若干客層が若くなってました。
でも、国立定席や大手町落語会は年齢層高いです。若い客が増えるのは悪いことではないですが、故喜多八のマクラで話していたことを引用するなら、寄席は大人のお遊び場所をわきまえてほしいです。
Commented by kogotokoubei at 2016-06-21 00:52
>ぱたぱたさんへ

三田も鶴川も、しばらく行ってないのですが、若いお客さんが増えましたか。

おっしゃるように、若い落語ファンが増えること自体は、良いことです。
彼らには、落語の楽しさとともに、“大人の遊び場”のマナーも身に着けて欲しいものですね。
こんなことを書いていると、「近頃の若い者は」と言っている小言幸兵衛そのものかなぁ^^
先輩落語愛好家と、若い最近の落語ファンとの、良い交流の場などがあると、いろいろと伝えることもできるかもしれません。
そんなことも考えます。
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by kogotokoubei | 2016-06-20 12:36 | 幸兵衛の独り言 | Comments(4)

落語のことを中心に、ときたま小言や独り言。


by 小言幸兵衛